学戦都市アスタリスク 叢雲と歌姫と孤毒の魔女、3人の物語 作:ソーナ
半年近くも投稿しなくて本当にごめんなさい!!
イメージがわかなかったり、上手くかけなっかたりして後回しにしてしまいました!
待っていてくださったみなさん本当にごめんなさい。
多分、これからも投稿速度が遅くなると思いますがどうか気長に待っていてくださると嬉しいです。
〜綾斗side〜
「───さて。綾斗、お前から見てどっちが勝つと思う?」
シリウスドームの選手控え室のモニターで紗夜と綺凛ちゃんの準決勝第一試合を観ていると、反対側に座ってるユリスがそう問いてきた。
モニターの画面には、リムシィと相対し巨大なバックユニットを備えた大型の煌式武装を顕現させた紗夜と、アルディのハンマーとぶつかり合ってる千羽切を構えた綺凛ちゃんの姿が映っていた。
「俺としては紗夜と綺凛ちゃんに勝って欲しいけど・・・・・・」
「アルディとリムシィが相手だからな・・・・・・。さすがに予想出来んか」
「まあね」
正直言って、この準決勝はどちらが勝つか予測が付かない。
紗夜の叔父さんの作った煌式武装は強力だ。尚且つ、それを操る紗夜のスキルは高い。そして、綺凛ちゃんの刀藤流の連鶴は凄まじい。この二人なら、もしかしたアルディとリムシィを倒すことが出来るかもしれない。俺はそう思っている。
だが、それは相手がそのままだったらの場合だ。
「それより綾斗。おまえ、オーフェリアと一緒に居なくて良かったのか?」
「あ、うん。オーフェリアから、試合に集中して。って言われてるからね」
「なるほどな。まったく、あいつはホント変わらないな」
苦笑するユリスにつられて、俺も苦笑する。
「試合まで一緒に居て。ではなく、試合に集中して・・・・・・か。ほんと、あいつは何時も自分より他人優先だな」
「あはは。オーフェリアは昔からそうだからね」
思い返すように目を瞑りながら言う。
オーフェリアは昔から何にでも優しく、自己より他人優先だった。それは今も変わらない。
「ホント・・・・・・あいつは何時も誰にも相談しないで、自分で勝手に決める・・・・・・」
「ユリス?」
ユリスの小さな声で言った言葉に問い掛ける。
「いや。ただ単に、わたしは情けないな、とそう痛感しただけだ」
「え・・・・・・」
「一国の王女なのに、たった一人の親友すら救えんとは・・・・・・わたしは自分が情けなくて仕方ない・・・・・・! 」
「ユリス・・・・・・」
両の拳を固く。血が滲み出るかというほど強く握り、悲痛の表情でユリスは自分に言いかせるように言う。俺はそんなユリスに何も言えなかった。ユリスの責任という訳では無いから。むしろ、俺は、俺自身が何よりも情けないと感じる。オーフェリアがたった一人。一人だけ、あんな風になったのに、俺はまったく知らなかったのだ。情けない以外他ならない。
そう、情けない思いが浮かんでいると。
『ユリス!綾斗!』
突如目の前に空間ウインドウが開き、血相を抱えた表情をしたオーフェリアが現れた。
「どうした?何かあったのか?」
何かあったことを察したユリスはオーフェリアに尋ねる。
ユリスの問いにオーフェリアは。
『ごめんユリス!私の目を離した隙にフローラちゃんが攫われたわ』
「なっ!?なんだと!?」
「フローラちゃんが!?」
『ええ。今スタジアムのあちこちを探し回ってるのだけど、恐らくもうスタジアムには居ないと思うわ。今観客席の所にいるのだけど・・・・・・』
「っ!まさか
『ええ』
ユリスの言葉をオーフェリアは間髪入れずに肯定する。
フローラちゃんを連れ去ったのが魔術師か魔女だとするならば、それはかなり隠密性能に長けた者だ。何せ、今日フローラちゃんはオーフェリアと一緒に、このシリウスドームの観客席で試合を観戦していたのだから。
