魔法少女リリカルなのはStrikerS 【ブレイカー】   作:凡人Mk-II

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第七話 査察

「駄目だな……」

 

《そうですねぇ……》

 

宿舎の自室でディンは今まで集めた情報を整理しながら、確信が得られない事に溜息を吐いた。誰もいない自室であるからか、珍しくその表情は憂鬱そうだ。

 

《六課設立の建前の裏にあるものが何なのか、確証が取れませんね》

 

ジャッジメントとディン。この二人が本気で調べて、まだ情報が不明確なのは初めてであった。それだけに六課、いや、はやてが優れているという事だ。

 

「……これ以上は無理か」

 

部隊の通信履歴や、はやての端末の会話まで調べたが結局、全てが推測の域を出なかった。ここから先は本人へ直接聞くか、六課だけではなくもっと広く深く探る必要がある。だが、これ以上はディンの任務の内容を多少なりとも逸脱する。ここから先はオーリス達の判断次第。

 

《どちらにせよ、オーリスさん達が取る行動は一つでしょう》

 

「査察、か」

 

最終報告をディンが渡してから二日が経過している。オーリスの手腕ならば、もう査察の人員は確保しているとみていいだろう。あとは、オーリスがはやてと話し合えば、そこでディンの任務は終了となる。それ以降、六課がどうなるか、ディンの知るところではない。尤も、六課が潰れる事は万に一も無い。現状、そこに居てくれるだけで犯罪が減少しているし、陸に不利益な行為を働いているでもないのだから。陸に一切の干渉無く部隊が設立されているというのは、面白くはないがオーリスもそことはしっかりと折り合いをつけて対応に当るはずだ。

 

《マスター、オーリスさんから連絡です》

 

ジャッジメントが言うと空中にウィンドウが開きオーリスが映る。後ろには、ディンの気のせいだろうか、機動六課が映っているように見える。

 

「あの、オーリス三佐?」

 

信じられないが今日査察だったのか。まさかとは思うがこちらに連絡を一切いれないで来たのだろうか。嘘だといって欲しいディンである。

 

『ご苦労様ディン。ちょっと六課のロビーへ来てもらえる?』

 

にこりと笑うオーリスに寒気がしたディンだった。とりあえず言われた通りにロビーへと向かうと、どうやら査察の動きを察していたのか、部隊長であるはやてと、捜査官であるフェイトが居た。出迎えでもしようとしたのだろう。オーリスはディンが見えるなり

 

「ご苦労様です、ディン陸士」

 

いきなりそう言った。当然だが、そんな発言をすればはやて達の視線が集中する。目には疑いの色が強く表れていた。

 

「さて、八神二佐。こんなところで立ち話も何ですから、座って話をしませんか?」

 

「……分かりました。こちらへ」

 

「ディン陸士、貴方も同行してください」

 

首を縦に振り、ディンはオーリスの後へ付いて行く。はやて達の後姿は、疑念、失望のようなものが感じられた。裏切られたとでも思っているのかもしれない。事実、裏切りに等しい行為なので何を言われようともディンは言い訳をしない。

 

部隊長室に着くと、ディン以外の全員がその場に座る。珍しく、基本的に温厚なはやての視線が厳しい。が、そういったものに馴れているディンからすればなんとも思わない。

 

「さて、あまり時間もありません。単刀直入に申し上げます」

 

オーリスの言葉に、はやて達に緊張が走った。突然査察に着て何を言われるか、予想もついていないのだからしょうがない。

 

「レジアス・ゲイズ中将は六課へ全面的なサポートを約束します」

 

「(うわ、えげつないな)」

 

はやての返事は決まっている。ここで断れば陸の英雄である人間の機嫌を損ねる事になるのだ。それはいくらなんでもまず過ぎる。はやては渋面を作っているが、一度大きく息を吸い

 

「分かりました、よろしくお願いします」

 

そう言い切った。ここで、ディンはレジアスとオーリスの真意を測りかねている。これだけなら自分を呼ぶ必要はないはずだ。なら、一体何故?

