「やれやれ~。息子の様にはいかない、か」
ふぅー、勝った勝った。かなりギリギリだった。っていうかサレンダーしてくれなければ泥試合だっただろうし。
『スリーマー』……厄介な相手だったね。
「ねえねえ! 店長さんってもしかして」
「神戸君のお父さんですか? 同じカテゴリーを使ってたから……」
少し離れて見てた二人が駆け寄ってきた。ふーん、学校の友達の家だったのかな。
学校かぁ。家すら分からない僕はどうなるんだろう。気づいたら学校をやり直し! とかやだなぁ。
「ん~? 嬢ちゃんは……あー、嬢ちゃんたちは、息子を知ってるのか?」
「うん! いっつも寝てるよ!」
「いつ勉強してるんだろう? っていつも思います!」
二人の言葉を聞いて、店長さんはその大きなお腹を抱えて笑いだした。
「ぶっ、はははははっ! そ~かそ~か! いやぁ息子は全然学校の話をしてくれなくてな! はっはっはっ、そりゃあ寝てたら話もなにも無いか!」
おぉ……なんか真横で太鼓を鳴らされてるみたいだ。ぐわんぐわんくる。
「よーし、んじゃあ二割引きに加えて一枚だけサービスしてやろう」
「「 やったー! 」」
え、いいの!? じゃあ『アームズ・ホール』をもう一枚買えるね!
ということでお会計してと。
「また来てくれよ嬢ちゃんたち。今度は負けないからな!」
また来るよ。今度も勝つからね!
さてさて。『銀龍の轟咆』と『アームズ・ホール』が二枚ずつ買えたから、大分強くなるよ。
「ありがとう師匠!」
「ありがとうございます師匠!」
うんうん……うん? 師匠?
「だって強くてクールでカッコいいし!」
「私たちに色々教えてくれるから……ダメ、ですか?」
うん、名前が無いから呼びにくかったよね。別に悪口じゃないし良いよ。首をふる。
警察さんはガキんちょとか呼んでくるから、それに比べたらね。
「やった! これからも一緒に遊んでね! 約束だよ!」
「やった! これからも色々教えて下さい! 約束です!」
うん、約束! 指切りげんまん! 今日はもう帰るけど、また遊ぼうね!
ばいばい!
「「 ばいばーい!」」
「……行っちゃったね」
「うん」
今日は日曜日。明日から五日間はまたあの地獄を見る事になる。
今までは絶望しか無かったけれど、今は師匠という光が出来た。
希望が、出来た。
自分たちには永遠に訪れないと思っていた、あの優しい世界を見せてくれた。
だから生きていられる。また会いたいと思うから。
「帰ろっか」
「うん」
二人は、買ってくれたカードをしっかりと握った。
『スリーマー』
リバースしてバーンダメージで勝利を目指すカテゴリー。
『スリーマー』モンスターはリンクモンスター含めて一切の攻撃が出来ない。従って勝つためにはどうにかしてバーンを与えていくか、その高い守備力を活かして『エクゾディア』や『ウィジャ盤』、『終焉のカウントダウン』等の特殊勝利を狙う必要がある。