「GM
うぐ……デッキトップはメタファイズ・ネフティス。
「うむ、セットさせてもらう。続けて
うわ、だから勝手に取らないでよ! ……しかもよりによってピン刺しのメタファイズ・エグゼキューターを捨てられるなんて……。
「終わりだ。QurとHywでダイレクトアタック!」
うぎゃー! 負けたー!
うぅ……せめてアシンメタファイズさえくればぁ……。
「ふぅ。今回は手札事故か?」
頷く。
警察さん、やっぱり強いなぁ。最初のデュエルから一回も勝てない。っていうか全体的にGMのモンスター効果当てすぎなんだよ……じゃなきゃ手札ボロボロの状態からスタートしないのに……。
サイレントか破壊剣なら墓地発動あるけど、メタファイズと罠モンスターは無いんだよね。まあ罠モンスターは封印なんだけど。
「お前、少しは手加減しなよ。
つーか手札無くさせるとか……
かわいそうに。こ
れじゃあデュエルと呼べないよ」
「む……ボロクソ言うじゃないか。そういうカテゴリーなんだから仕方無いだろ」
変な話し方の女の人は川内
クリストロンを使ってるらしいんだけど……デュエルしてくれない。なんでだろ?
「さーて休憩終わり、だ」
「やらなきゃいけないのが溶岩
だまりみたいに
なってるからね……」
二人ともお仕事頑張ってね! ……僕はどうしようかな。正直やることが無いんだよね。
うーん。まぁ散歩でもするかな。
「へっへっ、こっち来いよ!」
「いた、いたい!」
「やめてよ!」
とある小学校。その近くの路地裏にて。三人の男子が一人の、だが二人の少女を無理矢理引っ張っていた。
だがそのうち一番身長が低い男子はビクビクと怯えており、もう一人は嫌そうな顔をしていた。
「ね、ねぇ涼。あんまりこれに関わらない方が良いって……」
「は? なんだよ
「いやそうだけどそうじゃなくてさ……」
洋司と呼ばれた男子は気味悪そうに少女を、佐藤姉妹を見ていた。本当の所、彼は二つの頭を持つ化け物に関わりたくないのだ。
だがいじめの主犯である涼は違った。
「はぁ、ほんっとお前……ま、いいか。洋司なんかよりも、おい化け物。なんでお前みたいな化け物が『アームズ・ホール』みたいな
涼は佐藤姉妹を蹴ろうとするが既に姉妹は逃げ出していた。涼が洋司と話している間に逃げ出したのだろう。
涼はイライラと地団駄を踏む。
「くっそ! 何やってんだ豆野郎! 探してこい!」
「え、で、でも昼休み終わっちゃうんじゃ……」
「うっせぇ行ってこい!」
豆野郎と呼ばれた男子は慌てて駆け出す。
佐藤姉妹は身体能力が低い。頭が二つもあるからかいつもフラフラとしていて走れない。せいぜい速歩き程度、きっとすぐ近くに居るはずだ。
ちなみに握力も左右で変に偏る。しかも毎回強さが変わる。
それと、テストも他の人と別の部屋でやっている。そのせいで良い点数をとっても周りからはズルいと思われている。二人がかりで相談しながらテストを受けているのではないのか、と。
そしてデュエルも、カテゴリー的にそれなりの速さはあるのだが如何せんステータスが低く、あまり戦績はよくない。
よくなかったのだ。先週までは。
「見つけた……!」
特徴的な頭は学校に後頭部を向けていた。それを見た豆野郎―――種田は足を止める。
捕まえるのを諦めたのではない。捕まえなければ涼に殴られる。それは嫌だ。
単に捕まえるだけではなくついでに家を見つけてしまえ、と……まさしく悪魔のささやきが頭の中をよぎったのだ。
種田はいじめられたくない。いじめるのも嫌いだがいじめられるよりは断然いい。
あの姉妹は、種田がいじめられない為の『スケープ・ゴート』なのだ。
「……」
もはや午後の授業に遅れるかもしれないというのは種田の頭の中から消えていた。
「ねぇ真加。学校戻らなきゃ」
「戻りたくないよお姉ちゃん……そうだ、師匠の所に行こう」
「師匠の……うん、そうだね!」
(師匠? もしかして、その師匠って人があの姉妹に『アームズ・ホール』を上げたのか?)
種田は姉妹を追跡する。ちょっとだけ距離をおいて、こそこそと隠れながら。
だが姉妹に見付からないようにするため、その他の人には見られてしまう事が頭から抜けていた。
その結果。
「あ、師匠ー!」
(あ、二人ともやっほー……ってなんか居るー!?)
