アリシゼーション~アリスの恋人   作:ジーザス

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...2ヶ月ぶりの更新ですね。時間経つの早すぎる気がするのですが。え〜、遅くなって申し訳ありませんでした。3ヶ月ぶりに感想を頂き、書く意欲を高めてくれる内容だったので筆が乗りました。ww

ここまで期間が空いてしまった理由としては、2作品ほど新しく創作していたのと、執筆時間がとれなかったからです。やはり大学3回生の後期は、いろいろと面倒な時期ですね。

レポートは必ず週に1つ、重なれば3つから4つ。しかもそのうちの1つは、計算が面倒な上に書き漏らしがあれば1点ずつ引かれていくという鬼畜さ。そうされないためにも、ケアレスミスなく書かなければなりません。

そうすると自然に時間がかかってしまうのです。とまあ、こんなふうに愚痴を吐いていますが、2週間ほどすれば落ち着くのではないかなと思っております。

では気を取り直してSAO関係の話に移りましょうか。ついに始まりましたアンダーワールドの続編War of Underworld 。コンテもかなりこっていて、自分的にかなり満足していますよ。

テンポ的には3期より少し遅いかな程度ですが、それでももう少しゆっくりやってほしいと思ってしまいます。それにしてもセルカ可愛くなりすぎじゃないか!?アリスとは違う可憐さを持ち合わせてるでしょうあれ!

落ち着くのだ浮気は良くないぞ...。いや、しかしあれはそう思わせるほどの魅力を秘めている。別段おかしなことではないはずだ。推しキャラはいくらいても問題は無い。

コホン。〈ダークテリトリー〉側の声優を予測してみたのですが、物の見事に外れましたww。上手くいかないものですね。長々と書いてしまいましたがそれではよろしくお願いします。


告白

カイトとアリスに事の詳細が届いたのは、2人が〈ルーリッドの村〉で養生を始めてから半年が経つ頃だった。その知らせを運んできたのは、2人にとって後輩騎士にあたるエルドリエ・シンセシス・サーティーツーであった。

 

彼の任務は〈果ての山脈〉の上空を飛び交い、侵入者がいないかは確認すること。つまりはいつもの〈整合騎士〉の任務である。どうやら少しばかりの休息として、〈央都〉に戻ってから文を届ける役目を与えられたのだろう。警備は長期間にわたって続くため、彼も彼の愛竜も疲労しているだろうに。

 

それでもやってきた理由として、彼の真面目な性格も影響していただろうが、大半は2人に会えるという喜びが大きかった。彼にとってカイトは手紙越しにとはいえ、助言をくれた人間であり、アリスは教育者という立場だからだ。

 

 

 

「...という次第で参りました」

「というより明後日には来るじゃないか。迎え入れる準備なんかできてないぞ」

「仕方ありますまい。あちらも時間を取れることもないでしょうから」

 

嘆息するように浮かない表情を浮かべるカイトに、エルドリエは諭すような言葉を慎重に選んでいた。余程のことがない限り、カイトが会話で気分を害することは無いとわかっている。それでもエルドリエはカイトを敬う形で話をしていた。

 

「騎士長はそれはもう待ちきれないとばかりに浮ついていましたよ」

「そんなにか?」

「はい。騎士長は普段から〈ダークテリトリー〉からの進行を防ぐべく、部下の訓練に邁進しております。その間は厳しい表情をしておられますが、その知らせを聞いてからは小躍りしそうなほど明るくなられています」

 

ニコニコと報告するエルドリエに、カイトは曖昧な笑みを浮かべることしか出来なかった。あの騎士長が小躍りするなど考えられない。するならば酒に酔った時ぐらいだと思っていたのだが、予想外にはしゃいでいるようだ。まあ、カイト自身も似たような心境であったから指摘できる立場にないのだが。

 

「エルドリエも明後日はいてくれるんだろう?」

「勿論でございます。何千人とも訪れる〈暗黒騎士団〉を誘導するためには、1人でも多く人手がある方がよいですから。先導する者と後方から警備をする者が必要となりますが、それ以外に何かできるならと思っております」

 

今のところ、先導するのは文書に名前を記している俺になる予定だ。頼み事をしておきながらその代表者が、指揮官として動いていないとなればある意味責任放棄だ。後方からはアリスに警護してもらい、上空からの監視役をエルドリエにしてもらうつもりだ。正直、上空と後方はどちらが担っても問題は無い。だからそこはあまり気にしていない。

 

