幼女のヒーロー?アカデミア   作:詩亞呂

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第17話

 

 

「先日頂いた教員カリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですが」

「どこだよ?せっかくこんな大衆引き連れて来たのにさ。

……子どもを殺せば来るのかな?」

 

現れた敵のリーダー格らしき手まみれ男と、黒モヤの敵。転移系個性持ちとして5年前から敵側に居たのか個性をオールフォーワンに与えられたのかは知らないが、奴とオールフォーワンに繋がりがあるのは間違い無い。

 

 

 

あれは駄目だ。殺さねば私が殺される。

奴に目を付けられていた5年前の私への興味など忘れてくれていれば御の字だが……果たして。

 

 

 

「侵入者用のセンサーは!?」

「センサーが反応しねぇならそういう妨害の個性持ちが向こうにいるんだろ。

校舎と離された隔離空間。そこにクラスが入る時間割。バカだがアホじゃねぇ。……これはなんらかの目的のために用意周到に画策された奇襲だ」

 

 

轟がそう冷静に告げる。なるほどな、プロ・セミプロがウヨウヨいる本校舎では無く人数が限られている隔離空間ならと踏んだのだろう。

 

狙いはおそらくオールマイトか私。

彼は明言しなかったがオールフォーワンを倒したのは十中八九オールマイトだろう。恨みを持って担当教科であるヒーロー基礎学を襲うのは辻褄が合う。……肝心の本人は遅刻だがな!

 

問題は私が目的だった場合だ。

時間割が漏れているということは生徒の名簿、個人情報なんかも筒抜けと見ていい。私の存在を知ってまた勧誘など仕掛けてくるのだとしたら……冗談じゃない。今殺らねば今後いくつ命があっても足りやしない。

 

 

 

「13号、避難を開始しろ。学校に電話試せ。電波系個性持ちが妨害している可能性がある。上鳴、お前も個性で連絡試せ」

 

首にかけていたゴーグルを装着しながら静かな声で指示を出す相澤……いや、イレイザーヘッド。奴の対敵戦闘を生で見るのは初めてだな。

 

 

「ひ、1人で戦うんですか!?あの数じゃイレイザーヘッドの戦闘スタイルである個性を消してからの捕縛は難しいんじゃ……正面戦闘なんてっ」

緑谷が慌てたように制止する。

モヤから現れた敵はかなり数が多く数えるのも億劫な程。一理ある。

というか13号が纏めて全部塵にしてしまえば早いのだがな。ヒーローといえど敵の殺害許可は普通降りない所が面倒だ。

 

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん。任せた13号」

 

そう言って敵前へ飛び出して行ったイレイザーは、個性を消しつつ首に巻いていた小汚いマフラーのようなものを解き攻撃・捕縛を始める。あれは武器か。個性もだが素の身体能力が飛び抜けている。

 

 

「へっ!俺らみてぇな異形型のも消してくれるのかよ!」

「いや無理だ。だがお前らみたいな奴のうまみは」

 

殴りかかる敵に向かって、まるで自分の手のように捕縛武器を伸ばす。

後ろからの攻撃を避けつつ異形型の敵を捕縛、投擲。

 

「統計的に近接戦闘で発揮されることが多い!」

「「ぐぁっ!!」」

「……だからその辺の対策はしてる」

 

 

 

さすがプロヒーロー。肉体強化系の個性ではないのにも関わらず凄まじい体捌きだ。長い間戦闘スタイルを磨いたのだろう、直接の殺傷能力には乏しい武器もイレイザーの努力で補われている。

その上ゴーグルで目を隠しているから誰の個性を消しているのか判別が付かない。集団戦においてその認識の遅れは致命的だ。

 

 

これは出る幕が無いな。目的くらいは吐かせたかったのだが……まぁ良い。避難誘導に従うとしよ、

 

 

「初めまして、我々は敵連合」

 

───黒モヤ!

まるで逃がすものかと言わんばかりに退路を塞ぐそれは、嫌に丁寧に自己紹介を始めた。

 

 

 

「僭越ながらこの度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせていただいたのは平和の象徴オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして。

本来ならここにオールマイトがいらっしゃるはず。何か変更があったのでしょうか」

 

 

プロヒーローとヒーローの卵を前にし全く身構える様子も無く語るそいつは酷く余裕そうだ。

……向こうから目的を述べてくれたな。目的はオールマイト。私への興味は無くなったのか忘れたのかは知らないが、それならばわざわざ首を突っ込む必要もあるまい。

個性も人材も大量所持するオールフォーワンに勝利できる可能性は今の私ではかなり低い。無駄死には趣味では無い。

 

 

「まぁそれとは関係無く私の役目は───」

「うだうだうるせぇッ!!」

「オラァッ!!」

 

BooooM!!

 

呑気に語る黒モヤに切島と爆豪が飛び出し、先制攻撃をかけた。爆煙が辺りを包む。

……迂闊だ。

あの舐めた態度をただの油断と取るか、絶対に勝てると思う手段が存在していると取るか。

こんなことを仕出かしておいてヒーロー科相手に油断?───ありえない!

 

 

 

「っと……危ない危ない。生徒とはいえさすがヒーローの卵」

「駄目だ!退きなさい二人ともッ!」

「私の役目はあなた達を散らして───嬲り殺すこと!!」

 

 

 

刹那、黒モヤが膨張し嵐のように吹き荒れた。

攻撃!?全員転移でもさせるつもりか!

一瞬のうちに広がった闇に簡単に身体を攫われる生徒達。

 

 

 

……まずい詠唱が間に合わない!身体が軽いせいでモヤに身体を持っていかれ───

「デグレチャフさんッ!!」

「!?っやおよろ、」

 

ガシャンッ!

 

 

飛ばされそうになっていた私の腕を八百万が掴み、力いっぱいにモヤの嵐の外へと投げ飛ばされる。強風に煽られ柵に全身を強打してしまい、上手く息が出来ない。

 

「待、……ッ!」

 

私の代わりにモヤに吸い込まれていった八百万と大多数の生徒達。

 

 

 

伸ばした手は、空を切った。

 

 

*




進捗報告をついったーでたまーにしております。
気になる方はID@muu104で検索検索!腐女子ツイート炸裂してるから気を付けろよな!気抜けた文しか載せてないから語彙力の低下が激しいぞ。

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