学戦都市アスタリスク 叢雲と歌姫と孤毒の魔女、3人の物語 作:ソーナ
こんにちはソーナです。アスタリスク遅くなってしまい申し訳ありません!これからも気長に待ってくれると嬉しく思います。
皆さんはこの緊急事態ともいえる日々にどうお過ごしですか?
良ければ私の投稿小説を読んでくださると嬉しいです。そして、ぜひ感想をお願いします。些細なことでも構いませんので、待ってます!
~綾斗side~
「―――俺のパートナーにお願いがあるんだけど、いいかな?」
ユリスの言葉に目が覚めた俺は、
「なんだ、言ってみろ」
「少しだけ時間を稼いで欲しいんだ。頼めるかな?」
「・・・・・・なにか秘策でもあるのか?」
「まあね。一か八かだけど・・・・・・」
ユリスの言葉に、《
そんな俺を見てユリスは。
「ふっ・・・。良いだろう。綾斗、おまえの準備ができるそれまで、あの二人の相手は任せろ!」
不適な笑いを浮かべて、一歩前に出て
俺はユリスにしばらく任せ、目を閉じて意識を集中させ奥に潜っていく。すると。
『―――来たわね、綾斗』
目の前に黒紫の粒子が集まり、一人の女性の姿を形どった。
俺は瞬時にその女性が誰なのかわかった。
「君はセレス、だよね」
『ええ。この姿では初めましてね』
目の前の女性―――セレスの姿は腰まである黒紫色の長い艶のある髪を吹かせて、黒銀の制服を着ていた。
「その制服って?」
『ああ、これかしら?折角だから星導館の制服をモデルにした服なのだけど、似合ってない?』
セレスの言葉に、言われてみれば何処と無く星導館の制服に似ている気もするが、ブレザーの丈は少し長く、スカートも膝ぐらいまであり、改造制服というものみたいだ。
「いや、似合っているはいるけど」
『なら、いいでしょ。さ、綾斗』
セレスの手を取り、彼女のとなりに並び立つ。
『この先に、あなたの可能性があるわ』
「可能性・・・・・・」
セレスの言う、可能性に俺は大体の見当がついていた。
『今のあなたになら、遥の施した封印が一つ、解けるはずよ』
「ああ」
『行きましょう・・・・・・あなたと私の可能性を掴みに』
俺はセレスとともに、俺たちの可能性のある精神の奥にへと進んでいった。
~綾斗side out~
~ユリスside~
綾斗が目を閉じ、意識を集中させたのを感じ取った私は目の前にいる双子に意識を向けた。
「
「これは私たちが嘗められていると言うことなのかしらね沈雲」
「そうだね、沈華」
にやにやとした笑顔で私を眺める双子に。
「悪いが綾斗の準備が整うまで私の相手をしてもらうぞ、
アスペラ・スピーナを構え直して言う。
今の私では、この双子相手にそう長くは持たないだろうが。
「(少なくとも、しばらくの時間は稼げるはずだ。最悪、あれを使うしかない、か・・・・・・)」
切り札はあるがまだ隠しておきたい。だが、ここで負けては。
「(意味もないからな)」
私が気持ちを切り替えると同時に、双子は揃って肩を竦める。
「まあいいさ。なにを企んでいるのかしらないけど」
「その分、楽しませてもらうわよ」
沈華が印を結ぶと、その姿が溶けるようにして消えた。
「―――ふん、おまえたちこそあまり私を舐めてもらっては困る。咲き誇れ―――
星辰力を集中させ、出し惜しみなしに力を解放する。目的は、出来るだけ双子が綾斗から離れさせるようにすることと。
「きゃあっ!」
「ちぃっ!」
