夏目の家に止まった翌日、冬児を驚かせようと作戦を立てていた。
「じゃあ、俺が北斗ってお前を呼ぶから、お前はそういう反応をしておけ」
「そ、そんなので大丈夫ですか?」
「で、『冬児は何言ってんだ』と反応するだろうが無視だ。北斗として接してくれ」
「いや、バレると思いますけど・・・・・」
「くくく、大丈夫だ」
花火大会に相応しい快晴だ。
祭り会場は、市の外れにある神社と、その裏手の河川敷。立ち並ぶ屋台と祭り客の熱気のせいか、余計暑く感じる。
「よ、早いな冬児」
「春虎か、北斗は・・・・・まだのようだな」
「ま、時間が掛かるんじゃね?」
「そうだな」
たわいの無い会話をし、いよいよ夏目の登場だ。
「ごめ~ん、待った? 春虎、冬児」
「いや、そんなに待って無いぜ」
「おい、春虎、これはどういうことだ?」
「は? どういうことって?」
夏目を指差す。
「こいつのどこが北斗なんだ!!」
「冬児ひどいよ。僕の顔を忘れるなんて・・・・・」
「大丈夫か? 眼科に行こう」
冬児は焦っている。
「だ、大丈夫だ」
「本当か?」
「ふ~、落ち着いた」
「でも確かに見違えたな。似合ってるぞ」
「えへへ、ありがとう」
夏目の服装を誉める。
夏目は黒の下地に白い牡丹と金色の蝶をあしらい、帯は品のあるピンク色といったスタイルだ。
冬児はおかしいと首を捻っている。
「さて、三人揃ったことだし、行くか」
三人一緒に歩き出した。
「ねぇ、春虎、あれ何?」
「金魚掬いか。よし、やるか」
と、夏目と自分の金額を出し、ポイを買う。
「よ~し、いっぱい取るぞ~」
「落ち着けよ。こういうのは相手の動きを読んで掬うんだ」
暗殺と同じだ。
「あ、破けちゃった」
早速ポイが破れた夏目
未だ冬児は首を捻っている。
「は~、仕方ないな」
一番大きな獲物の動きに合わせ、油断させ大胆かつ繊細に掬いあげる。
「っと、こんな感じだ」
受け鉢にはデメキンが泳いでいる。
「おお~、親父、もう一回」
夏目はもう一回挑戦していた。
「ね、見た!? 金魚を掬いあげるとこ」
「見た見た、よくやったな」
「・・・・・」
「あ! あれ何? 初めて見る!」
指差す方向には射的屋がある。
「射的か、それもやるか」
「じゃあ、あれ取って! あれ!」
そこには、リボンの箱があった。
「取れなかったら諦めろよ」
「いいから、取って」
店主に金を払いオモチャの銃とコルクを受け取る。
パン、と撃つが外れた。
弾道、速度等が解った。
「っと」
二発目は、当たるも、倒れなかった。
質量等を予測し当てる場所を決める。
パン、三発目、見事に景品を撃ち落とした。
「ふ~、疲れるな」
景品を受け取り、夏目に渡す。
「ありがとう、春虎」
「どういたしまして」
夏目はリボンを外し、自分の髪を括る。
「どう?」
「可愛いな」
率直な感想を言う。
「えへへ、ありがとう」
夏目が本当の笑顔を見せる。
感想ありがとうございます。
心配してくれてる方々。大丈夫だ。問題無い。ご都合主義とか、補正やら神(作者)の気まぐれやらでなんとかする。