魔女の居ない世界で恋物語を   作:コリブリ

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さやかは恭介が好きだ

 ここは某県の見滝原市。 最近急激に都市化が進行した地方都市で、大規模な工場群とか高層ビルがいっぱい立ってる。

 そんな準都市と化した見滝原市のど真ん中に新しく開店するショッピングモールへと行くべく俺たちは歩みを進めていた。

 

「今日は探してる音楽のCD見つかるといいね」

「古い物だしそうそう見つからないんだ、気長に探すよ。まあ今日行く所は新店舗だしあまり期待はしていないけれど」

「お前もよく懲りないよな、俺なんかああいう曲聞いてると眠くなっちゃって」

 

 青い髪をした彼女を真ん中に、左右には俺を含め男子が二人寄り添いエスコートしている。

 

「やー、でも、こうして三人で遊びに行くのも久しぶりかな?」

 

 今声を発した青髪少女の名前は美樹さやか。 少し直情的な所はあるが基本的には明るく俺たちを引っ張って行く役を担っている。

 

「最近さやかが鹿目さんとか志筑さんとしか遊んでなかったからだろ」

 

 小学生の頃、男女関係なく混じって遊んでいるような時期からずっと三人は一緒だった。 普通なら高学年になるにつれて疎遠になるのだろう。 幸いと言っていいのか俺たちはそんな事にならず中学生になった今でも行動を共にすることが多かった。

 まぁ今言ったように中学生になってからはさやかにも女の子の友達が出来て、学校では俺と恭介はよく二人で喋っているが事が多いのだが。 もちろん学校で喋らないわけではない、三人集まり遊んでいる時にに比べれば一緒に居る時間が少ないといった程度だろう。むしろ学校でも三人の距離は一般的な中学生の男女よりもよほど近い。

 

「ごめんごめんって! 今日はその埋め合わせも兼ねてるんだから許して、ね?」

 

 そう言いながらさやかはそっぽを向いた俺の眼前に来るように移動し、顔を近づけて来る。 こういったオーバーリアクション、ちょっとしたことでも直ぐに動く癖がさやかにはあり俺は毎回赤面して更に顔を背けてしまっているのだが。

 今日はそうなるまいとさやかに対抗しじっと見つめてみる――が、さやかも負けじと見つめ返してくる。 彼女の顔は整っており、髪の毛はショートともミディアムとも取れる長さで飾り気のない髪飾りをしている。

 この髪留めは小学生の頃お小遣いが少なかった俺が贈ったものだ。 恭介は所謂お坊ちゃんなので自分が好きな音楽家のCDを何枚か贈っていたようだが。

 そうして何秒か見つめ合っていると流石に耐え切れなくなり結局俺が根負けし「分かったよ」と少しうつむき気味にため息を吐きお見合いは終わった。

 

「今日もさやかの勝ちみたいだね」

 

 横から茶々を入れて来るのは、先ほどから何回か言っている恭介――本名は上条恭介、天才ヴァイオリニストであり音楽界隈ではちょっとした有名人――で、三人組の最後の一人である。

 いつから勝負になったのだろうか、しかも横ではさやかがふっふっふと不敵に笑っているではないか。 別に悔しくはない、些細な事だ、悔しくは無いぞ。

 こんな風にいつも三人でふざけあっている、昔から続いている事だ、俺がボケてさやかか恭介が突っ込む、またはさらにボケる。

 そんな事を繰り返しながら大人になって行くのかななんて、少しセンチメンタルな気分に浸りつつ、ショッピングモールへとたどり着いた。

 

 

 

 

 ショッピングモールに着いたのだが今日の目的は来週から始る新学年へ向けての準備だ。 準備と言っても新しい文房具を買ったり、各自好きな物を買いに来ただけなので準備と言う名目の元みんなで遊びたいと言うのが三人の本音だろう。

 

「さーて着いたね、最初はCDショップ寄って行こうか、一番荷物がかさばらないだろうし。」

 

 特に反論する意味も無いので恭介とともに頷きショッピングモールの入り口からCDショップへと移動し足を踏み入れ各々の行動をし始める。

 恭介はいつもクラシックのCDを探している、新しい物は勿論だが最近は古い物を集中的に集めているようだ。

 

