アリシゼーション~アリスの恋人   作:ジーザス

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上手く書けませんねアリスの魅力は。作者の腕前というより、あの魅力は言葉では文字では表せないものですから!映像でしか不可能なもんですからね!


同盟

「いやぁ、咎人と酒を交わすことになるとは。世の中わかったもんじゃねぇな」

「そうですね。まさか〈整合騎士騎士長〉とこうして飲むことができるとは。さあさあ騎士長、どうぞどうぞ」

「ついでくれるのか?いい役買ってくれるなおい!」

 

良い笑顔を浮かべながらおちょこを差し出すキリト。それに応える〈整合騎士騎士長〉のベルクーリ。

 

「…どうしてこうなった?」

「気にしたら負けですよカイト。今は状況を受け入れるべきかと」

 

今目の前で起こっていることを受け入れられないのは誰もがそうだろうし、それに微塵の違和感も感じさせず、溶け込んでいるキリトが異常と言えば異常なのだ。

 

事の発端はベルクーリが「飲むぞ」とか言いだしたことだ。その理由としては、手解きしてきた部下を倒した強さの真髄を知りたかったから。〈整合騎士〉になったばかりのカイトとアリスが、最古参の騎士2人を倒したことに興味を持ったのもあるだろう。

 

そして大量に投入された湯に押し流されたキリトとユージオが、服を脱ぎ散らかして至福の笑みを浮かべながら楽しんでいたのも理由の一つだろう。

 

娯楽といえば、かれこれ1日を戦いに費やし、半日をカーディナルのアジトで過ごして85階の《雲上庭園》で睡眠を取っただけ。〈この世界〉では汗臭さや雑菌などは再現されていないから気にする必要もないが、どうしても風呂に入りたいと思うのは人間として植え付けられた〈原始的本能〉だからだろうか。アリスやユージオは〈人工フラクトライト〉だが、カイトやキリトに触発されたからなのかもしれない。

 

だがどの土地でも風呂に入り身を清めることは当たり前として行われている。《禁忌目録》に〈風呂に入らざるべからず〉といった禁止事項は存在しない。〈システム管理者〉がどういう理由で、風呂に入ることが当たり前で、疑問に思わないというふうにしたのか考えたくはない。

 

だから2人がはしゃいでいることになんら疑問は覚えなかったし、むしろ自分も入りたいと思っていたからお互い様だろう。

 

先程から話している(正確には入っている)ここは90階《大浴場》。先程の再会から一転して飲み会に発展してしまうとは、カイトもアリスも想像もしていなかった。〈整合騎士〉を統括する騎士長が反逆の騎士(決して彼の有名なキャラクターではない)になった2人と、罪人であるキリトとユージオを捕縛しないのも可笑しな話だ。

 

副騎士長や最古参でもあるデュソルバート、つい最近召喚(・・)されたばかりのエルドリエ。これほどの相手を倒してきた事を称賛するのは人柄を見れば可笑しな事はない。だが称賛しても捕縛しないのは如何なものかと思わずにはいられない。〈整合騎士〉の任として〈セントラル・カセドラル〉の守護も含まれるのだから、全うしないのは一体どうなのだろうかとカイトの中で渦巻いていた。反逆している自分が言えたことではないが、そう思わずにはいられなかった。

 

そんな現状を受け入れきれないカイトを慰めるアリスが可愛いと、ユージオは横目で2人を見ていた。

 

カイトの頭を優しく撫でながら朗らかに微笑む〈整合騎士〉アリスが幻想的だと思えて仕方ない。細いうなじに浮かぶ湯の粒。周囲の壁に置かれたランプから零れる橙の光に照らされたアリスの姿態は美しく、さながら妖精のように魅惑的に見えた。

 

白いタオルというのがまた、アリスという人間が持つ魅力を最大限に引き出しているのかもしれない。若い人間特有の張りと艶のある肌。鍛えられていながらも女性らしさの一つである丸みを帯びた腕と脚。そして何より眼を惹くのが上品に白いタオルを押し上げる双丘。

 

眼にするのが毒ではないかと思うほどの美貌を見せられては、想いを寄せるユージオもカイトに嫉妬せざる終えなかった。だがそれを口にする気はないし自分だけが思うことにしておいた。楽しそうに酒を流し込んでいる2人に混ざるため、ユージオは居座る場所を変更するのだった。

 

