私も(主にGE2及びRBの)ストーリー以外は大好きですよ。
ちなみに先に言っておきますが、私ギルくんのことGE2の中では男キャラでハルオミさんの次ぐらい普通に好きなので他意も悪意もありませんので悪しからず。
直線距離で9000kmと少し。海路でどれぐらいかはよく分からないが何倍かの距離にあるグレートブリテン島のグラスゴー周辺に俺とアヤメちゃんは居た。
『中身ヨリ、ガラス瓶ガ旨イナア』
朝食にOアンプルをボリボリ噛み砕きながらそんなことを呟いた。ガラス瓶は厚いミートパイ生地みたいな味がするのだが、中身は薄いチキンスープのような味である。不味いというか皮しか旨味のない大福でも食べているような気分だな。
ちなみにアヤメちゃんは朝早いので、まだ男性体の中で寝ている。今更ながら俺からすると自分の身体の中に誰かが物理的に入っているというとんでもない感覚を味わっているのだが、もう慣れたものである。
ここがイギリスであり、ボルグ・カムラン発生の地である。カムラン先生……ペイジには本当にお世話になりました……。
聖地巡礼の話は一旦置いておき、ここに来た目的はケイトさんを助ける為である。最悪、赤いカリギュラを俺がブチ殺して終わりにしようと考えていたが、俺が感応種という嬉しい誤算があったので極力原作に沿いたいところなのだ。
理由としては、あのGOD EATER 2のクソシナ――おほんシナリオに矛盾が生じない程度にするように注意しなければならないな。バタフライエフェクトでラケルてんてーの晩餐が実現しちまったら敵わん。
『何ヲ目印ニスルカナ』
フェンリルのマークがあるグラスゴー支部らしきものは確認できたが、それだけだとやはり弱い。
まあ、確かグラスゴー支部はゴッドイーターがケイト、ハルオミ、ギルの3人で回しているという稼働率何%だよと言いたくなる状態だったハズである。なので出て来たゴッドイーターがいればその3人の誰かなのだが、流石にヘリコプターなどで移動しているゴッドイーターを陸上で追える自信はない。
だったら場所に目印を付けたいところだが、流石にそこまでは覚えていない。
となると――。
『カリギュラ探スカ』
赤いカリギュラを探すことが一番手っ取り早いであろうと思い立ったので行動に移すことにした。
『出テオイデ』
俺が手に集めたオラクル細胞を地面に落とすと、そこからにょきりと戦艦棲姫ことダイソンが一体生える。正確には赤黒いリンクバーストみたいな光が捻れたと思ったらいつの間にか出現しているが、結果は同じなのでどちらの表現でもいいだろう。
しかし、ダイソンちゃんには俺と違って意思がないのか、目に光がなく、人形のように大人しい。まあ、俺からするとチョウワンと変わらないポジションなので仕方ないか。いや、寧ろ意志があった方が後で壊す時に尾を引きそうなのでこれでいいかもしれないな。
ついでにグラスゴー周辺にも計3体クアドリガがいるようなのでソイツらにも協力してもらうか。やっぱり
俺の感応種としての能力はこのようにダイソンちゃんを形成することと、機械系アラガミの支配種であることのようである。まあ、機械系アラガミがほぼいないので必然的にクアドリガの王みたいな状態である。沢山呼んでマップを埋めよう!
『速イナ』
俺から一番近くに居たクアドリガがガシャガシャウィンウィンと機械音を立てながら走ってくると、俺の目の前で止まり、こちらを見据えて指示を待っているように見えた。
やっぱりクアドリガってちょっと可愛いよなあ……こうずんぐりむっくりしてるクセに動きが機敏というか、しゃかしゃかしててなんかこう和む。伊達に俺がゴッドイーターで一番好きなアラガミではないな。
『ンー……』
そういえばふと疑問に思ったのでダイソンちゃんを眺めてから、ダイソンちゃんを作るときに収束させたオラクル細胞の塊をもうひとつ手に生み出してみた。
そして、目の前のクアドリガを見つめてふと思う。
これ……クアドリガにやったらどうなるんだろうな?
