「『リボルバー・ドラゴン』でダイレクトアタックだ!!」
「ぐわぁあ」
俺は攻撃宣言をするとソリッドビジョンの銃の形をした機械龍の弾丸が対戦相手に炸裂する。この一撃で対戦相手のライフは尽きた。
「鮫島さんマジ強すぎっすよ!!」
「地元じゃ鮫島さんに勝てるデュエリストなんていないっす」
デュエルに負けてショックで立ちあげれない対戦相手姿の隣に俺の取り巻きがこれでもかっていうくらいに褒め続ける。
だが、俺はこれでは満足する気にはなれない。勝ったのになぜだか虚しい気持ちになった。この空回りした気持ちはなんだ?
俺が中学校を卒業をして約2か月が経過した。
とくに将来のことを考えていない俺は周りが就職や高校へ進学していく中、俺は何も行動しなかった。
将来のことを考えずにダチと遊び回ったり、デュエルで遊ぶ毎日。
俺と同じく将来を放棄した奴らとしか絡まないからデュエルの腕も上がっていく気はしない。
この中で俺は一番強いらしいが、俺と同じ年代で強いやつらはこの世にいっぱいいる。
俺はめんどくさがってデュエルの学校すら放棄したわけで、デュエルうまいやつらはもっといい学校に進学したことだろう。
いわゆるニート仲間とつるむ毎日はまだ2か月しか立ってないけどもう飽き飽きだよ。
でも今から就職する気にはなれないし、学歴も経験もないし。
「お帰り。良平。遅かったじゃないか」
「ああ、おやじ。ただいま」
金持ちとか貧乏とか見た目ではわからない使い古された一軒家の普通の家に帰る。
自宅から帰ると頭がツルツルなおっさんが玄関で俺を迎えに来ていた。
「あら、良平君。おかえりなさい。ご飯できてるけど、先お風呂にするかしら?」
「トメさん。良平と大事な話がしたいから、先ごはんにしてくれないか?」
「あいよー」
玄関からさらにしゃもじを持った小太りで顔がでかいおばさんも俺のところにやってくる。親父の発言を聞くとすぐに台所へと戻っていった。
正直もう子供じゃないんだからほんと勘弁してくれよ。
親父はもう結構歳を食っているおっさんだ。
おふくろはいわゆる中年結婚で俺を産んだわけだから、俺を産んだあとすぐに体を壊してこの世を去っていた。
俺の家にいるトメさんとは血はつながっていないとはいえ、何年も一緒に住んでいる実質上おふくろみたいな感じかな。
親父とはどういう関係で知り合ったのは知らんが、トメさんは温厚で優しいから一緒にいるのはすぐには慣れた。
「良平。座りなさい」
「はいはい」
親父に言われてリビングの食卓のテーブル席に座る。
「良平。お前もいい年なんだから将来のことを考えたほうがいいぞ」
「はぁ……。説教かよ」
親父が偉そうにした態度で俺を叱っているから少し腹が立った。
「いや、説教ではない。当たり前のようにしているがこの世はデュエル社会だ。いくらデュエル社会といっても、学歴や職歴がないとこの先やっていけないぞ」
「はいはい」
剥げてて見た目では想像は付かないけど、親父は昔はデュエリストを育成させるための学校の校長をしていたらしい。
その名残みたいなもんか、この説教は。
「ところで良平、進学してみないか?」
「今から?」
「いや、無理とは言わんぞ。私は昔、デュエルアカデミアと呼ばれる学校の校長をしておってな。お前も知っている通り、年齢で校長はもうやめてしまったが。昔サイバー流道場という師範もやっておってな」
「その話何回も聞いたわ」
俺が子供の時から何回も聞いたことあるぞサイバー流道場。
稽古といって子供を何人か習わさせて、ひたすら重たいデュエルディスクをもって何時間もドローの特訓をするとか、一日中デュエルをさせられるとか聞いただけでも行きたくなくなる話。
こんな努力をして何の意味があるのか子供ながらにして、聞いてて絶対に行きたくないという道場。
「今から10年以上にサイバー流道場を崩してわたしは、サイバー流を育成するための新たな学校をつくりあげた。その名もサイバーアカデミア」
「は? その話初めて聞いたんだけど、それって普通の学校だよな?」
「昔デュエルアカデミアの教師としてやっていたときと何も変わらないよ。違うのは生徒と教師がみんなサイバー流を使うってことだけどね」
「サイバー流?」
