呪われた呪術師の走馬灯   作:千α

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俺「書くの辛すぎる。早く終わらせてあげたい」
友「自分で自分の首絞めてて草通り越して林」
俺「花御が喜ぶ」
友「そのオリ主虐める性どうしかならないの?」
俺「どうにもなんねぇから苦しんでんだよ!!!!」


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53話

 子蜘蛛は綴に向かって飛んでくる。どうやら糸をスリングショットのように使ったらしい。

 それを寸前のところで避けた綴は筒から中に入っている全ての杭を取り出すと、それを全て糸で一纏めにすると筒をその場に置く。

 また子蜘蛛が飛んでくるのを見て、綴は右手に杭の1本を糸から外して構える。

 綴の目論見通り額に杭が刺さった子蜘蛛は叫び声を上げる。

 

「はぁ、はぁ……」

 

 息がしづらい。

 杭を持っていた右手が、突進された衝撃でボロボロと崩れている。

 

──コイツの他に、まだあと3体いるはずなんだよな……。

 

 こんな所で死ぬわけにはいかない。

 もう少し生きていないといけない。

 

 パキンという音がして、崩れていた右手が地面に落ちた。杭が刺さったまま子蜘蛛が大量に糸を吐く。咄嗟に跳んで回避するが、糸のうち1本が綴の足に巻きついた。

 しまった、と思ったが既に遅くそのまま地面に叩き付けられる。ぐしゃっと頭の一部が潰れた感覚がある。

 

──くそっ、右手も潰れたってのに……。

 

 子蜘蛛の糸を自分の糸で切り、後方へ下がると子蜘蛛が自分の右手を持っているのが見えた。

 

「返せよ、俺の右手っ」

 

 子蜘蛛が食べる前に取り返さなくては、と綴は走る。

 その間にもポロポロと今度は脚が崩れるような感覚を覚える。頬のヒビ割れがさらに広がったようだ。

 

 痛い。

 綴の身体は痛みをほぼ感じないはずなのに、それでも痛いと感じるのはきっと人間からかけ離れた何かになってしまいそうな自分に、心が耐えられないからなのだろう。しかしそれを押し殺す。

 

 子蜘蛛に飛びつくと、綴は子蜘蛛の首を噛む。叫ぶ子蜘蛛は綴を振り落とそうと暴れるが、更に首から大量の血が吹きでてくる。

 右手を食べるどころではない、綴をどうにかしなければいけない、と子蜘蛛は持っていた綴の右手を地面に落とし、綴を引き剥がそうとする。ブチッと歯が更に食いこんだ。

 

ほのはは(このまま)ふっへやんよ(食ってやんよ)

 

 子蜘蛛は恐怖した。

 コイツは今まで会ってきた他の子蜘蛛とは違う。

 やばい。コイツは自分よりもだいぶ食べた子蜘蛛の数が少なくなっているはずなのに。なのになんだ?コイツはやばい。やばいぞ。

 冷たく、重苦しいその目を見てとある人物を思い出す。見たことなどほんの少しであったが強烈な印象を()()()()()()()()()()、綴の中にいた()()()()()()()()()()()()

 

──五条悟・・・!?

 

 

 

 食ってやる。死ぬにしてもただでは死なない。

 虎杖と再会する気はないが、しかし少しだけ、たった1粒の『もしも』を夢見てしまう。だから綴はその僅かな希望を捨てきれず戦っている。

 

──『もしも』もう一度みんなに会えたら……なんて、悠仁も酷なもの見せるよ。それに縋っちまう俺も俺だけど。

 

 その『もしも』はまさに、蜘蛛の糸だった。

 

 また更に子蜘蛛に歯が食い込む。

 このまま首をへし折ってやろうと足に力を込める。子蜘蛛の悲鳴を聞きながら、いけると確信した。

 だが、()()()()()()()()()()()

 

 

 ドスッ

 

 

 

──………………あーぁ。

 

 

 綴の腹に何かが貫通していた。よく見ると蜘蛛の足が突き刺さっている。後ろからの攻撃だった。

 3体目の子蜘蛛だ。

 

「他の奴らも食ってきたな……?」

 

 おそらく、3体目は他の綴が杭を打った子蜘蛛を食ってからここへやって来たのだろう。でなければ気配を気取られずに自分の背後を取るなんてできるはずがない。

 同時に先程の攻撃が追い打ちとなり予定より早く活動の限界時間を向かえる。

 

──やっぱ無理か。

──でも、会いたいんだ。

──会って、みんなと………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なら、私が手伝おうか?

 大丈夫

 私、綴のことが好きだから

 貴方の全てが欲しい

 大丈夫、寂しくなんてないから

 だからそれを頂戴

 生きていたいなら

 貴方の大切なそれを頂戴

 

 

 

 

 

 

──………………。

──こんな物(・・・・)でいいなら、幾らでもくれてやる。

 

 

子蜘蛛に己を差し出さない

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 子蜘蛛達は油断していた。もう動かないだろうと思っていた。

 だが、忘れていた。自分達の生命力を。

 

 

 綴は立ち上がった。無くなったはずの両腕の変わりに、どす黒い霧が綴の腕を覆う。左眼に違和感を感じる。背中の脚が6本に増えた。

 ふと、そばにあったガラスに自分が写ったのが見えた。

 そこにいたのは、人間ではなく………。

 

──…………呪霊だな。

 

 左眼が治っていたので、良しとする。

 

──俺は待たないといけないんだ。

──会わないといけないんだ。

 

──…………誰と? 忘れた(・・・)

──けど、大事な約束だったはずなんだ。

 

 綴は己の内にいる子蜘蛛に記憶を差し出した。

 忘れていく前に、色んな記憶が蘇ってくるがそれが全て消えていく。何の記憶が蘇っているのかすら綴はわからない。

 何が消えたのかさっぱり分からない。それでも戦うことをやめない。

 

──あの人は誰だっけ?

──あれはなんだっけ?

 

 その戦い方を見たものはこう答えるだろう。

 まるで、獣の戦いを見ているようだ、と。

 そのくらい泥臭く、酷く猟奇的で、残酷な戦闘だった。必死すぎて綴もどうやって戦っているのかわからない。

 人間らしいところが無くなっていく。

 

 それでも、それでもいいから………っ!

 

 

 その時、脳裏にある映像が流れてきた。

 

 赤ん坊を抱く、男女。綴はそれを遠くから見ている。顔はハッキリと見えない。でも何故か声はよく聞こえた。

 

 

 

「名前、決めた?」

「もちろん」

 

「良かったわね、父さんが徹夜して考えてくれたって」

「名前は■■。いい名前だろ?」

「ええ、きっと貴方に似て賢い子になるわ」

「いいや、キミに似て優しい子さ」

 

 この人達は誰だっけ?

 ふと、女性が綴を見て微笑みかける。

 

「■■、私を選んでくれてありがとう。私達を親にしてくれてありがとう」

 

 

 

「…………ううん。俺の方こそ、俺を選んでくれて、愛してくれてありがとう」

 

 

 それすら■■は思い出せない。




夕方にもう一度投稿が有ります。
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