みんな千聖と花音のことが大好きなんですね。
わかります。
というわけで第3話よろしくお願いいたします!
一体なんでこんなことになってしまったのだろう。
いや、ある意味必然だったのかもしれない。だが、いまさら憂いでも仕方ない。
早く・・・・早く助けなければ・・・・!
「ふぇぇぇぇぇぇぇ流される~!」
「かのおおおん!しかしこれ人多すぎィ!」
なんてことない。完成間もないショッピングモール、そして休日。
花咲川は都内とはいえ田舎に入る部類。
つまり、これだけの条件がそろっているということは言うまでもなく人が密集するということである。
とはいっても花音が言うほど大げさではない。動きにくいが人をかき分ければ動けるし、場所によっての混雑なので普通に歩けるところも多々存在している。
・・・今歩いているのは混雑している部分なわけだが。
「さすがに店に入ればマシだな」
「ええ。そうね」
「ま、迷子になりそうだった・・・・」
流されそうになる花音をなんとか救出しながら、なんとか俺たちは一つ目の目的地。千聖の来たかったアパレルショップに到着したわけだ。
「ちょっと夏服を追加しようと思って。花音も一緒にどうかしら?」
「あ、うん。千聖ちゃんが選んでくれるなら間違いなさそうだね」
そういってワイワイと服を見始める親友たち。
俺が男一人ってこと忘れてやいませんかね・・・?
「あ、こっちのワンピース。花音に似合いそうね」
「え~ちょっと私には可愛いすぎるかなあ・・・・」
そんなことないぞ花音。さすが千聖のセンスといったところか、そのワンピースは正直かなり花音に似合いそう」
「ふぇ!?」
「あ・・・漏れてた」
いかんいかん・・・
思わず思考駄々洩れを起こしてしまった。
「・・・・芽音、私はこれがいいと思うんだけど、どうかしら?」
雰囲気を隠し、そういいながら話す千聖は少し怖い感じがする・・・しない?
そして手に持っていたのはパステルカラーの服。
夏という雰囲気ではないが明るく華やかさがある、これはこれで千聖によく似合いそうな服だった。
「さすがいいセンスしてるな・・・といいたいところだが俺なんかの判断基準でいいのか?」
「・・・試着してくるわ」
「あ、私も・・・」
ええ・・・聞いておいて返答してくれないのか・・・
二人はそれぞれ服を持ち、試着室のカーテンの奥に消えていった。
「・・・気まずいっ」
そう、ここは女性服専門店。男一人、ポツンと試着室の前に待たされるのはなんとも言えない気分だ。
するとスタッフさんが話かけてくる。
「お二人ともすごくかわいい方ですね!どういうご関係で?」
「いや、その、二人とも友達で・・・・」
やめてぇー!なんでこう、服屋の店員って声かけてくるのぉ!しかも俺男!男!
しかも他の女性客とかこっちみてるし!なんだこの公開処刑・・・・
しばらく話していると、違うお客さんを見つけたようで適当に切り上げていったのであった。最初からそうしてくれ...
「あのぉ~・・・」
するとそのタイミングで花音が試着室から顔を出していた。
そうやら俺と店員さんが話していて出づらかったようだ。
「えっと・・・その、どうかな?えへへ」
カーテンが開かれると、そこには清楚で薄い水色のワンピースを身にまとった、夏らしい花音の姿があった。
「100点」
「ふぇぇぇぇ!?」
それを見て無意識にそう呟いてしまっていた俺。
え、だってこれ普通に可愛いもん。花音自体、かなり可愛い部類に入ると思う。
それに加えてこの服。最高です・・・・
「可愛くないわけがありませんね」
「あら芽音?親友を口説くってどいういう神経しているのかしら?」
そんなことを言いながら試着室から出てくる千聖。
そこには温かさと華やかさ。そしてそれを纏う千聖と最高のシナジーを生み出していた。
「100点」
「そ、そう。ありがとう」
またしても無意識でつぶやく俺。
だって可愛いんだもん。アレ?芸能人白鷺千聖と一緒に服を買いに来て試着室までお供するとか俺すげえ贅沢してない?