「…俺は必要なくないか?」

「キリトもユージオも楽しそうなんですから茶々を入れるのは野暮ですよ?」

「そうは言ってもなぁ。てかここでこんなにゆっくりしてていいのか?アドミニストレータが完成させてしまうかもしれないのに」

「もはや手遅れです。私があの手紙を渡したときには、既に8割方唱え終えていたようですから」

 

酒を飲んでどんちゃん騒ぎしている3人を横目で見ながら俺たちは深刻な話をしていた。向こうでは腰に薄青色のタオルを巻いて、右手に徳利を持ちながら「騎士長Danse♪踊れや騒げや、や~や~や♪」と歌っている。さらにはキリトとユージオが「「朝が来るまで♪」」と楽しそうに合いの手を入れている始末。

 

キリトはともかくユージオがその台詞を知っていることに驚いた。いや、たぶんノリでそう言っただけだろう。剣術院時代、キリトがウォロ主席との立ち合いで引き分けたときに「引き分けおめでとうの会」を開いた。その時にソルティーナ先輩が秘蔵の百年ワインを開けながら「朝まで飲み明かそう」と言ったっけ?たぶんその言葉を思い出して言ったんだろうな。

 

「カイトはこういう雰囲気が嫌いですか?」

「うっ、そんなわけないだろ?キリトやユージオがあれだけ楽しそうにしているのに反対なわけがないじゃないか。だがアドミニストレータに挑む直前だというのに、この無神経さは如何なものかと思っただけさ」

「ここに至るために私たちは苦しくも辛い道のりを歩んできました。たとえこの先に最高司祭様がいようと今だけは良いと思います」

「そ、そうだな…」

 

そう言いながらアリスが俺の肩にぴったりとひっついてきた。なんだか甘い香りが漂ってくんぞぉぉ!?うおおぉぉぉぉぉ!マズイマズイマズイマズイ!俺の心がオーバーキルされそうだぁぁぁぁ!嬉しすぎて幸せすぎてどうしようもないんだよぉぉぉ!

 

今ならアリスに何しても良いかな?あんなことやこんなこと…ゲフンゲフン落ち着け俺の煩悩よ!今そんなことしたらアリスに嫌われてしまう!アリスが俺の生き甲斐なんだ失うわけには行かない!ならばどうする?今俺がするべき事とは煩悩を抑えることだ!

 

南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経、祓え給え、清め給え、神ながら守り給え、幸え給え。…最後のは別の方法だった。どうやら混乱して別の意味合いを抽斗から引き出してしまったようだ。ふははははははは!抽斗だけに引き出す。

 

ああ、やめてアリス!?そんな眼で俺を見ないで!加工場に連れて行かれる哀れな丸々と太った豚さんを見送るような生暖かい視線はやめて!

 

…それにしても3人はあれほど飲んでも良いのか?酔い覚ましには何が良かったっけ?水分補給とか睡眠、シャワーを浴びる、軽い運動、ツボ押しとか言うがどれが良いのだろう。個人差があるのだし適当に済ますのもどうか。合わないものを飲ませて悪化させるのは論外だし。自己責任で終わらせてもいいんじゃね?と思っても良い気がしてきた。だって俺が止めてもやめないんだからさ。もはや投げやりになってきた自分にほくそ笑む。

 

「どうしたのですか?カイト」

「ん?いや、酔い覚ましに何をしたら良いかなって考えてた」

「ここまで飲めばそれを考えても可笑しくはありませんね」

 

アリスさんよ、その服装でしだれかかりながら話さないで下さいませんかね。嬉しいんだけどさ、せっかく煩悩を押さえ込んだのにぶり返してしまうではないですか!ついでにうっとりと息を吐かないで下さいませんか?その魅力の威力に飲み込まれそうなんですよ!形を変形させる柔らかな物体もわざと当ててるんですかね!?衝動的に襲いかかりたくなるんですけどぉ!?

 

ユージオ・キリトに加えて挙げ句の果てには、騎士長さんがいるからしないけどさぁ!いや、いなくともしない………はず。ダメだ、確信が持てない。俺はどうしてここまで優柔不断な人間になってしまったのだろうか。白いタオルに包まれていない両腕に、湯をすくって肌に塗り込むかのように馴染ませているのがまた魅力的だ。浴槽の中にはすらりと伸びた純白の脚が眩しい。水面がユラリと揺れてはっきりと見えないからこそまた芸術的なのだろう。

 

ほら良く言うじゃん?真っ裸より一部に衣類残した方が萌えるとか言う人がさ。

 

…俺は断じてそんな癖はないからな!あったとしても〈この世界〉ではそんなことするのは不可能だし!え?アリスが許可したらしたいかって?

