イメージ次第で魔法が使えるなら、忍術(のマネ)もできるよな!?   作:一日の睡眠時間は10時間

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1月31日、「其の五」投稿でございます。

今回で一つの章を終える感じです。










「忍者とは忍び耐える者のことなんだよ」
by 自来也

2019年2月26日 内容の一部を修正


其の五 俺、15歳になったってばよ!

「賢者の孫」基準 シン・ウォルフォードが15歳のとき

 

 

 

初めての王都訪問から懐かしい奴との意外な再会、母さんの無茶ぶりから始まった即興のパフォーマンス。いま挙げてみると、濃密どころかもはや固体レベルにまで詰まったリリィの誕生日パーティの後、俺達はそれぞれの日常に帰って日々を過ごしていた。

ただ、あれからもクロノさん達は毎年の夏に避暑の為に俺のいる村に遊びに来るようになった。その時に村の皆と遊んだり、裏山の修行場でリリィの忍術修行をしたりするようになった。村の方も、王都っていう村人の憧れの場所から来た貴族様にかしこまってたけど、呑み会で父さんとの過去話を聞いてすぐに打ち解けてしまった。

それ以外だと最近の俺は多由良の幻術に使う笛を吹き始めたくらいか。知識はないからとにかく影分身を使ってやっと人前でも聴かせられるくらいまでに上達したと思う。

で、再転生した俺は、ついに一つの転機を迎えた。

 

「それじゃ、みんなグラスを持った? せーの!」

「「「「「「「「マルト、誕生日おめでとう! 乾杯ー!!」」」」」」」」

「みんな、ありがとう!!」

「僕達が会ってから5年だけど、やっぱり子どもって成長が早いね」

「はい。あの時はまだ幼かったように見えましたけど、立派になりましたね」

「私はバルドみたいにぶすっとした顔にならないか不安だったけどね~」

「・・・それを言われて、俺はどう反応すればいいのだ?」

 

確かに何年か前から筋肉がついてきて父さんに近づいてきた感触はあったし、背丈で言えばこの村の男子の中で一番大きくなった。これなら【八門遁甲】の門を開いていっても大丈夫かなと思ったのは事実。だけどそれを聞いたリリィから涙目で「そんな危ない術は絶対に使わないでください!!!」って懇願されたから今生の【八門遁甲】は見送りとなりました。撃ってみたかったんだけどな、【昼虎】。

 

「お兄様?」

「お、どうしたよリリィ」

「いえ、なんだかお兄様から不穏な魔力を感じたので・・・」

「なんでこんなお祝いごとに魔力を使わないといけないんだよ?」

 

あっっっぶね!なんでかリリィに考えたことが読まれてたことにビビったけど何事もないように取り繕うことで難を逃れた。我が従妹ながら恐ろしい・・・!

 

「そういえば、マルト君はこれからどうするんだい?」

「え、どうするって?」

「君のような才能溢れた子は世界中探してもそうはいないと思うよ。勿論、選ぶのは君次第だけど僕としては学院に入学して【魔法師】の道を歩んでもらいたいと思っている」

「クロノさん・・・」

「まぁ、もしそうなればウチから通って行けるし、クララもリリィも喜ぶんだけどね」

「あら♪」 「お父様!?」

「結局あんたの惚気か、この!?」

 

あれ、進路の話かなって思ったらそのまま夫婦のラブラブ感を見せつけられたんだけど。せっかく主人公見たく常識知らずをアピールできるかと思ったんだけど。

 

※ここで常識知らずをアピールすると、もれなく泥酔者四人による地獄のセミナーを受けることになっていたという事を、この主人公くんは知らない※

 

あ、また電波が・・・。それにしても進路かー。

 

「俺はまだ村のみんなといたいんだけど」

「よ、流石我らの坊ちゃん!」

「【クー】、言葉が軽すぎる。今は若の大事な時なのだぞ!」

「そう言う【リク】のリーダーも、実は坊ちゃんに残って欲しいんだって知ってんだぜ俺は?」

「な、貴様は・・・!」

「ふぁふぁふぁ、確かにこの村と縁を繋げてくれたのは他でもない若かりし時の坊主だったんだからな! ほかの連中よりリクが思い入れするのも無理はないじゃろうて!」

「【カイ】! お前までもか・・・!」

 

ここで会話をはさんできたのは、いつかの襲撃犯だったハンターの人達だ。いつも調子が良く俺を坊ちゃんと言ってくるのがクーさん、それを注意している突っ込み役の、俺のことを若って言うのがリクさん。そして常に笑っている一番年上の坊主呼びの人がカイさん。この人達は村に来てからすぐに村の皆に自分達のしようとしたことを懺悔して、受け入れられてからは村の働き手と子どもの教育係をしてくれるようになった。俺のことに関してはあの時の変装で髪まで隠さなかったせいで一瞬で分られてからは、三人の上司みたいな扱いを受けている。やっぱり【グルグル】のほうが良かったのかな。

