呪われた呪術師の走馬灯   作:千α

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アニメ先行配信マジで良かったですね!
アニメオリジナルシーンなんかも本当に良くて……10月2日が待ち遠しい!


一笑千金②

【翌日】

 

「可愛い〜!」

 

 結局一晩経っても元に戻らなかった綴は、買い物へ連れ回されていた。

 子供、特に乳児専用の服屋で釘崎と五条に着せ替え人形にされる綴は、心做しか嬉しそうだ。

 

「あの人、絶対可愛いって言葉が褒め言葉だって気付き始めたぞ」

「可愛いって言われるたんびに五条先生が教えたぶりっ子ポーズしてるよ」

 

 虎杖と伏黒はそんな3人についていけず、店前にあるベンチに座って見ているだけだ。

 

「次、次コレ!」

 

 テンションが上がってきた釘崎が試着室に入り綴を着替えさせる。

 昨日、ほぼまる1日一緒にいたせいか1年生達にもすっかり慣れ、気が付くと虎杖に肩車されて高専中を走り回っていた。

 

「慣れるのは時間かかるけど、慣れたら遠慮が無くなるタイプか」

「先輩昔は内弁慶だったんだな」

 

 五条に聞いたところ、5歳の綴は呪術師限定で人見知りしない人懐っこい子供だったそうだ。

 いったい1歳から5歳の間になにがあってこうなったというのだろう。

 

「っつーか、これ先輩にバレたら俺ら殺されるんじゃね?」

「良くてデコ叩かれる程度か……」

「俺、そろそろ叩かれ過ぎて生え際後退しそうなんだけど」

 

 虎杖が生え際を気にしている間に、また綴が着替え終わっていた。

 

「……まあ、いいか。先輩ノリノリだし」

 

 店内では五条が服を厳選していた。

 家入と夜蛾から、多くてそれぞれ2着で良いと言われており、1年生達は五条が買い過ぎないかを見張る役目を夜蛾から直々に言い渡された。

 悩んでいると、店員の女性が五条に話しかけて来る。

 

息子さん(・・・・)、ですか? 可愛らしいお子様ですね!」

 

 何とも複雑な気分に五条はなった。

 どちらかと言われると、五条と綴の関係は兄弟である。

 なんとなく受け入れ難い。いや、別に不快になっているわけではないのだが……。

 と、五条が思っていると釘崎があることを思いつき、綴に耳打ちをする。それを聞いた綴は少し恥ずかしいそうに五条のズボンを掴むと、一言。

 

「パパ?」

「はいそうです、僕が綴のパパです」

 

 手のひらがすぐにひっくり返った。

 天使かよ、天使かな?天使だったわ。

 

「パパ!」

「綴は可愛いなー」

 

 パパ、と五条に言うと喜んでくれるということを知った綴は何度も繰り返してパパと呼ぶ。

 そして釘崎と厳選に厳選を重ねた服を着て、店を出たのであった。

 

「お、先輩めっちゃ可愛い!」

 

 虎杖に言われた綴は、五条と釘崎に見せていたようにぶりっ子ポーズをして虎杖にアピールする。

 

「可愛い、可愛いけども……っ」

 

 このまま大きくなったら多分大変なことになりそうだ。

 いや、明日には元に戻っている可能性が高いのだが。

 

「はー、いい買い物したわー」

「釘崎、お前これ……バレたら叩かれるぞ」

「そんなの言わなきゃいいのよ」

「ま、綴は女の子には優しいから手加減はしてくれると思うよ」

 

 それにしては修行中めっちゃくちゃボコボコにされたのだが。

 

「それはそれ。

 綴はそういうところはちゃんとしてるからね。厳しくするのは生き残って欲しいからだよ」

 

 綴の頭を撫でながら五条は釘崎に伝える。

 手を抜いて教えていてもなにも身につかない。それで死んでしまったらやりきれない。

 2年も含む後輩達に対してゆっくり育って欲しい、それと同時に早く強くなって生き残って欲しいと綴は思っている。

 

「なのに素直に口に出さないから誤解されまくるんだよ」

 

 それを聞いて虎杖は自分の祖父を思い出した。

 頑固で気難しい祖父。そんな彼と綴を重ねる。

 綴と初めて会った時、なんとなく祖父に雰囲気が似ているように感じていた。

 だが、自分のことを案じて優しさを見せてくれる。初めはそんな2人の共通点を見つけようとしていた。

 今はそれが綴に失礼だと思っていたが、やっぱりどうしても重ねてしまう。

 

「なんかさ、たまに先輩が()()()()()()()()んじゃないかって思うことがあるんだよね」

 

 特に重ねてしまうのは、そこ(・・)だった。

 五条は虎杖の言葉に思わず綴を撫でていた手を止める。

 

「悠仁、大丈夫綴はどこにも行かないよ」

 

 虎杖を安心させるように五条はそう言った。

 手が止まったことに綴は不思議そうな顔をして五条を見つめている。

 

「だと、いいんすけど……」

「そもそも綴は呪術以外のことはからっきし! 不器用で家事はおろか、非呪術師とのコミュニケーションなんて壊滅的!」

 

 ケラケラと笑いながら五条は綴の欠点を話し始める。

 それを綴が聞いたらきっとしばらく口聞いて貰えなくなるな……とぼんやりと思っていると、五条はピタリと笑うのをやめる。

 

「そんな綴が、どっか行って呪術師以外になるなんてありえない」

 

