「「だめー!」」
女性が力なくターンエンドし、僕のターン。そのままダイレクトアタックしようとしたんだけど二人が割り込んできた。
二人とも、危ないよ? 明らかにFive Dragonは……いや、『DOD』はソリッドビジョンの枠を越えてる。直撃していなかったというのに、さっきのダイレクトアタックで女性はギリギリ立っているだけの状態。逆転の可能性があったから、気力だけで立ってたようなもの。次の一撃で確実に動けなくなる。
だからさ、そこをどいて。その女性が居なくなれば、二人が殴られる事は無くなるんだよ?
いじめられてたんでしょ? いや、いじめられて『いる』んだよね……だから僕が助けてあげる。二人をいじめる奴は……許 さ な い ! 絶対に! 例え二人が
それにほら、どかないと、Five Dragonがイライラしてるよ?
グルルルルゥ……ルアァッ
Five Dragonの五つの首のうち、黒いのが僕の頭を舐める。……ってねぇほんとやめてよ! ただでさえその口僕の頭より大きいんだから食べられそうで怖いんだよ!
「師匠! もうやめてよ!」
やめる? ただのデュエルでしょ? 大丈夫、殺さないよ。二人の生活に支障が出るからね。
悪い事をしたら怒る。間違ったことはしてないよ。
「お母さんをいじめないでよ!」
―――っ!? い、いや、いじめてるのはその女性で、僕は!
「うっ、うう……師匠ぅ……やめてよ……なんでこんな酷いことするの……」
「真加……」
泣き出した。違うよ、僕は、僕は二人の為に……、~~~っ!
どうにもならない憤りとともにサレンダー。なんで分かってくれないのさ! 悪いのはそいつだ! そいつが悪者なんだよ! 二人なら分かるでしょ!?それとも、間違っているのは、僕なの!?
―――悪い事を、してる、のは……。ぼく……なの……?
……出ていこう。もうここに居られない。僕が悪くても悪くなくても、どうせ二人に嫌われた。二人を泣かせた。友達でいられない。
玄関の扉を開ける前に、チラッと二人を見てみる。二人も僕を見ていた。
あぁ、なんであんな事……。『DOD』のダイレクトアタックは危険だって知ってた筈なのに。
二人のお母さんはボロボロだった。寝起きにデュエルしたらプレミなんて山ほど出てくるだろうに、そこを突くようにデュエルして。
訳も分からないまま悪者にされて……。きっと、殴ったのだって寝起きでイライラしてて気の迷いみたいな感じだった……んだと思う。
今ほど、喋れないのを辛く思った事はない。けど同時に、喋れなくてほっとしてる。きっと喋れてたら二人にも酷い言葉を言ってた。
自己嫌悪。何が嫌いって僕が嫌い。喋れないのも、表情が無いのも、感情的なのも、全部。
二人と、二人のお母さんに謝りたい。でも僕なんかに会いたくないかもしれない。
一人になりたい。誰にも会いたくない。暗闇の中で膝を抱えて泣きたい。泣けないけど。
……“君”ならどうしたんだろう。“君”は何処に居るんだろう。頭が働かない。“君”に会いたい。けどこんな僕を見せたくない。
「ケッケッケッケッ」
不快な笑い声だ。でも聞いたことがある。なんだっけな。
ぼんやりした頭をのろのろと動かす。
「久しぶりだなぁ~~~クソガキィィイイイ!」
……えーと。青のニット帽? ちょっぴり見える髪は金髪に染めてある。地毛かもしれないけど。あとピアスつけてる。
金髪の、ちゃらちゃらしてて、嫌な感じの男。
「さあデュエルだ! てめぇをめちゃくちゃにしてあん時の借りを返してやるぜ~! 旅人に渡すのはその後だ!」
あぁ、思い出した。二人を誘拐しようとしてた誘拐犯だ。池田十式、だっけ? ウリアでちゅどーんされた人。
え、まずくない? 僕は誘拐されたら探しに来てくれる人なんて居ないよ!?
いやでも、もういいかな。もういいよ。僕がここにいることが間違ってたんだよ。
「おいおい、折角柄にもなく早起きしてやったってのによ~。けっけっ、自分に負けた奴とはデュエルする気はねぇってか?」
そんなんじゃないよ。僕にはもうやることがないから。
「誰にもバレないようにしながらこの場所を用意すんのは大変だったんだぜ~?」
言われてみれば凄い静かな場所だ。休日なのに人が居ない小さな広場。
叫んでも誰も来ないだろう。叫べないけど。
「さあ、さあ、さあ! デュエルだぁっ!」
……じゃあ、いいよ。『DOD』の全力を見せてあげるよ! やけくそだ!
『DOD』
シンクロ→『DOD―
融合 → 『DOD―
エクシーズ→ ?
儀式 → ?
リンク →?