思考を巡らせていると。
『うおおーーっと!な、なんて言うことでしょう!アルディ選手がリムシィ選手と合体したぁぁ!?』
スクリーンからそんな声が聞こえてきた。
ユリスと同時にバッとスクリーンを見ると、スクリーンには大型粒子双砲を展開してる紗夜とその隣で膝を着く綺凛ちゃん。そして、その前にフォルムが変わったアルディの姿があった。
「綺凛ちゃん!紗夜!」
二人の様子に思わず画面に向かって叫ぶ。
通信しているオーフェリアもステージの方に視線を向けていた。
「なんだあれは・・・・・・。映像からでも凄まじい威圧感を感じるぞ」
映像に視線を向けたユリスも俺が思っていたことと同じことを言った。
実際に相対しているから力量は分からないが、少なくともさっきより遥かにパワーアップしてるだろう。
『・・・・・・紗夜と綺凛ちゃんには悪いけど、これは分が悪いわ』
オーフェリアも冷静に状況を見て言う。
非情かもしれないが、現に綺凛ちゃんは足を怪我しているように見えるし、紗夜も叔父さんが作った煌式武装の展開を解いていた。オーバーヒートしたようで、これ以上の使用は出来ないと判断したようだ。
今俺たちにここからできることは。
「今わたしたちが出来ることは二人の戦いから作戦を見出すことだけだ」
くっ、と噛み締めながらユリスは言う。
『・・・・・・綾斗。そっちに行くから私が行ったら鍵開けといてもらえる?』
「わかった。気をつけて」
『ええ』
オーフェリアとの通信が切れると、ユリスは肘を膝の上に立て手を組み合せそこに額を付けた。
「クソっ。まさかフローラを攫うとはな」
「ユリス・・・・・・」
「わたしのミスだ。オーフェリアと一緒なら手を出しては来ないと思ったが・・・・・・浅はかだったな。相手はあの
紗夜と綺凛ちゃんの試合を見ながら言うユリスに俺は何も言えなかった。
俺も予想するべきだったのだ。例え、相手が星脈世代ではないとしても。
オーフェリアによると、ディルク・エーベルヴァインは知力で生徒会長の座に収まったらしい。『武』ではなく、『知』。『知』は時に『武』よりも恐ろしい。
そう思いながら紗夜と綺凛ちゃんの試合を見続けた。
数分後、オーフェリアがやって来て、ユリスはクローディアに連絡し、こっちに来てもらうことに。そしてその十数分後。
「───紗夜!綺凛ちゃん!」
俺たちは紗夜と綺凛ちゃんの控え室に来ていた。
「・・・・・・綾斗」
「綾斗先輩」
二人は疲労困憊みたいで、ソファに体を預けてグッたりしていた。
「・・・・・・二人とも大丈夫かしら?」
「・・・・・・問題ない。校章さえ破壊されなかったらあと少しで私たちが勝っていた」
「・・・・・・なら大丈夫ね」
「あははは」
紗夜とオーフェリアのやり取りに苦笑する綺凛ちゃん。
「強がりを言うな。アルディが合体してからの戦闘はほぼ一方的な展開だった。もちろん、おまえ達が勝つ可能性はあっただろうが・・・・・・」
確かに、綺凛ちゃんが負傷してなく、紗夜の煌式武装ヴォルデンホルトが使えていたら勝つ可能性は二人にもあっただろうが、アルディの圧倒的なパワーの前にねじ伏せられてしまったのだ。
「はぁ・・・・・・まさかあんな形で"連鶴"が破られるなんて思いませんでした・・・・・・」
力のない苦笑を浮かばせ、綺凛ちゃんは悔しさを滲ませた口調で言う。
「先輩先輩たちにも不甲斐ない姿をお見せしてしまい、応援してくれたオーフェリアさんとフローラちゃんに申しわけないです」
「・・・・・・そういえばフローラは?一緒じゃなかったのか?」
綺凛ちゃんの言葉に紗夜が俺たちに尋ねてきた。
オーフェリアと一緒にいるはずのフローラちゃんが居ないことに疑問を持ったみたいだ。
