できる夫はカードを探すようです   作:置き物

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今回から原作とリンクする所が少しずつ出てきます。


三つの勢力

「あんたか?俺をゲインしてくれたのは。」

 

白銀の剣士が問いかけてくる。

 

「ええ、僕が貴方を手に入れたんです。」

 

「じゃあ一つ聞くぞ。あんた人を守りたいって思いはあるか?」

 

「ー!!」

 

ブレイドに問われ改めて思い出す。大切なあの2人のことを。

 

「…守りたいですよ。僕を救ってくれた!あの2人のことを!」

 

誰かを守りたい思い。その思いに偽りはない。例えそれを発する対象が人であっても、カードであっても。

 

「俺のレアリティは低いかもしれない。だけどそこにいる人や、誰かを守りたいって思いはどのカードにも負けやしない!」

 

「…!」

 

「倒そうぜ、マスター!あの敵を!」

 

「はい!行きますよ!」

 

マスターの声に合わせてブレイドは走り出す。それに気づくエネミーはブレイドを自らの敵であると判断し、狙いをできる夫から目の前の剣士へと変更する。

 

「たぁっ!」ガキィン!

 

勢いよく振りかざされた剣は衝突音は出し、エネミーを斬る。

 

「カロ…!」

 

だが、エネミーも黙ってはいない。のぞけった後すぐさま体勢を立てなおし、そのままブレイドの胸部を狙う。

 

「そうはさせませんよ!マジック『レンガ壁』!」

 

そう叫んだのち、ブレイドの前にレンガの壁が現れる。

マジック。使い切りではあるがマスターやカードを有利にするカードであり、スキルと並び各マスターに重宝されている。

エネミーのパンチは物の見事にレンガの壁によって防がれた。同時に壁も崩れ落ちる。

 

「ありがとなマスター!」

 

再びブレイドはエネミーに斬りかかる。その剣は相手の胴体にヒットし、流石に耐えられなかったのかエネミーは軽く後退し、転倒する。

 

「…カ…」

 

「明らかに弱っているーこれなら!」

 

勝利へと近づくできる夫。そして、彼はふとあの声の事を思い出した。

(スキルカードは私からの餞別だ。)

 

「スキル…」

 

彼はブックにあるスキルカードを手に取る。

『スペード4 ボアタックル』

(これが彼のメインスキルのようですね…)

 

「ブレイド!メインスキルであのエネミーを倒します!やれますか!」

 

「あたりまえだ!やってくれ!」

 

マスターとカード。お互いがお互いの為に闘う。

出会ったばかりではあるがお互いを信頼していた。

 

「ブレイド!メインスキル!」

 

カッ、とスキルカードが光る。それと同時に手元にブレイドにカードが現れる。ブレイドは使い慣れた手つきで剣のホルダーを開き、カードを入れる。

ブレイドが使用している剣。これはブレイラウザーと呼ばれ、剣としても使用するが真価を発揮するのは特定のカード・「ラウズカード」を差し込んだ時である。

ブレイラウザーがピピピピ…と鳴る。ブレイドは構えを取る。剣先をエネミーに向けた彼は、そのまま突進する。

激しい衝突音と共にエネミーは吹き飛ばされ、そのまま光となり、消滅した。

 

「やりました…やりましたよブレイド!」

 

「ああ!マスターのおかげだ!」

 

初めて一緒に闘うはずである2人は最初から良いコンビネーションを見せていた。

エネミーの消滅と共に都市部も消え、元の遺跡へと戻る。

 

「さて…ブレイド。地上まで護衛をお願いします。」

 

「分かったマスター。俺が地上まで守るぜ。」

 

ー『アダムの林檎』ー

 

「できる夫君…あれから数日だけど大丈夫かしら…」

 

「アイツは強い意志を持っている。そう簡単にくたばりはしないさ。」

 

ノートパソコンを弄りながら雑賀はマギーに返答する。

 

「そうね…できる夫君はちゃんと帰ってくるわよ!…ところでさっきから何を見てるのかしら?」

 

「ん?ああ。最近また事件が起こってるんだ。」

キーボードを叩き、検索すると彼はパソコン画面をマギーの方向へと向けた。

「えーっと、

ー『大社』の領土で破壊工作。『ファウスト』の仕業と見られる。ー

最近『ファウスト』の関連が多いわね…」

 

大災害後、世界は3つの勢力に別れ混沌を極めていた。

かつて大災害で甚大なる被害を受けた国。唯一被害を間逃れた土地があった。

そこで立ち上げられた組織、それが『大社(たいしゃ)』である。かつてその国で絶大的な力を持っていたと言われるマスター『現神(あらがみ)・麻呂』。

その権威を受け継ぎ、女神無き世界では現神こそがこの世界を導くリーダーとして相応しいという理念を持った組織である。この理念はその国だけでなく、別の国の一部にまで支持されている。

そして、『ドーマ』。大社とは違う国で現れた女神以降の新しき神を立ち上げ、信仰する組織。

ドーマの理念。それは人の心の闇を取り除くことにより、人間同士の争いを無くすという事を掲げている。

だが、この2つの組織はお互いの神を認めあわず、遂には戦争を引き起こした。

この組織が戦争を始めてから二十年余り。

決着は依然つかないままである。

 

「大社やドーマ。この2つの組織は十数年前から活動を広げていまに至っている訳だが問題は…」

 

「ファウストね…」

 

