仮面と海月と白鷺と   作:光の甘酒

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これは・・・フライドポテトの気配がしますね。







第4話 はじめてと煌めくブレスレッド

「まずは落ち着こうか?」

「そうですね」

 

 

状況を確認。どうやらさっき手が離れた一瞬。そのわずかな時間で花音とこの人、掴む手が変わってしまったらしい。

それは向こうも同じようで、あの一瞬でツレと間違って俺の手を掴んでしまったようだ。とりあえず相手がどんな人かわからないので、俺は”仮面”を被っておく。

 

 

「とりあえず、お互いのツレに連絡をとるところから始めよっか?」

「そうですね・・・・あ」

「どうしたの?」

「この方・・・もしかしてあなたのお連れさんでは?」

「え?」

 

 

画面を見せられると、そこにはある人物のツーショット。

1人は目の前にいる女の子そっくりな子、そしてもう一人は・・・・

 

 

「花音?」

 

 

そう、そこにはやや困惑気味に写真に写る花音の姿があったのだ。

 

 

 

「やはりそうですか。この子は私の双子の妹でして。どうやらそれぞれの連れが入れ替わっているようですね」

「なるほど」prrr

 

 

すると俺の携帯の方も鳴る。

すると花音からメッセージが来ており、行きたいお店が俺たちのいく雑貨屋の近くで、ひとりになるとまた迷いそうだからあっちはあっちで行くとのこと。

それと共に先ほどと同じツーショット写真が送られてきた。

了解、こちらも向かう・・・と打つ。

 

 

「どうやらキミのツレと俺の連れは一緒に行くようだね」

「そのようですね。では、私はこれで」

「え?どうせなら一緒に行こうよ?」

「えっ、嫌ですよ。男の人と一緒に歩くなんて知り合いに見られたら大変じゃないですか」

「・・・それもそうか。うん、配慮が足りなかったよ」

「話が分かる方で助かります。それでは」

 

 

そういって別れる俺たち。まあ一人の方が気楽でいいかな。

さて、俺も向かいますかね。・・・・待てよ。

俺とさっきの女の子は行き先は同じはずだ。と、いうことは彼女と俺は一緒の方向へ向かわなければおかしい。

 

 

「なんで違う方向に行くんですかね・・・・?」

 

 

うーん、違うルートで行くだけかもしれないけど気になってきた。

乗り掛かった舟だ。彼女の後についていこう。違うルートなら最終的に行きつく先は一緒だし問題ないだろう。

そういうわけで行動開始。しかしそこで見たものは・・・・

 

 

「うん、やっぱ迷ってるねアレ」

 

 

あの子は明らかに不安な雰囲気を醸し出している。

そして徐々にテンパりが表情に現れてきたのだ。案内板を見れば一発なんだろうが、それを思いつく余裕もないようだ。

 

 

「しゃーねーかなあ」

 

 

俺は再びその子に近づき、声をかけることにした。

 

 

「ねえ、大丈夫?」

「あなたは!?・・・コホン、どうしたのですか?別々に行くという話でしたけど」

 

 

いやそんな急に取り繕われましても。明らかに雰囲気が”不安”から”安心”に変わっている。目的地が一緒の人間が現れたからであろうか。

しゃーない、ここは穏便にコトをすますか。花音が向こうのツレにも世話になってるようだし、せめてもの礼だ。

 

 

「いやーちょっと迷っちゃって。でもさっき案内板でルートを再確認してね、向かおうとしたらキミがいたってわけ!もし迷ってるんならやっぱ一緒に行こうと思ってさ」

 

 

後をつけてたなんていったらあらぬ誤解を生みそうなのでそんな感じで言う。

 

 

「迷ってなど!・・・いえ、そうですね。まあ目的地は一緒なんです。仕方ありません、早くいきますよ」

 

 

そんなことをおっしゃる。

どうやら知り合いに見られるリスクより安全に目的地にたどり着くことを選択したようだ。

 

 

「そうだね!それじゃあ行こうか」

 

 

二人で並ぶ・・・というよりは彼女が俺の後についてくるような感じで歩く。

しかし向かう先はさっき来たルートを戻るということ、人はどんどん多くなっていく。後ろを気にしながら歩くが、彼女はかなり歩きづらそうで、俺についてこられているのか若干不安である。

 

 

「きゃっ」

 

 

そして人に飲まれそうになるが小さな悲鳴とともに彼女は驚きの行動に出た。

 

 

「あらま」

 

 

そう、俺の手に捕まっていたのだ。

おそらく咄嗟のことで体が勝手に動いたものと思われる。

所謂、危険回避の本能のようなものだ。まあこれならはぐれないしいいとは思うけど・・・彼女はそれでいいのだろうか?

とか考えているが彼女はとにかく進むことしか頭にないようだった。

 

 

 

 

ようやく人の少ないエリアにでる。

お互いの目的地もすぐ近くで、だいぶ落ち着きを取り戻した感じだ。

 

 

「ふう・・・ここまでくればいいね」

「ええ、助かりました・・・・」

「よかったよかった。それでね、非常に申し上げにくいんだけどいいかな?」

「なんでしょう?」

 

 

きょとんと疑問の表情を浮かべられる。

オイオイまだ気づいてないのか。俺は目線を握られる手に落とす。

 

 

「・・・・・?・・・・・!?!?!?!?!?」

「いやー俺はいいんだけど、こういう場面こそ知り合いにみられたらまずいんじゃないかって思うんだよね、俺としては」

「もももももも申し訳ありません!!!!私としたことが///」

 

 

顔を真っ赤にして謝られる。うーん、この子もかなり整っている。普通に可愛いと思う。

 

 