紗夜の疑問に俺たちは気を引き締めたかのような雰囲気になった。
「・・・・・・どうした綾斗?」
紗夜が首を傾げて聞いてきたその時。
「失礼しますね」
ノックの音と共にたおやかな声がドアの向こう側から響き、クローディアが控え室へと入ってきた。
「遅れて申し訳ありません」
「いや、大丈夫だよクローディア」
生徒会長としての務めもあったクローディアに俺はそう返す。
「まずは、沙々宮さん、刀藤さん、この度は残念でした。ですがベスト四というのは十分に誇れる実績です。星導館学園としても、今シーズンの展望がだいぶ明るくなってきました。お二人方にはそれに相応しい褒賞をご用意させていただきます」
「い、いえ、そんな・・・・・・」
「・・・・・・別に、自分のためにやっただけ」
丁寧に頭を下げるクローディアに、どこか照れくさそうに綺凛ちゃんと紗夜が応える。
ちなみに、《
「さて・・・・・・」
クローディアは一言区切るとユリスに視線を向けた。
「ユリス。フローラから連絡は」
「いや、ない」
「そうですか・・・・・・」
クローディアの問いに、首を振って応えるユリスにクローディアはやはり、というような表情で返した。
「・・・・・・?どういうことだ?」
「あの、フローラちゃんの身になにかあったんですか?」
この中で話が分からない紗夜と綺凛ちゃんが聞いてくる。
「ああ。実は―――」
二人に説明しようとしたその時、ユリスの携帯端末が着信を告げた。
「っ!?フローラからだと!?」
「「「っ!」」」
着信の相手を見たユリスの声に、俺とオーフェリア、クローディアは息を飲んだ。
この着信がフローラちゃんからではないことを分かっているからだ。
「ユリス」
「ああ」
真剣な表情を浮かべ、ユリスは着信を開いた。
開くと、真っ黒な空間ウィンドウが現れ、聞こえてきたのはフローラちゃんの声ではなく、低く暗い声だった。
『・・・・・・ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトだな?』
「誰だ貴様?!何故貴様がその端末を持っている!貴様がフローラを誘拐したヤツか!」
憤怒に染った顔を出して、怒鳴るように問いただすが、相手はなにも答えず。淡々と続けた。
『この端末の持ち主は預かった。天霧綾斗はいるか?」
「ああ、俺がそうだけど・・・・・・フローラちゃんは無事なのか?」
突然の指名に少し驚いたが、俺はまず何よりも大切なことを確認した。
すると短い沈黙の後―――
『・・・・・・姫様っ!天霧様!』
やや上擦った子供の声―――フローラちゃんの声が響いた。
「っ!フローラ!」
フローラちゃんの声にユリスが声を上げるが。
『気絶させただけだ。こちらの要求を飲むならば、以後の安全も保証する』
「要求は?」
『《
「なんだと・・・・・・!」
相手の言葉にユリスとクローディア、オーフェリアは目を大きく見開いた。
それに続いて、俺の頭に《
『なるほどね。ソイツの目的は綾斗・・・・・・いや、この私ということね・・・・・・!』
セレスの声には怒気が含まれていた。
『要求が実行されなかったと判断された場合、及び警備隊ないしは星導館学園の特務機関への連絡がなされた場合、彼女の身の安全は保証できない。また、おまえたちが《星武祭》を棄権した場合も同様とする。以上だ』
「ちょ、ちょっと待て―――!」
一方的に言うと、空間ウィンドウはぶつりと掻き消えた。
「・・・・・・この手口のやり方・・・・・・やはり」
「ええ。間違いなくレヴォルフの諜報工作機関―――
「・・・・・・ええ。目的は綾斗の剣ね。まさか《星武祭》の最中にやってくるとは・・・・・・」
通信からクローディアとオーフェリアがすぐさまそう推測する。