「お、興味あるのか?」
俺は少しだけその話に食いついただけなのに長話が続く。まさか俺が親父が経営しているそのサイバーアカデミアに入学することになるとは。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
(やっべぇ遅刻しちまう)
これから転入試験が始まるっていうのに、朝から親父の長い説教が始まってこんな時間になっちまった。
でも家に出るタイミングはぎりぎりで間に合うはずだったのに電車の点検ミスとかなんやらで発射が1時間遅れてこんなはめに。
今まで無職だったから早起きは苦手で、予定より2時間前に頑張って起きたのに。親父のデッキを託してくれるだけでこんな長話になるとは。
駅を降りてダッシュで俺は向かっていく。サイバーエンドドラゴンの大きな銅像が見えた。あれがサイバーアカデミアか。
すぐさま待ち合わせ場所の教室へと向かう。
「ぜぇ……。はぁはぁ……」
「君が鮫島良平君だね。転入試験予定より1時間遅刻ですよ」
「親父の説教と電車の遅延で遅れちまった。申し訳ねえ」
俺は駅で貰った遅延の紙をこの教師に渡す。
「電車の遅れで遅刻するのは構わないが、何だねその服装と髪型は」
「これがダメなのかよ」
おそらく、中学でもチョイ不良がやっていたワイシャツ出しとボタンが悪いと思い教師に言われてすぐに直す。
「素直なのはいいが、髪型はどうにかならないのかね?」
「髪型はいいだろうがよ」
親父が剥げているから俺も髪型は特に気にしている。ワックスでガチガチに固めて立たせている。
禿は遺伝するって聞くから俺は今から髪の毛を気にしているんだよ。
「まあいい。これからこの学校に転入するにあたって筆記テストと実技試験を行う。どんなに点数が悪くても不合格になるってことはないが、君はあの鮫島元校長の息子らしいからな。期待してるからな」
「はぁ……」
親父は昔から有名人だ。鮫島師範として校長としての息子として見られるのは昔から好きじゃない。
ペーパー用紙を渡されてからやり方を説明され、俺はすぐさま回答に取り掛かろうとする。
問。サイバー・エンド・ドラゴンの守備力を答えよ
問。サイバー・レーザー・ドラゴンのレベルを答えよ
問。サイバー・エルタニンの効果を2つ記入せよ
(ダメだ……わっかんねぇ……)
頭をぼりぼり書きながら回答をさぐっているが回答が見当たらない。なので簡単な問題があるからさぐっているけど。
どれも簡単な問題な気がするけど俺には理解できない問題が続いていく。中学レベルの問題なはずだけど俺には答えられない。
「はい。終了です」
「……あっあ」
迷っているうちにもう制限時間50分がたっちまったのかよ。
わからないから適当にいくつか埋めたがどれも正直自信がない。終わった。
「鮫島元校長の息子なら簡単な問題だったかな」
「………」
俺は声が出ない。
「改めて自己紹介しよう。わたしの名は佐藤。エスパー佐藤とみんなに呼ばれているよ」
落ち込んでいるときに思わずその名前で笑いそうになった。テレビで見る人気芸人の名前かよ、おい。
「次は実技試験だ。その前に君にこのカードを渡しておくよ」
そうだったな。筆記試験がダメだったら次の実技テストで頑張れば逆転できるはずだ。ここで圧倒的な力を見せつければ。
2枚のカードをもらった。1枚は機械族使いなら誰もが『リミッター解除』。こんなカード貰ってもうれしくねえよ。
もう1枚は『サイバーワールド』??? なんだこれは。
「この学校は君も知っての通り、全員サイバー流使いなのさ。だからそのカードを常に使ってもらう。ルールは特別でね。デュエル開始前に全員『サイバーワールド』が強制発動されるのさ」
「なるほどね」
俺は『サイバーワールド』の効果を確認する。
サイバーワールド
フィールド魔法
①このカードがフィールド上に存在する限り、
ターンプレイヤーは「サイバー」融合モンスターによって決められた手札・自分フィールド上から
融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを
墓地に送り、その融合モンスター1体を融合召喚扱いとして
エクストラデッキから特殊召喚する事ができる。
