呪われた呪術師の走馬灯   作:千α

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実は筒から出てきた呪霊の言葉を解読するとちゃんと言葉になってます。暇があったら解読してみるといいかも。


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56話

 虎杖と筒から現れた呪霊は戦う。

 何度も何度も切りつけられても虎杖はそれを避け続ける。脹相との戦闘で負った傷が痛み血が溢れ出るがそんなことを気にしていられない。

 

「_@_%3、%97#853@_9!9「@#8_@_@85989?」

 

 遂に虎杖の頬が切られる。

 別に油断していたわけではなかった。ただ、何かを発した呪霊の雰囲気が先程と何か違っていた。

 

「なぁ、お前と先輩って……!」

 

 どういう関係なんだ?そもそも何故綴の筒の中から出てきたんだ?綴の味方ではないのか?ならばどうして綴の筒の中に入っていたんだ?

 その疑問は呪霊の猛攻によりかき消される。

 

 

 

 

......................................................

 

 

 

 

「え? 綴の筒?」

 

 いつの日か五条にそんなことを尋ねたことがある。まだ綴との間に距離を感じていた頃だ。

 

「昔っから持ってたの?」

「いや、筒自体は小4くらいからかな?」

 

 顎に指をかけ思い出す五条はどこか絵になる。じゃなくて。

 

「そんなにちっちゃい時から?」

「色々と事情があってね。

 元々はただの入れ物だったんだけど、綴が改造して………ま、僕はアレ苦手(・・)なんだけど」

「先生苦手なものあったんだ」

「あるよ、僕も人間だよ?」

 

 しかし何故あの筒をわざわざ手作りしたんだろうか。

 

「というか、なんで五条先生はあの筒が苦手なの? 先輩めちゃくちゃ大事にしてるっぽいのに」

「"ぽい"じゃなくて大事にしてるんだよ。だから余計に苦手意識が助長されるというかなんというか……」

 

 そう言う五条の顔はだんだん渋いものになっていく。

 

「そういえば、悠仁はあの中に入ったんだよ」

「え、マジで!? どうやって?」

 

 あの筒のサイズ的に入れるはずがない。ということはわかっているが気になった。どうやって入れたんだ?まさか中が超次元的なことになっているんじゃないか?と期待の眼差しを向けて五条に尋ねるが首を横に振られる。

 

「いや、アレ大きくなるから」

「あ、そういう」

 

 とんでもない呪具だと思っていたこともあり、少し残念だった。

 

「あの呪具作るのに大苦戦するくらい不器用な綴が、そんなもの作るなんてまずできないから」

 

 綴が意外と不器用であることをここで虎杖は知るが、その不器用さを見て目が点になるのはまだ先の出来事である。

 というか、五条があの筒が苦手だという話は見事に違う話にすり変わってしまっていた。

 

「あのさ、さっきのあの筒が苦手って……」

 

 虎杖はその時五条の雰囲気が少し刺々しいものになっていたことに気が付いた。

 本当に筒が苦手だということがよくわかる。そのため虎杖はそれ以上何も言えなくなってしまった。

 

「ん? どうかした?」

「いや……なんでもない!」

 

 筒についてはいつか綴に直接尋ねよう。

 しかしその後、刺青のことについて尋ね、綴には地雷が多数存在することに気が付いた虎杖は綴から話してくれることを待つことにしたのだ。

 

 もうそれもできないのだけれど。

 

 

 

......................................................

 

 

 

 

「#8_%3」9#8!7_@!@5@。%97#853!9_9!9「@!9__@'3_8?」

 

 呪霊の仮面の隙間からはらりと涙がこぼれ落ちた。

 この呪霊は何を思って泣いているのだろう。それすら虎杖にはわからない。

 

「…………」

「@_@5@2@、#@!74@_9_@_8?」

 

 だがこの呪霊が綴に悪感情を抱いていないことは確かだ。どちらかと言うと、綴を大切に思っているのではないだろうか?なぜなら虎杖を傷付けても、呪霊は綴の首を傷付けることはなかったのだから。

 

「俺は、先輩の後輩だ」

「………」

「先輩には、沢山のことを教えてもらった」

「………#@!74@「@?」

「お前は、いったい……」

 

 シクシクと啜り泣く声が聞こえる。

 両手で呪霊は自分自身の顔を隠す。

 

「……!@3#8て」

「え?」

 

 その時初めて呪霊の言葉に虎杖は真剣に耳を傾けた。するとどうだ、だんだんと彼女の伝えたい言葉が分かってきたではないか。

 

「かえ#8て、わたし、の#@!74@、わたしの、子供」

「───っ!?」

 

 彼女は綴に手を伸ばす。

 

「たいせつ、なの。

 あいし、53847の。

 もうはな43た!7ないの。

 おねがい、おね、がい%@!@ら」

 

 綴は筒を大事に扱っていた。五条に改造されていた交流戦では返してもらった後、めちゃくちゃメンテナンスしていたのを虎杖は見ていた。

 それもそのはずだ。当たり前だ。その筒にいたのは、()()()()だったのだから。

 

「……ごめん。俺、なんかめっちゃ勘違いしてた」

 

 虎杖はそっと綴の首を彼女に差し出した。

 彼女はそんな虎杖を訝しげに見つめたが、虎杖が本気で綴の首を彼女に渡す気であるとわかると、綴の首と同様虎杖の手も傷付けないようにしながら首を受け取る。

 

 桜が舞う。

 

 彼女は人間だった時と同じ姿に戻ると、首をまるで赤子のように抱きしめながら虎杖に微笑んだ。

 

「ありがとう」

 

 それだけを虎杖に伝えると、彼女は筒から伸びてきた黒い帯に捕まり、子蜘蛛と同じように無理矢理筒の中に押し込められる。

 彼女が完全に筒に入り込むと、黒い帯が筒の口を覆い蓋状になってしまう。

 

 

──終わったんだな、綴先輩。

──そうなんだよな?

 

 そう、甘菜綴という人物の戦いはこれで終わった。

 鼻の奥がツンとする。

 

 虎杖の周りにはおびただしい量の血液が流れている。寝てはいけない状況だが、一連の出来事で気が抜けた虎杖の視界は急に狭まり、いつの間にか真っ暗になった。

 

──先輩に、ありがとうって言いたかったなぁ……。

 

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