二人の推測に俺も同意する。
《
「クローディア、緊急凍結処理ってのは?」
「緊急凍結処理というのは、学有
「・・・・・・どうしたエンフィールド?」
「いえ、その・・・・・・。《黒炉の魔剣》はすでに学有の純星煌式武装ではなく、綾斗個人の純星煌式武装となっています」
「・・・・・・なるほど。例え緊急凍結処理を申請したとしても、既に学園保有から離れているから受理されるかは分からないと」
「はい。生憎、まだ純星煌式武装《黒炉の魔剣》の綾人への完全譲渡の手続きは終わっていないので、形だけでならばまだ半分学有ということに、強引な形ですがなりますが・・・・・・」
クローディアのなんとも言えない表情を浮かばせて肩を竦めて応える。
『一応、緊急凍結処理をされて封印されたとしても私はもう綾人以外使えないから問題はないんだけどね』
セレスは少しだけ語尾を強めて言った。
「だが、緊急凍結処理などをすれば、もう二度と綾斗は《黒炉の魔剣》を・・・・・・」
クローディアの言葉をユリスは苦々しい顔で受け継いだ。
「いや、その心配はないよ」
セレスの発動体を取り出して返す。
「なに?」
「《黒炉の魔剣》曰く、もうすでに俺以外に使えないんだとさ。だから、例え緊急凍結処理を施されたとしても問題はないよ。まあ、出来ることならこいつを手放したくはないんだけどさ」
最後の方を苦笑を浮かばせて言い。
「それでクローディア、その申請というのは具体的にどうすればいいのかな?」
けど、フローラちゃんの命と引き換えにはできない。
これはセレスも理解している。
「本当によろしいんですか、綾斗?」
クローディアはどこか辛そうに聞いてくる。
確かに、ここで《
「ああ」
「すまない、綾斗・・・・・・」
悔しさと申し訳なさが入り混じった表情でユリスは言う。
そこに紗夜が。
「・・・・・・だがそれで確実にフローラが解放されるとは限らない」
「しかしそうしなければ・・・・・・!」
「私たちでフローラを助け出す。それならなにも問題はない」
「・・・・・・確かに、要求を呑んだ風にしつつ、その間にフローラを救出すればなんの問題は無いわ。相手は警備隊と特務機関には知らせるなって言っていたわ。けどそれ以外には触れていない。つまり、私たちでフローラを助け出す分になんの問題はないわけよ」
紗夜の言葉を肯定するようにオーフェリアは言う。
「っ!?オーフェリア、おまえも動くというのか?」
「・・・・・・ええ。あの子はユリス、あなたの大切な家族なんでしょう?なら、私が動かない道理は無いわ。それに少しの間だけど、私は彼女と同じ施設で過ごしたのよ?ならばあの子は私にとっても妹みたいなものだわ」
「オーフェリア・・・・・・」
「・・・・・・それと、綾斗、エンフィールド。ひとつ案を思い浮かんだのだけどいいかしら」
「案?」
「・・・・・・ええ。綾斗にはかなり無理をしいることになるのだけど」
「いや。この際、それしかないんだったらそれで行こう」
「・・・・・・わかったわ」
そして俺たちはオーフェリアの案を聞いた。
難易度はかなり高いだろうが・・・・・・。ここにいる俺達が力を合わせれば問題ないだろう。
「・・・・・・それと、シルヴィアにも手を貸して貰うように言っとくわ」
「・・・・・・了解した。それまでは手当たり次第地道に探すとしよう」
「そうね。私もツテを通じて情報を集めるわ」
オーフェリアと紗夜が話、綺凛ちゃんも頷く。
「それでは頼んだぞ、オーフェリア、紗夜、綺凛」
「・・・・・・任されたユリス」
「はい。お任せ下さい!」
「・・・・・・そっちも頑張りなさいよユリス。綾斗も」
「ああ」
「もちろんだよ」
こうして俺たちは、それぞれの役割を果たすべく行動に入ったのだった。