 

ぶち殺すぞコラ。そんなことしないし言わせねぇよ。アリスが望んだとしても俺はそんなことさせねえ。

 

 

 

 

何故カイトはこっちを見てくれないのでしょう。こんなに近くにいるというのに意図的に視線を外して、こちらを見ようとはしないなんて。私には魅力がないと?副騎士長のファナティオ殿と比べれば私は劣るでしょう。しかしそれだけの理由で揺らがれないのは、乙女として不満以外の何物でもありません。

 

まさか剣術院で傍付きになっていたという少女の方が良いと言うのですか?そうとあらば此処を出てから、成敗(討伐?)に向かわせていただきますからね。私の方がカイトを想っているという真実を見せつけてやるんだから!

 

だって誰よりも長くカイトの側にいたのは私だし、〈神聖術〉のこつを教えてあげたのも私だもん。セルカもカイトを奪おうとするし、ファナティオさんだってあの傍付きだって絶対にそうだもん。カイトに向ける視線に含まれている感情が異質だし。

 

誰にも負けないくらい好きだってことは周囲に示したい。

 

だからこうして色気を使っているのに、見向きをしてくれないなんて辛いです。何が足りないのか教えてほしいけど、聞くのも恥ずかしいから聞かないでおこう。いつかその理由を知る日が来るかもしれないから。

 

 

 

 

アリスがカイトの心中を的外れな理由で避けてからしばらく。泥酔していびきをかいている2人を、入り口付近の少しばかり涼しい場所に移動させて、アリスとの2人がかりで風素を使って涼ませていた。少し経ってベルクーリに呼び出された2人は、湯船に浸かっているのが現状である。

 

「単刀直入に聞くが、どうして小僧は最高司祭に挑もうとしているんだ?」

 

腰を下ろしてすぐに問いかけられカイトは肩を振るわせたが、眼に光を宿らせてベルクーリを見据えた。その眼は真剣そのものであり、生半可な覚悟を抱いた者のそれではない。ベルクーリが納得できるほどの活気に満ちた目力だ。

 

「世界を護るためです」

「…世界ってのは〈人界〉か?それとも〈ダークテリトリー〉のことか?」

「その両方です」

「…そうか」

 

ベルクーリにとっては意外だったのだろうか。〈人界〉だけではなく〈ダークテリトリー〉をも護ろうとしているカイトに、どのような心情でいるのか本人以外にはわからないだろう。何故なら彼は世界最古の〈整合騎士〉であり、誰にも予測できない考えを胸に秘めている人物なのだから。

 

「ふっ」

「可笑しな事を口にしたつもりはないのですが」

「気を悪くさせたのなら許してくれ。弟子がそんな壮大な夢を描いているとは思いもしなかったんだよ」

 

口元に浮かんだ笑みをカイトは見落とさなかった。本人は至って本気だし、馬鹿にされるようなことを口にしたつもりもない。〈整合騎士〉である以上、いつかは〈人界〉を護るために〈果ての山脈〉へと趣き、〈ダークテリトリー〉からやって来る悪鬼と剣を交える。勝つか負けるかは本人次第だ。負ければ命はなく、勝てばまた次にやって来る悪鬼と戦うことになる。それは一種のジレンマに他ならない。カイトからすればそれは望んでもいない未来であり、迎えたくもない現実。

 

悪鬼としてやって来る彼等も〈人工フラクトライト〉として造られた一つの命だ。見た目がどんなに醜くてもどれほど卑怯な手を使ってこようとも、カイトにとっては何も変わらない《命》。〈人界〉に暮らす民と何も変わらない生を受けた一つの魂。

 

傷つけたくない。殺すなどできるはずがない。

 

だがそれでもそれを乗り越えてでも護らなければならない存在がある。それは己自身でも〈世界〉でもない唯一人愛した人のために誓いを破る。

 

「本心を言えば、オレも同じように護れるなら護りたい。だがなぁ、どちらか一方しか救えないこともあるんだぜ?どちらかを選ばなければ自身が死に、友が死に、愛する者が死ぬ。そういう選択肢を突きつけられ、即座に決めろと言われればお前はどうする?」