 

「オーリス三佐、ディン陸士とはどういったご関係で?」

 

「家族であり、私の大切な弟ですよ」

 

それに、はやてとフェイトは目を丸くして驚いた。ディンはここまで自分達の関係を言ったのだから、今後も六課へと関わるのだろうと予測がついた。自分達の話しをするのは、これからの事を考えてだろう。

 

「それと、失礼ですか、ディン陸士はスパイのようなもので?」

 

はやての疑る視線に、オーリスはさも当然のように答えた。

 

「内情捜査官をご存知ですか? 彼は内情捜査官の一人なんですよ」

 

「あ、あれは眉唾物じゃ」

 

「事実ですよ」

 

執務官であるフェイトだからこそ、内情査察官という存在を信じていなかったのだろう。執務官であるからこそ、不確定な情報のソースを信じないはずだからだ。ディンも彼女と同じ立場なら信じようとはしない。オーリスはディンを内情捜査官の一人と言ったが、内情捜査官はディンを除けばそれこそ数人しかいない。それも、世には知られていない不出の才能を持つ人間達だ。

 

「オーリス三佐、私の任務はこれで終了ですか?」

 

まだ続くのだろうと思いながらもディンはオーリスへ質問する。その答えは

 

「ディン陸士は六課に残り、陸との連絡役をお願いします。また、万が一、何か起きた場合には処理を」

 

どうやら、形式上ではなく、六課を支援する気は満々らしい。しかも、万が一には処理をしろとは。意外過ぎる指示にディンは心の内で戸惑いつつも、頷いた。

 

「……一つだけ、お聞きしてもよろしいですか?」

 

「何か?」

 

「何故、顔見知りでもない、しかも六課に支援を?」

 

はやての疑問も最もだ。レジアスは基本的に海の人間が嫌いである。過度に嫌っているわけでもないし、邪魔をしようとしているわけでもない。ただ、人材を取られているのが気に食わないだけだのだ。それが曲解して周囲に伝わり、海嫌いのイメージが定着してしまっているに過ぎない。レアスキル嫌いなのは本当であるが。

 

「ディン。あの子が、この部隊は優秀だと判断したので」

 

交渉の近い事が終わったためか、それとも自分達が圧倒的に有利な立場にいるためか、それともはやて達にこれ以上警戒心を抱かせたくないのか、オーリスの声は随分と優しいものになっていた。はやて達もその変化には少々驚いたらしい。

 

「ディン陸士が?」

 

「この子は相当数、部隊を見てきています。百や二百程度ではないんですよ。そのディンが、この部隊は優秀だと判断した。私はそれを元に判断したに過ぎませんから」

 

ここまで言われると、ディンは背中がムズ痒い。自分はそこまで優秀ではないのだから。

 

「貴方達の事情は大よそですが、予想がつきます。ただ、言及はしません。そちらにも色々とあるのでしょうから」

 

オーリスはこの部隊の裏側を大体であるが予想が付いているらしい。一体どれだけ深くまで調べたのか知らないが、相当な労力を費やしたはずだ。ここ最近、彼女はちゃんと寝ているのだろうか。それが心配になるディン。

 

「陸との連絡役はディン陸士が請負うとの事ですけれど、他の局員には?」

 

「他言無用でお願いします。彼の職務上、名が知れ渡ると問題ですので」

 

「では、隊長陣と後見人の人間にだけその旨を伝えます」

 

オーリスとはやて、フェイトの会話が進み、話しが纏まっていく。ただ、はやて達はまだこちらの事を完全には信用しないはずだ。それも、今日いきなり来訪し好条件を突きつけ、見返りを求めないのだから疑われて当然。相手の立場が立場だけに、今は事を荒立てたくないから反応を見ているに過ぎない。信用問題は、時間が過ぎれば解決するだろうとディンは楽観視する。

 

「ああ、それともう一人、紹介しなければいけない子がいました。ジャッジメント?」

 

オーリスが言うと、ディンのポケットの中からジャッジメントが出てくる。だが、喋らない。基本的にディンが許可を出さない限りは、彼女は人前では喋らない。相変わらずこういったところは律儀だ。

 

「ジャッジメント、発言を許可する」

 

《どうも、マスターディンのデバイス、ジャッジメントと申します》

 

