仮面と海月と白鷺と   作:光の甘酒

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長らくかかり申し訳ありません。
更新できていない機関も徐々にお気に入りも増えて感想までいただけていたのにも関わらず時間がかかってしまいました。

それでは続きをどうぞ!




第9話 想定外休日デートⅡ

「もう、お母さんったら・・・」

「まあいいじゃないか。なんだかんだ花音と二人っきりで出かけるってのも始めてだしいい機会だ」

 

 

花音ママに見送られ遊びに繰り出す俺たち。千聖とは疑似デートで何回か遊びにいっているが花音とは何気に初めてだったりする。

 

 

「芽音くんと二人っきりってはじめてだよね」

「まさに俺も同じことを考えていたところだ」

 

 

やはり波長が合うのだろうか?

花音と俺は二人して同じことを考えていたようだ。

 

 

「さてどこへいこうか・・・花音、なんか希望とかある?」

「そうだなあ・・・うーん、実はちょっと気になるお店があるんだけどね」

「おお、いいじゃないか。気になるってことは行ったことはないのかな」

「うん。実は1駅で乗り換えして3駅向こうなんだ」

「あっ・・・(察し)」

 

なるほど。絶望的に方向音痴な花音がそんなところに向かおうものなら女子高生行方不明事件に発展してしまうだろう。

そうでなくてもそんなに遠くないファミレス(初期の方にやった合コンモドキ)にいくのすら迷ったくらいだ。

・・・・スマホのマップを見ながらあんだけ迷えるってある意味才能じゃないですかね?

 

 

「それなら・・・あっ」

 

 

ならば千聖といかないのか?と言おうと思ったが言葉を飲み込んだ。

そういえば千聖も電車の乗り換えが苦手だったことを思い出したからである。

この二人が遠くに出かけられない理由はそこにあり、この二人が一緒にそんなところに出掛けようものなら女子高生行方不明事件になるだけではなく迷いに迷ってさながらバイオハザードやがっこうぐらしのごとく、ゾンビのように街を徘徊するに違いない。

 

 

「むぅ~なんか失礼なこと考えてないかな?」

「ソンナコトナイデスヨ」

「棒読みだよ~!」

「さていこうぜ」

「もう~~~!」

 

 

膨れ顔の花音をからかいつつ俺たちは駅に向かって歩みを進める。やがて駅に着くとICカードを片手に改札を進むとあっというまに駅のホームにたどり着いた。

 

 

「ふぅ・・・駅までは順調にこられたね」

「むしろ来られないほうがどうかしてるぞ」

「あはは・・・でもよかった、芽音くんと一緒で」

 

 

柔和な笑みを浮かべながら安堵する花音。

あとは電車に乗って乗り換えを1回すればOKだ。そんなことを考えていると電車がやってきた。

 

 

「あ、電車来たね」

 

 

そういいながら乗り込む花音。

・・・・ん?ちょっと待てこれは

 

 

「ちょ、待てい!それは・・・!」

「え?」

 

 

プシュー!

 

 

ホームに取り残される俺、そして一人電車に乗り込む花音。

パニックで目を回しながらあたふたする花音であるが現実は非情なもので、電車は発車しどんどん離れていき、やがて花音の姿は見えなくなる、

つまるところ俺たちはものの見事に分断されてしまった。

 

 

「うわ~やっちまったなあ~・・・」

 

 

電車に表示された”快速”の文字。

俺たちが乗り換える駅は次の駅。しかしあの快速が次に停まる駅は3駅飛ばして4駅目だ。4駅先なんて花音からしたら未知の領域だろう。しかもそこそこデカイ総合駅だから一旦降りて戻るのすらできるか危うい。

 

 

「これは・・・とりあえず花音にL●NE送るか」

 

 

Sakinari:花音、とりあえず落ち着け。俺もそっちに向かうから次の駅についたら合流しよう

松原花音:ごめんね!うん、できるだけわかりやすい場所にいるから着いたら教えてくれると嬉しいな

Sakinari:了解

 

