イメージ次第で魔法が使えるなら、忍術(のマネ)もできるよな!? 作:一日の睡眠時間は10時間
「賢者の孫」の本編序盤で主人公がしていたことに焦点を当ててます。
「オレの仲間は絶対殺させやしないよ!」
by はたけカカシ
「賢者の孫」基準 シン・ウォルフォードが8歳の時
アールスハイド王国辺境、「フェイ」
ここは広さで言えば中規模程度、特定の領主がおらず昔ながらの[村長]が治めるこの村で、それはそれは大きな少年の声が響き渡る。
「ふぅっ!」
「まだまだ甘いぞ、息子!」
声の出所を探した先には、輝きの少ない銀と黒色が入った髪の男と、日に照らされて純白に輝く髪の毛の少年が一騎打ちをしていた。しかし、使っているのは各々の得物に近い形状の木の棒ではあったが。
「だったら・・・!」
「む!? フム、最早魔法の腕は俺の手に負えなくなったか」
少年が棒を打ち合った時の密着状態で空いた手の平を男に向けると、そこから炎が噴き出して男を焼こうと迸る。
先に解説すると少年が放ったのは「魔法」と呼ばれ、人によっては詠唱を詠んで発動させる者もいるが、この少年はそれを破棄した「無詠唱」と言う一段階上の手法で発動させているのだ。
その魔法だが、男はそれを難なく避けてしまう。
「だが発動の直後はすぐに動けないようだな!」
「しまっ・・・!」
男は避けた体勢から反転、常人では目で追いつけない速度で少年を翻弄し!
「はあぁ!」
「ぐあぁっ・・・!」
咄嗟に出した腕の防御を貫通する威力で男の振り下ろしを受けて、少年は足元の地面へと投げ出される形で倒れた。
男は棒を振り下ろした状態から緩く体勢を戻し、体の力を抜く。そして、
「む、しまった・・・。これではあいつに怒られる・・・・・・」
地面に倒れてそのまま気絶してしまった少年に気づき、先ほどまでとは打って変わって面倒くさそうな表情で空を見上げるのであった・・・。
・・・・・・少年&男 移動中・・・・・・
「こんのオバカ! あれだけやり過ぎるなって言ったのに、また性懲りもなく!」
「・・・・・・はい、すいません」
「あー、はは・・・」(これはまた、長くなりそう)
場所が変わって一軒の民家。そこでは今度、薄紫色の髪をした女性の怒声と男性の気落ちした返事、それと先ほど気絶していた少年の声が聞こえていた。
「だからまだ早すぎるって言ったのよ、そもそもこの子はまだ8歳なのよ? まだ年が二桁にもいかない子どもの内から体を動かし過ぎて、大きくなったときに傷が残ったらどうしてくれるのかしら!?」
「そ、そのときはお前の回復魔法で・・・・・・」
「「魔法なんて身体強化さえできてればいい」なんて言ってこの前黒こげになった人、正直に手、上げてくれるかしら?」
「・・・・・・・・・・・・ハイ」
「あっれー? 魔法どころか魔道具すら信じなくてお風呂も沸かせず、泣く泣く雪の降る季節に私に頼み込んできたのはどこの誰だったかしらー?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ、ワタシデス」
「そんなアナタが回復魔法を頼る!? はーこれはこれは、明日は雷の槍でも降ってくるのかしら? アンタの頭上にでも!」
「・・・・・・・・・(灰化」
「か、“母さん”? 俺も特に痕とか残らなかったんだし、もうその辺でやめて魔法を教えてよ?」
女性が男性に的確なお叱りと男性が過去にやらかした事をネタに傷を抉り続けて既に10分以上経ち、流石に聞いてられないと少年は男・・・少年の父親を庇う具合に、女性・・・少年の母親に魔法の修行をせがむ。
「あら、もうそんな時間? まあいいわ、じゃあアンタはそこで魔道具に使う魔力でも溜めてなさい! いい!? 少しでも動いたら下半身凍らせて固定するから!」
「ワカリマシタ、ドウゾ、ゴユックリ」
「あはは・・・」(父さん、ドンマイ!)