残り2体のクアドリガが来るまでの暇潰しに、遊び半分でクアドリガに与えてみることにした。
◆◇◆◇◆◇
現在、全身が赤い奇妙なカリギュラと、二人のゴッドイーターが対峙している。
正確には片方の女性ゴッドイーターは既に深手を負っており、戦闘ができる様子ではない。更に女性の神機は赤いカリギュラの肩に突き刺さっていた。
「くそッ……ケイトさん!」
まだ、戦闘が可能な神機使い――ギルバート・マクレインは自身の上官であるケイト・ロウリーの安否を確認する間もなく、赤いカリギュラと対峙していた。
「うおぉぉぉ!」
ギルバートは赤いカリギュラにスピアで突撃を仕掛ける。しかし、赤いカリギュラはその巨体からは想像出来ない程の身のこなしでそれを回避した。
避けられたことに驚き、呟こうとしたギルバートであったが、それ以上の事態に目を見開く。
「な……!?」
赤いカリギュラは反転し、
空を舞う赤い巨体と、眼前に迫るブレード状の腕。
既に明らかに回避が間に合う状況ではなく、ギルバートの脳裏には自身が慕う上官にして仲間である夫妻の姿が浮かんだ。
「ケイトさん……ハルオミさんッ!」
その直後、赤いカリギュラの顔面にトマホークミサイルが突き刺さった。
『――!?』
空中にいた赤いカリギュラは、驚いたように絞り出されたか細い声を上げ、爆風によって派手にきりもみ回転をしながら吹っ飛ばされ、近くの岩山に衝突した。
異様な事態に唖然とするギルバート。赤いカリギュラを見れば直撃を受けたために岩山で身を投げ出すようにダウンをしていた。
そして、トマホークミサイルが飛んできた方向を見ると――。
"横一列に3体のテスカトリポカが並んでいた"
「なん……だと……?」
緑の全面装甲に巨大なキャタピラ。金の骸骨のような頭部に円盤が乗った姿は紛れもなく、クアドリガの上位種。テスカトリポカであった。
ひとつの街を一瞬にして廃墟にしてしまう程の火力を秘めたアラガミが3体。極東支部ですら中々お目にかかれない光景だ。
『――――――!』
そんな中、ダウンしていた赤いカリギュラが立ち上がり、テスカトリポカ達を見据えて咆哮をした。心なしかその顔には怒りが浮かんでいるように見える。
『少シ黙リナサイナ』
するとギルバートの耳に機械音と合わさったような女性の声が聞こえ、更にその直後、赤いカリギュラの頭上に3つの黒い輪のようなものが出現し、その中から大量のトマホークミサイルが降り注ぎ、赤いカリギュラを爆撃し続ける。
「ぐぅ……!」
あまりにも凄まじい爆風に飛ばされそうになりながら、ケイトのことに意識を向けたギルバートは、ケイトの元へと向かい抱き起こした。
「ケイトさんッ!」
「ギル……ダメ……私を置いて逃げて……ッ!」
状況を理解したケイトはギルバートに願いを口にする。その表情は破損した腕輪から染み出した偏食因子に蝕まれているということが見て取れる。
『――――――!!!!』
テスカトリポカの爆撃の中から飛び出した赤いカリギュラ。それはそのまま一直線にテスカトリポカ達――の足元にいる人型の存在へと飛び掛かり、ブレード状の腕が襲った。
『アナタノ役目ハオシマイヨ』
人型の存在は身体を後ろに倒し、水平に薙ぎ払われたブレードを避ける。
そして、カウンターとして赤いカリギュラの顎に人型の存在の蹴りが炸裂した。
『――――!!!?』
想像を絶する破壊力であったらしく、赤いカリギュラの顎ごと頭が浮き上がり、突き抜けた衝撃が頭部の結合崩壊を引き起こさせた。
そして、再びすぐに赤いカリギュラの頭上にトマホークミサイルの発生予兆が現れたことで、赤いカリギュラは身を翻し、何処かへと跳び去って行った。
『面白イ事ニナッテイルワネ?』