 

花音も思いの外落ち着いているようだ。

これで俺も次の電車に乗って向かえば解決。うむ、意外と何とかなりそうだ。

・・・・なんて思っていたのであるが。こう見えて焦りが出ていたのか、そのときの俺はある不幸が襲い掛かりつつあることに気が付いていなかった。

 

 

 

 

花音が飛ばされたであろう4駅先についた俺。うん、相変わらずデカイ駅だ。

さて、花音はどこにいるのだろうか。わかりやすい場所にいるといっていたが、いっそ降りてすぐのところに待たせておいた方がよかったかもしれない。

 

 

「とりあえず連絡を・・・・げっ!?」

 

 

スマホを出した俺の目に映るのは1%という数字。

コレが何を意味するか?答えは簡単である。スマホの充電残量だ。

そういえば昨日はスマホも充電しないまま放置し徹夜で漫画を読み、そのまま家を出て松原家へ向かったんだ・・・・

 

 

「とりあえず花音と連絡が取れるまで持ってくれ・・・!」

 

 

Sakinari:駅についた。どこにいる?

 

 

送信。早く、早く返事を・・・・!

 

 

ピー

 

 

そんな願いなどしらねーよといわんばかりに鳴り響く無機質な機械音。それは充電量がゼロになったことの通告であった。

 

 

「なんという・・・そうだ、モバイルバッテリー!」

 

 

そうだ駅に併設されているコンビニ。そこにモバイルバッテリーが売っているはずだ。予定外の出費で痛いが緊急事態だ、買うしかない。

コンビニに入りモバイルバッテリーを手に取った俺はレジに向かいながら財布を・・・・・

んんんん!?!?!?!?!?

 

 

財 布 が な い

 

 

スられた!?・・・・いや、待てよ

考えてみりゃもともと松原家へは漫画を借りに行くのが目的で行った。

つまり手ぶらだ。そしてそのまま予定外の外出となったため財布を持たずに出かけてしまった・・・というわけか。電車賃もスマホケースにいれてるICカードを使ったせいで財布を忘れたことに気付けなかった。

ぐおおおお・・・借りた漫画を家に置きに行ったときに財布持ち出せよ俺!

俺のバカ!もう知らない!

・・・なんてどこぞの姉妹の姉みたいなことをいってもネコの姿をしたバスが迎えにきてくれるわけではない。俺は対策を考えることにする。

 

 

「足で探す!!」

 

 

まあ対策もクソもない。通信手段が断たれたのならば体を使うしかない。

くそッ!現代っ子に生まれた弊害がこんなところに・・・ッ!

 

 

「待っていてくれ、花音・・・!」

 

 

俺は足を動かし、花音の姿を探し始めたのであった。

 

 

 

 

 

「うわぁ~おっきい駅」

 

 

なんて感心しているけど心臓はばくばく言ってる。

私が早とちりしたせいで芽音くんとはぐれちゃって、しかも来たことがないような大きな駅にポツンと一人。

不安しかなかった。

 

 

「でもすぐ来てくれるっていってたから大丈夫だよね・・・?」

 

 

そう思いながらとりあえずわかりやすい大きな時計の足元に移動した。

他にも人がたくさんいて、どうやらここは待ち合わせスポットとして多く使われているようだった。

 

 

ピロンッ

 

 

Sakinari:駅についた。どこにいる?