 

「あたしはクロノの考えに賛成よ。マールの魔法の技術はあたしの予想よりも超えてるし、いつまでもあたしだけが教えてたら知識に偏りができちゃうと思うの」

「ああ、だがマルトはここに残りたいとも言っているんだ。それも尊重してやれ」

「わかってるわよ、もう・・・」

 

父さんたちは俺を王都に行ってもらいたいみたいだ。それは、俺が新しく転生するときに目指していた目標だった。

けど今まで村で生活してきたせいか、今のスローライフもいいんじゃないかとも思ってきていて、どうすればいいのか分からないんだ。結局俺は何も言えず、父さんたちも考える時間が欲しいのだろうと、その話題に触れずにパーティを過ごした。

 

 

 

 

 

・・・・・・少年 満喫?中・・・・・・

 

 

 

 

 

「そんじゃ、今日はごちそうさんした!」

「いーえ、今日の為に材料を揃えてくださったのだからお気になさらず!」

「若、もしも私達のようにハンターを目指すのでしたら是非我々を共に」

「ありがとうリクさん、考えが纏まったら伝えに行くよ」

「ふぁふぁ、結局今回も引き分けじゃったか! 次はもうちょい強い酒を持ってくるかの」

「ああ。お前の持ってくる酒はいつも俺を楽しませてくれるからな、次が楽しみだな」

 

玄関先でソラリクカイの連中が帰っていくのを見送った後、俺達はテーブルの散らかりの片づけを始めた。父さん達は家中の飾りを箱に戻し始めていた。因みに、村の外からやってきているクロノさん一家は寝泊りを俺の家でしている。この家を3人で住んでも部屋が余っていた故に始めた事だった。

 

「この先、どうすればいいのかな」

「お兄様?」

 

一緒に片づけを手伝ってくれているリリィの姿を見る。あの時から5年が経って、リリィもクララさんのような長い髪が似合う美少女に育ってきている。つまりそれだけの年月が経っているというわけだ。

今、父さんたちは遠くにいるから俺達だけの秘密の会話ができる。

 

「リリィは将来どうするんだ? やっぱり家を継ぐのか?」

「はい。お父様とお母様は自由に選びなさいと仰られましたが、私を生んで下さった両親への恩返しになればと思うとやはりそれがベストだと思いました」

「そっか・・・俺さ、前世じゃ親とかいなかったから基本的に自由でいられたんだよ。でも今は父さんと母さん、クロノさんとクララさんとリリィ、フェイの村の人達のおかげで【マルト=リグ・ヴェーダ(今の俺)】ができているんだ。それで言えば、俺も皆に恩を返せる方法があればそれを選びたい。でも何があるのかわからなくてドン詰まりになってきているのも感じてるんだよなー」

 

まったく、こんなんじゃ【六道仙人】の名が廃っちまうよ。

 

「私はお兄様の意思を尊重します」

「リリィ・・・」

「私が今こうして現世に降りるきっかけを与えてくれたのは、ほかならぬお兄様のお言葉があったからです。そのおかげで私は人の幸福というものを知ることができました。それが、とても尊い物なのだと」

「・・・・・・」

「何もこの世界の主人公のように生きる必要もありません。お兄様はお兄様の思った通りに生きていいのです」

「・・・・・・そっか。サンキュー、な!」

「ひゃ!? いきなり頭を撫でてこないでください!」

「ははっ、悪い悪い」

 

でもありがとうな、リリィ。

()()時、お前を誘ったのを俺は自分の我儘を言った感じで後悔の念があったんだ。それをお前は本心から受け入れ、感謝までされていたってことを知った今の俺には、もう迷いなんかなかった。

 

「行くぜ、王都に」

「お兄様?」

「もう迷わないぜ。

 王都に行って【賢者の孫】と同じくらい強くなって、この世界の災い全部、俺がブッ飛ばしてやる」

 

そして。

 

「作ってやる。リリィや父さん達が、幸福に平穏な日常を送れる世界を」

 

かつて、魔法の根源である術式【忍術】を作り出し世界にその名を轟かせた【六道仙人】が。

 

自らが築きあげた【里】が滅び、現代にいたるまでの数百年の時を経て、いま復活する。

 

「俺はマルト=リグ・ヴェーダ、今は只の【(しのび)】だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次章に続く・・・・・・・・・

To Be The Next Chapter・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか。
今回の話で、ひとまず序章が終わったという印象を持てたら幸いです。
次回からは【王都編】となり、原作がスタートとなります。
新たな土地へ移った主人公は、これからどのような行動をとるのか。
次回をお楽しみに。










「私の賭けは必ず外れるからな」
by 綱手
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