「あ、この人の新譜出てたんだ」

 

 ここのCDショップは開店したばかりだし自分の探し物に対しての期待はあまりしていないらしい、むしろ今日は新譜を眺めている。さやかも恭介の隣で楽しそうにクラシックのCDを視聴している。

 恭介に昔渡されたCDを聞いた当初はあまり興味も無かったようだが中学生になってからよく聴いているようで、今は新譜を目を閉じ聴き入っている。

 そんな二人を横目に見つつ特に目的無くさまよう、CDショップは完全に付き添いで来ているから少し手持ち無沙汰だ。二人のように少しでもクラシックに興味が持てれば、いや、ボーカルの無い音楽に興味が持てれば少しは話も出来たであろう、だが俺には合わなかったのだ。二人にお勧めされCDを借りて聞いてみたのだがいつの間にか寝てしまっていた、トコトン相性は悪い。 後日その話をしたら笑われつつ呆れられてしまった、合わない物は合わないんだから仕方が無い、似合わないと言った方が正しいかもしれない。

 似合わないと言えばさやかもインドアと言うよりはアウトドアなので音楽を聴くより外で走り回っている方のイメージが強いはずなのだが、最近彼女の口から出るクラシックの話は素人の俺が聞いていてもコイツ詳しいんだなと思わせるほどには分かっているらしい、恭介もその知識に驚いていた。

 前述の通りクラシックのCDは性に合わないことが分かっているのでとりあえず流行りのJ-popなどを視聴し始める。 音楽にこだわりのある人間ではないので基本的には流行の曲を何でも聴いている、いわゆる雑食というやつだ。

 最近テレビでよく流れる音楽を、目を閉じて聴きながらふと考えるのは恭介とさやかのことである。

 先ほどのショッピングモールへの道中、三人の距離は一般中学生の男女で考えれば大分距離が近いと言った事を覚えているだろうか。

 その距離も三人で居る時はさらにグッと近くなる、のだが……さやかから恭介への距離は学校の時とさほど変わらない、むしろ三人でいる方が少し違和感を感じるほどなのだ。俺が気づいたさやかと恭介の距離は、さやかが一方的に作っているようだった。理由は一つだ。

 

 

 ――さやかはきっと恭介の事が好きなのだろう。

 

 

 その事に気づいた時、胸を締め付けるような感覚が俺を襲ったのだ。

 

「なーに聞いてんの?」

「うおっ!?」

 

 トンッと俺の肩を叩きつつヘッドフォンを取ったのは笑顔のさやかだった。恭介はまだ新譜を眺めているようだったので邪魔しないようにコチラへ来たのだろうか。

 

「あ、これ最近ブレイクした女性歌手の奴だね。へー、こういうの好きなんだっけ?」

「あんまり驚かすなよ……テキトーに流行の聞いてただけだから特に好きってワケじゃない」

 

 そうなんだと返しつつ聞き入っているようだったので、最初に言った俺の願いが聞き届けられたかは定かではない。

 ――恭介相手にはこんなことはしないんだろうなと、俺と恭介への対応の違いで少し俯き気味の思考に行ってしまうのはいつからだっただろうか。

 

「さやかはもういいのか?」

 

 少しだけ淀んだ思考は表に出さないようにしながら聞いてみる。

 

「んー、まだ新装開店だし中古CDも置いてないみたいだから特に欲しい物はないかな。 実はちょっと前に新譜買っちゃったからね」

 

 じゃあ何でわざわざここ来たんだと口に出しそうになったが少し考えれば簡単だ、恭介のためだろう。恭介は中古CDショップには行くが新譜の確認などを積極的に行っているわけではない、最近はさやかから借りる事の方が多いくらいだ。

 そんな事を考えているうちにさやかはまた音楽を聴きに戻っているようなので俺ももう一つのヘッドフォンを取り先ほどとは違うCDを視聴し始める。 買う気はさらさら無いので店側からしたらかなり迷惑だろうが、きっと恭介が代わりに何か買うと思うので許して欲しい。

 そうして一曲か二曲ほど聴き終わった頃恭介がレジで買い物をしてこちらに向かっていた、どうやらお気に召す物があったようだ。

 