こうなる。
(えっとえっと、えー)『後ろにいるのはお友だち?』
「え?」
「後ろ?」
佐藤姉妹が遂に後ろを向く。種田は慌てて電信柱の後ろに隠れるが時すでに遅し。
「「 なんか居るー! 」」
「げっ!」
種田は見つかってしまったが、逃げるかどうするか混乱して決められない。決められるならパシリのような立場にならない。
「あー、でも、その、種田君は……」
「友だちではないです」
(ふーん……)『そうなんだ』
無表情にこてんと首を倒す師匠を、姉妹は見れない。この優しい師匠に「私たちいじめられてます」なんて言いたくない。
しかし、棒立ちしてた種田は我にかえる。姉妹からは逃げられるだろう。だがあの無表情に文字を書いていく訳の分からない人形のような人間―――種田には人間のような人形に見える―――からは逃げれる気がしない。
だがあれが師匠だというならば。
「そ、そこのお前! 俺とデュエルしろ!」
(へ?)
「へ、へへへ……お前のデッキ、きっとレアカードばっかりなんだろ? 俺が勝ったら、そのデッキを貰ってやる!」
(は?)
「「 え? 」」
見知らぬ子のあんまりな言葉に師匠は姉妹ともども困惑する。
だが種田はそんな困惑など気が付かずにデュエルディスクを構える。それを受けて師匠もディスクを構える。
その態度は全く動揺していないように見えて、逆に種田が動揺する。実際は顔に出ていないだけなのだが。
「し、師匠!?」
「大丈夫なの!?」
(うん、大丈夫……かな?)
「俺の先攻だ! 『
(デュアルかー。確かに召喚権増えるし『惑星探査車』でもいいのか)
師匠は心の中でうんうんと頷く。デュエルが始まってしまえば集中できる。
「『化合電界』発動! これの効果を適用してデュアルモンスターを召喚できる……『デュアル・ソルジャー』を召喚」
緑色の服を着た小さな戦士が現れる。
種田は少し相手の様子を伺う。そこにはずっと変わらない無表情。
「 カードを2枚セットして装備魔法、『スーペルヴィス』を『デュアル・ソルジャー』に装備してターンエンド!」
「ドロー」
装備魔法によって少し大きめのダーツが戦士の手に現れる。
師匠は手札を見て、ちょっと考えてからモンスターを召喚する。
「『マスマティシャン』。『
たっぷりと髭が生えたおじさんが現れ、デッキから物々しい鎧の戦士が墓地へ送られる。
直後におじさんは光と共に消え去る。
「なっなんだ?」
「『沈黙の魔術師―サイレント・マジシャン』」
魔法使いをリリースすることでのみ特殊召喚可能な女性が光の中、降り立つ。
「ウルトラ、レアカード……」
種田が茫然と呟くが、相手には聞こえていない。
(『デュアル・ソルジャー』は一回戦闘破壊できないし、バトルする度にモンスターが増えちゃう……となると)
「『愚かな埋葬』。『
ピエロが墓地に送られ、直後にフィールドに現れる。だがその際の爆発で師匠はダメージをくらう。……が、それも展開に必要なもの。
「『H・C サウザンド・ブレード』」
「うっ……レベル4が2体」
「師匠がエクシーズ?」
「見たことないけど……」
姉妹の言う通り、エクシーズ召喚はしない。物々しい鎧が光とともに消え去る。
「また!」
「『沈黙の剣士―サイレント・ソードマン』」
光の中から現れたのは剣を持ったイケメン。ちなみにソードマンもマジシャンもレア度はウルトラレアだ。
攻撃の手は止まらない。
「『沈黙の剣』」
「なっ、攻撃力が!」
サイレント・ソードマン専用の魔法により、攻撃力が1500もアップする。しかもこのターンだけとはいえ相手の効果に完全耐性を得ている。
これで師匠の手札は1枚。そして種田の手札は0枚。
「バトル。『サイレント・バーニング』」
「っ! ……え?」
種田は唐突に使われた魔法カードに警戒するが、直後に6枚ものカードがドロー出来る事に気付く。
「どういう……ドロー!」
「ドロー」
お互いに6枚ドローし、手札が6枚になる。
『サイレント・バーニング』は相手よりも手札が多くなければ発動すら出来ないが、手札から発動する場合は自身も1枚として数える。よって発動可能。
「『沈黙の魔術師―サイレント・マジシャン』、サイレント・バーニング」
「『月の書』だ!」
月の光がマジシャンへと降り注ぐ。本来ならばそのまま眠りへと
「『沈黙の魔術師―サイレント・マジシャン』」
「な、無効化!? うああっ!」
『月の書』はサイレント・マジシャンによって無力と化した。
そして戦闘破壊されずとも戦闘ダメージは通る。種田は3500ものダメージを受ける。
「いったた……だけど、『デュアル・ソルジャー』の効果! デッキから『ミニマミー・ナッツ』を守備表示で特殊召喚!」
『ミニマミー・ナッツ』
レベル1 地属性 植物族 デュアル
ATK500 DFE300
①このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
②フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。
その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●1ターンに1度発動できる。手札からレベル2以下のデュアルモンスター1体を特殊召喚する。