珍しく真面目な挨拶にディンは違和感を感じる。普段はふざけているだけに余計。はやてとフェイトの二人は、何故か、一瞬ぎょっとして辺りを見回してしまっていた。これにはオーリスが頬を緩ませた。ジャッジメントの声は肉声に限りなく近い。デバイスが人間の声を出すものだから、この部屋に他の誰かがいるとでも勘違いしてしまったようだ。ジャッジメントが喋ると大抵こういった事が起きるお約束事だ。オーリスが頬を緩ませたのは、きっと驚いた顔が、年頃の少女のそれだったからだろうか。

 

「デ、デバイ、ス?」

 

信じられないような顔でフェイトとはやてがじっとジャッジメントを見る。その目には、疑問と、見た事のない物への興味が見て取れた。

 

《もう、そんなに見つめないでくださいよ~恥ずかしいじゃないですか》

 

「こういう奴なので、あまり気にしないで下さると助かります」

 

ディンが忠告するように言うと、はやてとフェイトはその場の空気に押されたのか、頷いた。それにオーリスが更に頬を揺るませた。

 

「まぁ、今回は顔合わせのようなものなので、これくらいでいいでしょう。ディン、連絡方法は追々伝えるから」

 

「分かりました」

 

口調が職場のものと日常の時のものとが入り混じっているのに、ディンはおかしく思いながらも返事を返した。先程のジャッジメントの変な挨拶が効いているのか、ほんの少しだけ部屋の空気が軽くなった気がする。オーリスがはやて達に背を向けて部屋を出て行こうとした、その時ぐらりとオーリスの体が崩れるように揺れた。

 

「『姉さん』!」

 

つい、ディンは素が出てしまった。失態に心の中で舌打ちをしながら、オーリスを支えた。彼女の顔は、よく見ればいつもより随分と厚化粧で、その下にある顔色は青白く、明らかに過労が原因だというのが分かった。

 

「失礼します」

 

ディンはオーリスを抱きかかえ、後ろを振り向かずに部屋を出た。部屋には、呆然とするフェイトとはやてだけが残された。

 

 

 

 

 

 

 

「過労ね」

 

医務室へとオーリスを抱きかかえてきたディンへ、シャマルは簡潔に病名を言った。

 

「とりあえず、栄養剤を処方しておくけれど、こういうのは休息を取るのが一番。あんまり無茶しないようにって言っておいて」

 

シャマルの顔には呆れが強く出ている。詳しく診察していたわけではないが、何でも彼女が言うには、少なくともここ最近は一日に二時間程度しか睡眠をとっていなかっただろうとの事。

 

何故、オーリスがここまで無茶をしていたのかなど、ディンには推測するまでもない。査察のために人員と日程調整のために、睡眠時間を削ってまで仕事をしていたためこうなったのだ。昔から、戦いではないから大丈夫だと言い張って無茶をする姉を知っているだけに、こういった時はディンの方が気が気ではない。

 

規則的に胸が動いているところを見ると、シャマルの言うとおり命に別状は無いようであるが、起きればまた無茶をし出すのであろうから、あと十時間ぐらいは寝ていて欲しい。だが、この人はそんなに寝ていないだろう。ディンはオーリスの危うさと強さを知っているだけに、きっと一時間もすれば起き上がり、けろっとした顔で査察の終了を告げて帰っていくに違いない。

 

「はぁ……まさか、なのはちゃん並に無茶してる人がいるなんて……世の中広ければ同じような人が二、三人はいるものね」

 

真剣な、医師としての顔になったシャマルが嘆息して片手で頭を抱えた。仮に、シャマルがオーリスの主治医となった場合、かなり手のかかる患者になる事は間違いない。なにせ、どう言っても必要に迫られれば自分の身を削ってまでも課せられた仕事を完遂するのがオーリスなのだから。ディンとしては、なのはがかなり無茶をする事の方が驚いている。あの名教導官としても名高い彼女が無茶をするなど、あまり考え付かなかった。

 

「……」

 

「……」

 

沈黙が部屋の中を漂う。互いにこれ以上口を開く必要は無いし、会話をする必要も無い。シャマルの方は、何やら聞きたい事があるようで、オーリスとディンをちらちらと見ている。その目が、いつもの温和なシャマルとは違い、まるで何かを疑るような色が垣間見える。表情も固くなり、顔がいいだけに冷たい印象を与えてくる。