「僕は買い物終わったけどそっちは?」

「俺は元々欲しい物は無いからお前ら待ちだ」

「あたしもめぼしい物は無かったから大丈夫」

 

 恭介が「そっか、じゃあ行こう」と言いながら店を出る。 店員の営業スマイルとありがとうございましたの営業台詞を聞きつつ先頭の恭介に続き俺とさやかも歩き出す。

 恭介に何を買ったのか聞いたらよく分からない外国人の名前が出てきて曲の説明が始ったので、へぇとかそうなんだとかやる気のない返事で返していたら何かを勘違いしたのか、俺が少しでもクラシックに興味を持ってくれた等と言い始めた。

 素早く否定しようとしたらさやかが話しに入ってきて二人でこの作曲家がこうだこの曲の曲調はどうだとさらにヒートアップし始め、俺は否定する事を諦めさっきと同じ調子で返事をしてやり過ごす方が楽だと思ったので聞いてる振りをしている。

 二人が延々喋っているので当ても無く歩いていたのだが隣からきゅるるーという何とも言えない音が聞こえてきた。 少し含み笑いをしつつご飯を食べに行こうと提案してみる。

 隣ではさやかがお腹を押さえつつ、うぅと小声で俯き唸っており、顔は紅く染まっている事だろう。恭介も少し笑いつつ賛同してくれたのでファミリーレストランに向かうことになった。

 

 

 現在はお昼時であり新装開店ということも相まってファミリーレストランは大分混雑してるようである、だが俺達は壁に三方を囲まれた四人席にすぐ座る事に成功し、込み具合からするとかなり運が良かったのではないだろうか。 この席まで通した店員が水とメニューをそれぞれの前に置きつつご注文がお決まりでしたらどうぞと一言残し去っていった。

 

「さーて何食べよっかなー」

 

 さやかがとてもいい笑顔でメニューを開いている、声も若干上ずっているので結構おなかがすいていたのだろう。 恭介も何にしようか考えているようなので俺も手元のメニューに視線を落とす。 テキトーに開いたページにはパスタやドリア等の定番メニューが書かれており、オススメ!の文字が付いていたので特に悩む事も無くそれに決めた、流石に昼飯にドリンクバーは要らないだろう。

 二人はまだ悩んでいるようでメニューとにらめっこしていたのでそれとなく周りを見渡してみた。

 休日だけあって大分家族連れが多く、みんなで笑いあいながら食べている。おおよその外見で判断するなら高校生や大人だけと言うグループはあったが、流石に中学生だけで来ているのは俺達だけのようである。

 そんな事を考えている内に二人は注文を決めていたようで既にウェイトレスのお姉さんが来ている状態だった。 開きっぱなしのメニューから良心的な値段でそれなりに量も多そうなドリアと炭酸のジュースを頼む。

 

「今年は三人とも一緒のクラスになれるといいね」

 

 不意にさやかが呟いた。 俺たちが通っている見滝原中学校、一年時は俺だけ違うクラスになってしまい地味に落ち込んだものだ。 今年こそは三人とも同じクラスになれればいいと心から思うので全力で首を縦に振っておく。

 

「大丈夫だって、違うクラスでも友情をたがえる事は無いからさ」

「おいやめろ」

 

 恭介が不敵な笑みを浮かべながら不穏な事を言ってくるのでチョップをかましておいた。 「痛い……」とか言っているがその程度の痛みは我慢しろ、去年の一年間はそれ以上の心の痛みが俺を襲っていたのだから。

 三人でふざけ合っているとウェイトレスが料理を運んできたので食べ始める。

 

「そっちのクラスでの一年間はどうだったよ」

 

 恭介経由で色々聞いてはいるが特に話題も無く食べ続けるのはさみしかったので何となく思った事を口に出してみた。

 

「んー……そう聞かれると困るかも、特に問題があるクラスじゃなかったしね」

「そういえば転校生が来るって言われてたけど病気か何かで休学になっちゃってた子がいたくらいかなぁ」

「そんな事もあったねえ」

 

 その他にもさやかが宿題を忘れて大目玉をくらった話や、さやかが祝日なのを忘れていて登校してしまった話や、他愛もない話が続いて行く。

 