ファンに見られたら殺されそうだ。
「買ってくるわ」
「私もそうするね」
「え?即決?大丈夫なの?」
「親友が褒めてくれたんですもの。だったら間違いないと思うし、それに今日の思い出にもなると思って」
「意外とロマンチストなんだな、千聖って」
「そういう一面も持っていなければ役者なんてやってられないわよ」
素っ気なく言うが、優しい雰囲気が漏れているのを俺は見逃さなかった。
「私もね。千聖ちゃんが選んでくれて芽音くんが褒めてくれたんだし・・・むしろ買わなきゃもったいないなって思うんだ。だからありがとね、二人とも!」
対して花音は全く嬉しい雰囲気を隠す気配がない。ここまで喜んでくれるとは言ってみてよかったと思える次第だなあと思える。
そんなことを考えながらレジに歩く二人の後ろ姿を見ていた。
※
「さて、次は花音の行きたい雑貨屋さんだな」
「そうね。でもこれ・・・・」
「う、うん・・・・」
目の前を見る。雑貨屋に行くにはこの人の多いエリアを通過しなければならない。
「よし、いくぞ。花音、千聖。はぐれるなよ?」
「もちろんよ」
「ふ、ふぇぇぇぇ~」
約1名が不安でしょうがない。でもいくしかないよな。
「よし、スタート!」
「ふぇぇぇぇぇぇ~」
「言ってるそばからぁ!?」
スタートしてわずか2秒。花音は正反対の人波に流されていってしまった。
「花音!?」
「千聖!俺は花音を捕まえてくるから、先に雑貨屋にいっててくれ!」
「わかったわ!」
そういって千聖とと別れる。
大丈夫、まだ花音を見失ってない。俺はぴょこぴょこと揺れるサイドテールを目指して人をかき分けていく。
そして手を伸ばし、ついにその手を掴む。
「花音!」
「ふぇぇぇぇ・・・芽音くーん・・・・」
半泣きで流される花音であったが何とか捕まえることができた。
とりあえず落ち着くためにいったん人の少ない場所に出る俺たち。
「やっと捕まえた・・・大丈夫か?」
「た、助かったぁ・・・・」
「あの速さで流されるってある意味才能だよ・・・・」
「ごめんね・・・・?」
「いや、俺こそもっと配慮すべきだった。それに無事に合流できたんだからよしとするさ」
別に花音が悪いわけじゃないんだ。それよりも千聖を待たせるのもよくない。
ぼちぼち出発しなきゃなー・・・・
「さて、そろそろ行くか。千聖が先に行ってるんだ」
「う、うん」
しかしその目線の先には人、人、人。
人がゴミのようでない。しっかりと立ちふさがる。うーん、ここを安定して突破する方法・・・
「あっそっかぁ・・・・」
「どうしたの芽音くん?」
「花音、お手を拝借」
「え・・・・?ふぇぇぇぇぇぇ!?」
そういって俺は花音の手を握る。
「いやだってコレが一番安全じゃん。離れて歩いたんじゃまたいつ流されるかわかったもんじゃないし。正直すげー恥ずかしいけどさ」
「う、うん!そうだね!これが一番安全、一番安全・・・・」
自分に言い聞かせるようにつぶやく花音。
うん、まあ気持ちはわかるよ?
「しかし本当にすごい人だな」
「うん、こんなに多いだなんて思ってなかった」
手をつなぎ、少し緊張しながら歩く俺たちはまるで付き合いたての恋人同士のようだ。もしかしたら何も知らない人からしたらそう見えているのかもしれない。
実際はそんな仲ではないのだが、知り合いが見ているわけでもないしまたはぐれるよりはマシだ。それに花音からも信頼して手を預けてくれている気配が伝わってきて心地よい。
「・・・・・」
「・・・・・」
でもやっぱ気まずい!
アレ?花音と俺って普段何話してたっけ?
思い出せ・・・思い出せ俺・・・・
「ってうぉ!?」
一瞬すごい波が来た。一瞬手を放してしまうが俺はすぐさま手を掴む。
危ない危ない・・・またはぐれるところだった。
「花音、大丈夫・・・・・・か?」
「日菜・・・だいじょう・・・・ぶ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「「えっ!?」」
あ・・・ありのまま今起こったことを話すぜ!
花音の手を掴んだと思ったら全く知らない美少女の手を掴んでいた。
な・・・何を言ってるかわからねーと思う・・・
「誰だアンタ!?」
「誰なのですかあなた!?」
そこにいたのは美しき青緑の髪をなびかせ、『警戒』の色に染まったトゲトゲしい雰囲気を纏う美少女の姿であった。
この美少女一体誰なんですかね!?(すっとぼけ)
というわけで引き続きよろしくお願いいたします!
評価のお礼
★9 桜井栞さん 真面目さん Moritaさん 生ナマコさん
★8 水蒼さん 作家の観測者 主 さん
ありがとうございます!