・・・・・・少年&母 移動中・・・・・・
「まったくあの人と来たら!」
「まあ、“父さん”も俺もあの時は夢中だったから」
「それでも限度っていうのがあるわよ。もう痛いところはないわね?」
「うん、平気。でも魔法って凄いよね、痕がもう残ってない」
「あったりまえよ! 世界広しと言えど全系統使いであるアタシに敵う人なんて・・・・・・まあ、賢者様は別として、いない、と思う」
「母さん・・・」
怒り心頭で少年の傷を魔法で回復させている少年の母親の自慢話を簡単に聞きながら、少年は改めて母親の正面に座り直し、机の上に置かれた分厚い書物・・・「魔法の教本」を開く。
「えっとそれで、今日はどこからだったかしら?」
「「魔力の基礎向上に関する訓練法の導出」の章からだよ」
「ありがと。それじゃー解説するけど、魔力に関係する用語として「魔力量」「魔力制御」「魔力消費量」などがあってその殆どは増減の関係にあるわ」
「「魔力量」が多いと魔法の威力や性能は上がるけど、その分だけ「魔力制御」と「魔力消費量」に負担がかかる、だっけ?」
「正解♪ 正確に言えば、高等魔法であればあるほど使い手の「魔力量」と「魔力制御」「魔力消費量」が増大する、って言った方が正しいわ」
教本の内容と照らし合わせて、少年は母親の解説と自分の解答を記録用の羊皮紙に書いていく。
「それで、その「魔力」を全般的に捉えてその基礎向上を目的とした場合、どんなことが考えられる?」
「うーん、素直に考えると魔力を全消費して空っぽの状態にまでしてから、集中して魔力をかき集める、とか?」
「それも一つの手ね。無意識に満タンだって思っている時より、集中して限界まで詰め込んだ時の方が魔力量は増えるわ」
「でもそれは一時的なものでしかなくて、もっと別な方法があるんだよね」
「ええ。正解は「小さな炎を魔法で長時間出し続けている」ことよ」
「あ、そっか。炎を燃やすための「魔力」を集めながら、小さく燃やすために「制御」して、なるべく長い時間保つためにも、「消費量」を減らすことを考えられるのか」
「そう! 一般的に言われる魔法使いのレベルだと、
見習いは最大で3時間、
一人前は9時間、
宮廷魔道士は15時間、
かの有名な「賢者」様は1日中火をつけていられるそうよ!」
「へ~」
母親が興奮した様子で先ほどから幾度か言っている「賢者」の言葉に、少年はこれといって変化はなく、ただ淡々と紙に文字を書き連ねていた。それを見た母親は少し面白くないという風に少年に話す。
「もう何よ? それだけ賢者様はすごいんだって言ってるのに~」
「だって、今は隠居しちゃってどこにいるかわからない有名人より、俺の前で実際に見せてくれる父さんや母さんのほうが凄いって思うし、俺は母さんのこと、この世界で一番魔法をうまく扱えてるって思うから」
「も、もう! そんな調子の良い事言っちゃって! いいわ、そんなこと言ってくれる息子には私の知る限りの魔法を教えてあげるわ! いい? 今よりビシバシ鍛えるんだからね!?」
「お、お手柔らかにお願いします、お母様・・・」
息子からの賞賛の言葉に気をよくした母親は、今以上の魔法の訓練を息子にすることを決意し、少年はあまり辛くない内容になっていることを願うのであった。
そしてその後、夕飯の時間まで母親と魔法の勉強をした少年は、父親も含めた3人で夕飯を取り、自室のベッドに転がり込んで今日のことを振り返る。
(結局、あの後は小さい炎の持続耐久を3時間超えるまでやらされたなー。父さんの組手ももう少しで一撃入れられそうだけどまだ本気出してなさそうなんだよなアレ。
でも魔力量も増えてきたし、体力も増えてきた。この調子なら“あれ”を・・・・・・“忍術”が使えるかもしれない)
「よし、とにかく明日だ、今日はもう寝る!」
そう締めくくった少年は布団をかぶり目を閉じる。数刻ののち、そこからは寝息が聞こえるだけになっていた。
この少年の名は【マルト=リグ・ヴェーダ】
前世では【六道仙人】という名であった【里】創立の立役者にして、この世界に転生してきたスーツの男の、今の姿である。
こんな感じで主人公君は修行を重ねていたんだよ~っていう証明?になったかな?
「構わーーーん!!オレが許す!!」
by マイト・ガイ