双子は小さな悲鳴を上げ、重波の焔鳳花の焔のから避けようと離れる。それと同時に、辺りに貼られていた呪符が現出して燃え尽きる。そう、もう一つの狙いは透明で見えない呪符を燃やし尽くすことだ。
「・・・・・・なるほど、狙いは呪符の方か」
重波の焔鳳花は私を中心に、全方位に焔の波を行き渡らせて攻撃するものだ。意識を集中させて操作すれば、このように後ろの綾斗を守りながら攻撃できる。ただ、これにももちろん弱点はあり、重波の焔鳳花に意識を割いている際は他の事ができないことと、広範囲に攻撃できないことだ。
「ふうん。でもいいのかな?この技に集中している間、君はパートナーを守れるのかい!」
そう言いながら呪符を取りだし、綾斗に向けて放たれた呪符を私は、重波の焔鳳花を使ってすべて燃やしつくす。
「はあっ!綾斗の邪魔はさせない!」
正直、これを維持しながら移動する
「じゃあ、こんなのはどうかな?」
沈雲がそう言うと沈雲の背後に呪符が現れた。
「往け!」
「・・・・・・!」
沈雲の呪符からによる氷の矢のような攻撃に息を飲み、それを回避する。その際、氷が重波の焔鳳花に接触しても溶けたりせず、床に当たっても砕け散らないのを見た。
「(!幻影か?!)」
瞬時にそれを幻影と判断し、回避からやり過ごすことにしてその場に止まり、幻影を見ないように目を閉じる。
幻影の氷の矢が次々と通り抜けていくのを感じながら重波の焔鳳花に集中する。そこに。
「なるほどぉ。幻影をやり過ごすという点からしては懸命な耐え方だ」
沈雲のそんな言葉が聞こえてきた。
「では、この隙に君のパートナーを狙うこととしよう」
「っ!」
沈雲のその一言に思わず目を開け、前を向いてしまった私は目の前に迫ってきた氷の矢を受け集中が乱れた。いくらそれが幻影だと分かっていても、貫いた時の条件反射で重波の焔鳳花の集中とイメージが途切れてしまい、重波の焔鳳花が消えてしまった。
「うぐっ!」
条件反射から立ち直ろうとしたその時。
「残念」
「しまっ―――!」
すぐそばから聞こえた沈華の声に驚いたと同時に胸部近くに衝撃を受け吹き飛ばされた。
「うわっ!」
普通の衝撃なら今のくらい耐えられるが、今回は別だった。
なにせ沈華が蹴ったと思われるその場所は。
「そりゃ痛いわよね。前に
「・・・・・・」
二日前の五回戦で
私はその痛みに顔をしかめながら立ち上がり、沈華に問う。
「・・・・・・なぜ直接校章を狙わなかった」
もし今の攻撃が校章を狙っていたら、間違いなく私はここで終わりだった。透明なのだから私の校章を破壊することなど雑作もないはずだ。その私の問いに沈華はニヤニヤと笑いを浮かべ。
「ふふ。ちょっとずれちゃっただけよ」
と、はじめから校章など狙ってなかったかのように言った。どうせ、はじめから校章を狙う気など無かったのであろう。私を徹底的に痛め付けて勝つつもりなのだ。だが、沈華のその選択は誤りだ。私は星辰力を練り。
「そうか!なら、せいぜい後悔しろ!綻べ―――
「なっ!?ちょ、え、ちょっとまさか自爆―――!?」
自分を巻き込んで沈華に上空から攻撃を仕掛けた。
もしこの攻撃をなんの防御もせず受けたのなら、例え沈華とは言え無傷ではすまない。無論、私もだが、しかし。
「できれば、これはまだ隠しておきたかったのだがな・・・・・・」
私は自分の星辰力で練り上げた攻撃は
やがて爆煙が収まると。
「・・・・・・なるほど、自分の能力をレジストできるのか」
「―――っ!?」
