仮面と海月と白鷺と   作:光の甘酒

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目 覚 め


第11話 騒乱の学園祭Ⅲ

「くそっ!変態め!」

 

 

なんて小物がような吐く捨てセリフを吐いてナンパ3人組はどこかへ行ってしまった。誰が変態じゃい。いやもう慣れたけど。

 

 

「あの・・・」

「おっとこんなナリしてますけど風紀委員ですので安心してください」

 

 

散々変態呼ばわりされたのもあって先手を打つ。

 

 

「風紀委員・・・・?もしかして芽音か?」

「ナンノコトヤラ」

 

 

俺に対し全く猫を被らなくなったのと、生徒会室に出入りすることで多少仲良くなれたせいか最近下の名前で呼んでくるようになった有咲さんが俺を名指しで呼ぶ。

しかし今の俺はあくまでくっ殺仮面、ということでとぼけて見せる。

 

 

「いや男の風紀委員って芽音しかいねーし」

「あ、そういえば内部人事知ってる人だったこの人」

「心の声漏れてんぞ」

「これは失礼。ふむ、バレては仕方ない。そうだ、俺こそが・・・くっ殺仮面こと・・・」

「いやそういうの聞いてねーし」

「ハイ」

 

 

冷ややかな視線を向けながら鋭い突っ込みを入れる有咲さん。

うん、まあ知ってるやつがこんなやばい格好してたらこうなるわな。

 

 

「本当に芽音くんなの・・・?」

「やあ沙綾さん。無事かな?」

 

 

そしてポピパを通して親交を深めこちらも名前で呼んでくれるようになった沙綾さん。

俺はお面を外し二人に素顔を晒す。

 

 

「わぁ、本当に芽音くんだ・・・うん、大丈夫。何かされる前に芽音くんが助けてくれたし」

「そこは感謝しとく。でもなんでまたそんな変態チックな格好してるんだ?」

「日菜さん お嬢 捕まった」

「あっ・・・(察し)」

 

 

どうやら察してくれたようだ。

 

 

「というわけで着替えも取り上げられ、でも仕事をサボるわけにもいかず泣く泣く・・・」

「芽音も大変なんだな・・・」

「芽音くん・・・」

「ヤメテ!そんな憐れみに満ちつつも変態を見る目で俺をみないで!!」

 

 

冷静になると恥ずかしさが数倍増するというものだ。

俺は顔を隠すために再びお面を装着しようとしたところで、ようやく二人の格好について質問することを思い出した。

 

 

「そういえば二人も可愛い衣装着てるね。あそっか、これからポピパもライブだったね」

「あ、ありがと・・・///」

「あーはいはい。ありがとありがと」

「有咲さんテキトーすぎやしませんかね?ほら沙綾さんを見てみなよ!非日常的な格好をして気丈に振る舞っていてもいざ指摘されると恥ずかしさが出てきてしまい、顔を赤くしてしまう!それこそ可愛い衣装を身にまとった女の子の義務、普通の反応ではないでしょうか!!」

「か、かわいい・・・」

「おめー格好が変態になって頭も変態になったんじゃねーのか?」

「辛辣なツッコミありがとうございます。自分でもちょっとそう思いました」

 

 

調子に乗って言ってみたがうーむ、ちょっと俺らしい発言ではなかった。

俺も文化祭で浮かれてしまっているんだろうか?いつも通り俺に遠慮がない有咲さんに少し照れる沙綾さんであるが衣装の効果もあって魅力が倍増しているのもだろう。

 

 

「それに沙綾が顔赤くしてるのはそういうことじゃねーから」

「あ、有咲!?」

「え?どういうこと?」

「自分で考えな」

「そんなご無体な・・・おっと、そういえば見回りいかなきゃいけないところ1つ残ってたんだった」

「私たちも準備にいかなきゃ」

「そうだよ、香澄たち待ってる!」

 

 

話を続けたかったが時間がタイトなのも事実でありうやむやにせざるを得ないな・・・

どうやらこの二人との会話はここまでのようだ。

 

 

「んじゃ、俺は行くわ。ライブは俺も観させてもらうから頑張ってね」

「おう、じゃあなー」

「また後でね」

 

 

 

そうして俺は残り1か所の見回りノルマを終わらせ、休憩に入るのであった。

 

 

 

 

「おーい沙綾?」

「・・・・・・」

「沙綾ー」

 

 

芽音を見送ってから沙綾の様子がどうもおかしい。

いや待てよ、さっきちょっとからかいすぎた感はある。ヤバイ、もしかしたら怒らせちゃったかな・・・?

