こんなに伸びるのは初めてで嬉しいとともに下手なものは書けないというプレッシャーが・・・
と、いうわけで第2話そうぞ!
清々しい朝だ。もう7月も終盤。厳しい暑さが続く。しかし、本日は晴れではあるがちょうどいい具合に雲が出ており、気温もちょうどいい。こんな日はなんだかいいことがある。
そんな予感がしてならないのだ。
「おはよー!」
「おう俗、おはよう!」
いつものクラスメイトがいつも通り朝の挨拶を返してくる。
うん、今日も一日程々に仮面を被って、平和に過ごしましょうかね。
・・・・なんてことを考えていたのだが。
どうやらその考えは甘かったようである。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「ひぃ!?」
「ん?どうしたんだ俗?」
「い、いや・・・なんでもない」
教室に入って感じた気配。
それを発する先には・・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「ひぇっ!?」
「だからどうしたんだよ俗!?」
固定された作り笑顔で碇ゲン●ウのような体勢で座り、禍々しい気配を発する白鷺千聖の姿があった。
「松原さんおはよう!」
「あ、おはよ・・・ふぇぇぇぇ!?」
「松原さんどうしたの!?」
それはどうやら、たった今教室に入ってきた花音も感じ取ったようであった。
※
昼休み。校舎裏で三人で昼食をとる。
暑いので近頃は日陰だ。
「なあ千聖。何かあったのか?」
「うん、教室に入った瞬間びっくりしちゃった」
依然として禍々しい空気を放つ千聖を見かねて、俺たちは質問をする。
「ちょっと話を聞いてくれるかしら・・・・?」
聞いてほしい空気も一緒に放ってたくせに何を言ってやがる。
・・・・と思っていたがあえて口に出さない。余計なことを言ったら多分大変なことになる。まさに藪蛇、触らぬ神に何とやらだ。
「実はね・・・・」
※
― 昨日 都内某スタジオ控室
「千聖さん、そろそろスタンバイしてください」
「はい」
今日の仕事はドラマの撮影。とはいってもセリフは一言だけ、1話限りのチョイ役。
こんな役でも私のキャリアには必要な大事な仕事だ。気合を入れていかなければ。
「では行きましょう」
「はい」
マネージャーの川崎さんに連れられスタジオ入りするのであるが、そこに待っていたのは予想外の展開であった。
突然スタッフの一人が川崎さんに駆け寄り、焦った様子で話を始めたのだ。
「どういうことですか!?」
「いや~そのね。監督が。ね、わかるでしょ?」
「そんな理由で!」
どうやらもめている様子である。
スタッフさんは私にも気が付いたようで申し訳なさそうに駆け寄ってくる。
「白鷺さんおつかれさまです」
「どうかしたんですか?」
「いや~・・・監督がね・・・その、白鷺さんを見て急に予定してたシーンなしにするって言いだして。なんか思ってたよりも可愛いからイラついた・・・みたいな」
監督は齢48歳の独身女性。仕事に全情熱を捧げた結果、婚期を逃してしまったらしく、そのせいか若い女性スタッフや女性役者へのアタリがきついらしい。
「と、いうわけでその・・・役なくなっちゃって」
「そんな!今日はこのためにスケジュール開けておいたのにどうしてくれるんですか!?」
「ですからその、その件は後程こちらから正式に謝罪をさせていただきますので・・・」
「ですが!!!」
「川崎さん、もういいですよ。監督の気分や判断で演出やシーンが変わることなんてよくあることです」
「千聖さん・・・・」
「さすがに出演シーン丸々カットは予想外ですけど・・・・仕方ないです。今日はもう帰りましょう、監督に挨拶してきます」
「ちょ、千聖さん!?」
私は椅子に座りふんぞり返る監督のもとへ向かう。
「監督」
「・・・・誰?」
「白鷺千聖と申します」
「・・・・ああ」
「本日はせっかくお呼びいただいたのにご期待に添えず申し訳ございません。またの機会にお呼びいただけるよう、より一層精進いたしますので、今後ともご指導のほどよろしくお願い致します」
「・・・・フンッ。考えておくわ。お疲れ様」
「はい、失礼します」
こうしてこの日の仕事が丸々1本なくなった私はスタジオを後にし、そのまま帰宅する。
「ふう・・・今日は災難だったわね」
自室のベッドに寝ころび一息。