 

 

構内を行きかう人たちをぼんやり流れていたらスマホが反応した。

どうやら芽音くんが駅についたみたいだ。

 

 

松原花音:大きな時計の足元にいるね

 

 

私でもわかったんだから芽音くんならすぐにわかると思う。

そう思って待っていたけど5分経っても10分経っても芽音くんは現れない。

それどころかL●NEに既読すらつかない。

もうすぐ芽音くんと合流できる。そんな安心感を抱えていた私は徐々に不安を募らせていく。

 

 

「おかしいなあ・・・そうだ」

 

 

私は電話をかけること試みる。もしかしたらうまく受信できてないだけかもしれない。電話なら・・・

 

 

”おかけになった電話は、電波の届かないところにいるか電源が入っていないため、かかりません。おかけになった電話は・・・・”

 

 

「えっ・・・・?」

 

 

おかしい。ほんの10分前までは普通にメッセージが届いていたのに、それが急につながらなくなるなんて。

 

 

「もしかして、何かあったのかなあ・・・・」

 

 

でも騒ぎが起こっている気配はない。もし芽音くんの身に何かあって、仮に事件が起こっているんだとしたら少なからず騒ぎになっているはずだ。

 

 

「改札の方へ行った方がいいかな?」

 

 

そうだ、もしかして電池切れとか落として壊れちゃったとかかもしれない。

それなら改札の方に行けば絶対に会えるはずだよね・・・?

 

 

「大丈夫、来た道を戻るだけ。来た道を戻るだけだから・・・・」

 

 

改札からこに時計までそんなに歩いた記憶はない。なら来た方に戻るだけで改札に行けるはず・・・・いけたはずなのに。

 

 

「どこ・・・・?ここ・・・・?」

 

 

私の目の前に広がるのは知らない風景。少なくとも私が来た改札出ないのだけは確かだ。それどころか駅の構外に出てしまっている。

ふぇぇぇぇ・・・こんなところで方向音痴が発動しちゃうなんてぇ~・・・

 

 

「しょ、しょうがないね。また時計に・・・時計に・・・・・」

 

 

私は気づいてしまった。

 

 

「どうしよう・・・どっちからきたかわからなくなっちゃった・・・・」

 

 

その事実に気付いてしまった私の心は不安と焦りでいっぱいになる。

 

 

「ふぇ・・・・ふぇぇぇぇぇ・・・」

 

 

そしてその不安は限界を迎えてしまった。そのまま私は人目をはばかり隅に移動すると・・・静かに泣いてしまった。

 

 

―どうしよう

 

 

このまま芽音くんに見つけてもらえなくてこのまま動けなくて・・・

どうしたらいいんだろう。

冷静になって考えれば駅員さんに頼ったり、構内の交番にいったりいくらでも手段はあったのだけれど、この時の私はそこまで考える余裕なんてなかった。

 

 

「嫌だよ・・・芽音くん・・・芽音くん助けてよぉ・・・・」

 

 

思わず読んでしまう芽音くんの名前。でもこんな喧噪にかき消されれるような小さな声で呼んだところで聞こえるはずが―

 

 

「ああ。ごめん花音、待たせた」

「え!?」

「やっと見つけた」

 

 

聞きたかった声、見たかった顔。

それを視認した私はものすごい安心感を覚え、体の力が抜けて足がガクンときてしまう。

 

 

「おっと!大丈夫か?花音」

 

 

そこには額に汗を浮かべ、息を切らした芽音くんの姿があったのであった。

 

 

 

 

改札にはいなかった。そして一番目立つ時計の足元。

いるのだとしたらここかと思ったがそこにも花音の姿はない。

 

 

「いったいどこに行ったんだ・・・?」

 

 

俺は俗芽音としてではなく、松原花音ならどうするかという頭に切り替え考える。

まず俺と連絡が取れなくなったらどうするか。

もしここで待っていたのなら待ち続けるか、確実に合流できる改札に向かうだろう。

ここにいない時点で前者はハズレ。ならば後者であるが・・・・

改札からここに来る間はすれ違わなかった。ならば改札方面へは行っていのか確実だ。

 

 

「待てよ・・・改札に行こうとしてたのなら・・・・?」

 

 

端から見たら意味不明に見えるだろう。

だが待て。相手があの花音なら一つ可能性が浮上する。そう”改札に向かおうとしたが向かえていない可能性”だ。

 

 

「ならばこっちか」

 

