次のサブヒロインは誰なんですかね?
「ふーんキミがねー」
「えっなにこれは...」
俺は今、女の子に壁ドンされている。
事の始まりは千聖の事務所で雑用のバイトを募集していたことから始まる。
※
「バイト?」
「ええ。今度リリースイベントがあるんだけど人が足りないみたいで」
千聖がある日持ち掛けてきたのはこんな話。
千聖の事務所で今度千聖が所属するバンドであるパスパレのリリースイベントをやるらしい。
リリースイベントというのはCDの発売を記念してトークショーやお渡し会などをやることである。
「誰でもいい、というわけではなくて。誰か信頼できる人はいないかってスタッフさんに聞かれたのよ」
「なるほどね。それで俺か」
ありがたい話である。バイトを探していたのはもちろんであるが、アイドルの現場という信頼がないと入れない職場。そこへ紹介してもらえるという信頼も感じたからだ。
・・・・何より時給がメチャクチャ高額だった。
「俺は構わんぞ。むしろありがたい」
「ふふっ。芽音ならそう言ってくれると思ったわ。早速だけど今日の放課後に一緒に事務所に来てもらえるかしら?」
「了解」
※
とまあそんな感じだ。そんな感じで事務所に連れてこられて、面接するから控室で待つように言われて待っていると突然女の子が入ってきたわけである。
「千聖ちゃんが連れてきたバイトの子ってキミ?」
「はい、そうですけど・・・ってうぉ!?」
気が付けばこの状況だ。
突然壁に押し込まれ、そのまま壁ドン。そして至近距離に顔が近づきまじまじと顔を見つめられる。
ふわっといい匂いして正気を失いそうになるがそこは耐え抜く。
「えっと・・・なんでこんな状況になってるんですかね?」
「えー?だって千聖ちゃんが連れてきた男の子ってことは・・・あ!これはいっちゃダメなやつか!あぶないあぶない」
「・・・要領を得ない。とりあえずどいてもらえると」
「ちょっと日菜ちゃん!何をやっているの!?」
「あ、千聖ちゃん」
そんなやりとりをしていると千聖が戻ってきた。
「あ!千聖ちゃん来た!えっとねー・・・るんっ♪ってしたからじーっと見てた!」
「る、るん?」
「芽音、考えてもわからないと思うから気にしなくていいわ」
「あ!千聖ちゃんひどーい!」
この流れで大体わかった。多分この子は感覚で生きているのだろう。
気になったら気になり続け、思い付いたことは即実行するタイプだ。
しかしなあ・・・この子どこかで会ったことないか?
「待たせてごめんなさい。説明してくれるスタッフさんを連れてきたわ」
その後日菜さんとやらは部屋から出ていき、千聖とスタッフさんの顔合わせが始まった。
本当に俺が信用に値する人物であるかを見極めている様子だったは、以前過激なうんこの擬人化デブ(序章⑤に出てきたHENTAI)から守った本人であると千聖から告げられると一発で合格となった。
「それでは今週末からお願いしますね」
「わかりました」
スタッフさんが部屋から出ていくと千聖がほっと一息つく。
「お疲れ様、芽音」
「ああ。とりあえず仕事のことはわかったよ。それで千聖、さっきの子なんだがどこかで・・・・」
「あー!終わった?終わったんだよね?もうあたし入ってもいいかな?」
そんなことを聞こうとしていたらさっきの子が入ってきた。
「もう、日菜ちゃんったら・・・」
「あのー・・・実はジブンたちもいるっス」
「私もです!」
「どうも~」
その後ゾロゾロと入ってくる。
そこには今を時めくアイドルバンドが勢ぞろい。
・・・らしい。千聖がアイドルバンドの仕事をやっているのでもらったCDで曲は聴いていたが、テレビもろくに見ないためか他のメンバーのことはほとんど知らない俺であったので、何気に詳細を知るのは今日が初めてである。
「もう、みんなったら」
「だって千聖ちゃんが連れてきた男の子ってことは千聖ちゃんの・・・モゴッ!?」
「彩さん、それ以上はダメです!」
「彩ちゃん?」
彩ちゃんと呼ばれた女の子に向ける千聖の笑顔が怖い。え、怖い。ナニコレ。
「あははー彩ちゃんおもしろーい!」
「ほ、ほへんなさい・・・(ご、ごめんなさい)」
謎のコントが繰り広げられるわけではあるが気を取り直して自己紹介をすることなった俺たち。
丸山彩さん3年生、若宮イヴさん2年生、大和麻弥さん3年生、そして氷川日菜さん3年生。
これがアイドルバンドPastel*Pallets、通称パスパレだ。丸山さんと若宮さんはなんと花咲川の生徒らしい。クラスが違うので知らなかったよ。
1年休学してたからね。仕方ないね。
「というわけで俺は俗 芽音。今週末のリリイベからお手伝いに入ることになったのでみなさんよろしく」
そんな感じで俺はアイドルバンド、パスパレに関わることになったのであった。
ペースが遅く申し訳ございません。
引き続きよろしくお願いいたします!