問題は住民への説明をどうするかだ。突然〈闇の軍勢〉が列を成して村を縦断すれば、パニックを起こすのは想像に難くない。最悪の場合、〈暗黒騎士団〉に攻撃を加えることになるかもしれない。そうなれば未だ完全な同盟を結んでいる訳では無い〈暗黒騎士団〉との亀裂は、決定的なものとなってしまう。

 

下手をすれば修復不可能に陥るかもしれない。そうなれば〈人界〉側にやってきている彼らは、周辺の村々を襲撃するだろう。やがてその襲撃は野営を行っている〈人界軍〉の背後から奇襲をかけることだろう。そうなれば挟み撃ちとなり、〈人界〉は真の意味で終焉を迎えることとなる。

 

そうしないためにもパニックを起こさせず、やり過ごすというのがもっとも簡単で効果の高い策となるだろう。だから明日、村の住民を集めて説明をすることにしている。納得はして貰えないだろうが、理解してもらえればそれでいい。ただ村を通り過ぎる間だけ何もせず、そのままいてくれるだけでいいと伝えればいいのだ。まあ、一部が簡単には許可を下ろすことは無いだろうが。

 

「わかった。明日にはこのことを村の住民に知らせておく。納得はして貰えなくとも理解して貰えるように務めるよ」

「それでこそ我が師でありますな」

「俺はあんたの師になったつもりはないんだけど」

「心がけの問題です。私が貴方を師と仰ぎたいと思っているだけのことで、何も気にする必要はありません」

 

いや、だからそこなんだよ。アドバイスしただけで師と仰ぐ必要は無いはず。歳は俺より上だし〈神聖術〉の行使権限も圧倒的に上だ。俺が低すぎるというのもあるが...。剣技はどっちが上かと聞かれると判断に迷うところだ。

 

何故なら流派が違う上に、得意とする武器の種類が違いすぎるからだ。俺は剣であってエルドリエは鞭のような柔軟な武器を得意としている。〈記憶解放〉や〈武装完全支配術〉を使えば話は別だが。俺は鎌を使うようになるし、エルドリエは鞭を使用する。模擬戦をすればどうなるかはわからない。エルドリエの流派が何かを詳しくは知らない。だがリーナ先輩のように、一族独自の流派ではないと思われる。上級貴族出身ならば二大流派のどちらかを使うだろうから。

 

だが俺はこの世界にありはしないオリジナル流派。その名も〈アインクラッド流〉を使用している。一撃必殺を家訓のように掲げる二大流派とは違い、連続攻撃を含む〈アインクラッド流〉は根本的に異なっている。だからどちらが上なのかを、正確に決められないのが現実だ。

 

美男子の笑みを向けられるのが恥ずかしくて、わざとらしく窓の外に視線を向けてみる。その先ではアリスとセルカが、仲良く畑で野菜の収穫を行っている。屈託のない笑顔は、互いに幸せをかみ締めながら今を楽しんでいるといことがよくわかる。

 

10年もの間、会うこともなかった今。セルカはこの時間が、ずっと続けばいいと思っていることだろう。無意識的に窓に近づいてそこから2人を眺める。黄金色に輝くどの宝石よりも美しく価値のある髪。橙と黄金色を混ぜたような、血縁関係を思わせる優しく温かみのある髪。自分たちが戦いに負ければ、それは鮮血に染まり二度と目にすることは出来なくなる。

 

髪だけではない。その笑顔も声も温かさも全てを失うことになる。守らなければ。ユージオが命を賭して守ったように、自分も命をかけて戦うのだと。

 

「美しいですな」

 

気がつけばエルドリエが自分の横に立っていた。俺とそれほど身長は変わらないが、夕焼けに照らされたその美貌と声音は、世の女性を虜にすると思わされる。

 

「私は恋をしておりました」

「恋?」

「はい。初めてアリス様にお会いした頃に衝撃を受け、それからというもの目で追ってしまう自分がいました。食事に誘う。剣の手ほどきを願うなど。少しでも近くにいれるよう努力をしてみました。こう言ってはなんですが、自分は容姿に自信があります」

 

まあ、そうだろうな。これで自信が無いと言われれば、俺は殴っていたかもしれない。嫉妬という情けない理由であるが。

 

「しかしアリス様は、決して振り向こうとされませんでした。どれほど豪華な食事に誘おうとも、首を縦には振ってくれませんでした。少しばかり僥倖と思えたのは、剣技の手ほどきを受けることが出来たぐらいです。何故私には無理向いてくれないのか。悩みに悩みましたが、私にはわかりませんでした」