②このカードがフィールド上に存在する限り、
お互いに「キメラテック」融合モンスターを特殊召喚できない。
1つ目はサイバー流専用の融合カードとしてはわかるんだけど、2つ目の効果のキメラテック? とはいったいなんなんだ。
「わかったかね? 君はこの学校に転入してからずっとこのカードをデュエル前に発動することになる。このサイバーアカデミアで学業を続ける限りな」
「ああ。なんとなくわかった」
「デュエルを始めるぞ。互いにフィールド魔法『サイバーワールド』を発動して、デュエル開始!!!」
2人はフィールド魔法を発動すると幻想的な世界のソリッドビジョンが広がっていく。機械的に作られた景色なのにこれは絶景だな。
「私の先行だ。ドロー。手札から『サイバー・エスパー』を召喚。カードを1枚伏せてターンエンド」
「俺のターンドロー」
「この瞬間、『サイバー・エスパー』の効果でドローしたカードを確認しなければならない」
「めんどくせえな。ほらよ」
イヤイヤそうな顔をしながら俺は手札を先生に見せる。俺は見せたカードをすぐさま使用した
「俺は『プロト・サイバー・オーガ』を召喚。召喚に成功したことでデッキから『サイバー・オーガ』を手札に加える」
「ふむふむ。『サイバー・オーガ』か。やはり、鮫島元校長の息子であって同じデッキを使うんだな」
いちいち親父の名前を出すのが気に入らねえ。
「さっそくフィールドを使うぜ。『プロト・サイバー・オーガ』は『サイバー・オーガ』扱いだ。『サイバーワールド』の効果を使う」
「そうはさせませんよ永続罠『融合禁止エリア』発動。このカードがある限り、互いに融合召喚できない」
サイバー流の学校と聞いて、融合を主体にするとか思っていたのにそれも否定するのかよ。こいつ。
「なら、バトルだ。そのまま『サイバー・エスパー』に攻撃しろ!」
「攻撃力900で攻撃力1200に攻撃ですか?」
「そんなのはわかってる。手札から『サイバー・オーガ』を捨てて、効果発動。攻撃は無効になるが攻撃力は次の戦闘まで2000ポイントアップする」
「攻撃力はあがるが無効なら意味がありませんよ」
「『プロト・サイバー・オーガ』は攻撃が無効になったとき、もう1度攻撃できるのさ」
「くっ……。やりますね」
まずは先制攻撃を仕掛けることができた。親父から貰ったデッキとはいえ何とか使いこなしているな。
エスパー佐藤 LP4000→2300
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
プロト・サイバー・オーガ
星3 地属性 機械族 攻撃力900 守備力200
フィールド、または墓地に存在するこのカードは「サイバー・オーガ」としても扱う。
①このカードが召喚に成功したとき、デッキから「サイバー・オーガ」を手札に加える
②1ターンに1度、このカードの攻撃が無効になったときもう1度攻撃することができる。
③「サイバー・オーガ」が戦闘を行うとき、手札のこのカードを墓地に捨てて発動できる。
次の戦闘終了時まで攻撃力は1000ポイントアップする。この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
「私のターンドロー。『マジック・プランター』の効果で『融合禁止エリア』を墓地に送って2枚ドローするよ」
「くっ」
「『死者蘇生』を発動。墓地の『サイバー・エスパー』を特殊召喚。さらに『トリプルエスパー』でデッキから同盟カードを2体特殊召喚」
トリプルエスパー
通常魔法
自分のフィールド上に「サイバー・エスパー」が存在する場合、同盟モンスター2体までデッキ、墓地、手札から特殊召喚する。
このカードの発動後、ターン終了時まで自分は融合モンスターしか特殊召喚できない。
場に3体の『サイバー・エスパー』が3体。ご綺麗に融合を封じるカードをどかしたってことは融合する気満々じゃねえか。
「その前にバトルと行こうか。『サイバー・エスパー』3体で攻撃!!」
鮫島 LP4000→1300
「低攻撃力を晒すと痛いな」
「メインフェイズ2に入る。『サイバーワールド』の効果で『サイバー・エスパー』3体を融合!! 現れ入れるがいい『サイバー・エスパー3』!!!」
