原作キャラの綴語り………になって無いやつないか、これ?
そういうところは綴がいない時にどう語られたか、という体で読んで頂けたら幸いです。
やるって言ったものの、意外と難しかったので残念な出来です、はい。
このキャラでやって欲しい、というリクエストも受け付けております。きたらいいなー。
【東堂葵の場合】
人目見た時から分かってた。
でも人を見た目で判断してはいけない。何より、そう彼は……。
「甘菜の弟子だと聞いていたんだがな?」
伏黒恵は京都からやって来た東堂葵と相対していた。
そこで出てきた甘菜、という言葉に伏黒は反応する。それは恐らく、いや絶対に甘菜綴のことだろう。
「なんで甘菜先輩が出てくるんだよ」
もう半年以上会っていない綴は、確かに伏黒の師と呼べる存在だ。適当な五条とは違い、彼なりにわかりやすく指導してくれるし何より人に厳しくなれる優しさがあるという気質がある。そんな彼を伏黒は尊敬していたし憧れている。
その綴の名が何故こんなところで出てくるのか……。
「俺と甘菜は……運命の
…………は?
「出会いはそう、俺と甘菜が1年の時!
甘菜の好みは黒髪低身長、そしてケツは小さめだったよ。しかし甘菜は強い! そう甘菜に出会ったのは運命だった!」
──今、何て言った? 先輩の……好み? そもそもあの人そういうことに興味があったのか?
伏黒は混乱する。
出会ってまだ間もない男に尊敬する綴の好みを暴露され、もう何がなんだかわからない。ちょっと綴へのイメージが崩れそうになる。
「俺達は時に語り合い、夕日が沈む海岸で共に切磋琢磨し、交流戦では俺達が戦うことは伝統だとさえ言われている!
今年はそれも最後だ……それを甘菜に伝えると「正々堂々と戦おう」と言われた。「ああ、勿論だ!」と俺は答えたさ、今後も俺達はそうやって強くなれる!」
──これ、いつ終わるんだ?
「甘菜は強い男だ。無駄なことはしないし、人を見る目もある。
だが、その甘菜が初めて弟子に選んだというお前がこの程度ではな……本当に甘菜から1本取れたのか?」
伏黒は奥歯を噛み締める。
綴との稽古で1本取れたのは本当だ。しかし、それはたまたま偶然が重なった結果で、本当に勝てたとは言い難いお粗末なものだ。事実、それ以降は勝てていない。
「お前は甘菜の期待を裏切っている! アイツは伸び代がない奴は切り捨てるような男だ! これ以上呪術師でいることは無駄だと、厳しく言うだろう、それがアイツの優しさだ。
しかし、この様子を見るとそんなことは言われていないようだ。つまりあの甘菜が期待しているということになる……だというのに、この程度、甘菜に申し訳ないと思わないのか!?」
綴は強い、それは誰もが知っている事だ。
綴に申し訳ないと思わないのか?思うに決まっているだろ、卒業までもう2年半しかないんだぞ。と言いたくなったがぐっと堪える。
以前綴に「よく知らねぇのにベラベラと話しかけてくるゴリラがいたら悪いことはいわん、無視しろ、右から左に受け流せ」と言われていた。というかコイツのことなんじゃないか?そう思ったら、途端に冷静になる。右から左に受け流そう。
「そして何より甘菜は………!」
東堂の言ったことは綴と再会するまで半信半疑だった伏黒だが、東堂を無視して誰よりも蔑ろに扱っているのを見てしまえば、嘘だったと確信が持てたのであった。
【七海健人の場合】
「虎杖のこと、ありがとうございます」
里桜高校の1件の後、綴はそう言うと頭を下げた。
「俺、一応アイツの指導任されてるんで、今回は本当に助かりました」
それが少し意外だった。
七海にとって綴はまだまだ子供である。幼い頃を知っているから余計に。
初めて会った頃は、こんな所に何故子供がいるんだと疑問に思っていたが、それも1年を過ぎる頃には慣れてしまっていた。1つ上の五条や夏油以外でなら同級生だった灰原にはよく懐いていたような気がする。
「綴、どうだった?」
「いつもと同じですよ、真面目に取り組んでくれました」
どっかの誰かさんと違って。
五条に尋ねられた七海は、今回の綴の行動を思い返す。ここ半年はかなりの頻度で綴と一緒に任務することが多かった。
綴は気の知れた人間でないとトラブルを起こすことが多いし、1人で無茶することもあるということで、付き合いの長い人間と任務へ行くことが必然的に多くなっていた。
「ならよかった」
「………何故、虎杖君と綴君を会わせたんですか?」
それはずっと五条に聞きたいことだった。
「相性良いと思って」
「そういうことではなく……綴君が両面宿儺に
それを聞いて、五条はゲラゲラと笑う。
「大丈夫、綴は悠仁のことちゃんと見てるから。
確かに悠仁の話を最初にした時とんでもない顔になってたけど、でもちゃんと折り合いはつけてるよ。悠仁は悠仁、宿儺は宿儺って」
それはわかっているんだろ?と尋ねられたら頷くしかない。綴は虎杖を大事な後輩だとして接していることなんて見ればすぐにわかった。最近では見ることができなかった表情もするようになった。
「七海は綴のこと、どう思ってんの?」
「子供ですよ、今も昔もあまり変わりません。
少し目を離した隙に迷子になったり、携帯電話を携帯していなかったり、お土産コーナーで小一時間悩んだり……5歳児とほぼ変わらないです」
