幼女のヒーロー?アカデミア   作:詩亞呂

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前回登場したヒーローコスチュームが大不評というかイメージが掴みにくいようでしたので、かなり前に描いてた着想段階のくっそ汚い下書き設定画を引っ張り出してきました。
まあこの衣装の出番次話で終わるんですけども。
イメージの指向性がついてしまうのが苦手な方はクリック非推奨。

【挿絵表示】



第13話

 

 

メーデー、メーデー。

ターニャ・デグレチャフです。

中身おっさんの幼女がこの先ずっとこのふわふわした衣装で活動していくのは少々キツすぎるとです。至急変更を願います。さもなくば死にます、私の精神が。

 

冗談はさておき、ヒーロー基礎学戦闘訓練だ。

全員揃ったことを確認したオールマイトは今回の授業趣旨の説明を始める。

 

 

「君達にはこれから敵チーム・ヒーローチームと分かれ2対2の屋内戦闘を行ってもらう」

「基礎訓練も無しに?」

とカエル顔。

「その基礎を知るための実践さ!ただし今度はぶっ壊せばOKなロボじゃない」

「勝敗のシステムは?」

と八百万。

「ぶっ飛ばしていんすか」

と爆発頭。

「また除籍とか……」

と肉球女。

「チームの分かれ方はどのようにしたらよろしいでしょう」

と……誰だお前。

「んん〜〜ッ聖徳太子ィ〜〜っ!!」

 

キャパオーバーしたのだろうオールマイトは、懐からカンペを取り出し説明を再開する。ヒーローとしては一流でも教師としては新人もいい所だな。私の方がまだ上手いかもしれん。

 

「状況設定!敵がアジトのどこかに核兵器を隠しており、ヒーローはそれを処理しようとしている。

ヒーローは時間内に核を回収、または敵の確保をすること。敵は時間まで核を守るかヒーローを捕まえること!

コンビと対戦相手はくじ引きだ」

 

……設定アメリカン過ぎだろ、どこのハリウッド映画だ。

早速チーム分けが発表された。

 

 

チームA 麗日・緑谷

チームB 障子・轟

チームC 峰田・八百万

チームD 爆豪・飯田

チームE 芦戸・デグレチャフ

チームF 口田・砂藤

チームG 上鳴・耳郎

チームH 常闇・蛙吹

チームI 尾白・葉隠

チームJ 瀬呂・切島

 

「よろしくデグレチャフ〜長いなぁ、デグちゃんって呼んでい〜?」

「デグちゃ……構わない、が」

「デグちゃんコスめっちゃ可愛いね!良いよ!!」

「言わないでくれ存在を抹消している最中なんだ自分の中から」

「お、おう……?」

 

同じチームとなったピンク女……もとい芦戸はかなり馴れ馴れしくあだ名を提案してきた。了承してやらないほど狭量ではないが、なんだその名前。可愛いのか。今の若者的にそれは可愛いのか。

色々察したらしい芦戸はそれ以上衣装について言及することは無かった。

 

 

第1対戦はAとDだと発表されたため、それ以外のチームはモニタールームへと移動する。

私のチームは最後の第5対戦。チームHとの対戦でこちらがヒーローチームだ。

 

……ふむ。チームH、つまり常闇と蛙吹か。

常闇は体力テストの時に見たあの黒い影のようなものが個性で間違いないだろう。あれをどう使うのかは分からないが彼はテストでは5位、決して恵まれた体格ではないものの上位をキープしている所から、あの影は身体能力の強化にも優れているのかもしれない。

反対に蛙吹は13位。

見た目からしてカエルのような個性だろう。体力テストを見るにそこまで筋力が発達している印象は受けない。個性と測定の相性があまり良くはなかったのだろう。実戦での応用がどう作用していくかが肝になる。

 

次いで我々のチームだが、まず私の個性はデモンストレーションの際既にクラス全員に割れている。ものを弾丸のように飛ばす、自らも浮く。手の内がバレているのは痛いが、今回の訓練で敵の確保とは相手の体にテープを巻きつけること、核の回収とは核に直接触れることだ。

元々室内戦だから派手に立ち回るには距離が足りないため、テストの時のような個性の使い方は出来ないだろう。

 

「おい芦戸、お前の個性はなんだ」

「私?私の個性は酸!身体中から溶解液を出せるよ。床とか壁溶かしたり、粘度とかも調節出来る!」

「ふむ……」

 

彼女の成績は9位。彼女も個性と測定の相性があまり良くなかったにも関わらず、素体の身体能力はおそらく女子でトップクラス。私と八百万は個性との相性が良かったからな。

加えて酸の応用もかなり効きそうだ。

 

「おい、芦──」

 

 

ドオンッ……

 

すぐ近くから轟音と共にモニタールームが揺れる。何事だ。

若干乱れたモニター映像を見ると、爆豪が大爆発をもって緑谷を攻撃したらしい。モニターに映し出されているビルの一角はほぼ消し炭になっていて、緑谷もボロボロだ。

……個性使用のリスクが存在する緑谷にここまで殺傷性の高いおそらく必殺技に等しいであろう技を放つ必要性が分からない。緑谷のような中の下の相手に対してオーバーキルすぎる。敵役とはいえ必殺技を端役にポンポン撃つなんて普通しないだろう、労力の無駄だ。

 

 

「爆豪少年!次それ撃ったら強制終了で君達の負けとする!!

室内戦闘において大規模な破壊は守るべき牙城の損壊も招く。ヒーローとしても敵としても悪手だそれは。大幅減点だからな!」

 

 

唯一戦闘中のチームとの会話が可能なオールマイトがインカム越しに注意する。まぁそうだろうな。

お互いあだ名で呼び合う彼らだ、面識やら因縁やらがあるのだろう。でもそれを訓練に持ち込んでは死人が何人出ても終わらない。私情を仕事場に持ち込むなんて言語道断だ。

 

 

しかし再開した戦闘はとてもセーブしたようには思えない激しさだった。

片や憤怒。片や……あれはなんだろうな、感情がブチ切れて泣いているが、悪感情は薄い気がする。

どちらにせよ、私情丸出しの殴り合い。ヒーロー基礎学の意図からは最も遠いそれ。

いくら戦闘が高度だろうが、あれに学ぶことは私には無い。

 

 

結局爆豪が横に、緑谷が縦に壊しまくったビルは倒壊の危険性があるとのことで、タイムアップ後演習場所を移動せねばならないこととなったのだった。

 

 

 

 

*

 

 


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