「ま、待って待って! あたしの話ばっかじゃ詰まらないから中沢の話をしよう!」

「こっちに飛び火させるのか勘弁してくれよ……」

 

 さやかが自分の形勢不利を悟ったのか無理やり話題転換を試みた、抵抗しようとするが恭介がノってきてしまったのでごまかせなくなってしまった。 恭介、やはり一度死すべし。

 

「と言ってもな、こっちは話す奴は居ても特別仲がいい奴が居たわけでもないし……やたら先生に指されることが多かったくらいか」

 

 目玉焼きの焼き加減やら世界終末の日についてやら、ワケが分からない質問が多かった気がするが。

 

「もっと恥ずかしい話とかないの?」

 

  制服のズボンのチャックが全開だったとか、と続けたさやか。 そんな事は無い、あったとしても墓場まで持っていく所存である。

 

「むー……学校外の事でもいいから、あたしだけ話され損じゃん!」

 

 自分だけ暴露話をされたことにご立腹の様だ、ただそちらに関しても話す気はないのでとりあえずさやかをからかって有耶無耶にしておく。

 さやかをからかっていると「そういえば」、と恭介が何かを言いかけた。

 

「中沢って休日は何してるの? この前どこかに出かけてる所を見かけたんだけどさ」

 

 再び恭介からキラーパスが飛んでくる。

 

「別に、ちょっと所要だよ」

 

 そう所要だ、別段隠す事でもないがさやかの前では何となく言いたくない。

 

「ふーん? なーんかアヤシイなあ、その所要って?」

 

 さやかに更に追及されてしまった。

 休日に自分が行っている場所――それは教会だ。 さやかと恭介には言ってなかったが実は幼稚園の頃からずっと行っている場所である。

 ここで少し自分語りをしよう。 両親は健在、姉が一人。 貧乏ではないが裕福でもない中の下と言った感じの家庭で姉は既に結婚して家を出ている。 共働きで家を空ける事が多かったので自分はよく教会に預けられていた。

 その頃からの習慣が今でも抜けず、ずっと通っているだけなのだが……さやかに何となく知られたくない理由は教会に居る神父さんの家族の事である。 神父さんには笑顔が絶えない奥さんと、二人の娘が居る。

 姉の方が自分と同い年で、付き合い自体はさやかや恭介よりも長い、うん、つまりそういうことだ。 さやかの知らない場所で女の子に会っていた事を何となく、本当に何となくだが知られたくなかっただけだ。

 実際男女のお付き合いと言った物は無いし、そんな気配もない。 友達だと言えばいいだけだが、自分の心の一部がそれを許さなかった。

 

「昔からお世話になってるおじさんの所へ遊びに行ってるだけだ」

 

 嘘は言っていない、おじさん(神父さん)の所へ行っているだけだからだ。

 

「へぇ、そんな人が居たんだ、初めて聞いたよ」

「わざわざ言う事でもないだろ?」

 

 少し早口になってしまったかもしれない、この話題を早く終わらせるために残っていた料理をかきこみ二人を急かす。 ……少し挙動不審だっただろうが、二人はそれ以上追及はしてこなかった。

 その後ファミレスを出た俺たちは文房具や小物を見つつ夕方まで過ごし、帰宅する事となった。

 

 

 

 

 帰り道は途中までは三人一緒だが途中で恭介とは別れてしまう。 故に今は俺とさやかの二人だけで夕日を背に帰路についていた。 さやかは道路脇の白線の上から落ちない様に「よっ」「ほっ」と声を出しながら細い所を歩いている。

 特に会話は無いが、嫌な沈黙ではない。 少しでも二人の時間を共有できているという実感が自分の心を少しずつ熱くしていった。

 後少しで二人を分かつ三叉路と言うところでさやかが口を開いた。

 

「そういえば昼間ファミレスでさ、休日に知り合いの所行ってるって言ってたけど……」

 

 ここでその話を振ってくるのか、まさかここでその話題は構えていなかった自分は心中穏やかではない。 どのようにこの場を切り抜けるかの思考にすぐさま脳内をチェンジさせるが、さやかの問いは予想の斜め上だった。

 

「実は、誰かとの逢引だったりして――」

 

