呪われた呪術師の走馬灯   作:千α

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調子が良かったので書いた。
そう言えばいつかやりたかったのにやってなかったなーと思ったネタ。

そしてアニメ………順平、順平ぃぃ……。


寒気凜烈

 目を逸らす夏油と涙目で見つめる綴。

 

「やだ〜!」

 

 綴は夏油に抱きついて離れない。

 抱きつかれている夏油は何となく満更ではない様子だ。

 

「困ったな……でも綴、来年は2年生だろ?」

「うん」

「そろそろ、夜1人で寝られるようにならないと」

 

 綴を優しく諭す夏油だが、綴は「いや!」と首を横に振る。

 いつもならここで五条も混じってくるのだが、生憎今日は任務である。

 

「1人で寝なきゃダメなら、2年生なりたくない」

「綴……」

「傑兄ちゃんと寝る」

 

 綴は賢い子供だ。

 こうして泣きながら甘えれば、綴に甘い夏油であればきっと添い寝してくれると信じて疑わない。

 夏油は綴の目論見にまんまと引っかかりそうになっていた。

 だから綴が我儘な奴になっていくんだ、と家入に注意されたが綴のオネダリに勝てる相手が、この高専にいるとは夏油には思えない。家入も夜蛾も先輩達も綴のオネダリには勝てないのだから。

 

「でもね、綴………1人で寝られないのは、そろそろやばいよ」

「やーだー!」

 

 頬を膨らませながら綴は夏油の腕を掴みながら下に体重をかける。

 

「綴、綴! 微妙に呪力を流すのやめなさい!」

 

 ついに五条にしか使ってこなかった術式を夏油にも使い始めた。なりふり構ってられなくなってきたようだ。

 ピリピリと痺れる両手を振りながら、夏油は困ったように綴を見つめる。

 

 きっと五条は別にいいじゃん、と言いながら綴と寝てあげるだろう。

 しかし夏油は五条とは違う。

 夏油は例え形だけだろうと仮にも綴の師匠、とい立場なのだ。

 他人からはままごとか何かに見えるだろうが、綴は夏油の隣でその人となりや戦闘の立ち回り方等を学んでいた。

 夏油には綴を立派に育て上げなければならない、という思いがある。

 だからこうして綴を説得しようとしているのだが。

 

「傑兄ちゃん〜。ね、お願いいっしょに寝よ?」

「綴……」

 

 現在の時刻はちょうど22時を過ぎた頃。

 明日は休みとはいえこれ以上起きているのも綴によくない。

 

「それにね、あのね、ひとりで寝ると寒いの」

 

 綴は夏油の足にしがみつきながらそう言った。

 確かに12月も終わりに近付いた今、夜は暖房をつけなければ凍えてしまうように寒い。

 その暖房も部屋にあるのは石油ストーブなので、常時つけっぱなしにはできない。

 

「寒いのキライ」

 

 夏油は綴を抱き上げた。

 

「そうだね。

 私も最近は寒くてしかたがないんだ。綴、良い暖房は無いかな?」

 

 そう言うと、綴の目が輝いた。

 腕を天に届くのでは無いかと錯覚させるほどピンっと伸ばして「はい!はい!」と元気よく綴は挙手をした。

 

「そんな時は俺と一緒に寝るとポカポカします!」

「ああ、そっか。綴と一緒に寝ればいいのか!」

 

 その答えに綴は満足したようにニッコリと笑った。

 

「寝る前にね、ほっとみるく飲みたい」

「良いよ。いつも寝る前に飲んでるけど、綴はホットミルク好きなんだ?」

「んーとね……傑兄ちゃんが作ってくれるから、好きなの」

 

 それを聞いて、夏油は嬉しそうに微笑み綴の頭を撫でる。

 

「あ、でもお砂糖いれないで! 前来た時ね、悟兄ちゃんがお砂糖たくさんいれて、俺のめなくなったから!」

「もちろん、わかってるよ」

 

 五条には何度も綴と五条の味覚は全く違うのだと説明したが聞く耳を持たない。

 綴も好きになるから!と言って無理矢理綴の繊細な舌に激甘菓子を乗せるので、半ばトラウマのようになっているのを、五条は気が付いていないようだ。

 全く、人がせっかく食べられそうな物を見つけているのに、そんなことをされたらら綴が食べられそうな物まで受け付けなくなってしまったではないか。

 あの喫茶店のケーキはたまたま見かけた店のものだが、これなら綴も食べられると確信し、ここから徐々に慣れていけばいいと考えていた。

 しかし好奇心が強い綴は、五条以外の人間からは食べ物をよく貰っている。食べられなくてもとりあえず口の中に入れる。

 自業自得なのだが、それでまた自分の食べられる物の選択肢を狭めるのに拍車をかけていた。

 