そして、ギルバートとケイトは目の当たりにした。
『私モ混ゼテ』
3体のテスカトリポカを従えるように先頭に立つ、アルダノーヴァ神属感応種"ニライカナイ"の姿を。
「ぐっ……!?」
すると次の瞬間、背後からギルバートは弾き飛ばされて地面を転がる。
「なんだ!?」
顔を上げると、ケイトを肩に担ぎ上げ、こちらの方を無機質な瞳で見つめるニライカナイによく似た女性体の姿があった。
「"オボツカグラ"……!?」
それはニライカナイの能力の一端にして、第一種接触禁忌種アラガミ、オボツカグラ。
肩に担ぎ上げられたケイトは腕輪の破損による侵食のためか、意識を失っており、少しずつ全身を偏食因子が蝕んでいた。
「何が――!?」
『ダッテソノ人モウ死人デショウ? ナラ私ガモラッテモ構ワナイワヨネ』
「な……」
気付けば自身の眼前、2m程という場所にニライカナイの女性体が立っていた。何が可笑しいのか笑みを浮かべており、口元をたまらないといった様子で歪めている。
スピアを伸ばせば簡単に届く距離。しかし、ギルバートは攻撃出来なかった。
『イイ子ネェ、ソレデイイノ、ソレデ』
ギルバートの頭上で、テスカトリポカのトマホークミサイル発生の輪が3つ出現しており、ニライカナイがギルバートに向けて八の字を切っている指を下ろせば即座にあの爆撃が降り注ぐことを理解したからだ。
『ドウセ、死ヌナラ
それだけ言うとニライカナイはギルバートに背中を向けて歩き出した。それに付き従うようにテスカトリポカは攻撃待機を止め、ニライカナイを守護するように前方と左右方向にそれぞれ立ち、ニライカナイの速度に合わせて進む。オボツカグラはケイトを肩に担いだままいつの間にか先頭のテスカトリポカの背に乗っていた。
「ま、待て!」
ギルバートは神機を再び構え、ニライカナイの背中にスピアの矛先を向ける。何故か、女性体は男性体を離れた位置に置き、ギルバートから見える位置に立っているため、容易に狙うことが出来た。
『アア、ソウソウ』
するとニライカナイの女性体が足を止め、それに従い、全体も足を止める。そのまま、ニライカナイは振り向かず、ギルバートに最後の声を掛けた。
『ヲ仕事、オ疲レ様。
ギルバートはその言葉を聞いて放心した。返す言葉も力も、このスピアを構える意思すら彼の心から抉りとられたのだ。
ケイトの婚約者であり、ギルバートの先輩ゴッドイーターである真壁ハルオミがその場所に到着した時――。
そこに残っていたのは血が滲んでも尚、地面に拳を打ち付け続けながら涙を流し慟哭するギルバートの姿だけであった。
この事件の後、ギルバート・マクレインは事実をそのまま報告したことで査問委員会に掛けられた。
しかし、ケイト・ロウリーの腕輪に付いた位置情報機能が事件後に消失したこと、ニライカナイがテスカトリポカ3体を連れている姿が頻繁に確認されるようになったことなどから、ギルバート・マクレインの眉唾な報告は真実と捉えられ、第一種接触禁忌種の規定から考えても行動は適切であったとの見解が出された。
しかし、ニライカナイをデータ上でしか知ることのない者らは、彼を後ろ指を指してこう嗤った。
見殺しのギルバート――"アバンダン・ギル"と。
ちなみにこの赤いカリギュラさん諸事情により、原作の赤いカリギュラの数倍強く、好戦的です。多分、現時点で普通のカリギュラぐらい強いですね。
クッソ話のペース速い気がしましたが、PS4で配信してるGE2RBを始めからしていたら久し振りに――。
レア
件名:たすけて
からの超高速フラグ回収を目にし、私の小説は全然話のペースは速くないんだなととても自信が付きました。相変わらずGE2はストーリーが逆に高度なギャグなんじゃないかといつも思いますねぇ……。