爆煙の中から沈雲の声が聞こえた。
そして、沈華がいた場所にはドーム状に出来た複数の壁があった。その壁が揺らぎ蜃気楼のように消えると、そこにはほぼ無傷の沈華と、沈雲の姿があった。どうやら今のは沈雲の星仙術で造り上げた物のようだ。五体満足のその姿に私は驚愕しながら下唇を噛む。まさか、防がれるとは思ってなかったのだ。
「・・・・・・いやはや、驚いた。噂以上だね、《
「ご、ごめんなさい、沈雲・・・・・・」
「ふぅ・・・・・・まあいいさ。―――そろそろ終わりにしよう」
手首をスナップさせ、呪符を取り出した沈雲を警戒するように後ろに右足を退かせたその瞬間。
「(呪符―――!?)」
右足の足元に呪符があり、そこから幾多の呪符が現れ私を縛り上げる。咄嗟の事に反応が鈍りなす統べなく両手を上に上げさせられ空中に縛り上げられる。
「冷や冷やさせてくれた、お礼をしないとね!」
「うっ・・・・・・ぐはっ・・・・・・!」
沈雲から放たれた呪符の爆発に私は苦痛の声を上げる。
「ふはは!どうだい《華焔の魔女》?!反撃しないのかい?!」
『一方的な攻撃!し、しかし・・・・・・動けないのだから直接校章を狙えば良いのではないでしょうか?これではあまりにも・・・・・・』
『意識消失による勝利を狙っているようッスが、沈雲の攻撃には手加減している様子が見られるッス。簡単には消失させないつもりッスね』
司会や観客席の連中も沈雲の攻撃に戸惑っているようだ。
なにせ無抵抗の私をただ痛ぶっているなのだから。さすがに沈雲のこの行動には動揺や困惑の声や雰囲気が、沈雲の絶え間ない呪符の攻撃を受けつも感じ取れる。
「ふはは!あはは!」
「ぐあぁぁっ!!」
「痛いのが好きだろぉ?!ふはは!」
絶え間ない沈雲の呪符の攻撃に痛みはもちろんの事、着ている制服は所々破け、肌は爆発の火傷で僅かに火傷の痕のような黒ずみが出来ていた。
「(綾斗・・・・・まだか・・・・・・)」
呪符を受けながらもパートナーである綾斗を待つ。綾斗が目を閉じて集中してからすでに二分近くが経過している。
「ふふ。あはは!いい様じゃないか!」
「(く・・・・・・っ・・・・・・!)」
幾度となく、防御もままならないまま受け意識が飛びそうなところに。
「そろそろ終わりにしようか、《華焔の魔女》?!」
沈雲の止めの呪符が飛んできた。
飛んでくるその呪符の痛みに耐えようと目を瞑る。が、幾ら経っても痛みや爆炎が襲ってくることはなかった。かわりに耳に何かを切り裂くような音が聞こえた。そして目の前に膨大な星辰力を感じ取った。
「―――っ!」
「なんだ!?」
恐る恐る目を開けると奥には沈雲が驚きの表情を浮かべ、そのとなりには同じく驚きの表情を浮かべている沈華がいた。そして、目の前には私を守るようにして黒い柄に黒紫の刀身を現出させた
~ユリスside out~
~綾斗side~
俺の意識の奥にセレスとともに潜り込んだ俺とセレスの前に施錠された楔のついた封印が現れた。
「・・・・・・」
『さあ、綾斗』
セレスに促されるようにして施錠された封印の前に手を伸ばす。手を伸ばすと目の前に、ピンボール位の小さな白い光の球体が現れた。俺は恐れることなくその白い球体を掴み、引き寄せて掌を開く。すると、そこになんの変哲もない白銀の小さな鍵が現れた。
『それがあなたの可能性。そしてこの先へと進むため、あなたを戒める禁獄の楔を解くための『
「俺の・・・・・・」