 

 

「沙綾・・・その、さっきは調子に乗って・・・」

「・・・・いいかも」

「・・・は?」

 

 

 

沙綾は顔を赤くさせ少し息を荒くしている。

 

 

「な、なにが・・・?」

「猫耳メイドの芽音くん・・・いいかも///」

「は・・・・?はあああああああ!?」

 

 

どうやら友達がなにかに目覚めてしまったようである。

おい芽音、お前のせいだ。

責任・・・とれよな?

そんなことを考えながら香澄たちと合流すべく私たちは移動を始めたのであった。

 

 

 

 

「つっかれたー・・・」

 

 

俺は校舎裏の誰も来なさそうなスペースで休憩をしている。

このあとはライブがあるのでそれを見なければならないし会場の警備もしなければならない。そのための休憩、体力回復だ。

 

 

「お疲れ様、芽音」

「・・・千聖?」

 

 

ほっぺたに冷たい缶ジュースを当てられ、その方向を見ると千聖が立っていた。

 

 

「おう、ありがとう。あ、この格好は・・・」

「日菜ちゃんとこころちゃんにやられたんですって?」

「話が早くて助かる。そういえば花音は?」

「花音ならライブの準備に向かったわ」

「あーそっか。花音もスペシャルバンドで出るんだもんな」

 

 

どうやら千聖に眼力で殺されるような事態は避けられたようだ。

話を聞くに千聖も自分のクラスの出し物当番を終え、花音たちやポピパのライブを見るために花咲川から羽丘に移動してきたらしい。その連絡があったのでここを指定したというわけだ。

 

 

「どうだ千聖、楽しんでいるか?」

「ええ、とっても。今年は芽音もいることだし」

「よせやい、お世辞でも照れるだろ」

「でも芽音、本当にいい顔をするようになったわよ。会ったころとは大違い。あの頃は仮面を作ってコロコロ雰囲気を変えて無理して・・・」

「それはお互い様だろうて。あの頃の千聖、結構怖かったぞ」

「あら、失礼ね。そういうあなたは何を考えているかわからない、得体のしれないクラスメイトだったわ」

「むむむ・・・」

 

 

俺と千聖は真顔でにらみ合う。

 

 

「・・・・くくっ」

「・・・・ふふっ」

 

 

のであるがすぐに笑みがこぼれ笑顔に変わる。

 

 

「ホント、あなたは変わったけど・・・変わらないわね」

「千聖もな」

 

 

その言葉だけでお互いのことが分かる。

やはり千聖は特別な親友であるのを実感するとともにこうやって一緒に過ごすだけで安心感を得られる。この気持ちが何なのかの答えは未だに出ないけどまだゆっくり考えていていいんだろうか?

 

 

「ねえ、芽音。私たちは変わってない。でも、それは永遠じゃないわ」

「なんだよ突然」

「ただの世間話よ。私たちは徐々に大人になっていくし、どんなきっかけで関係が変わるかわからない。でも関係が変わる出来事っていうその瞬間はいずれやってくるわ」

「随分深いことを言うね」

「そうかしら?まあ私から言いたいのはその瞬間が来たと感じたらその都度、真剣になって考えてねってことよ」

「・・・・よくわからんがわかった」

「・・・変な話をしたわね。頭の片隅にでも記憶しておいてもらえばいいわ」

 

 

千聖がどういう意図でコレを言ったのかわからない。しかし千聖が無駄なことを言うとは思えないし、きっとこの言葉の意味をかみしめる日がいずれ来るのだろう。

 

 

「ライブまでまだ時間があるわね」

「そういえば長めに休憩貰ったんだった。ここ静かでいいけど、万一人に見られたら千聖は世間の目がマズいんじゃないか?」

「それもそうね・・・私としたことがうっかりしてたわ」

「千聖もうっかりすることあるんだな」

「人が来る前に先に会場に行くわ。話に付き合ってくれてありがとう」

「こちらこそ。有意義な時間だった」

「ふふっ・・・じゃあ、またね」

 

 

そのまま千聖はこの場を離れて行動の方へ向かった。

さて、俺もう少し休憩したら行くかなー

 

 

「それで、他校に来てまで話って何でしょうか?」

 

 

あれ?声・・・?

