綴が小さい頃の話。
お気に入り登録ありがとうございます。
「傑兄ちゃーん!」
「綴!」
夏油は自分の元へ駆け寄ってくる綴を受け止める。夏油に抱きつく綴は金木犀の香りがする、濃くもなく薄くもない金木犀の香りは癒されるには程よかった。
「あのね、あのね! きいて、傑兄ちゃん!」
「はいはい。そんなに急がなくても今日は1日、ゆっくり綴といられるんだから」
それを聞くと、綴は照れたように笑う。
綴のお付の女性は夏油に一礼してから去って行く。あまり夏油との交流に干渉されたくないと綴が願ったため、彼女が四六時中一緒にいることはない。
「さて、今日は何をしようか」
「えーっとね、かくれんぼとね、おにごっことね……んと、あとね、えーっと……」
「綴はしたいことがいっぱいあるんだな」
「うん!」
夏油は綴の頭を撫でる。嬉しそうに夏油に撫でられる綴は、もっとして欲しいと言うように頭に置かれた夏油の手を掴む。
「さて、そろそろ行こうか。悟も待ってる」
「悟兄ちゃんだけ? 硝子姉ちゃんは?」
「残念、硝子姉ちゃんは任務です」
「ざんねん」
というやり取りを五条が聞いていた場合、「なに、俺じゃ不満かよ!」と拗ねるのだろう。しかし最近綴と夏油はそんな五条の様子を楽しんでいる節がある。そんな2人に似た者師弟め、と言うと2人とも嬉しそうににするので五条はもう言わないつもりである。
「綴寝た?」
午前中にたくさん遊んだ綴は昼ごはんを食べている途中で船を漕いでいた。夏油と五条の手伝いによりなんとか完食し、そのまま綴専用のお昼寝布団で夏油が寝かしつけるとすぐに寝息を立てて寝てしまった。
「うわ、ヨダレ出てんじゃん。写真撮って綴が大きくなったら見せよっと」
「程々ににてあげてくれよ。あとその写真、私も欲しい」
それからの時間は五条と夏油の時間だ。今日から明日の午前中にかけて綴メインの生活となるので、こういった時間は貴重だ。少し寂しくはあるかが、ホッとひと息つける。
五条がしたように夏油も綴の寝顔を写真に納める。その写真を見つめる姿は、満面の笑みだ。綴がそれほど可愛くて仕方がないのだとわかる。
「綴は本当にちっちゃいなー」
「……そんな綴も、いつかは
五条の言葉に夏油は10秒ほど固まった。それからゆっくりと五条の方を向き、「なんでそんなこと言うの?」と真顔になって無言で訴えてくる。
「いや、父親か。あと綴は女の子じゃないからな?」
「こんなに小さくて可愛い綴が彼女作るとか有り得ない。綴が連れてくる子だから性格が良いのはわかってるけど、でも悟よりも顔が良くないと認めない」
「それ一生無理じゃん」
「そこは冗談半分だけど」
「半分本気なのかよ」
地味に五条が自分をイケメンと自信満々に肯定したがそれにツッコミを入れる気力もない。
「そうだよな、綴も大きくなるんだよな。
お風呂はいつか綴のほうから一緒に入るのを拒否されるのはわかってる。それは覚悟してる。でも、洗濯物一緒にしないでとか言われたらどうしよう。言われた暁には死んでしまうかもしれない」
「だから父親か」
普段周囲を振り回すのは五条だが、こういった時は夏油が振り回す。
「反抗期とかも来たら、暴言とか言うんだろうな。どうしよう、悟みたいになったら」
「あれ、俺なんかディスられてる?」
「悟も今のうちに覚悟しておいた方がいいよ。そのうち悟のこと呼び捨てにするかもしれない、しかも苗字呼び」
「あ、ちょっと耐えられないかもしれない」
まだ百歩譲って五条さん呼びに戻るならまだ耐えられる。しかし呼び捨て(苗字の)をされて正気でいられる自信が無い。
「でもいつか本当に来るんだよな」
「綴だけ例外じゃないって言いきれないからな。まあ……8割そうなるって思ってた方がいいかもしれない」
こんなに可愛いのにな、と五条は綴の頬をフニフニとつつく。
すると、綴の目が僅かに開く。起こしてしまったかと身構えるが、綴は五条の指を掴むとまたそのまま寝てしまった。
「………でも、綴の子供は見てみたいな」
「わかる。そんで今日の傑みたいなこと言ってんだよ」
「その時は私が相談に乗るよ」
「俺も混ぜろよな」
思いついて初めは楽しく書いてたけどだんだんしんどくなってきた。(自分で自分の首を絞めるスタイル)
綴が結婚云々の話は夏油も冗談半分って感じです。その時がきたら多分誰よりも喜んでいるのが夏油です。