「ぐぅ……俺の負けだ」
ソリッドビジョンが消えていく。
『相性が悪かった』。『本気を出してなかった』。そんな言い訳は出来ない。ここは素直な称賛を送るべきだろう。
「強いな。『サイレント』は癖が強いデッキだが、それを使いこなすとは」
目の前の子供は頷く事すらせず、少したどたどしい手付きで墓地のカードをデッキへ戻していく。
……く、俺が子供受けしない顔なのは理解しているさ。
「そうだ、お前喋れるじゃないか」
子供は首を傾げる。気付いてなかったのか?
「ドローとかメインとか、カードの名前も言えたし技名も言ってただろ?」
子供は両手で顔を隠す。照れているのだろうか? 確かに『サイレント』デッキを使う人は照れ屋が多い。
「……『サイレント・ソードマン LV7』」
「ほらな」
子供が呟いたのは自身が使ったメインモンスター。
しかし、照れ屋なのは良いとして記憶喪失なのはどうしたものか。既に
「おお、そうだそうだ。忘れていた。顔写真を取らなくては」
顔から手を離し、子供が俺を見てくる。
「迷子なんだからインターネットを使って広く情報を発信しなくてはな。顔写真があった方が言葉での説明より分かりやすいだろう?」
カメラカメラ……はて、カメラはどこだったか。確かあいつに渡して……おっと! そうだこの子が起きたら呼んでくれと言われていたな。俺としたことが慌てすぎたか?
スマホを取り出しあいつに連絡を取る。数回のコールの後、電話が繋がった。
『はいはい待ってたよー、い
やぁ最近の子供は寝起きが悪
くないかい? 保護
してから結構な時間たっ
てるよ。僕の方の準備はばっちり
くさいからさっさと連
れてきて。そんじゃ』
通話が終了した。相変わらず早口だし話をさせてくれない奴だ。スマホをしまい、子供の方へ向き直る。
「ここじゃない所で取るらしい。歩けるな?」
子供は小さく頷きバックを背負う。……ん? あぁ、デュエルディスクが邪魔になって上手く背負えないようだ。
「ほら、少し貸してみろ」
子供の腕からデュエルディスクを抜き取り、1度も使われなかったオプションを外した後にドームを押す。
ガチャンッ!
「ぐおっ!?」
「!?」
腕に装着しないで押したせいか、凄い勢いで変形したデュエルディスクが腕に当たった。いてぇ……くそっ!
「ちっ……これは処分するべきか」
現行のルールに対応していないしな。となるとこの子に合うデュエルディスクがあるか探すか、或いは買うか。
「はぁ。すまん、行こうか」
……子供が動いてくれない。しばし見つめ合う。
「おい。行くぞ?」
再度そう言うとこの子は一歩下がり、また一歩下がり、軽く首を振ってから近付いてきた。
あぁ、多分、少し誤解されたかもな。まあ……いつもの事だ。
「あいつの部屋は少し遠いからな」
子供はバックを背負い、頷いた。
――― 少し歩いた後 ―――
ようやく、着いたか。部屋の中へ入る。
「あ、来たね……ふーん。大分か
らかわれたのかな? ずいぶんつ
かれてるみたいだけど。
わからなくは無いけどね。怖
い顔したお前が子供を連れて
いたら僕でもからかうさ」
扉を開けたら言葉のマシンガン。図星なせいもあってぐうの音も出ない。
確かに同僚にからかわれたし、それに食い付くとこの子が怯えて、それを見て同僚どもは更にからかってくるし……もう疲れた。
とにかく、隣に居る子供を前に押し出す。
「ほら、この子が例の子供だ。顔写真を取るんだろう?」
「かんたんに言ってくれる。お前には
わからないかも知れな
いけど、綺麗に取るのは難し
いんだぞ?
子
供なんだし、手は抜けないん
だ」
「そうなのか?」
「いや、別に」
「おい」
こいつは既にカメラを構え、俺に向かってしっしっと手を振る。
カシャッ
「うぅーん、
まぁ、上げる奴はこれで
いいか」
そう言うとこいつはパソコンを弄り始める。まったく、相変わらず
……と、子供が紙を突き出してきていた。なになに?
『あの女の人とけっこんしているんですか?』
「いや、あいつはただの同僚だ」
「んー?」
「何でも無いぞ」
『GM』
ハンデスしていきたいカテゴリー。
ハンデスはかなりの運ゲーだがピーピングも兼ねるので『マインドクラッシュ』などが使いやすくなる。
また、上手く当てれば自分のフィールドにゴヨウ出来るので『宇宙獣ガンギル』も採用する余地がある。
対策は先攻で手札を無くすぐらいしかない。あとは相手が外す事を祈ろう。アドバンテージがもらえる。