セレスの言葉に俺は目を閉じ、姉さんやウルスラ姉さん、紗夜、シルヴィ、オーフェリア、ユリス、みんなのそれぞれの言葉を思い返す。
「・・・・・・俺は一人じゃない。みんなが・・・・・・仲間がいる!」
そう言い、ゆっくりと開くという確信を持って『鍵』を施錠されている封印の鍵穴へと差し込む。
「・・・・・・・・・・」
差し込んだ『鍵』を右に90度回し、封印を解除する。
解除され、施錠されていた禁獄の楔が虚空にスウッと消えていく。俺の後ろには、強引に開かれ鍵穴が破壊されている一つ目の封印の痕が。奥には固く施錠され、封印されている最後の禁獄の楔が。そして、目の前にはたった今正規の手順で開かれた二つ目の封印が。
二つ目の封印を解除すると、俺の中に力が溢れてくるのを感じた。
『綾斗・・・・・・』
心配そうに視てくるセレスに向き直り手を差し伸ばす。
「行こうセレス。俺たちの仲間のところに」
『ええ!』
手を取ったセレスはその姿を人から粒子にして、俺の右手に集まった。
集まった粒子は一振りの剣となり黒紫の刀身を現出させ、刀身の周囲を陽炎が包む。
『行きましょう綾斗。行って、あの双子を倒しますよ』
「ああ。もちろんだよ」
そう言うと、俺たちの意識が浮上した。
意識の奥から戻り、意識が元に戻ったのが分かると俺は腰のポーチからセレスを取りだし起動させる。そして、目の前で縛り上げられ重体のユリスの前に一瞬で移動し、ユリスに迫る呪符を全てセレスで切り裂いた。
「―――お待たせ、ユリス」
振り返り、ユリスを縛り上げている呪符を斬ってユリスを解放し、倒れ込んで来たユリスを左手で受け止める。
「まったく・・・・・・遅いぞ、綾斗」
満身創痍の姿のユリスを視て、俺は静かに憤る。
「ごめん」
俺の謝罪にユリスは小さく笑いながら首を横に振る。
「それより、封印が完全に解けたのか?」
「いや、まだ二段階目だよ。それに少しだけパワーアップしただけで大幅なパワーアップはしてないし」
パワーアップしたと言っても、上がったのは速度や防御くらいだ。といっても、一段階目と対して変わらないけど。
「なに?だが、この星辰力は・・・・・・」
「今まで漏れ出ていた星辰力を、内に溜めておけるようになっただけだよ。ただ、その分リミットも伸びたと思う」
「どのくらい持つ・・・・・」
「う~ん、そうだなぁ・・・・・・。たぶん、半日近くかな」
大間かな予測値を伝えるとユリスは一瞬目を見開いた。
半日近くと言っても、星辰力の使用量によって変わってくるため一段階目より長くできるくらいな物だ。全快にはまだまだ程遠い。
「なっ・・・・・!?そ、そうか。後は頼んでいいか?正直、私はもう限界でな」
「ああ・・・・・任せてくれ」
崩れるように膝を床につくユリスにそう答え、双子に向き直る。
『いけるよねセレス』
『ええ。もちろんよ』
双子に振り向きながら脳裏でセレスと念話を取る。
「・・・・・・つくづく君たちには驚かされるね」
呪符を取り出して
「さて・・・・・・」
セレスを正中線に構え目を閉じて意識を集中、感覚を鋭く拡張。自分を中心にアリーナ全てに範囲を広げる。
感覚を研ぎ澄ませ周りの物を全て見通す。気持ちを落ち着かせて目を開くと、視界にはすべてが見えていた。黎沈雲はともかく、透明で見えない黎沈華に周りの設置された透明な呪符もだ。