「なんだそのカードは?」
「『サイバー・エスパー3』の効果発動!! このカードの融合召喚に成功したとき、モンスター・魔法・罠いずれかを選び、選んだカードを相手の手札からすべて捨てる。私はそうだな……。魔法を選択しよう」
「はぁ?……ふざけんなよ」
思わず俺は声が出てしまった。手札の『死者蘇生』『瞬間融合』『融合解除』『ソウル・チャージ』。
残る手札の4枚だった全部じゃねえかよ。手札が事故っていたとはいえ、後々逆転の一手となるはずだったカードまで落とされるはめに。
さて、手札0枚と伏せカード1枚でどうすっかな。
「私はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
「俺のターンドロー……」
「『サイバー・エスパー3』の効果だ。相手は手札を全て公開しなければならない」
「ちっ……。『オーガ咆哮』だ」
サイバー・エスパー3
レベル8 攻撃力3000 守備力3200
サイバー・エスパー×3
①このカードが融合召喚に成功した場合、モンスター・魔法・罠のいずれかを1つ選択する。
相手の手札を選択したカードを確認し、選んだ種類のカードを全て墓地へ送る。
②①の効果を発動後、このカードがフィールド上に存在する限り、相手プレイヤーは手札を全て公開しなければならない。
オーガ咆哮
速攻魔法
デッキ、または墓地から『サイバー・オーガ』を手札に加えるか、または特殊召喚する。
でも、デッキトップが強くて助かったぜ。ここは何とかなりそうだ。
「そのまま発動だぜ。効果により墓地から『プロト・サイバー・オーガ』を手札に加えて、そのまま召喚し、デッキから『サイバー・オーガ』を手札に加える」
エスパー佐藤の場にいる『サイバー・エスパー』は攻撃力3000だから『プロト・サイバー・オーガ』でそのまま殴っても勝てないんだよな。
ここで『サイバー・オーガ2』を融合召喚して倒してもいいけど、もう1枚の伏せを使ってここは一気に勝負をつけてやっか。
「トラップ発動『リビングデッドの呼び声』。効果で墓地から『サイバー・オーガ』を特殊召喚だ。さらに『サイバー・ワールド』の効果発動!!」
「3体融合ですと!?」
「融合召喚だ。『サイバー・オーガ3』!!! このカードが融合召喚に成功したとき、墓地から『サイバー・オーガ』2体を回収する」
サイバー・オーガ3
レベル9 攻撃力3300 守備力2500
サイバー・オーガ×3
フィールドに存在するこのカードは「サイバー・オーガ」としても扱う。
①このカードが融合召喚に成功したとき、墓地から「サイバー・オーガ」2体を手札に加える。
この効果を発動後、このターン終了時まで相手に与える戦闘ダメージが半分になり、自分は特殊召喚することができない。
②相手モンスターの攻撃宣言時に発動する。このカードの攻撃力はターン終了時まで、
戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。
③1ターンに1度、このカードの攻撃が無効になったときもう1度攻撃することができる。
『サイバー・オーガ3』はこのターン戦闘ダメージが半分になってしまうが、手札に加えた2枚の『サイバー・オーガ』の効果を使って攻撃力を4000上がられる。
最初の1回は攻撃が無効になっちまうが、2回目の攻撃時も相手のモンスターの攻撃力がアップする効果が重複する。
攻撃力3000→7000→10000→13000まで上昇し、ダメージ半分とはいえ攻撃力3000のあいつにぶつければ5000ダメージで一発KOだ。
「バトルだ!! 『サイバー・オーガ3』で『サイバー・エスパー3』に攻撃!!」
「さすがは鮫島元校長の息子ってわけか。面白い……。トラップ発動『死魂融合』!! 墓地の『サイバー・エスパー』を3体を裏向きでゲームから除外し、『サイバー・エスパー3』を融合召喚」
「またおまえかよ」
「『サイバー・エスパー3』の効果だ。手札のモンスターカードを全部捨てなさい」
「くっ……。だが、相手のモンスターの攻撃力分アップする効果が残っている」
