ご了承ください。
如何やら無事にレコーディングが終わったようだ。何故曖昧かというと先程まで音量の調整を間違ったのではないかと思うような防音室に閉じ込められていたからだ。
「流石に...応えるな...」
誕生から3年とは言え体は既に30代。老化には天才物理学者といえど粗がれないのだ。
「待てよ...タートルの成分をうまく使えば或いは_____」
訂正。この
そうこう述べている間に戦兎の答えはまとまったようだ。作らないとのこと。
「さてと、万丈は帰ってるかな?」
考えがまとまったお陰で頭がスッキリしたのか久々にマシンビルダーの掃除でも...とこれからの予定を立てていく。髪の毛が跳ねているのは気にしてはいけない。興奮した彼を止めるのは容易ではないのだ。
◇◇◇◇◇◇
「只今~...なんだこれ!?」
戦兎が家の玄関を開けばそこには見慣れた我が家が____
なんてことはなかった。代わりにあるのはバラバラにされた家具と割れて使い物にならなくなった食器類が散乱していた。
「ば、万丈!中にいるのか!?」
現状の理由を考えている場合ではない。戦兎はすぐさま中へ進む。幸い
「一体、誰がこんな事を...」
戦兎が
「後は、ここか...」
戦兎は正直に言ってこの扉を開けたくなかった。その理由は実にシンプルである。この部屋の向こうはここのマンションのオーナーに黙って改装した戦兎の研究室である。
「...躊躇っていても始まらない!!」
戦兎は思いっ切りドアノブを捻りドアを押し込んだ。悲惨な状態を想像した為に目を閉じたままなのだ。
少しずつ、目を開いていく。だがそこには予想とは遥かに異なる状態が広がってた。
「ひっ!?」
戦兎が怯えるのも無理はないだろう。目を開ければ広がっているのは狂った光景だった。
「俺の、写真が...こんなに...」
いつもなら万丈を揶揄う為に俺にもファンくらいいるでしょなどと言うが、これは異常でしかなかった。写真はその隙間を作ることなく部屋一面、地に足をつくスペースすらない程に貼り付けられている。
口が開いている事に気が付かないまま辺りを見渡す。部屋の内装は以前の世界に作ったアジトにそっくりなのだがそこにあるはずがないものを見つけてしまう。
「万丈!」
万丈が普段着として使用していたスカジャンの腕部分が柱から顔をだしていたのだ。戦兎は慌てて自分の写真を踏んでまで駆け出した。そして見てしまった。
「万丈!おい!しっかりしろ!」
家にあった包丁でスカジャンの襟元を刺され壁に貼り付けられたまま目を回したのか気絶している万丈の姿を。
「...生きてはいるな」
脈拍があることを確認して包丁を抜き取り壁から開放する。顔面から倒れたが目覚める様子はない。
「結局これをやった犯人は一体...」
部屋で無事だった物を思い出す。
考えていく中で、一つ思い出す。そう言えば、今回のシフト変更は万丈に伝えていなかったなと____
戦兎が一つの答えに行きつきかけた所で鳴って欲しくなかったチャイムが鳴り響いた。