地面からちょこんと種が現れる。コミカルな目がついているのが人によっては気持ち悪いかもしれない。
(知らないカード……でも『デュアル・ソルジャー』を残しておきたくないし……)
「『沈黙の剣士―サイレント・ソードマン』、沈黙の剣」
「うわぁっ!」
種田に更に2000のダメージ。残りライフは、2500。
(……あっ、もう少し削れたじゃん)
墓地の『サイレント・バーニング』と『沈黙の剣』は除外することでサーチを行える。よって『沈黙の魔術師―サイレント・マジシャン』の攻撃力を更にあげられた。
(まあいいか)
「『デュアル・ソルジャー』の効果! 『ミニマミー・ブルドック』を特殊召喚!」
『ミニマミー・ブルドック』
レベル1 地属性 獣族 デュアル
ATK800 DFE0
①このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
②フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。
その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●手札を1枚捨てて発動できる。デッキからレベル2以下のデュアルモンスター1体を特殊召喚する。
爆発の跡に現れた子犬は、少し咳き込んでいる。
「更に『スーペルヴィス』で『デュアル・ソルジャー』を蘇生! 残念だったね!」
「メイン2、セットセット。ターンエンド」
カードが2枚セットされてターンが移る。スタンバイフェイズにサイレントソードマンの攻撃力が上がり、3000となる。
攻撃力3000のモンスターが2体、更に優秀な壁モンスターが1体。
だが種田の手札は7枚もあり、モンスターも3体。更にセットカードも1枚残っている。
「なら……『フォース・リリース』! 俺の場のデュアルモンスターを全てデュアル状態にする! 」
(いくらなんでも実質3体召喚はだめ!)
「『沈黙の魔術師―サイレント・マジシャン』」
「そこだっ! チェーンして『サモン・チェーン』!」
「……『沈黙の剣士―サイレント・ソードマン』」
「それも!?」
地味に危ない場面だった。種田がサイレントたちの効果を知っていれば、止めきれなかったかもしれない。
しかしこれでこのターン、師匠は魔法を止められない。
「ぐぐ……『化合電界』の追加召喚権で『ミニマミー・ナッツ』を再度召喚。効果発動! 手札のレベル2以下デュアルモンスターを特殊召喚! 『ミニマミー・エンジェル』!」
『ミニマミー・エンジェル』
レベル2 光属性 天使族 デュアル
ATK1400 DFE200
①このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
②フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。
その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●墓地のカード1枚を除外し、自分の墓地のレベル2以下のデュアルモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
「更に『ミニマミー・デビル』を召喚!」
『ミニマミー・デビル』
レベル2 闇属性 悪魔族 デュアル
ATK1500 DFE100
①このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
②フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。
その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●除外されているレベル2以下のデュアルモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
「永続罠、『ミニマミー・クリーニング』を発動! 『ミニマミー・ナッツ』を通常モンスターに戻して攻撃力をアップだ!」
「『王宮のお触れ』」
「えぇっ!?」
『ミニマミー・クリーニング』
永続罠
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。
①再度召喚されたモンスターを任意の数選択して発動できる。そのモンスターを通常モンスター扱いに戻す。その後、この効果を受けたモンスターの攻撃力をレベル×100アップさせる。
②デュアルモンスターの戦闘で自分が戦闘ダメージを受けた場合に発動できる。デッキからレベル2以下のデュアルモンスター1体を特殊召喚する。
「そんな……ターンエンド……」
「ドロー」
(そ、そんなに意気消沈しなくても……)
心の中でめちゃくちゃ焦りながらも、全く顔には出ない。
スタンバイフェイズにサイレントソードマンの攻撃力が更に上がり3500となり、手札5枚によりサイレントマジシャンの攻撃力も3500となる。
そして、種田のモンスターたちは全て低ステータス。
「バトル」
デュエルの勝敗は決した。