 

その頃の自分を見ているのか遠い目をしている。そこには少しばかりの悲しみと懐かしさが入り交じっているようにも見えた。

 

「ある日、少しはマシな模擬戦ができたのでしょうか。普段より柔らかな雰囲気のアリス様が零したのです。『何故私が貴方の誘いに乗らなかったのか。それは貴方より優れた人物がいるからです』と。それを聞いて眼が点になりましたよ。その優れた人物とは誰なのか気になり、自分の中で当てはまる人物を想像してみました。アリス様より優れた人とはどのような御方なのか。剣の腕ならば、副騎士長と騎士長のみとなる。その頃の私は、副騎士長がどのような御方なのかまったく存じませんでした」

 

召喚(・・)されて間もないならば、あの人を知ることは無いだろう。普段から兜をかぶり、騎士長以外とはあまり話すこともなかったのだから。アリスやその他の女性たちは何度かその素顔を見ているが、エルドリエは戦いが終わるまで見たことないだろう。何故それを知っているかというと、〈ダークテリトリー〉からの侵攻を防ぐために訓練を始めた頃から、ファナティオさんが兜を脱ぐようになったからだ。アリスは東西に飛び交っていたから、見る機会はなかったけども。

 

「知っている限りならば騎士長かと思いました。容姿ならば私より上はいない。しかしアリス様がそのようなことで、人を図るわけがないと疑問に思い、それも違うと結論づけました。では誰がアリス様の心を射止めることができるのか」

「で、結果は?」

「考えつきませんでした」

「...は?」

 

仕方ないかと言えるだろうか。エルドリエが〈整合騎士〉となったのは、俺が学院に入学してから1年後だ。もう1人いると思わないのは、任務に赴いていると考えたのだろうか。そのようなことで怒るつもりは毛頭ないが。

 

「アリス様に直接聞く訳にも行かず、騎士長に尋ねることにしました。アリス様にお聞きすれば斬られると思いましたからな」

「そんなことで殴打はしないだろうけどな」

「はっはっはっはっ。そういうわけで騎士長に尋ねたところ、貴方だということを教えていただきました。『今は任務で〈セントラル・カセドラル〉にはいないが、戻ってくればアリスの嬢ちゃんがぞっこんな理由がわかるさ』と。まあ、いざ相対したかと思えば敵に寝返られていたわけですが」

 

笑っているが少しばかり痛いな。手紙でアドバイスしてからは何故か俺が師みたいになって、〈セントラル・カセドラル〉に戻った途端に忠誠誓われたし。そんなことまでする必要あるか?もしかして貴族だった頃の癖が抜けないとか?家訓で自信が成長出来たならば、感謝を怠るなとかそういうやつでもあるのか?上級貴族ならばそんなことを家訓にはしないだろうけど。なんせ今の上級貴族は根本から腐ってるんだしな。目上だろうと感謝なんかしないだろうから。

 

「私は貴方を目にして納得致しました。何故アリス様がそこまで好意を抱くのかを」

「何処にあった?」

「雰囲気ですかな。もちろんそれだけではありませんが。誰かを守りたいという強い気持ちが内側に抑え込めず、放出されているという感じがしました。そして一緒にいると心が落ち着く。今こうして隣に貴方がいるだけで、私の心は暖かく癒されているのです」

 

俺を見るエルドリエの瞳は嘘や偽りを語っていない。一切の濁りなく澄んだ瞳が俺を捉えていた。穏やかにごく自然と浮かんでいる微笑みがそれを示している。

 

「人間は外見だけで判断はできませんな。今もあまり信じ難いですが、最高司祭猊下もそのようなものだったのでしょう?」

「...まあな」

 

嘘を口にしかできない現状に居心地が悪くなる。アドミニストレータは魂自体から悪人だったわけではない。しっかりと自分の罪を認めた上で、100年間罪を重ね続けた。普通ならば、それは異常だと罵っても可笑しくはない。

 

だが俺は罵ることができない。あいつのやり方は確かに間違っていた。〈人界〉の人々を守りたいという気持ちがあったのは確かだったと思っている。ただその守り方に問題があったのだ。守るべき民を武器に変え、残った民を守る。民を守るという意味では成り立っている。だが守る民を減らしているのは、矛盾していることになるだろう。

 

「師は幸せ者であります」

「あぁ、そうだろうな」

 

〈神聖術〉で野菜を水洗いしている2人を眺めながらそう呟く。

 