 

 

この人の気がない校舎裏。

そのはずなのどこからか声が聞こえる。俺は少し気になり。その声がする方へいくんであるがそこにいたのは紗夜さん・・・?いや、あれは・・・

 

 

 

「あんたいっつも私たちを目の敵にして!」

 

 

対する人たちは花咲川で多少素行に問題がある女子生徒3人組であった。

ふむ、状況を察するに普段風紀委員により注意を受けている彼女らがその鬱憤を晴らすために風紀委員長である紗夜さんを呼びつけ直々に物申している、といった具合か。

しかしあれは多分、紗夜さんではない。

 

 

「つまり、お話がしたいということでしょうか?」

「話・・・?そうね、話ね」

 

 

あれは、なぜか花咲川の制服を纏った日菜さんであった。

 

 

 

 

「ただの世間話よ。私たちは徐々に大人になっていくし、どんなきっかけで関係が変わるかわからない。でも関係が変わる出来事っていうその瞬間はいずれやってくるわ」

「随分深いことを言うね」

「そうかしら?まあ私から言いたいのはその瞬間が来たと感じたらその都度、真剣になって考えてねってことよ」

 

 

世間話といったがこれは結構重要なことだと思う。

私たちの関係は”私たちが親友である”ことを前提で成り立っている。

でも私が知るが限り沙綾ちゃん、ひまりちゃんは間違いなく芽音のことが好きだ。

花音はどうかわからない。

そして芽音は人の雰囲気を読み取るのが得意なくせに自分に向けられる恋愛感情に恐ろしく疎いところがある。

このままいけば誰かが涙を飲むことになるのは間違いないし、全員が涙を飲むことになるかもしれない。

私は芽音のことが好きだ。でも、だからといって他の人を芽音が選んだのであれば頑張って諦めるようにするだろうし、ドロドロするのも嫌だ。

だからこそ、芽音には少しでもその疎さを克服してほしいと思った。

 

 

「そうかしら?まあ私から言いたいのはその瞬間が来たと感じたらその都度、真剣になって考えてねってことよ」

「・・・・よくわからんがわかった」

「・・・変な話をしたわね。頭の片隅にでも記憶しておいてもらえばいいわ」

 

 

故にこんな会話をしてしまったのだ。今はわからなくてもいい。その時がくれば芽音ならきっと気づいてくれると思うから。

 

 

 

 

「おーポピパのみんな!衣装いい感じだね!!」

「ありがとうございます!日菜先輩!!」

 

 

あたしはステージの設営、準備をすべて終わらせて時間を開始まで持て余していた。そして控えのところにあったポピパのみんなの制服。

これをみてるんっってすることを思いついたのだ。

 

 

「ねえ香澄ちゃん!制服、ちょっと貸してくれないかな??」

「制服ですか?」

「うん、私が花咲川の制服を着れば・・・?」

「あ!紗夜さんみたいになる!!」

「せいかーい!というわけでどうかな?」

「楽しそう!!いいですよー!!」

 

 

きっかけはそんな些細なこと。

あたしは花咲川の制服を身にまとい、行動の外に出てみた。

 

 

「あのさ、ちょっと顔貸してよ」

「え?」

 

 

その刹那、花咲川の制服を着た3人組に手を引かれて校舎裏に連れていかれてしまった。

 

 

「あんたいっつも私たちを目の敵にして!」

 

 

あー・・・これあれだ

多分おねーちゃんが普段注意している人たちが文句をつけにきてるんだ。花咲川の制服を着ているあたしをおねーちゃんと勘違いしたってところかな。

 

 

「つまり、お話がしたいということでしょうか?」

「話・・・?そうね、話ね」

 

 

ひとまずおねーちゃんの振りをしてみる。

 

 

「話し合いであれば聞きますよ」

「わかったわ。でも、話すのはあの人たちだけどね!」

「えっ・・・?」

 

 

目線の先には3人組の男子生徒たち。

花咲川でも羽丘でもないようだ。

 

 

「私の彼氏と友達。あんたを懲らしめてもらおうと思って」

「オラ、こっちにこい!」

「痛っ!」

 

 

あたしはそのうちの一人に腕を掴まれてしまい、そのまま6人に囲まれてしまったのであった。

 

 

 




次回、くっ殺仮面大活躍!(適当)

騒乱の学園祭、後1~2回を予定しております。
千聖が核心に少しせまったかな・・・?
引き続きよろしくお願いいたします。
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