第一話 旅立ちの朝
マサラタウン。そこは何もないまっさらな町として知られている。
今、この町で新たな物語が始まろうとしていた。
「.....よし」
少年は、自分の部屋のパソコンから傷薬を取り出し、そのまま一階のリビングへと降りた。
「あら、レイ。おはよう」
「おはよう母さん」
少年の名はレイという。今日はこの町に住むポケモンを研究している博士、オーキド博士に呼ばれているため少し急いでいた。
「そんなに急がなくったってオーキド博士はどこにも行かないわよ。ほら、朝ご飯冷めちゃうわよ。」
「わ、分かったよ」
彼の母はレイを落ち着かせようとしてそう彼に言う。
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「それじゃ、行ってくるよ」
「気を付けてらっしゃい」
レイは玄関先で母親との会話を終えてそのままオーキド博士のいる研究所に向かう。といってもレイの自宅から目と鼻の先の距離しか離れていないのだが、
「おはようございまーす」
レイが元気よく挨拶して研究所内に入っていく。が、
「ん?何だレイかよ」
「あれ、グリーン?」
そこには隣の家に住むレイともう一人の"少女"の幼なじみのグリーンが待っていた。
「オーキド博士は?」
「まだ来てないんだよ。....ったく、人を呼びつけておいて何してんだか」
グリーンは呆れ果てているのかオーキド博士に対してそう悪態をつく。
「なら、俺が探してくるよ」
レイはそうグリーンに言うとそのまま研究所を飛び出した。
「あっ、おい!......全く」
グリーンは頭をかきながらレイを見送ることしか出来なかった。
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「さて、博士は何処にいるんだろうか?」
研究所を飛び出したのはいいものの、博士が行きそうな場所に心当たりがないので道にも出来なくなってしまった。
「もしかして.....」
レイはマサラタウンのその先にある一番道路を見る。隣町に行ったのかもしれないと思って。
「なら、俺も!」
レイが草むらに入ろうとしたその時、
「おーい、待て待つんじゃあ━!」
ふと、後ろから声が聞こえた。
振り替えるとそこには息をきらしながら走ってくるオーキド博士の姿があった。
「はあ...はあ....危ないところだった。....草むらからは野生のポケモンが襲ってくるんじゃ。....こちらもポケモンを持っていれば対抗出来るんじゃが」
と、まるで初対面の人を相手にするようにレイに話しかけ始めた。
「あのー博士?俺です、レイですよ」
「ん?レイ?」
博士はレイの顔を覗き混み、まじまじとレイの顔を見る。
「あーそうじゃったそうじゃった。お前さんはレイだったな」
あっはっはと、笑う博士。
「というか博士、今まで何処に居たんですか?....研究所でグリーンが待ちくたびれていましたよ」
レイは半分呆れながらそうオーキド博士に伝えた。
「いかん!忘れておった。....急いで戻るぞ!」
レイの話を聞くや否や直ぐ様また走りだし、研究所へと戻っていった。
「って、ちょ、ちょっと博士ー!?」
レイも直ぐに走って博士の後を追いかけそのまま研究所へと戻るのだった。
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「遅ーよ爺さん!何やってたんだよ」
「いやーすまんすまん」
「それで博士?何で俺達を呼んだんですか?」
レイにふと疑問に思ったことを聞く。
「うむ。実はな、お前達に儂の手伝いをしてもらいたくてな」
『手伝い?』
レイとグリーンは同時に首を傾げる。
「儂も昔はバリバリのポケモントレーナーじゃった。しかし今はただの爺じゃ。そこでお前達には儂の手伝いとしてポケモントレーナーになって欲しいんじゃ」
「ポケモントレーナーに....」
「俺達が....!?」
レイとグリーンは喜んだ。自分達もとうとうポケモンを持つことが出来るのだと。
「そこの机を見てくれ」
オーキドが指を指した場所にあったのは大きな机、そしてその上に三つのモンスターボールが等間隔に置かれていた。
「この三匹の中から好きなポケモンを一体選んでくれ。それがお前達の初めてのポケモンじゃ」
「初めての....ポケモン!」
「俺は先輩だからな、レイ、先にお前に選ばせてやるよ」
とレイにとって嬉しいことを言ってくれるグリーン。
「ならそうだな........ん?」
レイはふと、真ん中に置かれたボールを手に取る。
「おお、炎タイプのヒトカゲか。そいつは強いぞ、そいつにするか?」
とオーキドが聞いてくる。だが、レイは、
「......」
じっとヒトカゲの目を見ている。