 そういう意味で言ったのではないが、虎杖は五条が言うことに納得して頷いた。

 綴が呪術師以外のことをしている姿が思いつかない。これから先も虎杖達の前にいてくれる大きな存在であることは確かだ。

 

「パパ?」

「んー? どうした綴?」

 

 綴に呼ばれ、五条は綴を抱き上げる。

 それが嬉しかったのか、綴はケラケラと笑っている。

 でも呪術師以外はありえないと思うのと同時に、こうやって平和に過ごしている姿も似合うと思ってしまうのは、自分だけだろうか。虎杖は心に隙間が空いたような感覚を覚えた。

 

 

 歩いて散策していると、子供達が舞台に集まっていた。

 そこには特撮ヒーローの舞台ショーが開かれる内容の看板が立っている。

 始まってしばらく経っているようで、ヒーローが敵を倒している。それを見て子供達が歓声を上げて応援していた。

 

「あ、あ!」

「先輩もしかして気になる?」

 

 綴が大変興味を示していることもあり少し見ていこうということになったのだが………ショーの中盤、敵が観客席にいる子供達を攫ってしまおうとするシーンで事件は起きた。

 

「あ、うちの子どうぞ」

 

 なんと攫いに来た敵の部下に五条が綴を差し出したのだ。

 これには敵の部下ビックリ。

 

「いや、先生ダメだって!」

「1歳児だし!」

「泣いたらなかなか泣き止まないんですよ!?」

 

 生徒達の批難は右から左に受け流し、五条は自分の主張をし始める。

 

「綴が泣け叫んで助けを求める姿を見たくないの!? 僕は見たい!」

「あんた鬼か!」

 

 五条の片手ではスマホのカメラを起動しているところだった。撮る気満々だ。

 

「じゃあ聞くけど、見たいか見たくないならどっち!?」

「正直言っていい? めっちゃ見たい!」

「よぉし!」

「お前らぶっ殺されるぞ!?」

 

 五条の問いについうっかり答えてしまうが、伏黒の一言で正気に戻る。

 しかしそうこうしている間に綴は五条によって敵の部下に引き渡され連れ去られる。

 

「ギャー!!! いやー!!」

 

 思った通り綴は泣け叫び、舞台まで敵部下に優しく抱っこされて行ってしまう。

 五条はそれを手を振って爆笑しながら見送っていた。

 

『ばっか野郎! こんなちっちゃい子を連れてくる奴があるか!

 あのイケメンのパパさんの所に返してきなさい!!』

 

 しかし舞台まで行った敵の部下は、敵ボスのナイスツッコミにより戻ってきたのであった。

 

「えー、面白くない」

「パパー!!!」

 

 大号泣する綴は五条にしがみつくともう離さないといわんばかりの力をこめる。

 

「いだだだだっ! 呪力を流すな馬鹿っ」

「然るべき報いよね」

「虎杖も行ってこい」

「え!?」

 

 相当怒っているようだ。これはしばらく機嫌は直らないだろう。

 虎杖は伏黒と釘崎の手によって、五条の言葉に乗った罰だと五条と一緒に綴の呪流の刑に処されていた。

 

「電気浴びた気分……」

「悠仁、綴の呪力のせいで髪ボサボサなってるよ」

「そう言う先生もね」

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

【翌日・呪術高等専門学校】

 

「えー、綴が元に戻りましたー」

「なんでテンション下がってんの?」

 

 綴は小さくなっていた頃の記憶はなく、だいたいのことは夜蛾が伝えているのだが、何をしていたかは知らされていない、というのが綴の現状だ。

 

 座学が終わった虎杖達の元に、その綴が現れた。

 

「迷惑かけたらしいな」

「あ、いや全然! 泣かれたけど基本的に大人しかったし!」

「……泣いていたのか?」

 

 初耳だと目を丸くさせる綴は少し恥ずかしそうだ。

 

「悪かったな、予想以上にやらかしてるみたいで。

 次、2年ところ行ってくるわ」

 

 それじゃ、ともう一言謝ると綴は扉を閉めて教室を出ていった。

 

「……いいか、甘菜先輩にあのこと絶対に言うなよ」

「分かってるわよ。あの人の機嫌悪くなって直接被害に合うのは五条先生だけど、その五条先生からのとばっちり受けんのは私達よ?」

「先生、綴先輩に直接いかないんだよな」

 

 と、愚痴っていると教室の扉が開いた。綴だ。

 

「………………手前ら、知ってることは全部吐け」

 

 その右手には呪力が集まってきている。

 本当のことを言わないとあれで額を叩く気なのだろう。

 3人は観念して全てを話した。

 

 

 

 

 その日、五条に話しかけられるがそれを全てシカトする綴の姿があった。

 五条は1年生達に何か言うことはなかったという。一部始終を見ていた家入曰く、綴が一言五条に言ってくれていたようで、更にはそのやり取りを五条自身が楽しんでいたそうだ。

 

「あの2人、なんだかんだ言ってあのやり取りが結構好きらしい。

 喧嘩も仲直りも、2人でないとできないからな」

 

 

 

 

 

 ちなみに、虎杖は思いっきり綴に額を叩かれていた。




すぐにシリアスにしちゃう病がところどころで発動していますが、ギャグ書く方が好きです、はい。
ショタ綴を書くのだいぶしんどかったんですけど、どうでしたでしょうか?個人的に血反吐吐いてました。可愛く、違和感なくかけていたらいいなー。
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