しかしでっけーマンションだなおい。何階あるんだこれ?
俺は指定された部屋番号の番号を入力し、インターホンを起動する。
すると物凄く明るい声で「お待ちしておりました~どうぞ~!!」と聞こえ扉が開いた。
RAISE A SUILENのスタジオがあるマンション。
有咲さんや花園さんに場所を聞き出し、アポを取ってもらったところOKが出たため訪れた次第である。
ここに来る前、有咲さんや沙綾さんに色々話を聞き、そして俺は花園さんにも話を聞いた。
「どっちにせよケジメはしっかりつけるよ。それが礼儀」
俺はその言葉を聞き、余計なお世話かもしれないが動いたわけである。この行動が果たして正しいのかどうかはわからないが、俺は今回ポピパのために動くと決めた。結局は花園さんの結論次第になることはかわらないけどね。
引っ掻き回さない程度にやってみよう。ちなみに有咲さんや沙綾さんとの会話は次回になるのでよろしくぅ(露骨な宣伝)
「ようこそ!わたくし、チュチュ様のお世話係をしておりますパレオと申します!以後お見知りおきを・・・あら?」
「あれ?まさかこんなところで会うとは」
そこにいたのはパスパレのファン第一線にいるレオナちゃんであった。
リリイベなどでは必ずいる上にその時に合わせて髪の色を変えてくるという歴戦の強者である。
「パスパレのスタッフさんとこんなところでお会いできるとは!世間は狭いですねぇ~改めましてよろしくお願いします!ここではパレオとお呼びくださいね!」
「よろしくお願いします。俺のことは好きに呼んでいいので」
「では芽音さんと呼ばせていただきますね!私に敬語は必要ありませんので!」
目の前にいるメチャクチャ明るいパレオさん。しかし俺は感じ取ってしまった。
・・・彼女の奥底に潜んだ暗い雰囲気を。
”ああ、この子も仮面を被ってるんだな”
同族だからだろうか?すぐにわかってしまった。きっとこの子の本性は全く別のものなんだろう。だがそれをここで暴く意味も意義も感じないため、俺はそのまま話を続けることにした。
「What?サキナリって言ったかしら?」
「んんん、そのネイティブな英語と変な日本語が混じった話し方、聞き覚えがあるぞ」
「Oh...やっぱりあなただったのね。久しぶり」
会話に割り込んできた別の声。
回転イスを回して現れた顔は相も変わらずビーフジャーキーを口にくわえた”珠手ちゆ”その人であった。
「やっぱりちゆちゃんだ」
「今はチュチュって呼びなさい」
「わかったよ”ちゆちゃん”」
「No!チュチュ!」
「いやあ、”ちゆちゃん”は”ちゆちゃん”だし今さら変えられないわ」
実に久しぶりの再会である。
いやあ、この唯我独尊っぷり、かわらないなあ。
「お二人はお知り合いなのですか?」
「うん。実は俺ちょっと前まで大けがをしてリハビリ施設にいてね。その時同じ施設にいたのがちゆちゃん」
「だからチュチュ・・・はあ、もういいわ。サキナリは相変わらずね」
「ちゆちゃんこそ。・・・まさかRASがちゆちゃんが組んだバンドだったとはね」
「そうよ!サキナリ、あんたが教えてくれたからできた最高のバンドよ!!」
「そういやそうだったなあ」
※
時は遡りリハビリ時代。
いつも通りリハビリをやっていたら一人の女の子が俺と同じエリアに入ってきた。
最初は警戒されていたけれど、日を重ねるうちに会話が増えていき、次第に本音を隠さず話せるようになったのである。
「じゃあ珠手さんは楽器演奏中の事故でケガをしたわけだね」
「・・・ファーストネームでいいわよ」
「え?」
「だからファーストネームで呼ぶことを許可するって言ってるの!」
「なるほど。んじゃ、ちゆちゃん」
「ん。何かしらサキナリ?」
「ちゆちゃんのケガって結構重め?」
「そうでもないわ。そんなに大したことないのだけれどマミィが大げさにね。あんたは結構重そうね」
「いやーレンガでぶん殴られちゃってさ。長いこと目を覚まさなかったせいで筋力が落ちちゃって」
「なかなかアンビリバボーな人生を送っているわね・・・」
ちょっと引かれ気味に驚かれる。
その後も話は続くのであるが、どうやらちゆちゃんは才能はあるのに体の小ささのハンデなどもあり、上手く楽器を扱えないという悩みがあるようだ。
それを何とか克服しようと楽器を演奏していたら事故を起こしてしまい今に至ると。
「昔から親は何でも褒めてくれる。失敗しても、ね。でもあたしがやれることはいっつも中途半端。やり方はわかってるのにできない。それが悔しくて、歯がゆいのよ」
「・・・だったらさ。プロデュースする側なんてどうよ」
