私鉄発注のC11 1号機ことC11 123号機でSLの動態復元を終えるつもりはなさそう。あと一輌ぐらいはC11形の動態復元をしそうな気がする。
まぁただのSLファンの呟きなので深く気にすることはありません。
所変わり、場所は博麗神社。
「……」
神社の境内にある家の縁側に座る霊夢は、湯呑を手にして空を見つめてゆっくりとしていた。
「平和ですねぇ」
と、境内の地面に落ちている落ち葉を竹箒で掃いて集めている る~こと が霊夢に声を掛ける。
「その分私は暇なだけよ。やることは一通り終わったし」
「博麗の巫女が暇なのは、平和の証ですよ。とても良い事ではありませんか」
「……まぁね」
彼女は相槌を打ってから、手にしている湯呑のお茶を飲む。
幻想郷で起きている異変の解決を生業にしている博麗の巫女にとって、何も無いのは暇でしょうがない。しかしその分幻想郷は平和である。、
それからしばらくして、縁側に湯呑を置いて立ち上がり、社の方へと向かう。
霊夢は社の前に置いている賽銭箱の蓋を開けて中を確認すると、そこには多くの小銭やお札が入っていた。
「それにしても、北斗さんにはホント感謝しかないわね。以前ならこんな光景ありえなかったのに」
彼女は感慨深そうに呟きながら、賽銭箱に入っている小銭とお札を数え始める。
「手軽に早く、尚且つ安全に神社へ行くことが出来るようになったのが大きいですね」
「外の世界の技術様様ね」
る~こと の言葉に霊夢は複雑そうな表情を浮かべて、数えた小銭を袋に入れる。
幻想郷で鉄道が始まって以来、それまで遠かったり、道中獣や妖怪が出没して危険だった博麗神社への参拝だったが、鉄道が開通してからは神社への参拝客が増えてきた。
その為、空っぽな状態が当たり前だった博麗神社の賽銭箱には、賽銭が入っていることが多くなった。
とは言えど、それでも博麗神社への参拝客がまだ多いとは言えない。その理由はやはり人外な者が多く来ているからというのが大きいだろう。人妖が共存している幻想郷だが、互いに快く思わない者が居るのも事実だ。
まぁ何より、参拝客の多くが守矢神社に取られてしまっているのが、未だに参拝客が少ない最もな理由なのだろうが。
霊夢としては参拝客が来てくれるお陰で生活に困ることが少なくなっているが、参拝客が来るという事は、博麗の巫女への信仰へと繋がる。それはこの幻想郷にとって、とても重要なことなのだ。
「……」
ふと、霊夢はお札を数えている途中で動きを止め、すぐに賽銭箱に戻して蓋を閉じる。
「ご主人様?」
彼女の行動に る~こと は首を傾げていると、霊夢は後ろを向いて顔を上げる。
すると博麗神社の上空で空間が歪み、その直後透明の何かが突然現れる。
霊夢は左袖に右手を差し込んで札を取り出して臨戦態勢を取る。
透明な何かは博麗神社の境内へと降りてくると、その直後に透明化が解けてその姿を現す。
「これは……」
霊夢は姿を現したそれを見て、警戒心を解き、札を袖に戻す。
それはどことなく未来感溢れる形をした乗り物であり、完全に姿を現すと、側面の一部が開いてタラップが降りてくる。
「ふぅ! 着いた着いた!」
中からタラップを伝って一人の女性が背伸びをしながら降りてくる。
全身赤い色の服装で固められた女性こと岡崎夢見である。
「おっ、久しぶりだね、靈夢」
「そうね。随分と久しぶりね」
夢見は霊夢の姿を確認すると声を掛けて、霊夢は肩を竦めて腰に手を当てる。
「お久しぶりです、創造主」
「やぁ、る~ことちゃん。久しぶり!」
る~こと が頭を下げて挨拶をすると、夢見は彼女に嬉しそうに近づき、その姿を見つめる。
「うんうん。見た感じ問題無さそうね」
「はい。ご主人様には大切にされていますので」
「そっか。そう言われると作った甲斐があったもんだね」
夢見は気を良くして霊夢を見る。彼女に意味ありげに見られて霊夢は「ふん」と鼻を鳴らす。
「まぁでも、大丈夫とは思うけど、一応中も調べないとね」
と、彼女の目の前に半透明の画面やパソコンのキーボードが現れ、画面とキーボードを操作すると、る~こと の足元に何やら発光する円が現れて彼女に照らされる。
「で、今度は何の用で来たのよ? まさかまた異変を起こしに来たんじゃないでしょうね?」
「そんなわけないじゃない。もう目的を果たしたのに、わざわざ異変を起こす必要がある?」
疑いの目で霊夢は夢見に質問をするも、彼女は る~こと を検査しながらそう答える。
「今回は気分転換の為よ。狭苦しい所にいつまでも居ると気が狂うわ」
「あっそ」
霊夢は興味なさげに答える。
「……うんうん。ナノマシンで内部の整備をしているとはいっても、不具合は無いみたいね。いやぁ私って天才ね」
「自分で言いますか」
と、る~こと に異常が無いのを確認しながらモニターを消す夢見に、後ろから乗り物から降りてきたちゆりが呆れた様子で呟く。
「あんたも来ていたのね」
「教授のお目付け役としてね」
と、ちゆりはそう答えると、ため息をつく。
「そういや、靈夢。しばらく見ない内に様相が変わったわね。髪の色はそうだけど、以前は腋は出ていなかったのに」
夢見は霊夢を見ながら以前見た時の姿を思い出す。少なくとも当時の彼女は巫女らしかったようだ。
「別に。気にする必要は無いわよ」
「ふーん。まぁ別に良いけど」
特に気にしていなかったのか、夢見はそう言うと周囲を見渡す。
「そういえば、あの亀の姿が無いわね」
「玄爺は役目を終えたから、今は隠居よ」
「なるほど。まぁそれだけ成長したって事なのね」
「……」
彼女は納得したように頷く。
「うーん。しかし、自然は良いわねぇ」
と、夢見は背伸びをしながら深呼吸をして、自然の空気を吸う。
――――ッ!!