 ドキンッ、と自分の鼓動が大きく跳ねたのが分かった、それほど大きな衝撃だった。

 どう返そうか考えていた事は全てどっかへ行ってしまい残ったのは纏まらない思考だけだった、それは顔にも出てしまっていたようだ。

 

「なーんて……あれ、中沢……もしかして、本当にそうだった?」

「そ、そんなワケないだろ! 」

 

 纏まらない思考で脊髄反射的に答えてしまったが声が少し強い口調になってしまったようで、それを聞いたさやかがいつものからかうような笑みを浮かべていた。

 

「ほうほう、中沢殿には休日にあたし達に隠して逢瀬するような相手がいる、と」

「いやいやいや、ちょっと待て。

 俺だぜ? そんな相手が居る様な甲斐性でもないし、顔だって普通……だし、さやかだってよく知ってるだろ」

 

 今度は普通の口調で、普通のスピードで反論していく、ここで変なボロを出すのも嫌だったがさやかは更なる追撃をしてくる。

 

「勿論よく知ってるよ。

 中沢がどれだけ頼りになるかとか、実は凄く友達思いで、熱い所があるかとかもね」

 

 さやかは更に続けて言う。

 

「落し物を拾ったら警察に届ける。 泣いている子が居たら解決するまで傍にいる。 困っている人が居たら助ける……そんな当たり前の事を当たり前に出来るって、あたしは知ってるから」

 

 

 その時の俺は随分と呆けた顔をしていた事だろう。 そして同時に、とんでもなく顔が赤かったはずだ。 その顔は夕日に解けさやかに見られていなかったと信じたい。

 そしてそんな事を言われた俺は口をぱくぱくとさせろくな反論が出来ていなかった。 さやかは言葉を続けて行く。

 

「だから中沢が好きになった相手なら応援するし……もう、もっと早く行ってくれればよかったのに。

 でも、さやかちゃんの目を欺いていた事は私刑に値する! 学校始まったら詳しく聞かせてもらうからね!」

 

 さやかの言葉を聞いている内にどうやら三叉路に着いてしまっていたようで、「じゃーね!」と肩を叩いて自分の家とは逆方向への曲り道を進んで行ってしまった。

 そう、誤解を解けずにその場で別れる事となってしまった。

 

 

 

 帰宅したのち用意されていた夕飯を電子レンジで温め直しているうちにさやかにむけてメールを送っておく。 内容は勿論先ほどの事……どれほど効果があるかは分からないが何もしないよりはマシであろう。

 あの子に対しては双子の兄妹の様な感情しか抱いてないのだ。

 温め直した夕飯を食べ終え自室のベッドへとダイブする。 ケータイを見ればさやかからの返信があり「分かってますよー、任せなさい!」との事。 ああ、これは分かっていないだろうな。

 メールで教会に行っている経緯を話すのもかなり長文になるので学校が始まってから折を見てでいいだろう、こうなってしまっては仕方ない。

 

 

 ある意味でさやかと俺の距離はどの男子よりも近い、恭介よりもだ。 だがそれは同姓に対しての気軽さ、友人としか見られていないのだろう。 最近はそんなことばかり考えてしまう。

 さやかと遊んでる時はとても楽しい。 感情的になることが多く、喧嘩だってよくする、だが困っている人がいれば理由も聞かずに助けに行く。 そんな激しさや優しさが交じり合った所がさやかの魅力なのだろう。

 だがさやかは恭介が好きだ。 今はまだ告白などの素振りは無いがいつそうなるかは分からない。

 さやかも自分と同じように苦慮しているのかもしれない。 告白をすれば三人の関係が崩れてしまうと。

 ……いつまでも、三人の関係が変わらずに居られればいいのに、そんな事を考えずにはいられなかった。

 

 ――その時は、急速に俺たちの関係が変わって行くなんて、思ってすらいなかったんだ。

 

 

 

 

 




ご読了ありがとうございました。
もし読むのを切ろうと考えたならば感想欄にどこが悪かったかの批判を残して言って貰えると助かります。
それ以外にも純粋な感想も頂ければ嬉しく思います。


【協会】→【教会】
【僕】→【俺】
【送った】→【贈った】
【私】→【あたし】
ラスト部分のさやかの描写に大幅な加筆修正

上記を修正しました。
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