これは仕方ないこと。さっきも言った通り監督の気分でこんなこといくらでも起こりうる。割り切って考えましょう。
・・・・と思っていたんだけど
「やっぱりムカつくわね」
※
ってことがあったのよ。
「回想お疲れ様」
なるほどな。一日の予定を潰された上にそんな態度取られたんじゃ、ああなるのも納得だ。というか俺ならブチ切れてると思う。ていうか今現在キレそう。
「ひどいよ!千聖ちゃんは頑張ってお仕事してるのにそんな理由で・・・」
現に花音は怒っていた。うん、その気持ち。とてもよ~くわかる。
「ああ、人を何だと思ってんだって感じだ。しかしそこで事を荒立てず切り上げたのは正解だったな。ここで有名監督とトラブルを起こせば後々・・・な」
「そうね。まあ実際、この業界ではよくあることなのよ。さすがにあそこまで理不尽なのは初めてだけど・・・さすがに笑っちゃうわね」
そういう千聖の目は笑ってない。こわいです千聖さんこわいですその目。
その後も色々仕事であったことなどを話す千聖。
どうやら相当たまっているようだ。
俺と花音はそれをあいづちを打ちながら、返事をしながら聞いていた。
「ふふっ」
しかしここで、打って変わって突然ほほ笑む千聖。
「おいおい、怒りのあまりネジが飛んで頭がおかしくなったか?」
「お仕置きするわよ?」
「ハイゴメンナサイ」
どうやらそうではないらしい。
よくよく感じると、怒りのボルテージは徐々に下がっており、安らぎの雰囲気が強くなっているように感じられるのだ。
「あれ?千聖ちゃん・・・怒ってる割には・・・?」
「あら、漏れてたかしら?」
「ああ、俺が気づくレベルで漏れてるぞ。何をそんなに喜んでいるんだ?」
「・・・今まで仕事の愚痴を言える人なんていなかったから。理不尽な目に遭ってもこれは業界の慣例、私が我慢すればいいことって考えて。割り切って、現実を見据えて・・・ずっと一人だったの。だから、こうやって話せて、一緒に怒ったりしてくれる友達ができたのが嬉しいのよ」
優しげな目で語る千聖。
それは俺もそうかもしれない。心を許して冗談も軽口も気軽に言い合える心地よい関係。それが今、俺たち3人の中にはできているのだ。
そして千聖は話してすっきりしたのか朝とは比べ物にならないくらいいい顔をしていた。
「千聖が超素直だ・・・」
「悪いかしら?私だってたまには本音をいうわよ?」
「いや、やっぱり怒ってるのよりそっちの方が可愛いぞ」
「ハァ~・・・あなたは本当に・・・」
呆れるようにため息をつく千聖であるがなぜこのタイミングでため息が漏れるんだろうか?
「ねえ芽音。あなた、色々気を付けたほうがいいわよ?」
「気を付ける?何に?」
「それはあなたが自分で考えることよ。ねえ?花音」
「ふぇ!?私!?でもそうだね・・・うん、千聖ちゃんの言う通りかも」
「マジでわからん・・・」
なんだかよくわからん問題を突きつけられて若干消化不良だが、千聖の気分が晴れたようでよかった。
「あ、花音。今度の休日空いているかしら?気分転換もかねて、色々見ておきたいものがあって」
「次は・・・うん、大丈夫だよ。一緒にいこっ」
そう考える俺そっちのけで遊ぶ約束をする二人。
うん、仲が良いのは大変すばらしいことだ。
「たまには女二人でゆっくり買い物もいいかもな。楽しんで来いよ」
次の休日かー
俺はなにすっかなー・・・
なんて考えていると、疑問の表情を浮かべた二人が俺を見ていた。
「え?芽音くん・・・こないの?」
「え?芽音も来るわよね・・・?」
「・・・・俺も行ってもいい奴なの?」
「当たり前だよ。てっきり三人でって思って千聖ちゃんが誘ってるんだと思ったよ?」
「私も芽音を誘ったつもりよ?」
「いや言うてませんやん」
「雰囲気で察しなさい?」
「ハイ」
てなわけで次の休日は3人でできたばかりのショッピングモールへ繰り出すことになった。
何気に3人で休日に遊びに行くのは初めてかもしれないな。
それが決まった俺は、柄にもなく浮足立ち、休日が来るのが楽しみで楽しみで仕方なかったのである。
次回、お出かけ回です。
ショッピングモール・・・広い・・・松原花音・・・
あっ・・・(察し)
てなわけで引き続きよろしくお願いいたします!
評価のお礼
★9 アイリPさん トゥーのさん 菘亜杞さん 海老天野郎さん たりあすさん
★8 神の宿る左拳さん
ありがとうございます!
引き続きよろしくお願いいたします!