仮面と海月と白鷺と   作:光の甘酒

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アニメ3期のRAS結成に芽音が関わっていたら?
をコンセプトにブラッシュアップしました。
なお、地名の鴨川が加茂川になっているのは公式のパレオが通う加茂川中央中学校に準拠しておりますので仕様とお考え下さい。





第18話 √珠手ちゆ

「やあパレオさん・・・いや、レオナちゃんかな」

「芽音さん」

 

 

学校の帰り、パスパレのマネージャーサポのバイトを終えた俺はたまたまレオナちゃんに出会った。

しかしレオナちゃん、雰囲気がどうにもおかしい。

なんというかパレオとレオナの中間というか・・・とにかく変な雰囲気だったのだ。

 

 

「レオナちゃん、何かあったのかい?なんというか・・・疲れた顔してるよ」

「芽音さんの目はごまかせませんね。大丈夫です、ちょっと気を抜いてしまっただけですので」

「それならいいけど」

 

 

うん、明らかにウソである。

しかし本人が言いたがらないのに聞く趣味は俺にはない。

余程特別な事情でもない限りそのあたりの領域に踏み込むのはルール違反だと思うからだ。

 

 

「なんかあったら相談してよ?キミはただでさえ働き者なんだからさ」

「お気遣いありがとうございます!本当に大丈夫なので。それではまた!」

 

 

早足に去ってしまうレオナちゃんの背中。俺は違和感を覚えたままそれを見送ったのであった。

 

 

 

 

「なんでこんなことになってるんだよ」

 

 

数日後、どうにもレオナちゃんの様子がおかしくてどうしても気になった俺。ちゆちゃんのマンションを訪ねてみたらそこはひどい有様だった。

 

 

「ちゆちゃん?開けてくれたってことはいるんだよね?」

 

 

散らかった部屋を進み、俺は一つの部屋にたどり着いた。

そう、ちゆちゃんが作曲をしているプライベートルームだ。

 

 

「ちゆちゃん!あけるよ!」

「・・・サキナリ」

 

 

緊急性があると思って断りを軽く入れてドアを開けるとそこには涙でグズグズになったちゆちゃんがいた。

 

 

「なにがあったの?」

「みんな・・・みんないなくなっちゃった」

 

 

俺はその一言で察した。

おそらく色々と折り合いが上手くつかず何かしらのトラブルになっているのだろう。

俺はちゆちゃんに事情を聞くことにした。どうやら方向性を決めるのに一方的気味に話してしまったためマスキングさんと若干微妙な空気になったらしい。

そしてそれに加えて・・・

 

「パレオがいなくなったの」

「・・・やっぱりか」

「知ってたの?」

「いや、この間様子がおかしいパレオさんに会ったからさ」

「そう・・・それでマスキングやロックがパレオのこと心配して私にパレオのことを聞いてきたの。でも私は何もしならない。千葉の加茂川に住んでいることくらいしか知らない。そういったらマスキングがもう少しメンバーのこと考えろって怒って・・・それでたまらなくなって一人で帰ってきたのよ」

 

 

バツの悪そうな顔をしているちゆちゃんであるがあの人たち、特にマスキングさんは曲がったことが嫌いな性格だ。しかしそれはメンバーを思って故のことだと思う。そう思うとバラバラになるなんてことはないと思うのだけれど・・・

 

 

「一つ重要な確認をしてもいいかな」

「・・・ええ」

「パレオさんはなんでいなくなったの?」

 

 

核心に迫る質問。なぜこんなことになったのか。

”たとえ世界中の人がチュチュ様の敵になってもパレオだけは味方で居続けます”

自信満々に言い放ったパレオさんは記憶に新しい。

そんなパレオさんがいなくなるなんて余程のことであることは想像に難くない。

 

 

 

「・・・・」

「ちゆちゃん」

「・・・っていったの」

「え?」

「あんただけいても仕方ないって言ったのよ・・・」

「・・・・え」

 

 

それは必殺の一言。

マスキングさんと微妙な雰囲気になった日、パレオさんは一人でも味方で居続けるとちゆちゃんに言ったらしい。

しかししれに対するちゆちゃんの言葉はパレオさんの決意を一刀両断する、もっとも言ってはいけないものであった。

それを言ったというのか?

 

 

「ちゆちゃん、もう一度確認するけどさ。それをいったのは間違いないかい?」

「間違いないわよ・・・」

「そっか」

 

 

俺は雰囲気を変える。

 

 

「ねえちゆちゃん。今から俺はとてもキツイことを君に言うと思う。この言葉を俺が吐き散らかした暴言と思うのもそう思わないのも君の勝手だ」

「サキナリ・・・?」

「この大馬鹿!!!!!!!!キミは今まで何を見てきた?もっとメンバーのことを見ろってマスキングさん言われた?ああそうだ、まったくその通りじゃねえか。パレオさんがどんな気持ちで・・・キミを見てきたと思っている!」

「ちょっと・・・怖いわよ・・・?」

「ひとまず黙って聞いてもらおうか。反論はそれから聞く。自分の音楽を奏でたい、自分の手足が欲しい。その手段としてプロデューサーになる。確かに提案したのは俺だ。そしてその提案でここまで大きなものを作り上げたものはすごいと思う。だがその結果がこれか?」

「そ・・・それは。仕方ないじゃない!このままじゃRoseliaに負けちゃう!私の最強のバンドが・・・負けちゃう!」

「メンバーを犠牲にした上で成り立った勝利に意味なんてあるのか?」

「・・・え?」

 

 

そう、これこそがこの問題の最大の争点になることである。

 

 

