幼女のヒーロー?アカデミア   作:詩亞呂

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当方別のSNSではイラストメインで活動しておりまして、コミックスの間にある自己紹介ページを真似してみたい、でも全部真似るのも烏滸がましいと結局中途半端なそれっぽいものを作ってしまいました(ここまでが言い訳)
ターニャが雄英の制服着てるだけ。イメージの指向性がついてしまうのが苦手な方はクリック非推奨。個性の説明は表向きのものです。

【挿絵表示】




第10話

「うむ。よし」

 

学校の宿直室の隣に設けられた自室より、私はぴかぴかの制服に身を包み支度の最終確認をしていた。

「しかしこの年で高校の制服とは。人生何があるか分からないものだ」

 

 

ひらりと長めのスカートを翻し、昨日のうちに中身を詰めておいたリュックを手に取る。

ヒーローにはセンスのヤバい奴らしか居ないのか、リボンの羽の生えたクマのぬいぐるみが鎮座するふわっふわふりっふりの小さなリュックサックを買い与えられそうになった時は本当にどうしようかと思った。教科書入らないだろうどう考えても。

 

どうにか奴らを説き伏せ普通のリュックを購入してもらったが、やれ趣味がジジくさいだ遅れてるだのと失礼な奴らだ。中身は正しくジジイだ悪いか。

 

 

思い出してしまった嫌な記憶を振り払うようにして自室を出ると、廊下の向こうから見覚えのある顔がやって来た。

 

 

 

「あれれ?ターニャちゃんだ!!おはよう!なんでうちの制服着てるの?コスプレ?ねぇねぇなんで?ふしぎ!」

「おはようねじれ、これはぶっ」

 

可愛い!とヒーロー科らしくしっかりと鍛えつつも柔らかな身体で抱きつかれ、危うく呼吸が止まる。えぇい、もう3年になるのに落ち着きが無いやつだ!

 

 

「今日から私も雄英生なんだよっはなせ!」

「えぇ?まだ小さいのに?凄い!」

 

波動ねじれ、今日から雄英高校ヒーロー科の3年となる女子生徒。

私は私で郊外の学校に通っていたため生徒が彷徨く時間帯に鉢合わせる機会など普段は無かったが、ねじれは入学1ヶ月で私を発見、尾行し自室にまでやってきた迷惑おん……ガッツのある人間だ。

一応先輩になるものの、敬語はいらないと言い張るので遠慮なく呼び捨てにしている。

 

私のようなヒーローを目指すふりをしているエセ人間では無く、本物の才能に恵まれたヒーローの卵だ。彼女との接触が増えたおかげでたまに個性訓練の授業に交ぜてもらう機会を得たのだから、まぁあまり邪険にはしまい。

 

 

「じゃあ私先輩だね!ターニャちゃん1年生の教室わかる?ねぇねぇわかる?教えてあげよっか!こっち!」

「お前私の方が学校に長く居るの忘れてるだろう」

 

 

……邪険には、しまい。

 

 

 

 

 

 

緑谷出久side

 

「そのもさもさ頭は地味の!プレゼントマイクが言ってた通り受かったんだね!

そりゃそうだ、すっごいパンチだったもん!」

 

雄英高校1-A。真新しい制服と期待いっぱいの気持ちで扉を開ければ、個性的なメンバーが勢揃いしていた。

なんだか距離の近い麗らかないい人や試験会場が同じだった飯田くん。気持ちが高揚するのがわかる。……遠くから睨みつけているかっちゃんに気付いて、そんなワクワク感も少し萎んでしまったけど。

 

───言ってもらったんだ、君はヒーローになれるって。勝ち取ったんだって。

だから、僕は行くんだ!

 

……今更だけど、かっちゃんあの時凄い顔してたよな。大層なこと言っちゃったけど、でも本当のことだ。オールマイトみたいな、最高のヒーローに僕も!

 

その時、廊下の向こうから女子生徒達の声が聞こえた。

 

 

 

「待って〜待ってよターニャちゃん!」

「付いてくるな!お前の教室通り過ぎまくりだぞ!」

「やだぁ〜!ここが1年生の教室だよって私が案内するの〜!」

「もう着くのに!?いい加減諦め、ぶっ」

 

 

 

きちんと前を見ていなかったみたいで、かなり小さな影は僕にぶつかり尻餅をついた。

 

「で、出入り口でたむろするな……!」

「うわわ、ごめん!大丈夫?」

 

 

慌てて手を差し出すと、そのお人形さんみたいな容姿に既視感を覚える。

「あれ、……えーと確か、デグレチャフ、さん?」

「……お前か。またぶつかったな緑谷」

 

 

澄んだ碧眼に薔薇色の頬、絹のように輝く金色の髪をポニーテールに纏め、後れ毛をあちらこちらに跳ねさせる美少女。……美幼女?

入試の時道に迷った僕を案内してくれた、まるで童話から抜け出したような容姿の女の子だ。

 

 

「はい、ここが1-Aの教室だよ!」

「知ってる」

「役目は果たした!またねターニャちゃん!」

 

 

デグレチャフさんに引っ付いていたねじれ髪の女の人は、こちらを一瞬見てにこりと笑うと、すぐに自分の教室に戻っていったようだった。……何者?

疲れたようにため息をついたデグレチャフさんは手を借りずに立ち上がり、ぱんぱんとスカートを払った。

 

 

「……?どうかしたか、道を塞いでいないで早く教室に入れて欲しいのだが」

「ごごごごめんなさい!」

 

一気に色々起こりすぎて思考が停止してた!

慌てて教室に入ろうとした瞬間、次は黄色い芋虫が現れた。……芋虫!?今度は何者!?

 

 

「お前ら騒ぎ過ぎだぞ、仮にもヒーロー科が」

 

ヂュ、と寝ながら器用に栄養補給ゼリーを啜る男の人。な、なぜその体勢でわざわざ。

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

まさかの担任の先生だった!

雄英高校のヒーロー科を担当する教師はプロとして活躍している人ばかり、でもこんなヒーロー見たことが無いな。あんまり人前に出ないヒーローなのかもしれない。出で立ちからしてあまり外見に気を使っていないようだし、メディア露出は見るからに苦手そうだ。個性は一体なんだろう、例えば暗闇を得意とする

「おい」

 

「おい、緑谷出久!」

「ひゃいっ!!?」

 

半分トリップしていた意識を、デグレチャフさんが引っ張りあげた。

 

 

「お前大丈夫か?精神が不安定なんじゃないか?皆もう移動開始したぞ」

「これはもう癖というか……え!?」

 

 

 

教室にはもう誰もいなかった。

いつの間にか体操着に着替え、グラウンドに集合するよう指示を受けていたらしい。

 

……可哀想な人を見る目で見ないで欲しいな、デグレチャフさん……。

 

 

 

*




女の子はねじれとメリッサ激推し。

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