 

「一つだけ、聞いていいかしら?」

 

言葉の端々に、氷水のような冷やりとしたものが付き纏っている。ディンは部屋の温度が、シャマルの言葉のせいで下がった気がした。

 

「何か?」

 

「貴方は今回の査察に関係しているの?」

 

はやてに急な査察がある、とでも聞かされていたのかもしれない。でなければ、こんな予想は口から出てこない。ここで、ディンはどう答えたものか考える。シャマルの立ち位置的に考えれば教える必要は無い。あくまで一介の部隊の主治医だからだ。が、シャマルは八神家の一員であり、六課の戦力で隊長陣と同じような発言力もある。ならば、はやてが彼女へ情報を伝える可能性は十二分に有り得る。しかし、そう予想するのは速過ぎる。これからはやてがどう隊員に伝えるか分からない以上、曖昧に答えるしかない。なので

 

「もし、そうだとしたらどうしますか?」

 

はぐらかすように、確信を言わずにディンは返した。

 

「……」

 

シャマルの目が、すっと凍りついた。眉から口元、顔を構成するパーツが全て動きを止め、変わりに出てきたのは無機質で機械的な表情。それは、ディンの抱くシャマルのイメージにどれも当てはまらないもの。そのあまりの豹変ぶりにぞっとした。それは決して、恐いだとか、殺されるだとか言うものではない。本当に根が良い人間が見せた、あまりにも冷徹で冷厳な態度。善人には大よそ似つかないそれは、ディンにとって得体の知れないものだった。同時に、嫌悪感が胸を駆けた。まるで、今のシャマルは『昔の自分』を見ているように思えてしまったから。

 

「……」

 

言葉を交わさず、変わりに溢れ出てくるのは思考の数々。何故、彼女はここまで敵意を見せるのか。何故、ディンの感覚から言えば善人である彼女が、こんな顔をできるのか。その中の一つ一つを頭の中で整理し、ディンは解消していく。

 

まず、何故シャマルがいきなり豹変したようになったのか。これは簡単だ。六課を害するような存在。正確には、八神はやての邪魔になるような存在だから。だが、次の疑問である、何故善人である彼女が、こんな機械のような顔をできるのかについては解消しない。そもそも、ディンは守護騎士達の経歴を知ってはいるが詳しくは知らない。深くまで調べる必要はなかったし、調べようとも思わなかった。それに、巷で適当に情報を集めただけで十分な程に彼女達は有名だ。だから、深くまでは調べなかった。だが、それを今になってディンは後悔した。

 

「(この人、得体が知れない)」

 

今のシャマルを見て、ディンはそう思った。

 

「貴方はスパイ?」

 

詰問されているわけではないのに、そう感じてしまう程にシャマルの声が冷え切っていた。怒鳴られるよりも、冷静な声色が逆に不気味だ。

 

「いいえ、違います」

 

部隊にとってはスパイのようなものかもしれないが、ディンのやっている事も立派な任務でもある。

 

「なら、貴方は私達の、はやてちゃんの敵?」

 

「いいえ、違います」

 

きっぱりと言う。すると、その言葉を信じたのか表情が少し和らいだ。ここで、ディンは気付く。自分が切迫した空気を覚えるのは、久しぶりではないかと。

 

「じゃあ、敵でないなら、何?」

 

「……協力者、でしょうか」

 

現状ならばディンこの言葉が妥当だろう。そもそも、彼にとっての『敵』とは、裁くべき、排除すべき対象である。そういった意味で、この部隊はディンには絶対に敵には成りえない。

 

「……」

 

「……」

 

再び、沈黙が部屋を支配する。それを破ったのは

 

「う、うぅん……」

 

オーリスが目を覚ました声だった。ディンは即座に彼女へと近づく。

 

「三佐大丈夫ですか?」

 

 

「ディン? ここは……ああ、私、倒れたのね」

 

すぐに自分の置かれた状況を理解するオーリスには感心できるが、あまり無茶をし過ぎる事には全く感心できない。ディンは大事に到っていないのを確認し、ホッと心の中で安堵した。