「ま、いいよ。無事に目的地近くまで来られたし。じゃあこの辺で解散ってことでいいかな?」

「はい、その・・・ありがとうございました」

「ちゃんとお礼が言えてよろしい。じゃあね」

 

 

雰囲気はカタブツだったが意外と面白い子だったな。

案外、心を開いたらいい友達になれるタイプかもしれない。まあ二度と会うことはないだろけど・・・・

なんて考えていたら、後程意外なところで会うことになるとは、このころの俺は予想だにしていなかったのである。

世間は実に狭い。そう思い知ることになるのであった。

 

 

 

 

「すまん・・・遅くなった」

 

 

雑貨屋に入るとすでに千聖と花音がおり、ショッピングを楽しんでいた。

 

 

「あら芽音。遅かったわね」

「ごめんね芽音くん、私のせいで・・・・」

「いや、仕方ないさ。それよりも無事合流できてよかったよ」

 

 

マジでここまで長かった。

でもまあいいや。二人とも楽しそうだし、こうやって合流もできた。

 

 

「それで花音、ここには何を買いに来たんだ?」

「あ、えっとね。その・・・これなんだけど///」

 

 

照れながら目線を移す先にはアクセサリーコーナーがあった。

 

 

「えっとね、今日って3人で初めてお出かけした日だよね?だから何か記念になるものが欲しいなあ・・・なんて思って」

 

 

なるほど、そういうことだったか。そして、どうやらその中にあるブレスレッドが気になっているようだ。

 

 

「高校生だしそんな高いものは無理だけどこれくらいのアクセサリーだったら手ごろだし、男の子の芽音くんが付けても違和感ないと思って・・・どうかな?」

 

 

不安そうに俺と千聖に問いかける花音。

それに対し俺たちは顔を合わせ、思わず笑ってしまった。

 

 

「ふぇぇぇ!?なんで笑うのぉ!?」

「ごめんなさい、緊張気味に言う花音が可愛くって・・・・!」

「ち、千聖ちゃん~~~~~!」

「ま、拒否する理由はないよな、千聖?」

「当たり前ね。花音の心遣い、すごく嬉しいわ」

「右に同じ」

「ふぇ!?じゃあ・・・・」

「ああ買おう、おそろいのブレスレッド。今日の記念に・・・親友の証にな」

「やったっ!」

 

 

そういうと花音は心底嬉しそうな顔をしてくれた。

うんうん、いいねこういうの。

 

 

「よく恥ずかしげもなくそんなこと言えるわね」

「うるせぇ、そんなこと言いながらも嬉しそうな雰囲気、漏れてるぞ?」

「・・・・不覚」

 

 

ツッコミを入れてくるが、どうやら千聖も結構浮かれちゃってるようだ。

そんなわけで俺はグリーン、花音はブルー、千聖はイエローとそれぞれ色違いのおそろいを購入した。

うん、千聖にあんなこといったけど俺も結構浮かれちゃってるみたいだ。

 

 

「よし、じゃあ次は芽音くんの行きたいとことだね」

 

 

その後は俺たちはそれぞれ行きたいところに行き、今日一日遊びつくしたのであった。

 

 

 

 

 

「じゃあ、私はここで。今日はすごく楽しかったわ。二人とも、ありがとう」

「うん、千聖ちゃん。また遊びに行こうね!」

「じゃあな、楽しかったよ」

 

 

帰る方向が違う千聖と別れ、俺たちは二人帰路につく。

 

 

「えへへ~」

 

 

その道中、花音は腕につけたブレスレッドを眺めながら気の抜けた表情で笑っていた。

 

 

「花音、さっきからそればっかだな」

「だって嬉しいもんっ」

「ま、気持ちはわからんでもないが」

 

 

なんてことをいうが俺も内心、すげー嬉しい。

ただ花音のように感情をオープンにして喜ぶのは、なんとなくこっぱずかしいからやらないというだけだ。

今日は本当に楽しかった。トラブルはあったけど・・・気の許せる親友と一日一緒にいるだけでこれだけの充実感を得られるとは。

中学の頃はこんな思いをしたことがなかったので、以下に俺がうわべだけの人付き合いをしていたかがわかる。

 

 

「今日はありがとな」

「どうしたの?急に?」

 

 

突然お礼を言う俺に少し驚く花音。

特別意味はない。ただ単に、遊んでくれた親友に対するお礼だ。

 

 

「いや、なんか言いたくなっただけだ」

「ふふっ、変なの。うん、私もすごく楽しかったよ!」

 

 

一緒に歩きながら今日という日を振り返る。

新しい服を買って二人の可愛い一面が見られて、少し苦労をしたけどやっぱり花音は花音なんだなと微笑ましくなり、最後の最後で嬉しいサプライズをくれた。

腕につける煌めくブレスレッド。俺は今日という日を忘れないだろう。

 

 

「また、3人で遊びに行こうね?」

「もちろんだ。あ、そうだ花音」

「どうしたの?」

「今日は少し遠回りをしていかないか?」

 

 

もう少しで俺の部屋につく。いつもはここで別れるのであるが・・・今日はなんだか、もう少しこの余韻に浸っていたい気分だったのだ。

そう、親友と一緒に。

 

 

「うん、実は私もそう思ってたんだっ」

 

 

今日はまだまだ1回目。俺たちはこれから何回も何回も今日のような楽しい日を過ごすのだろう。そんな期待と希望を胸に、俺たちは”少し遠回りをして”帰路についたのであった。

 

 

 

 




友情モノ・・・好きなんですよ。
だがしかし、この3人の関係性はどうなっていくんでしょうね?

ぼちぼち他のバンドリキャラも出てくると思いますが、あくまでヒロインは花音と千聖ですのでご安心を。

引き続きよろしくお願いいたします!


★9 つきしらさん
★6 ヒャッハー!!さん

ありがとうございます!
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