「自分の命に代えてでも守り切ってみせます。たとえ立ちはだかった敵に勝つ要素が見つからなくとも、勝機がゼロだったとしても。俺は最後まで諦めずに守り切ってみせる。それがこの2年間で学んだ己の生き様です」

「自分の命を勘定に入れなくて良いとオレは教えたつもりはないぜ?」

 

立ち上がり鋭い眼光をカイトに向けるベルクーリに負けるつもりはないとばかりに、カイトも立ち上がって睨み付ける。身長差は優に15cmほどあり、カイトが見上げる形になっている。だがそれでもカイトは恐れず、胸に秘めた己の覚悟を見せつけるように立つ。2人の距離は20cm程度。拳を繰り出せば、腕を伸ばしきらずに叩き込むことが可能なほどの至近距離だ。〈最古の整合騎士〉と〈新米整合騎士〉が戦えば誰もが勝敗など予測できる。だがその佇まいだけを見れば、むしろカイトの方が勝っているのではないかと思えてくる。

 

ベルクーリが睨みをきつくするとカイトも負けじと目力を込める。空気が張り詰め、《大浴場》だというのに肌寒く感じるほどの冷気。湯気がダイヤモンドダストへと変貌する。波打っていた浴槽の大量の湯が一瞬にして重量のある氷へと凝固する。湯の投入音が聞こえなくなったのは、投入口までが凍ってしまったからだろうか。

 

ベルクーリとカイトから漏れ出す覇気が渦巻き周囲を蹂躙し始める。風などが起こるはずもないというのに3人の髪がたなびく。それも朗らかなとはかけ離れた嵐と呼べるほどの風圧が密封空間内で吹き荒れる。

 

ギィン!

 

金属音がした瞬間、ベルクーリとカイトの眼前で銀色の光が弾けた。それを見逃さなかったアリスがカイトを覗き込む。

 

「…安心しな嬢ちゃん。こいつは防いだ。それも完全なタイミングと威力でな」

 

心配そうにカイトの頬を両手で掴み何か起きていないか心配していると、ベルクーリが心暖まる声音で諭すように語った。

 

「それはつまり…」

「オレは今こいつに《心意の太刀》ならぬ《心意の小太刀》を撃った。まともに受けていれば薄皮1枚は軽く切れていただろうよ」

 

《心意の腕》をも越える秘技《心意の太刀》は〈整合騎士〉でも使えるのは極一部。自由自在に扱えるのはベルクーリだけとアリスは聞いていた。だが今の言葉からしてカイトも使えるという事実が明るみに出た。決して知ることのなかったカイトの実力を知った瞬間だ。

 

「オレも驚いたぜ。まさか〈整合騎士〉になったばかりの奴が手加減したとはいえ、騎士長であるオレの《心意》を受け止めるなんてよ。坊主、一体何処で使い方を知った?オレが知る限りお前は物体を少し移動させるのが精一杯だったはずだ」

「…別に隠していたわけではないですよ。《想い》を意思力に代えるよう努力した成果としか言えないですが。なんせできたのは今が初めてですから」

「…ほう?見様見真似でやったと言いたいのか。とぼけるなよ?《心意の腕》はともかく、《心意の太刀》はオレでさえ習得には100年を費やした。それを2年やそこら前になった野郎ができてたまるか」

「俺が騎士長に嘘などついたことは一度もありませんよ。嘘は他人ばかりか自身までをも腐らせる。嘘をつくのはそれなりに理由があるときにしか使いません」

 

よほど消耗していたのか、カイトは細く早い呼吸をしながらベルクーリの問いに答える。見れば湯による水滴ではない何かが体中に溢れているのが見える。そして気付けばダイヤモンドダストに見えていた空気は湯気に、湯の投入音が聞こえて、湯船は温かく波打ち、吹き荒れていた風が収まっている。

 

環境を一変させるほどの意思力だったのか、はたまたそう錯覚させるような《想い》が溢れていたのかわからない。

 

「…そういうことにしておくか。じゃ、少し休憩したら向かうか」

「向かうとは何処に?」

 

カイトが何処に行くのかとかけると、ベルクーリが凄むような笑みを浮かべながら振り返り言った。

 

最高司祭様を倒し(・・・・・・)にだよ」

 

かくして〈整合騎士〉騎士長ベルクーリ・シンセシス・ワンが、カイトらとアドミニストレータを倒すことになったのだった。




さてさてこの先どうしたらいいんでしょうね〜

アリスは天使ぃ〜萌え萌えきゅん!
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