 

「原因は過労です。あんまり夜更かししていると体に良くありませんよ? 勿論お肌にも」

 

オーリスが起きると、シャマルはさっきと打って変わって、片目でウィンクをして注意した。一体先程までの空気はどこにいったのか、お茶目に振舞うその姿は、ディンのイメージする彼女の姿だった。患者の前では、相手を不安にさせないように笑顔で振舞う事を自分で決めているのかもしれない。

 

「すいません、ご迷惑をおかけしました……って、三十分も寝てたのね。すいません、仕事があるのでこれで。ディン、ちょっと付いて着てくれる?」

 

「はい」

 

トップであるオーリスが倒れても、他の局員は仕事をこなしているはずだ。さっきから忙しなく、オーリスの端末が光を散らしているのがその証拠だろう。ディンはシャマルに礼を言うと、オーリスと共に医務室を出た。

 

 

「彼女が貴方の気になってる相手よね」

 

部屋を出るなり、オーリスが言ってきた。ディンは、その言い方だと変に誤解される可能性を示唆しようとしたが、別にいいかと訂正はしなかった。

 

「ええ、まぁ」

 

今は、更に気になっている。先程の態度に表情。どう考えたって、普通の人間ができる顔ではない。

 

「実は、彼女についてはもっと聞きたいんだけど、今は時間がないからね」

 

そう言いつつ、オーリスは周りに人がいないのを確認し、ディンへと話した。

 

「教会の予言の内容は知ってる?」

 

「いえ」

 

教会とは、聖王教会の事を指す。かつての古き時代の面影を残し、聖遺物を呼ばれる物を管理している組織の名だ。それだけではなく、信徒などもいる次元世界で最大の教会だ。オーリスが言う、『予言』とは、カリム・グラシアのレアスキル『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』と呼ばれる能力からはじき出される、その名の通り未来の起こりうる事象を記したものだ。が、この予言、高確率で当るわけでもなく、しかも表記が難解な古代ベルカ語であるため、偶に当る占い程度の認識しか陸にはない。しかし、何度かこの予言が当っているのも事実であり、管理局の上層部などは、一応指針の参考として目を通している。当然ながら、レジアスも目を通す。とは言っても彼には片手間で目を通す程度の重要度なので、あまり当てにはしていないが。

 

「予言にはこうあったわ」

 

古い結晶と無限の欲望が交わる地、死せる王の元、かの翼が蘇る。死者達が踊りなかつ大地の法の塔は虚しく焼け落ち、それを先駆けに数多の海の法を守る船も焼け落ちる。

 

オーリスが言い終わると、ディンは予言の重大さを理解した。大地の法の塔、これはミッドチルダ、クラナガンにある管理局地上本部を指し、虚しく焼け落ちはそのままの意味と直訳して問題ないだろう。そして、先駆けに数多の海の法を守る船も焼け落ちる。これは、管理局の本局が壊滅する事を指す。つまり、この予言は管理局全体が破滅すると言っている。

 

「最後の一節は『そしてかの地で忌避された者と禁忌とされた者は相対し、雌雄を決す』」

 

ピクリと、ディンの肩が動いた。

 

「この予言が正しいのだとしたら一大事なんてレベルを通り越す。だから、父さんは貴方にこの部隊を調べ、そして残るように指示したのよ」

 

ディンは納得し、理解した。六課がどれだけ重要な部隊で、重い役目を担っているのかを。この部隊はその予言を未然に防ぐために、レリックの回収を建前として設立されたのだと。

 

「ディン陸士、もう一度言います。六課に残り、陸との連絡役をお願いします。また、万が一、何か起きた場合には処理を」

 

「任務、了解しました」

 

ディンは姿勢を正し、敬礼を返した。




更新が遅くなりましてすいません、凡人Mk-IIです。

ちょっとリアルが忙しいので更新速度が絶賛低下中です。こんな作者ですが、この作品を読んでいただけると幸いです。

一応、物語が進展を見せました。この後、どうなっていくのか、お楽しみください

感想、指摘なども受付けておりますので。お気軽にどうぞ

では
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