「ん?」
すると遠くから汽笛の音がして、夢見は前を見る。
「この音って……」
彼女は鳥居の方を向くと、煙がこちらに向かってくる光景が視界に入る。
―――――――――――――――――――――――――――――
博麗神社を目指してD62 20号機が牽く回送列車は、力強いドラフト音を出しながら煙突より煙を吐き出し、巨大なボイラーから生み出されるパワーで四つずつある動輪を回し、客車五輌を牽いて線路の上を走る。
D62 20号機の運転室では、
「……」
窓から顔を出している北斗は前を見つつ、加減弁ハンドルを引いて加減弁を開き、シリンダーへ送り込む蒸気の量を増やし、逆転機ハンドルのロックを外してハンドルを回し、ギアを一段に上げてハンドルにロックを掛け、速度を上げる。
「あ、暑い……」
その北斗の後ろでは、早苗が
蒸気機関車はボイラーと燃え盛る火室が近くにあるので、必然的に
慣れている機関士、機関助士でもつらい暑さなので、早苗にはかなり堪えるようだ。
しかし騒音が
(そういえば、北斗さんが機関車の運転している姿を見るのって、何気に初めてかも)
早苗はその後姿を見ながら、内心呟く。
以前守矢神社前に48633号機とE10 5号機が見つかった際、北斗は48633号機に機関助士として乗り込み、投炭していた姿を見ていたが、運転している姿を見るのは初めてだ。
(他の皆様は、こんな暑い中運転しているんですね)
そしてこんな暑い中運転している蒸気機関車の神霊の少女達に尊敬の念を抱く。そのお陰で守矢神社の信仰が増えているのだから。
それからしばらく幻想郷の平原を駆け抜け、D62 20号機が牽く回送列車は博麗神社前の森林へと入り、木々の間を走り抜ける。
「……」
窓から頭を出して前を見ていた北斗は博麗神社前にある階段を見つけて、加減弁ハンドルを戻してシリンダーへ送り込む蒸気の量を減らし、逆転機ハンドルのロックを外してハンドルを回し、ギアを落として少しずつ速度を落とす。
駅に近づいていき、北斗はブレーキハンドルを回して少しずつブレーキ掛け、ゆっくりと速度を落としつつ、列車は博麗神社前の駅へと入り、やがて完全に停止する。
「着きましたね」
「えぇ」
ブレーキハンドルを回してしっかりブレーキを掛けたのを確認して、早苗に相槌を打ってから駅側へ
「うわ……まだ冬なのに外が涼しく感じます」
早苗は
「でも、すぐに寒くなりますから、風邪には気をつけてください」
「はい」
北斗は早苗の体調を気にかけて、二人は駅から階段を登ろうと向かうと……
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
すると階段から勢いよく何かが降りてきて、二人の間を抜ける。
「「っ!?」」
合間を何かが勢いよく通り抜けて二人は驚き、揃って後ろを振り向く。
「凄い! 凄いぞ!! あの蒸気機関車が、動いている!」
駅に停車しているD62 20号機の前で一人の女性こと夢見が興奮した様子で見ている。
「この今に無い昔ながらのゴツゴツとした見た目! メカメカしくて最高だな!!」
彼女は色んな角度からD62 20号機を眺め、その姿に感動して惚れ惚れとした表情を浮かべる。
「見ろ、ちゆり! あの蒸気機関車の動いている姿だぞ!! さすがは幻想郷だな!」
「そうですね。まさかここで蒸気機関車を見るとは思いませんでしたよ」
と、夢見が後ろを振り返ってそう言うと、階段を降りながらちゆりが答える。
「全く。落ち着きが無いわね」
続いて階段を降りてきた霊夢が呆れた様子で夢見を見る。
「なぁ、君達!! この蒸気機関車に乗ってきたんだろ!? 少し話を聞かせてもらえないか!?」
彼女は興奮した様子で北斗と早苗に詰め寄り、話を聞こうとする。
「「……どちら様?」」
突然のことに、北斗と早苗は思わず夢見に対してそう言う。
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