「綴、夜蛾先生から聞いたんだけど、悟から貰ったビスケット食べたんだって?」

「うん、でもやっぱり傑兄ちゃんからもらったやつの方が美味しい。」

 

 それはそのはず、綴が夏油から貰っているのは某大手お菓子メーカーの乳児でも食べられるビスケットなのだから。ちなみにキャッチフレーズは「おいしくてつよくなる」

 だが綴の味覚を慣らしていけばいつかは食べられるんじゃないか?と思っていただけに、今回の結果に夏油は少し残念に思った。

 

「次は何一緒に食べようかな?」

「かきもち!」

「綴、自分が食べたい物だよね、それ?」

 

 ホットミルクを飲み、寝る用意をしてから夏油と綴は布団の中へ入る。

 

「あ、傑兄ちゃん、真っ暗嫌だから豆電球つけてね」

「うん。おやすみ綴」

「おやすみ傑兄ちゃん」

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「オハヨウございます」

「……悟、ここ私の部屋なんだけど?」

「鍵空いてた」

「…………………不法侵入って知ってるか?」

 

 翌日、一番最初に目に入ったのは不機嫌ですと顔に書いてある五条だった。

 

「………悟、顔が怖いぞ?」

「また2人だけの世界を作りやがって」

 

 やっぱり怒っている理由はそれらしい。

 

「仕方がないだろ? 悟が帰ってこないんだから」

「本当は帰れる予定だったんだよ。帰れるはずだったのに、任務がまた入ってきて……」

「綴、夜の10時になるまで粘ってたよ」

「いっつも9時前には寝るのに?」

 

 五条は寝ている綴の頬を揉む。

 ふにふにと柔らかいほっぺを揉んでいると、綴がその手から逃げるように布団へ潜っていった。

 

「というか、綴と別々に寝るんじゃなかった?」

「………甘菜の家では甘えられないからね。

 本当は1人で寝られるし、なんだったら部屋が真っ暗でも問題ないんだよ」

 

 甘えたがりの綴は、甘えられる人間が京都から遠く離れた東京にいる高専の人間しかおらず。我儘を言えるのは夏油や五条といった、多く交流したことのある人々に限られてしまう。

 

「綴がそれで安心できるなら、今はまだ……いいんじゃないか?と、最近は思う様になってきた」

「ふぅん?」

「顔を洗ってくるよ。綴の事頼んだ」

 

 そう言って夏油は部屋をでた。

 残されたのは五条と布団の中に潜る綴だけだ。

 

「起きてんだろ?」

「なんでわかったの?」

 

 お前のたぬき寝入りわかり易すぎんだよ、と言ってやりたかったが今はそんなことよりも重要なことがある。

 

「なんで俺誘ってくれないかなー!?」

「だって悟兄ちゃん任務してたから」

「来てるって連絡しろよ! そしたら何がなんでも任務終わらせてソッコーで帰ってた」

 

 五条がそう言うと綴は少ししょぼんとしてしまった。

 言い過ぎた、と五条が思った時綴は自分のリュックの中から何かを取り出した。

 

「悟兄ちゃん、あげる」

 

 金色をした紙でできた……折り紙だろうか?それがよくわからない物体に成り果てて綴の手のひらにちょこんと鎮座している。

 

「だから許して?」

 

 子供にとって、この金色折り紙がどれほど貴重なものか、五条は綴の反応を見て知っている。折り紙パックの中にだいたいほぼ1枚しか入らない金色折り紙。それを使おうとすると、激しく怒った時のことを五条は思い出す。

 

「別にいいよ、いらない」

「でも……」

「そんなの貰わなくても俺ら仲直りできるだろ?」

 

 綴が首を傾げると、手のひらに鎮座している金色の物体はコテンと倒れる。

 

「綴が頑張って作ったんだから、俺は受け取れない」

「………わかった」

 

 綴は頷くと金色の物体を机の上に置いた。

 

「おかえりなさい、悟兄ちゃん」

「ただいまぁー!」

 

 五条は布団にダイブして、綴の脇をこしょばす。それを受けて綴はケラケラと笑う。

 騒ぎを聞き付け慌てて部屋に戻ってきた夏油に、布団がへたるからやめろ、と説教を五条も綴も受けて、その日は3人で何処へ行こうかと話し合うのだった。

 

「俺ネズミの王国行きたい!」

「お前は綴を殺す気か?」

「綴ネズミ好きー?」

「わかんないけど、楽しい所ならいきたーい」

「やめておけ綴! 散々からかわれてからネタにされるぞ!」




ところで気のせいかも知れないんですけど、子綴出てくると何となくお気に入り登録数増える気がする。気がするだけで実際はそんなことないと思う。
でも増えて欲しいので願掛け目的で書いてみました。強欲ですね。

続編について

  • このまま続きで書く
  • 新しい小説として書く
  • そんなことより復讐劇の続き書けや
  • すじこ
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