呪われた呪術師の走馬灯   作:千α

98 / 111
評価、お気に入り登録、コメントありがとうございます!


70話

 つまらない。

 虎杖と東堂、真人の戦いをぼんやりと眺めながら両面宿儺は欠伸をする。

 

 そういえば、虎杖が散々喚いていた甘菜綴について、ふと思うことがあった。

 と言っても、宿儺は綴に対して特に興味も何も持ち合わせてはいないので、この後すぐにでも忘れるのだが。

 

 以前伏黒恵との訓練中、やっと顔を覚えたような、そんなつまらない人間。

 三十蠱毒によって呪われた間抜けな餓鬼。

 それが、甘菜綴という人間だ。

 

 確かに綴の体術と呪力の操作は頭1つ飛び出ている。

 しかしそれだけだ。それだけしかない。

 まともに拳に呪力も籠らないくらいの、微弱な蟻のような存在。

 いや、五条悟にあれだけ守られてきたのだから、人に愛でられ閉じ込められる蝶か何かだろう。

 少し羽を引っ張ればすぐに千切れてしまう、繊細なか弱い蝶だ。

 

 見ていて滑稽だった。

 誰かに理解して欲しいくせに、誰にも理解されようとしないその優柔不断(・・・・)さが。

 こちらを憎悪の目で睨みつける癖に、虎杖が大切になり過ぎてどうすることもできなくなっていく様が。

 非常に滑稽だった。

 

「奴もくだらん事に命を使う」

 

 そういえば、と綴との初めて邂逅した時のことを思い出す。

 

「……あんな名前だったか?」

 

 それは綴が語らなければ思い出しもしなかった、ただの気まぐれで起こした出来事のこと。

 ああ、そんなことあったような気もする、だがそれが何だと鼻で笑ったが………。

 

「今も昔も、甘(・)菜(・)は(・)や(・)る(・)こ(・)と(・)が(・)卑(・)し(・)い(・)な」

 

 

 

 

 そうして宿儺は綴のことなど記憶の端に追いやった。

 また虎杖を絶望させるために使えるか、くらいの認識へなっていく。

 

 ん?

 

 宿儺は上を見上げる。

 

 なにか、来る。

 気配は呪霊だ。

 だが何か違和感がある。その違和感の正体がわからない。

 

 ただ、ただ気持ちが悪い何か。

 

 じっとその一点を見つめている。

 

 来た。

 

 と、思った時にはもう、それが天上からふわりと降ってきた。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

「……は?」

 

 虎杖も東堂も、真人もそれを認識して動きを止めた。

 

 それを一言で現すのであれば、白。

 足が床につくと、グリンっと真人を見る。

 

 敵?味方?

 そもそもこれは一体なんだ?

 

 真人はそれの顔を見て、ギョッとする。

 黄金色の目が爛々とこちらを見ている。

 思わず飛び退くと、それはつまらなさそうに地面を蹴ってから、ゆっくりと虎杖と東堂の方へ振り返る。

 

「なん、だ……なんで、どうして………」

 

 真人は自分が飛び退いた理由がわからなかった。

 だが、綴から受けた柳の呪い(・・・・)が真人を締め付けるような錯覚を覚える。

 

「呪霊……?」

 

 東堂もそれをみて戸惑う。

 何故こんなにも呪霊を見て心臓がバクバクと五月蝿いかがわからない。

 それほどの驚異など、微塵も感じないというのに。

 

「おい虎杖、どうした?」

 

 それを見てから虎杖の動きがピタリと止まってしまっている。

 

「虎杖!」

 

 東堂が虎杖の肩を掴む。

 

「───?」

 

 虎杖はそれを見て、いつか綱治に見せられた幼い頃の綴の写真を思い出していた。

 

 そう、それの顔は………………。

 

 

「綴(・)、せ、んぱい?」

 

 

 幼い頃の綴、そのものであった。

 

 

 それ……いや、白蜘蛛様はそんな虎杖を見てクスクスと嬉しそうに笑った。




これで一旦呪われた呪術師の走馬灯は完結です。

最初は、呪術廻戦も序盤も序盤での連載でした。
結構無理矢理な部分もありましたが、ここまでやってこれたのは、評価、お気に入り、コメントをしてくださったみなさま、そして芥見先生のおかげです。

この作品を作った時は「そういうことか!」と最後まで読んだ後に言えるような作品にしたいという一心で、続編なんか考えていませんでした。
しかし書いているうちに、呪術廻戦完結まで書いていたい、という気持ちに駆られてしまい、走馬灯でやる予定だった真相解明編を続編でやることにいたしました。

走馬灯は正直に言うと前座です。
こっからが本番です。

続編は原作のストックが溜まり次第、この小説の続きから書いていく予定です。
今までに本当にありがとうございました!!

続編について

  • このまま続きで書く
  • 新しい小説として書く
  • そんなことより復讐劇の続き書けや
  • すじこ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。