「お、おいレイ?」
グリーンもレイの行動に何か異様なものを感じたのかレイに話しかける。だが、レイは何も言わずただただヒトカゲの目を見ているだけだった。そして暫くしてから、
「よし、こいつにする!」
とヒトカゲの入ったボールを手に戻って来た。
「そうかそうか。お前はヒトカゲか......なら、俺はこれ!」
とグリーンは右端に置いてあったボールを手に取る。
「それはゼニガメといって水タイプのポケモンじゃ」
「水タイプ.....」
ポケモン初心者のレイでも知っている。炎は水に弱く、炎タイプのポケモンで水タイプのポケモンに攻撃しても大したダメージは入らない。
「成る程、だから俺に先に選ばせたのか」
「ああ、そうだぜ」
ニヤニヤと笑いながらレイの質問に答えるグリーン。今にも火花が散るかと思われたその時、
バン!と、研究所の扉を思い切り開ける音が研究所内に響いた。
「ごめんなさい!遅れました!」
ハァハァと息をきらせながらやって来た少女。
「コウ!」
「遅せーよ!....もう俺とレイはポケモン選らんじまったぞ」
「え?」
コウが机を見るとそこにはもうボールが一つしか残されていなかった。
「えー!!?酷いよグリーン、レイ!私この日を楽しみにしてたのに!」
瞳をウルウルさせながらレイとグリーンに抗議するコウ。
「ま、まぁまぁ」
そこにオーキド博士が仲裁に入り、コウに残った最後の一匹を渡す。
「はい、フシギダネじゃ」
「あ、有り難う御座います。...わぁ、可愛い」
コウはフシギダネを見て二人に対しての抗議を取り下げ、フシギダネに夢中になった。
「これで三人にそれぞれポケモンが行き渡ったな。....それなら隣町にも行ける。....野生のポケモンと戦わせて強くさせる事が出来るぞ」
と、オーキドは言う。
「そうか......なら!」
レイは何かを考えるとそのまま研究所を飛び出そうとしたその時、
「おい待てよレイ」
グリーンに呼び止められた。
「何だ?グリーン」
「せっかくじーさんにポケモン貰ったんだぜ!...ちょっと俺の相手してみろ!」
そう言ってポケモン勝負を仕掛けてきた。
「行けっゼニガメ!」
「やるしかないか.....行けっヒトカゲ!」
互いにポケモンを出し、互いに指示を出す。
「ヒトカゲ引っ掻く!」
「ゼニガメ体当たりだ!」
二匹は互いのトレーナーの指示に従い、攻撃を仕掛ける。
ヒトカゲはゼニガメを引っ掻き、続いてゼニガメが体当たりをヒトカゲに繰り出す。
互いに一歩も引かず、攻撃を続ける。
そして遂に、
「ゼニガメ!もう一度体当たりだ!」
ゼニガメがヒトカゲに向かってくる。しかし、
「ヒトカゲ!」
レイがヒトカゲを呼ぶ。ヒトカゲはレイの目を見ると、レイが何を言いたいかを理解し、ゼニガメが体当たりをしようとしたその時を見計らい、バックステップで避ける。
「なに!?」
グリーンはヒトカゲの行動に驚き、一瞬ゼニガメへの指示が遅れる。レイはその隙を突いてヒトカゲに指示を出す。
「ヒトカゲ!止めの引っ掻くだ!」
ヒトカゲはレイの指示に従いそのままゼニガメを引っ掻く。
それが止めとなり、ゼニガメは倒れる。
「っち、戻れ!」
グリーンは悔しげにゼニガメをボールに戻す。
ふと、ヒトカゲを見ると嬉しそうに鳴き声を発しているのを見た。
「おお、レベルが上がったのか」
「レベル?」
レイはふとオーキド博士の言葉に問いかける。
「ポケモンにはレベルがあってな。...今、そのヒトカゲはレベルが上がったんじゃ。だからヒトカゲは自分が強くなったことを喜んでいるんじゃよ」
「成る程」
「レベル.....かぁ」
コウはフシギダネを見ながらそう呟いた。
一方、グリーンはというと、
「よーし!他のポケモンと戦わせてもっともっと強くするぜ!レイ!コウ!爺さん!そんじゃあばよ!」
そう言って研究所を飛び出していった。
「さてと、俺も行くか」
レイは研究所を後にし、
急いで自宅に戻って準備を始めた。そして、
「.....行くか」
リュックを抱えて家を出るレイ。そしてマサラタウンの外にある一番道路の草むらを見る。
それと同時にベルトから外したボールに入っているヒトカゲを見る。
ヒトカゲも冒険に連れていってもらえる事が嬉しいのか喜んでいる。
「行こうか」
レイは一歩を踏み出した。これから待ち受ける冒険の日々を楽しみにしながら。
レイ・ツキミヤ(主人公)
10歳
見た目は男主人公。
いつかポケモントレーナーとなって旅に出ることを夢見ていた少年。オーキド博士の元でポケモンの生態について勉強していた為、ポケモンについては詳しい。
コウ・トキサカ
10歳
見た目は女主人公。
今回初めての旅立ちに戸惑いつつも頑張ってみようと思っている。ポケモンについては本当に初心者。