 

俺は改札の反対側の道に体を向ける。いけるルートは2つ。そして俺はあることに気が付いた。

 

 

「—似てるな」

 

 

そう、2つのうち一つは改札方面へ向かうルートに雰囲気や見え方が似ているのだ。ここで俺は花音はこちらへ向かったことを確信する。

そう答えを導き出してからは早かった。

 

 

「—見つけた」

 

 

目線の先。見慣れたサイドテールの女の子が隅っこでしゃがんでいた。

 

 

 

「嫌だよ・・・芽音くん・・・芽音くん助けてよぉ・・・・」

 

 

近づくと俺の名が聞こえた。

いけないな。こんなに怖がらせてしまうなんて・・・

花音ママに任された大切な娘さんを泣かせてしまうとは情けないばかりだ

 

「ああ。ごめん花音、待たせた」

「え!?」

「やっと見つけた」

 

 

驚く顔。そして同時に安堵する雰囲気が伝わってくる。

 

 

「ほんと、ごめん。携帯の電池切れちゃって」

「芽音くん・・・芽音くん!」

「うぉ!?」

 

 

胸に響く衝撃。俺は一瞬事態が呑み込めないでいるが、数秒して把握した。

 

 

「ちょ、花音!人前!人前!」

「ふぇぇぇぇ・・・うぇぇぇぇぇん」

「ああもう収拾がつかない!」

 

 

ひたすら安堵の雰囲気が伝わってくるが花音は泣き止まない。

 

 

”うわ・・・あいつ女の子泣かせてるぞ”

”サイテー・・・”

”でも泣き方尋常じゃないよ・・・?大丈夫・・・?”

 

 

うわああああああああ注目集めてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ

 

 

何とか花音を・・・花音を落ち着かせなければ・・・・!

なんて考えていたわ俺であるが、そんな願いは虚しく砕け散ることとなる。

 

 

「あー君たち。こんなところでなにしてるの?」

「まじっすかー・・・・」

 

 

その声の主は・・・日の丸親方、見慣れた青い制服を着てこれまた見慣れた帽子をかぶり、腰に物騒な黒光りするオモチャをぶら下げる公務員の姿であった。

 

 

 

 

「うう・・・取り乱してゴメンねっ」

「もう済んだ話だ。問題ないさ」

 

 

あのまま交番に連行された俺たち。しかし事情を話すとすぐに解放してくれた。

 

 

『もう彼女泣かすんじゃないぞ!』

 

 

なんてことを警官に言われたが余計なお世話だしそもそも彼女じゃねえ。

なんていうのもめんどくさかったので生返事だけして出てきたわけだ。

 

 

「でもさ・・・芽音くん。彼女だって。そんな風にみえるのかな・・・?えへへ」

「どうなんだろうな。まあ男女が並んで歩いてりゃ付き合ってる認定したがる奴はおおいからな~」

 

 

はずがしげに笑う花音はやはり可愛い。でも親友。異性として見られるかといわれたら・・・・

 

 

「・・・・・!?」

「・・・?芽音くん、どうしたの?」

 

 

俺は目の前に立つ、ある人物の顔を視認すると目ん玉をひん剥いたという表現がぴったり合うくらい、その人物を凝視してしまった。

楽しい時間というのはあっという間に終わるというが、それは楽しいから時間の流れが速くなり、楽しいまま終えることを意味する。

故に、今この状況はその要件を満たさない。

 

 

 

「なんで・・・お前がここに」

「芽音くんやっほー。ねえねえ新しい学校でも暴力振るってるの?」

 

 

蘇るトラウマ。

そう、そいつはある意味、俺がかつて停学に追い込まれた原因を作ったヤツだ。

 

 

「なによー。久しぶりに地元の友達に会えたんだからもっと喜ぼうよ?・・・って隣のその子はなんなのかな?」

 

 

俺はあの日のことを思い出す。

思い出しくもないあの日のことを。

 

 

 

 




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