「キミはメンバーのことを何でも知ってるのか?音楽の腕以外を信頼しているのか?パレオさんの住んでいるところは?好きな食べ物は?学校は?」

「それは・・・そんなもの知らなくたってバンドは・・・」

「ちゆ!!!!!!!!!!」

「・・・・!」ビクッ

「質問に答えろ」

「なにも・・・知らないわ」

「そうだろ?じゃあ次の質問だ。バンドは一人でやるものなのか?」

「そんなわけないじゃない」

「だよな。じゃあ次だ。バンドメンバーは機械か?ちゆ好みの演奏をやってくれる機械か何かなのか?だったらDTMでいいよな?」

「バカ言わないで。みんな個性を持った人間よ」

「だろ?じゃあちゆ。キミはその個性を尊重して、メンバーの性格や都合を考えてプロデュースをしていたのか?」

「そ・・・それは・・・」

「つまりそういうことだ。キミはRoseliaへの焦り、そして自分の腕に自信を持つあまりひとりで突っ走って、バンドのようなものをやっていたに過ぎない。そこにメンバーの意思はしっかりと反映されていないことは自覚しているんだろ?」

「・・・・・」

「なんでRoseliaが強いと思う?なんで花園さんはポピパにこだわると思う?そんなもん決まってる。心から信頼しあえる仲間がいるからだ。5人でRoselia、5人でポピパだからなんだよ」

「仲間・・・」

「そうだ。RASはどうだ?しっかりと信頼関係を築けているのか?仲間って言えるのか?この5人じゃなきゃRASじゃないって言えるのか?」

 

 

厳しい口調でその質問を投げかける。

その質問に対し、ちゆちゃんは何かのスイッチがはいったのか、はたまた怒鳴る俺に対抗するためか表情を変え、大きな声を上げた。

 

 

「言えるわ!!!!この5人じゃなきゃ・・・5人じゃなきゃ・・・イヤ・・・ダメなのよ!!!!私が描く最強のバンド・・・レイヤが歌ってベースを弾いて、ロックがギターを奏でて、パレオがキーボードで踊ってマスキングがドラムで暴れる。そうじゃなきゃダメなのよ!アーティストとしても、人としても信頼している。ずっと見てきたわけでもないくせに偉そうなこと言わないで!!!!!」

 

 

それは強い意志。

珠手ちゆの心の叫びであった。

 

 

「最後に聞こう。キミはメンバーのことは好きかい?」

「好きに決まってるでしょ!?頼んでもないのに世話をやいてくれたり、みんなで集まってくだらない話をしたり、こんな私にも優しくしてくれるメンバーのことが嫌いなわけないじゃない!」

「やーっと本音出てきたね」

「え・・・?」

「その言葉、RASのみんなに言いなよ。多分みんなそれを言うだけでイチコロだよ」

「イチコロってきょうび聞かないわね・・・」

 

 

顔を真っ赤にしつつも少しあきれ顔のちゆちゃんをみて俺は雰囲気を元に戻した。

 

 

「怒鳴ったりして悪かったね」

「・・・あなたも私のためにやってくれてるのわかったもの。構わないわ」

「ひとまずちゆちゃんはメンバーにちゃんと気持ちを伝えようよ」

「今さらどう伝えればいいの・・・?」

「そんなに難しいことはない。思ったままに伝えればいい」

「思ったままね・・・・」

「ねえちゆちゃん。キミはいつもこういうね。私の最強のバンドって」

「それがどうしたのよ?」

「これだけは言わせてもらうけどさ。もうRASはキミの最強のバンドじゃあない」

「・・・!?どういうことよ!?」

「今は語る必要はない。これはちゆちゃんが自分で考えて導き出さないといけない答えだ。大丈夫、今まで話したことを全部思い返せば答えは自ずと出るさ」

 

 

RASは”ちゆちゃん”の最強のバンド。ちゆちゃんはそういった。でもそれはもうすでに過去のものとなっている。RASはちゆちゃん”だけ”の最強バンドではない、RAS5人みんなが揃ってこその最強バンドに生まれ変わったのだ。きっとちゆちゃんなら気づいてくれる。

俺はそう信じてちゆちゃんのマンションを後にしたのであった。

 

 

 

 

「・・・・さすがに出ないか」

 

 

 

電話に出ないことを確認すると俺はメッセージを送る。

”話がしたい。誰に頼まれたわけでもなく、レオナちゃんの友人として。差し支えなければ今から君の地元に行ってもいいかな?”

 

 

するとすぐに返信が来た。

 

 

”遠いですよ?”

”構わないさ。どこにいけばいい?”

”では千葉県加茂川の・・・・”

 

 

俺は指定された場所へすぐに向かった。

 

 

「レオナちゃん」

「芽音さん。どうも」

 

 

そこにいたのは紛れもなくレオナちゃん・・・鳰原令王那その人であった。

いつものように明るい髪色は面影なく黒に塗りつぶされており、眼鏡をかけて制服を着こんで、いかにも優等生といった感じであった。

 

 

「話をしようか」

 

 

俺はそのまま、レオナちゃんに向かい合って話を始めたのであった。

 

 

「きっとバチが当たったんです」

 

 

レオナちゃんはそう言い放った。

 

 

 

 

 




サブヒロイン完結2人目はチュチュ様!
RASのみんなのキャラがだいぶわかってきたのは大きいですね。
ややシリアススタートですがハッピーエンドは約束されているので次回は明るいです!

あと評価、お気に入り、しおり本当にありがとうございます!
やはりヒロインが振られるのは堪える方もいるようで沙綾ルートでかなり増減しましたが落ち着いて安心しました。
あくまでメインヒロインは2人ですのでそのあたりは・・・
引き続きよろしくお願いいたします。
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