「What?」
「だからプロデュース。ちゆちゃん自身に演奏する力はない。でもちゆちゃんには才能がある。その才能を生かした目利きの力もある。で、あればやることは自分の手足になってくれる人材を探し、プロデュースする。どうかな?」
「・・・・・・・・」
「ちゆちゃん?」
「それよ!!!!!!!!!Nice ideaよサキナリ!」
※
以上、回想終わり。
とまあそんな感じで俺とちゆちゃんは知り合いなわけだ。
「それで?タエ ハナゾノについて話があるって言ったけど」
「ああ、それが本題だね。ねえちゆちゃん。ちゆちゃんから見て花園さんはRASに絶対必要な存在なのかな」
「・・・質問の意味がわからないわ」
「言い方を変えよう。ちゆちゃんがプロデュースする最高のバンドに花園さんの存在は絶対なのかな?」
「絶対よ」
即答するちゆちゃんに俺は意志の強さを感じる。
ちゆちゃんは本気で花園さんを買っていて、正式メンバーに迎えたいんだ。
「ひとつ、知り合いのよしみで聞いてもらってもいいかな?花園さんは諦めて欲しい・・・とまでは言わない。せめて本人の意思を尊重してほしい」
「・・・なんであなたがそんなことをいうのかしら?」
「今の俺はPoppin'Partyのためにここにきているからかな」
「・・・帰りなさい。あなたと話すことは何もないわ」
ちゆちゃんは冷たい目で俺を見てそう言い放つ、
しかし俺も引くわけにいかない。
「ちゆちゃん、少しくらい話を聞いてくれてもいいんじゃないかな?」
「何を聞けっていうの?そんな義理、あたしにはないわ」
「・・・ちゆちゃん」
「帰れっていってるの!」
そう叫ぶちゆちゃんの目には涙が浮かんでいた。
しかしそれもわかる気かがする。なぜなら・・・
「あたしはアンタにあの日、出会って今のあたしがある!アンタのアドバイスであたしのために音楽を奏でる最強のバンドを作った!それなのに!なんでそのアンタにバンドを否定されなきゃいけないのよ!?」
「チュチュ様、落ち着いてください!!」
いま彼女が言ったとおりである。
彼女がRASというバンドを作ったのは俺がきっかけだ。そんな俺が作ったバンドを壊すようなお願いに来ているのである。ちゆちゃんからしたらたまったものではないだろう。
「あたしがどんな思いでバンドを作ったと思っているの!?あの日アンタにアドバイスを受けてから寝る間も惜しんでずっと一人でやってきて・・・やっとメンバーが集まったのに!」
「・・・そうだよね。ちゆちゃん、ごめん。俺の配慮が足りなかった。でもね、ちゆちゃん。君が自分で作ったバンドが最強だと思うと同じで、ポピパもあの5人でポピパなんだ。だから諦めろとは言わない。せめて本人が決断したようにやらせてほしいんだ」
「帰りなさい」
「だからちゆちゃん」
「帰りなさい!パレオ、お客様がお帰りよ!!」
どうやらもう聞く耳を持ってくれないようだ。
仕方ない、伝えるべきことは伝えたしお暇するか。
「わかった。帰るよ。俺がここに来たのは花園さんに秘密にしてくれ」
「わかったわよ」
「それと、ちゆちゃん」
「今度は何?」
「久々に会えて嬉しかったよ。こんな形になったけどさ」
「・・・・っ」
「じゃあ、俺はこれで」
俺は出口に向かって歩きだすと、見送ろうとパレオさんが後ろについてくる。
「サキナリ!」
「・・・?」
「あたしだってアンタに再会できると思ってなかったから。その、嬉しくないこともない・・・わ」
「なんと」
「・・・さっきは意固地になりすぎたわ。タエ ハナゾノの件は考えてみる。当然あたしは残ってくれると信じているけど」
「やっぱちゆちゃんはいい子だね」
「なっ!?」
ぼんっ!という音がこれでもかというほど似合う感じで顔を赤くするちゆちゃんをみて何となく懐かしいとともにさっきの暗さが吹き飛んだ。
ちゆちゃん、やっぱ変わらないなあ。
「あらあら~チュチュ様可愛いです~」
「パーレーオー!!」
パレオさんもそれに便乗した。もうこれ収拾つかねえな・・・
「んじゃ、本当に帰るよ。じゃあね、ちゆちゃん、パレオさん」
こうして、思わぬ再会を果たした俺は、デカイマンションを後にした。
そしてその足で、山吹ベーカリーに向かったのである。
まさかのチュチュ様サブヒロイン!
いやーRAS結成のきっかけが主人公絡んでるって設定、チュチュ様と主人公が知り合いという設定は割と前から考えていて、ようやく時系列がここまでこれたので書きました!
時期は未定ですがモニカとかも出したいですね!
引き続きよろしくお願いいたします。