いつも誤字報告ありがとうございます!!
時は学園祭。今年は花咲川と羽丘合同で行われている。
そんな最中俺は何をしているのかというと、風紀委員の手伝いをしているのである。単純計算で来場は倍になるし、なにより花咲川の男子生徒も増えてきた。
羽丘の女子生徒たちに浮かれ羽目を外した結果問題が起きてしまったでは今後の合同開催は不可、となることも考えられる。
そうならないためのストッパーして、学園祭を手伝う片手間でいいので目を光らせてくれないかと紗夜さんや白金会長からお願いされ、快諾したというわけだ。
一応花咲川、羽丘両方で動くことができる権限が付与されている。
しかしそんな俺の心意気は粉々に破壊されてしまうことになる・・・
そう、やつらの手によって・・・・・
※
「花音、きたぞ」
「あ、芽音くん!」
俺は待ち合わせしていた花音と合流した。
「悪いな、待ったか?」
「ううん、私も今来たところだから」
「そっか。あれ?なんかテンション高めな感じ?」
「あ、わかっちゃうかな?芽音くんと一緒に回るのが楽しみで」
花音は満面の笑みでそう答える。
俺と”千聖と”という意味なのは分かってるけどその言い方やめなさい、そんなこといわれたらお兄さん勘違いしちゃうでしょ。
「だって去年は芽音くん、文化祭の前に・・・」
「そういやそうだったな」
去年、俺と花音、そして千聖は文化祭を一緒に回ろうと約束していた。
しかしそれは俺が清田美緒に襲撃されたことにより叶わなかった。
つまり今年はそのリベンジというわけだ。
「さ、千聖を迎えに行くぞ」
「うん!」
俺たちは待ち合わせ場所へ向かうと千聖はすでに到着していた。
「すまん、待たせたかな?」
「いいえ、大丈夫よ」
「ふふ、楽しみだね」
俺たちは笑顔で合流する。なんだかこうやってこの三人で一緒に何かをするのはとても久しぶりな感じだ。
俺は1年前を思い出し、なんだかいい気分になっていた。
「芽音?なんだか嬉しそうね」
「あれ、ばれちゃった?いやーこの3人はやっぱいいなって思ってさ」
「あ、私も同じこと考えてた!」
「二人とも素直ね」
「そういう千聖も・・・いや、言わんでもわかるか」
「ここでそんなことないなんて空気の読めないこと、言わないわ」
とりあえず俺たちは知り合いがやっている催しを回ることにした。
「すごかったね!プラネタリウム!」
「ええ、高校生の出し物とは思えないクオリティだったわね」
「俺たちの自信作だからな」
初めに来たのは俺のクラスでやったプラネタリウムだ。
「芽音くん、めちゃくちゃ張り切ってたもんね!」
「作るのはその分大変だったけど・・・まあ結果オーライかな」
そんな声を出したのは受付をやっていた香澄さんと美咲だ。
実はこのプラネタリウム、ほぼ俺が監修して作ったといっても過言ではないという代物だった。天体観測が好きな日菜さんから大量に情報を仕入れ、アイディアを取り込んだという経緯があるのであるが・・・
だって日菜さんの知識量半端ないんだもん。それ聞いたら全部取り入れたくなってここまでのものが出来上がってしまったのだ。
「芽音くんってその辺こだわり強いよね」
「確かにそうね。でもそれはいいことだと思うわ。妥協せず納得のいくものを作り上げる。しかもクラスみんなが嫌な顔せず協力するってことは芽音の人柄がなせる技ね」
「え、なにこれこんなに持ち上げられると逆に怖いんですけど・・・・」
「それだけすごかったってことだよ?」
「そうよ、あまり曲解しないでほしいわ」
少し頬を膨らませた千聖(実際には膨らませていない比喩表現であるが)はそんなことを言う。
「さすが元クラスメイトの親友、息ぴったりですねー。さてー次の回の受付をしますか」
「そうだね!あれ?あれは・・・」
視点の先を見るとそこにはAfterglowの皆さんが勢ぞろいしていた。
「ここだよ、蘭ちゃん。プラネタリウムのクオリティがすごいんだって」
「へぇ」
「無関心を装っても楽しみなのがバレバレですな~」
「モカ、うるさい」
「ははは、まあそうカリカリすんなって!」
「あ、あそこで受付をやってるみたいだよ!」
「Afterglowのみんなー!ようこそ!!」
「香澄!5人いいかな?」
「もちろん!自信作だよー?」
この場が一気ににぎやかになる。
「やあつぐみちゃん、ひまりちゃん、それに他の3人も」
「あ、芽音さん!!」
「え!?さ、芽音さん!?」
・・・・?なんかひまりちゃんがすげー驚いた顔をしている。
纏う雰囲気は驚きと・・・緊張?