「アリス様のようにお美しい方と、その妹君であると言われるセルカ殿に愛されるとは。騎士でありながら嫉妬してしまいます」

「いつの間にかそうなっていたんだ。嫉妬される筋合いはないんだが」

「はははははは、他の者が聞けば血眼になって呪詛を吐き散らすかもしれませんな」

「それだけは勘弁だ」

 

思い当たる人物は学院時代の3人組、この村の衛士長となっているジンクぐらいだが。

 

「では、私はこれで」

「何処に行くんだ?この時間から外へ出れば、寒さで〈天命〉が減少するぞ」

「食事を邪魔するわけにはいきませんから」

「誰も気にしないっての。それに今日は試したいことがあるんだが、感想を言ってくれるとありがたいんだ」

「と、仰いますと?」

 

あの頃のように悪戯小僧のような光を眼にうかべて口にする。

 

ドラム缶(・・・・)風呂さ」

 

 

 

カポーン。

 

そんな音が鳴るような雰囲気の中で俺たちは湯船に浸かっていた。

 

「ふはぁ〜、これはなかなかに」

「なんだかんだ言って幸せそうな顔してんなぁ」

 

俺の隣では至極満足そうな表情をしたエルドリエが、肩まで湯船に浸けている。最初見た時はこれが風呂とは思えなかったらしく、眼をパチクリさせていたが。

 

「〈公理協会〉の大浴場は広大で、どれだけ手足を伸ばそうと届きません。しかしこれは浸かるだけで伸ばす余地もない。だがむしろそれが心地良い。閉塞感があるにもかかわらず、疲労がすっきりと抜けていく不思議なものです」

 

やけに熱く語ってくれた。まあ確かに俺も入ったことないから、疑問に感じていたのは確かだ。そしていざ入ってみると、これが思いの外居心地がいい。このまま寝ればとても幸せになれそうだが、のぼせてしまいそうだからやめておこう。

 

ちなみにドラム缶風呂と称しているが、実際は白金樫を大きな桶状にした器を使用した風呂だ。名称はともかく趣きとしては、五右衛門風呂のほうが近いかもしれない。何故金属ではなく木製なのか。それはドラム缶のような大きな金属をこの世界には存在しないからだ。〈神聖術〉を使って鋼素を基に作ってもいいが、如何せん強度が足りなくなる。

 

人間1人と熱による耐久を求めると、優先度として普通の金属製武器より高い白金樫を使う方がより効率的だ。そんな事情もあって今は五右衛門風呂で日々の疲れを癒している。

 

「このような風呂は聞いたこともありませんな。一体何処でお知りになったので?」

「キリトが教えてくれた。あいつの出身地ではそういう風習があったらしい」

「どこの出身地なのでしょうか」

「《ベクタの迷子》としてやってきたらしいから、詳しいことは俺も分からない」

 

〈外の世界〉からやってきたなんて言えるわけない。カーディナルのことも知らせていないのは癪だが、あまり伝えないようにしておくことが今のところはいいだろうというのが、騎士長ベルクーリの判断だ。ただでさえ最高司祭が非人道的計画を企て、人間から記憶を抜き去り、〈整合騎士〉にしたという衝撃の真実を話したばかりだ。追い打ちをかけるように、そんな真実を騎士全員に告げるわけにはいかなかった。

 

全てが終わり、キリトの口から語ってもらうのが1番だと思う。本人からの口で言うこと以上に信頼度の高い情報はない。それにキリトは隠し事をできない性格だ。必ず自分から口にしてくれることだろう。正確には、隠せないというのは隠すのが下手という意味になるのだが。そこはキリトの面子を考慮して、何も聞かなかったことにしてやるのも、友人としての優しさだろう。

 

疲労が完全に回復したところで、俺たちは風呂から上がることにした。本来ならばアリスやセルカにも味わってもらいたいものだが、2人の素肌をエルドリエに見せるわけにはいかない。たとえ信頼出来る騎士であっても。アリスは自信が構わないとしても、セルカは見せることに抵抗があるだろう。嫌がるのを見て喜ぶ癖を生憎俺は持ち合わせていない。

 

明後日の到着時刻までは、少しばかりの温和な一時を過ごしたいものだ。




カイトの存在は〈整合騎士〉にとって、なくてはならない存在だということを書きたかった回でした。主人公だからという意味は無きにしも非ずですが、彼と関わっていく人たちが救われるようなことになってほしいと、自分は考えています。

カイトとキリトがいて、ようやくこの世界の救世主になり得るということをこれから書けていければいいかなと思っております。
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