呪われた呪術師の走馬灯   作:千α

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これまでが全て走馬灯だった。

これから先が現実。

その走馬灯すら呪われた呪術師はもう思い出せない。


空亡
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ねぇ、どうして? なんで動かないの?

もう少しで、食えるのに、なんで?

 

「………そうだ、もう少し……もう少しで」

 

 動かない身体を無理矢理動かそうとする。

 蜘蛛の脚は黒い部分が剥がれ、だんだん白くなっていく。

 下半身のほうから咀嚼音が聞こえてくる。

 

「こ、ろしてやる。殺してやる、殺してやる殺してやる」

 

 女の声に導かれるように、手を伸ばしたところで………その手を誰かに優しく握られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ごめんなさい」

 

 手を握ってくれる、目の前にいるその人は何も言わない。

 

「とても懐かしい感じがするのに、思い出せないんです」

 

 まるで怒ったかのように見えるのは、気の所為ではないだろう。

 だが、何故かとても安心するのだ。

 

「でも、何でかな……すごく満足で、もうこれ以上なにもいらないんです」

 

 その人はそれを聞くと困ったと言うように眉を顰める。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい」

 

 その人は頭を撫でて微笑みかける。

 

「そんなに謝らなくていい」

「でも、凄く怒ってる」

「当たり前だろう? 私はキミに生きていて欲しかったんだから」

 

 ポロポロと涙がこぼれ落ちる。

 

「もう、本当にいいんだね?」

「うん。だって、それも忘れちゃったから」

 

 しかし未練なんてものはなかった。

 自分を呼ぶ女の声が聞こえる。しかしそんなものは、この人の前では雑音にもならない。

 

「ほら、いつまでもこんな姿でいないで。元に戻りなよ」

 

 握られた手がじんわりと暖かくなっていく。そこからだんだん人間の形を取り戻していく。

 

「うん、やっぱりこっちの方がキミらしい」

「ありがとう」

 

 この人に褒められると、なんだかとても照れくさい。

 

「ねぇ、迎えに来てくれたの?」

「本当はしたくないんだけどね」

「俺は嬉しいよ、来てくれたのが貴方で」

 

 しかしその人はとても複雑そうな表情をしている。

 

「どうしたの?」

「私は……キミに謝らないといけない」

 

 今度はその人がポロポロと涙を流す。

 

「幸せになって欲しかったはずなんだ。誰よりも優しいキミに……キミは呪術師なんてものは向かない」

「………」

「ごめん。それを知っていたのに、キミに辛い道ばかり選ばせてしまったのは私だ」

 

 たまらずその人を抱きしめる。

 

「いいよ。怒ってないもん。

 何にも覚えてないけど、俺幸せだったから」

 

 その人の手を握り、()()()()()は歩きだす。

 

「僕ね、もっと貴方とおはなししたい、あそびたいな!

 ブランコとかすべりだいとか、いっしょにしたいな!」

「……もちろん、いっぱい一緒に遊ぼうか」

「わーい!」

 

 

 

 歩き始めたところで、小さな少年は「あ」と足を止める。

 

 最期の最後に思い出したのは、白い髪と綺麗な蒼い眼をした人。

 

 大嫌いだと言ってしまったあの人はどこにいるんだろう?

 

 まだ、()()()()

 

「だって、まだ……あの人に酷いこと言ったの、ごめんねって謝ってな──……」

 

 

 

 

 

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 ブチンっと頭が身体から離れた。




是非、綴の馬鹿野郎と罵ってやってください。

あともう少しだけ続きます。












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甘菜綴
学年:3年生
身長:166cm
誕生日:3月20日
等級:1級
呪術:呪流術・三十蠱毒百呪蜘蛛
イメージソング:THE ORAL CIGARETTES「容姿端麗な嘘」
        奥井亜紀「風にあそばれて」


備考
・栄養失調だったため、身長が伸びなかった。

・初期はもっと悲惨な最期だったけどちょっと考え直してこの形になりました。

・タイトル見たらわかると思いますが、今までの話は全部綴が見ていた走馬灯。序話の時点で現実世界の綴は死んでました。え?綴がいないときの話はどうなんだ?まあ、大目に見てください。

・走馬灯は所詮は記憶、という認識なので話に書いてあることが全て本当のことではない可能性もあります。綴が自分の都合の良いように改変している記憶も恐らく所々ありますが、誰も確認する術はありません。

・実は「綴」は本名じゃない、年齢も本当のものかあやしいです。全部甘菜家のせいだ。ただし誕生日は本当。

・幻覚や幻聴は常に聞こえて見えている状態で、それ故に思考がおかしくなったりしてましたが、持ち前の根性で乗り越えてた。越えられるものでは無いだろ、というツッコミは置いておきましょう。

・テレビ等の機械類を触るのが苦手。ケータイはガラパゴスのらくらくフォン。(1回スマホにしたけど速攻壊した)

・好物は某喫茶店のショートケーキと尾上作のクッキー()

・最期に五条を思いだしたのは果たして綴にとって幸せなことだったのか、それとも不幸なことだったのか。それはもう誰にもわからない。
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