ファウスト。ここ数年で発足した第三勢力。

最初は小規模な組織と見なされ、取るに足らぬ相手だろうと大社、ドーマ共に見過ごしていた。

だが、急速に発達を遂げたファウストはこの2つの組織と並ぶ勢力にまで成長を遂げた。

 

「奴らの行動理由は不明。まったく…不気味すぎる。」

 

「大社やドーマの領地でカードによる侵略を始めるかと思ったらすぐ撤退したりして、一体何がしたいの…?」

 

二人が話す中、突然店の扉が開いた。

 

「できる夫君!?」

 

マギーはとっさに振り向く。だが、そこにいたのは彼が望んだ人物ではなかった。

 

「へぇ~こんな田舎にも結構よさげな飲み屋があるじゃねぇか。」

 

その男は例えるならば原始人のような毛皮の衣服を着ていた。大災害後ならまだしも復興してからこんな格好をする人間はいないだろう。

 

「…店は夜からよ?CLOSEって掛札見てなかったのかしら?」

 

「何ィ?この最強のハンター…ゾンゲ様が来てるんだぜ!店を開くのが当然だろ!なぁ、お前ら!」

 

ゾンゲの背後には二人の影があった。

 

「そうですよね~ゾンゲ様!」

 

「いや、あんた読めなかっただけだろ…」 

 

二人のお供らしき人物。格好はほとんどゾンゲと一緒であった。片方はゾンゲの意見に賛同し、もう一方は呆れた顔をして、小声でぼやいた。

 

「とにかくよぉ 俺は酒が飲みてぇんだ!マスター 一杯くれねぇか!オオ?」

 

(はぁ…こういうお客さんにはさっさと飲んで帰ってもらう方が得策ね)

 

「ハイハイ、お酒なら出してあげるからそこで待ってなさい。あと、私はマスターじゃなくてママよ。」

 

「おうよ、マスター」

 

(話聞いてないわねこの人)

内心で呆れつつ、マギーは適当な酒の瓶を取り出していた。ゾンゲは周りを見渡すと雑賀に向かって話しかけてきた。

 

「なんだ。俺に用か?」

 

「おうおう。酒が来るまでの少しの間よ、俺様の武勇伝を聞かせてやろうじゃねぇか。」

 

「…まぁ、手短にな。」

雑賀もマギー同様断ったりすると面倒くさそうな相手であることは分かっていたので多少我慢してでもこの男の話を聞くことにした。

ゾンゲは軽く咳き込んでから、

 

「聞かせてやる!このゾンゲ様のォ!迷宮冒険譚を!」

 

単刀直入に言うと、ゾンゲの話はつまらなかった。迷宮に行ったことは確かなのだが、僅か二層で引き返してきた事を自慢げに話し、そこで手に入れたカードを見せびらかしてきた。

 

「どぉだぁ?HNの『ガララワニ』だ!すごいだろ!」

 

「ん?あぁ…」

 

(ガララワニは戦闘用のカードじゃないんだがな…コイツ本当にハンターか…?)

 

「ゾンゲ様 こいつビビってますよ〜」

 

「だろうな!ここらへんじゃHNも珍しいって聞くぜ!俺様の武勇伝がまた一つ出来ちまった!」

 

「はいはい。武勇伝は分かったから早く飲みなさい」

 

マギーはゾンゲの武勇伝に付き合わされている雑賀を見てられず、助け舟に入った。

 

「おお、ありがとな!」

 

ゾンゲはグラスに入った酒を一気飲みする。

 

「ちょ…ちょっと…!バカ!」

 

「…こ…こりゃ…きついぜ…」

その言葉を言った後グラスを机に置き、ゾンゲはバタッっと倒れてしまう。

 

「今から言おうとしてたのに…『それアルコール度数の高いお酒だから少しずつ飲んでね 』って」

 

溜息をつきながらグラスをカウンター席へと持ち帰る。

 

「でどうするんだお前らは?」

 

「で…出ていきます…ご迷惑おかけしました…」

 

お供の二人はゾンゲの肩を担ぎ、出口の扉へと向かう。すると、ゾンゲの胸元から何かが落ちる。

 

「おい、何か落ちたぞ。…これは写真か?」

 

「いや、いいっす!申し訳ないですけどそれ処分してもらえますか。」

 

「なんなのその写真。何か問題でもあるの?」

 

「いや、ホントにつまらないことなんですけどね…」

 

「この間街で写真屋してるって奴にゾンゲ様が写真撮って貰ったんですけど何かあったらしくて写真を見る度に怒り狂ってたんですよ。」

 

「ほんと馬鹿だよなぁ…嫌なら捨てればいいのに…」

 

ブツブツと呟きながら彼らは『アダムの林檎』を後にした。

 

「雑賀くん、写真(アレ)お願いできる?」

 

「ああ。捨てるだけなら簡単だろ。」

 

テーブルの近くに落ちた写真を雑賀は拾う。

ふと興味からか、彼は写真を見る。

(なっ…!)

その時、雑賀の表情は一変した。

 

「何故…映っている…!」

 

その写真にはゾンゲが映っていた。だが、彼が衝撃を受けたのはそこではない。

ゾンゲの背後。そこにはブックを広げるマスター。そして、その手に握られているカードは『黄金の鉄の塊で出来ているナイト』だった。

 

To be continued…

 

 

 

 




11/02 一部修正しました。
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