「それ綴に言ったらめっちゃ怒るよ」
「事実です」
1年の頃はよく振り回されていた。断れなかったのは必ず後ろに綴のことをとことん甘やかしていた先輩達の影があったからだ。
しかしそれからしばらくしてなにか心境に変化があったのか、綴は大人しくなり、無理なお願いをしなくなった「見本にするなら七海さんと灰原さん!」とニッコリ笑ってこちらを観察していたこともあり、甘やかす筆頭の先輩約2名に尋問紛いなことをされたこともある。
「七海は綴のこと随分気にかけてくれるから、任せられるよ」
「……彼は五条さんと違って、素直な子ですから」
「それどういう意味だこら」
もう一度、あの時のように笑いかけて欲しい、と思うのは贅沢だろうか。
【1年生の場合】
さいたま市立浦見東中学校にて。
「そういえば、甘菜君と同じ高校に入学したって聞いたけど、彼は元気かい?」
この中学校の校務員武田の言葉で虎杖と釘崎に衝撃が走る。
「え、甘菜ってあの甘菜先輩??」
「傍若無人チンピラ系甘菜の??」
「お前らの中で甘菜先輩はどんなイメージだ」
そのチンピラ系甘菜も、昔は中学生だったという当たり前であるのに意外だと思ってしまうのは、彼の醸し出す雰囲気のせいだろう。
「いいなー、羨ましい」
「そんなこと言うのあんただけよ」
虎杖が伏黒を羨ましがっていると武田は懐かしそうに話し始める。
「懐かしい。彼は5月頃になると、よくそこに植えてあるツツジの木の花の蜜を吸って、1本絶滅させてたんだよ。毒性は弱い種類だけど、やめなさいって言ってもやめなくてね……」
「なにやってんの、あの人!?」
いや、やりそうだわ。と虎杖は校内に植えられていたサルビアの蜜を吸っていた綴を思い出して納得する。ちなみに虎杖もそれに誘われて吸っていたらサルビアが全滅して叱られた。
ここで綴の話は終わったが、この任務後に会った綴にツツジの話をすると、校内にある美味しいツツジを教えられた1年生達であった。
【五条・夏油の場合】
「しまった綴に任務の連絡するの忘れてた」
「マジで? 高専に来てたら今頃ギャン泣きじゃん?」
「綴、とは誰なのじゃ?」
天内理子護衛任務中、夏油はしまったと顔を顰めながら携帯電話を取り出す。
「傑ー、終わったら次は俺に代われよ」
「はいはい」
「だから綴って誰なんじゃ!?」
電話が繋がったのか、夏油は二言三言言葉を交わす。それからしばらく静かになったと思うと、夏油は携帯電話を耳から離し、五条は耳を塞ぐ。理子が疑問に思っていると、離れていても聞こえるくらい大きな声が聞こえてきた。
『もし、もし! 傑、兄ちゃん、ですか!!?』
「はい、傑兄ちゃんです。
綴、電話はそんなに大きな声出さなくても聞こえてるからね」
『あ、ごめんなさい。
あの、今日は電話してくれて、ありがとうございます』
聞こえてきたのは可愛らしい男の子の声だった。
「実は、今任務でね……」
『え、いつまで?』
「大丈夫、そこまで長くは掛からないから」
楽しそうに夏油は話している。
「いったい誰なのじゃ?」
「俺らの弟分」
「弟?」
「なんで疑惑の眼してんだよ」
理子はじとっと五条を見る。
夏油ならまだわかるが、五条が声から察するにまだ小学生の男の子の面倒が見れるはずないと思ったからだ。
「傑に懐いててさ、しょっちゅう遊びに来んだよ。
だいたい月イチで来てるからそろそろその時期で、だから傑が焦ってたってわけ」
「なるほ、ど?」
首を傾げる理子をよそに、夏油の笑い声が聞こえてくる。
『そんでね、悟兄ちゃんがいってたイタズラしたらね、紘平さんがね、飛んだの』
「それ! どういう状況? でもよくやったよ、本当に」
『えへへー。
あ、任務、どんなことしてるの?』
「ん? ああ、天元様ってこの前教えたろう?」
夏油は理子について説明する。うんうんと頷きながら話を聞いている綴は、全ての説明が終わると、声を弾ませた。
『傑兄ちゃん、すごい!』
「綴もいつか凄い任務を任されると思うよ?」
『そうかな?』
「傑ー! そろそろ俺にも代わって!」
痺れを切らした五条が夏油から携帯電話を奪おうとするが、夏油は五条の顔を押しのけて代わろうとしない。
「綴ー! 傑に言って! 代わってって言え! ショートケーキ買ってあげるから!」
『悟兄ちゃんともオハナシシタイナー』
「仕方がない。ほら、悟」
五条に携帯電話を渡すと、五条と夏油の場所が入れ替わり、必然的に理子の隣に夏油が来た。
綴と話す五条の顔は、今まで見たことがないほど穏やかだ。
「大切なんじゃな」
「まあね。綴も理子ちゃんと同じで小さい時に両親を亡くしていてね、だから私や悟が家族のようなものなんだ」
「家族……」
「私も綴のことは弟だと思っている。綴のおかげで色んなことを耐えられた。あの子の笑顔を見るとね気が楽になるんだ、私も悟も」
そんなに褒める子供を一目でいいから見てみたい。理子はそう思いながら、五条を見つめる。
【慧可断臂】
・非常に強い決意のほどを示すこと。
・切なる求道の思いを示すこと。
・「慧可」は中国南北朝時代後期の高僧で、禅宗の第二祖。「断臂」は臂を切り落とすこと。