「ひまりちゃんどうかした?」
「い、いえなんでもないです」
「それならいいけど。他の三人も久しぶりだね」
「どうも」
「お世話になりま~す」
「俗さん、久しぶりです!!」
お察しの通りではあるが、他の3人もひまりちゃん同様、羽沢珈琲店に通ううちに知り合った次第である。
「このプラネタリウム、本当に自信作なんで楽しんでいってよ」
「へぇ・・・そこまで言うってことは相当自信あるんですね」
「ら、蘭ちゃん、そんな挑発的な・・・」
つぐみちゃんが焦ってフォローを入れるがこれはただの冗談ってことはわかっている。
「ああ、目に焼き付けてくるといいよ」
「・・・ふふ、わかりました」
「いや~蘭と俗さんはすっかり仲良しですな~」
「別にそんなんじゃないし」
「またまた~」
そういいながら蘭ちゃん、モカちゃん、巴ちゃん、つぐみちゃんが教室に入っていく。
「ひまりちゃんは入らないの?」
「へ!?あ、すみません。いきます!!」
「・・・?」
ひまりちゃんはそそくさといってしまった。
あれ・・・俺なんかしたかな・・・・?
「・・・・まさかこんなところにも・・・・」
「まさかひまりちゃんもだなんて・・・」
何やら二人がブツブツいっている。
え、なんだこれ怖い。
「おーい、二人とも。大丈夫か?」
「はっ・・・!大丈夫だよ大丈夫!」
「・・・問題ないわ」
何か煮え切らない感じだがまあ二人がそういうのならそうなんだろう。
ふと横を見るとよくわからないけど楽しそうといわんばかりの笑顔を浮かべる香澄さんと、何かを察して目を逸らす美咲の姿があったのだった。
※
「ふう、だいぶ回ったな」
「そうね」
「千聖ちゃん、そろそろ」
どうやら時間切れらしい。まあ俺も何だけど。
「私たちはこれから出し物の当番なの」
「うん、だからここまでかな」
「そっか。観に行きたい・・・ところなんだが風紀委員としての仕事もあってな。俺はもう少し花咲川を巡回したら羽丘に移動するよ」
そういって別れた俺たち。
いやーしかし楽しかった。やっぱこの3人は最高やな!
というわけで羽丘に到着したわけであるが・・・
「あー!!!!!!芽音くんみーっけ!!!!!!!!」
「げぇ!?日菜さん!?!?!?!?」
「私もいるわよ!」
「げぇぇぇぇぇぇぇぇお嬢!?!?!?!!?!?」
俺を待ち構えたいたのはこれから俺をぶち壊すことになる元凶
氷川日菜さんと弦巻こころお嬢の二人であった。
「アッ・・・ボク フウキイイン ノ シゴト ガ アルノデ」
早足で去ろうとする・・・のであるが
ガシッ!
「ギャアアアアア」
「むー芽音くんひどーい。人をお化けみたいにさー」
「そうよ!もっと笑顔になりましょ!」
そういいながら俺は巡回に日菜さんとお嬢を伴うことになった。
そして俺は途中、とあるクラスの出し物にたどり着いたのだった。
「いらっしゃいませー!・・・って芽音じゃん」
「リサさん、可愛い格好してますね」
「ふっふっふーでしょー?友希那もお揃いだよー。友希那ー!」
「リサ、大きい声で呼ばなくても聞こえてるわ」
「友希那さんもよく似合ってますよ」
そこにいたのは今井リサさんと湊友希那さん。
二人とも白金会長や紗夜さんのバンドメンバーで、二人を通じて知り合った。
「どうしたんですか友希那さん、黙り込んじゃて。まるで猫カフェに投票したらまさか自分が猫になるカフェだと思わなくて落ち込んでるみたいな顔しちゃって」
「どうしてわかったの・・・!?」
「え、適当並べたんだけどアタリなんですか」
なんてやりとりをしているといつの間にか日菜さんとお嬢の姿がなくなっている。
「あれ、あの2人は・・・?」
「あ、ヒナとこころなら控室の方に行ったよ」
「なんでまた」
俺は意図が理解できず困惑する。しかしその答えはすぐに出ることになったのだ。
「芽音くん!じゃーん!!」
「・・・や、じゃーんといわれましても」
日菜さんが持っていたのはネコメイド衣装。
もしかして日菜さんかお嬢が着るのか?二人なら確かに似合いそうである。
「ふーん。で、どっちが着るんだ?」
「芽音くんだよ?」
「芽音に決まっているじゃない!」
「ファッ!?」
いや何の冗談だ。え?冗談じゃないって?あらそう・・・
ちょ、ま、二人がジリジリ近づいてくる
え・・・?これは....
「逃げるのみ!」ガシッ!
いやあああああああ黒服さんが3人がかりで捕まえてくるぅぅぅぅ
「放せコラ!」
「諦めて芽音くん、(黒服)3人に勝てるわけないでしょ?」
「バカ野郎お前俺は勝つぞお前!やめ、こんなところでやめて・・・ぎゃああああああ」
※
「くくッ・・・芽音・・・よく似合ってるよ・・・くくッ」
「リ、リサ・・・笑っては・・・失礼よ・・・くくっ」
「おー!すごいすごい!」
「完璧ね!!」
「くっ殺!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そんな俺の声が響き渡る学園祭はまだ始まったばかりであった。
2ndシーズンにも登場した学園祭です。一部設定が変わっています。
引き続きよろしくお願いいたします。