手札の『サイバー・オーガ』2枚捨てられたことによりとどめまで行けなかったが、これで十分だ。
攻撃力6600となり、このままいける。戦闘ダメージ半分になるのが惜しいところだが。
エスパー佐藤 LP2300→800
「俺はこれでターンエンド」
『サイバー・エスパー3』が1体残ったのもかなり心残りだ。
俺の伏せも手札も0。返しのターンに何かされたら防ぎきれる気がしない。だが、それよりも気になるのは。
「あんた。俺が『オーガ咆哮』で『プロト・サイバー・オーガ』を回収したタイミングに、2体目の『サイバー・エスパー3』を出しておけば俺の反撃を食らわずに済んだんじゃないのか?」
「ああ。知ってますよ。そのくらい。私も教師ですから」
「じゃあなぜ。俺の手札は見えていたのに」
「なぜって言ったら、そのタイミングで使ったら私の圧勝で終わってしまうでしょう。だって、これはテストですよ。君の採点をするための」
「てめぇ……」
最適な行動をとらずに舐めプなのか。こいつ、余裕ぶってることから只者じゃないな。
サイバー流の教師ってこんなにレベル高いのかよ。俺の親父からは想像できなかったけどこのサイバーアカデミアは相当レベル高いんだな。
「君のお父さんがいつも言っている。リスペクト精神って知ってますか?」
「リスペクトだと!? そんなの知らねえよ」
「鮫島元校長はいつも言っていた。サイバー流道場の師範をしていた時、相手をリスペクトする気持ちを忘れるなと。常に相手に敬意をもって全力で迎えと」
「そんな古くせえ話なんか興味ねえよ。さっさと続けろ」
「はぁ……。今時の若い子は、サイバー流の本当の学びを知らない。ゆとり世代だよ……。私のターン。『デーモンの斧』を『サイバー・エスパー3』に装備して攻撃力1000アップ。バトルだ!!」
「ぐあああ」
「このターンでとどめをさせれるけど、まあここで終わりとしましょう。ターンエンドです。さあ君のターンですよ。鮫島元校長の息子さん」
鮫島 LP1300→600
俺のライフが削れていく。場、手札がすべて0となってしまい絶望でしかない。もはやここまでか。
いや、まだ俺は諦めちゃいねえ。馬鹿にされたまま終わってたまるかよ。親父のことを比べられるのは腹が立つが、仕返ししなければ。
「俺のたーーーーーーーん!!!!」
全身に力を入れて、デッキからカードをゆっくりと引く。
見ないで引いたカード。そして徐々に引いたカードを俺の目の前に持っていく……。
「これならまだチャンスはある!!」
引いたカードからは、ここを打破する結果は見えてないけど、ここから運よく繋げられる可能性はある。
「あの、一人で盛り上がっているところ悪いけど、そのカード『サイバー・エスパー3』の効果で見せてね」
「『強欲な壺』だ」
俺はドヤ顔で見せる。だが先生は顎を開いたままの表情をして驚いた顔をされているけど、俺は何なのかわからない。
「?…… あの、その、それ禁止カードですよ」
「はぁ……?」
「ちょっとデッキを見せなさい」
「ちょっ……」
教師にびっくりされた。そのままデュエルは強制的に中断され、デッキを無理やり奪われた。
「これはデュエルの採点所じゃないですよ。完璧な違反です。『天使の施し』に『強欲な壺』。これ今は禁止カードですよ」
「はぁ……。そんなのしらね……。あ、……」
俺は思い出した。これは親父から貰ったデッキだ。親父のデュエルは見たことあるから回せる自信はあった。
でも中身は急いでたから確認しなかった……。親父が使ってたこのデッキ、何年前の奴だよ……。
こういうのって時代に合わせてデッキ改造するんじゃないのか。親父、何年デュエルしてねえんだよ。
「佐藤先生。筆記テストの採点が終わりました!! なんと全問不正解の0点です」
「は?」
白衣を着た助手らしき女の先生が俺が解いた回答をこのデュエルの間、採点をしていたようだ。
俺はこの衝撃すぎる点数でこれ以上は声は出なかった。
「えーっと。この実技デュエルも不正により0点です。信じられません筆記も実技も0点です……」
あ、あ……。
俺の学校生活終わった。テストを遅刻して、筆記も実技テストも0点を決めてしまった。
これからどうなってしまうんだよ。俺の青春は……。