近くを極限にまで拡大し、相手の動きや星辰力の流れ、音、空気などすべての、ありとあらゆるその場の情報を俯瞰的に知覚的に把握する。これが《識》の境地。
「―――よし」
俺は無造作に一歩を踏み出す。
そのまま歩きながら片手でセレスを虚空に薙ぐ。すると、真っ二つになった呪符が視認出来るように現れ、そのままセレスの炎で燃え尽きる。そのまま、ゆったりとした足取りで歩を進め、次々と視認できない呪符を切り捨てる。黎沈雲には俺がセレスを振るったことすら見えてないだろう。恐らく見えるのはセレスの斬撃の軌跡だけだ。
「まさか・・・・・・見えているのか?」
驚愕の表情で黎沈雲が呟く。視界に全て見えていると言っても、正確には見えているのではなく、
「ならば・・・・・・これでどうだ?!」
黎沈雲の放った呪符は俺を取り囲む。
「(数は・・・・・・十二枚)」
『すべて爆雷符ね』
俺が俺を囲む呪符の数を一瞬で数えると、頭の中に念話でセレスの声が聞こえた。
『やるよセレス』
『ええ』
俺たちは焦ることなく歩を進める。当然のように呪符が起爆し、それに連鎖して囲む呪符十二枚が次々と爆発が巻き起こる。
本来なら無傷ではすまない所なのだろうが。
「なっ・・・・・・!?」
俺はほぼ無傷で通り抜けた。
「っぐ・・・・・・!」
黎沈雲はあり得ないとでも言うように顔をくしゃくしゃにする。
俺が無傷なのは単純に、全部斬ったからだ。起爆した十二枚の呪符の爆発をセレスで斬ったのだ。セレスは万物すべてを斬ることの出来る魔剣だ。以前イレーネの純星煌式武装
そのまま歩くとセレスが。
『綾斗、左前』
と言った。
俺もセレスに。
『ああ、わかってる』
と返し、左腕で襲い掛かってきた黎沈華の蹴りを受け止める。
『次は正面よ』
セレスの念話と同時に俺は、見えていないはずの黎沈華の右突きを半歩動いてかわし、そのまま黎沈華の肩を軽く押し。
「天霧辰明流奥伝―――"
「きゃあああああっ!」
右後方にあった黎沈華自身が仕掛けた呪符に当たり、容赦なく呪符は爆発し黎沈華の体が爆風にもまれて後ろに舞う。そして、その衝撃で術が解けた黎沈華の校章を、その場から見もせず後ろにセレスを振って斬り落とした。
「うっ・・・・・・う、うそ・・・・・・」
真っ二つに斬られた校章を見て黎沈華は唖然として言う。
黎沈華の校章が斬られたのを見て、さすがに黎沈雲の顔に焦りの色が浮かぶ。
「こうなったら・・・・・・はぁぁっ!」
距離を取った黎沈雲は両手を広げ、その袖から大量の呪符を取り出した。というか、袖から大量の呪符がまるで雪崩のようにあふれ出た。
『あんな大量の呪符、どこに仕舞っていたのかしら?』
『確かに。あの制服に収まるような量じゃないよね』
あふれ出た呪符を見ながらセレスと念話で会話していると、呪符は竜巻のように舞い上がり、そのまま黎沈雲の頭上で巨大な球を形作った。
『うわ~。スゴいわねー』
『セレス、棒読みだよ?』
セレスの棒読みに念話でそうツッコむと。
「僕の手持ちの呪符すべてを使って織り上げた爆雷球だ。存分に味わってくれ!」
黎沈雲はそう言うと、さらにその場で複雑な印を結んだ。
すると、その爆雷球が大きく揺らぎ、ぶれるようしてその数を増やした。一つから二つ、二つから四つと、最終的に爆雷球は八つに増えた。が。
『あれ、残りの七つはすべて幻影よ?今の私と綾斗に通用するわけないのに』
セレスが言うように、本物の爆雷球は一つだけ、残りは幻影だ。俺のその考えを肯定するように黎沈雲も言う。
「もちろんこれは幻影だよ。本物は一つだけ。・・・・・・まあ、今の君にはお見通しだろうけど・・・・・・。―――これならどうかな?」
黎沈雲が腕を振るうと、巨大な八つの爆雷球が降下を始めた。
「(狙いは俺じゃなくて・・・・・・ユリス!)」
爆雷球は俺を通りすぎて、後ろで膝をついているユリスの方に向かっていっていた。
『なるほど、そう来たわね』
「くっ・・・・・・!」
ユリスは立ち上がろうとするがすぐに膝をついてしまった。さすがに今のユリスは体力もすべてが限界だ。
「綾斗!私は大丈夫だ!それよりやつを―――」
「少し黙っていてくれないか、《
「―――っ!」
印を結んだ黎沈雲に反応して、ユリスの近くにあった呪符から稲妻が迸り、雷撃がユリスを襲う。
だが。
「綾斗っ!」
一瞬でユリスの前に移動した俺が、その雷撃をセレスで弾き飛ばす。
「―――最後の最後まであなたらしいな、
「あははは!そう、そうでなければね、《叢雲》!諸共に吹き飛ぶがいいよ!」
黎沈雲の言う通り、すでに八つの爆雷球はすでに眼前に迫っていた。
しかし。
「かわす必要なんてないさ」
『ええ、かわす必要は無いわ』
俺とセレスがそう言うと、俺は《
『さて、やろうかセレス』
『ええ、やりましょう綾斗。あの生意気なバカに思い知らせてあげましょう』
『『―――俺(私)たちの力を!』』
星辰力を吸った《
「なっ・・・・・・!?」
動揺する黎沈雲を無視し、セレスを右後方に振り払い。
「うおおおおおおおおおっ!!」
両手で握ったセレスで爆雷球を幻影ごと薙ぎ払う。
「ああああぁぁぁぁぁぁっっ!!」
『はあああぁぁぁぁぁぁっっ!!』
途中で薙ぎ払いが止まった本物の爆雷球をセレスの声とともに、思いっきり振り払う。
さらに、斬られた衝撃で巻き起こりかけた大爆発を、上段から斜めに振り下ろし、一撃で
「はあっ!」
『やあっ!』
斬られた爆風は、黎沈雲に凄まじい風となって襲い、セレスの刀身はステージに長く深い斬撃の跡を刻んでいた。その証拠に、セレスで斬られた斬撃の痕には、高熱で焼け斬られた赤い痕が残ってる。
「・・・・・・ば、ばかな・・・・・・」
呆然と立ち尽くす黎沈雲に、俺はセレスの柄を手放し。
『思いっきりやりなさい綾斗!』
『ああ!』
セレスと念話で一言話して無手のまま黎沈雲との距離を一息で詰める。
「―――さすがに少し腹が立ったよ」
そう言って強く右拳を握りしめ。
「え・・・・・・?」
唖然としている黎沈雲の顔面に、思いっきりその拳を叩き込む。
「ぐはぁっ!」
そのまま吹き飛ぶ黎沈雲を追い掛けて、そのまま通り越した俺はさらに畳み掛けるように黎沈雲をステージ上空に蹴り飛ばし。
「はあっ!」
上に吹き飛ばされた黎沈雲を追って飛び上がり、星辰力で作った力場で黎沈雲をステージに再度蹴り落として、止めにステージに落ちてくる黎沈雲の顔面を再度殴り込む。
もんどり打って吹き飛んだ黎沈雲は、ステージの壁に思いっきりぶつかり、そのままピクリとも動かない。どうやら気絶したみたいだ。
「だからまあ、これくらいはね」
倒れ付した黎沈雲にそう言うと。
『
解説者の声とともに嵐のような大歓声と喝采がステージに吹き荒れた。
振り返って視線を向けると、ユリスは少し疲れたような、けれども確かな嬉しさを滲ませた笑顔で、俺にぐっと親指を立てた。
それと同時に。
『お疲れさま綾斗!』
頭の中に、嬉しそうな声で言うセレスの声が聞こえた。