「「未来から来た?」」
博麗神社にて、夢見から話を聞いて、北斗と早苗は声を揃えて声を漏らす。
「えぇ。私は君達よりも遥か未来から来たんだ。このタイムマシンでね」
夢見は る~こと からお茶を淹れられた湯飲みを受け取りながら、博麗神社の境内に着陸しているタイムマシンを見る。
「うーん。俄かには信じ難いですが……」
「この幻想郷では、常識に囚われてはいけませんからね。過去や未来から来る輩がいてもおかしくありません」
「そういうものでしょうか」
早苗がなぜかドヤ顔でお決まりの台詞を口にして、その台詞に北斗は首を傾げる。
(未来ということは、原子炉を動力にしているロボットが居るんでしょうか?)
(青い猫型ロボットが居たりするんじゃありませんか?)
(それとも人造人間によって滅ぼされていたりとか)
(異星人からの攻撃で滅びていたりとか?)
(それにタイムマシンの燃料は核融合炉なんでしょうかね)
(さぁ、どうでしょう。説明できないエネルギーなんじゃないでしょうか?)
「さっきから何を話しているの? さらっと物騒なワードが混ざっていたんだけど」
北斗と早苗は各々の未来図を話していると、物騒なワードが混じっているのに夢見はドン引きであった。
「別に、未来は物騒な世の中じゃないわよ。殺風景ではあるけど、宇宙開発だって進んでいるし、環境問題は一応の解決を見せているし。まぁ異星人とは接触してはいないけど」
夢見は咳払いをして、未来の事情を説明する。
「しかし、る~ことさんを作ったのが岡崎さんだったんですね」
「夢見でいいわ。る~ことちゃんは靈夢が異変解決をした際に願いを一つ叶える際に要望したものだったのよ」
「願いを一つですか。というか、夢見さん異変を起こしたんですか?」
「まぁね」
彼女は相槌を打ち、お茶を飲む。
「でも、夢見さんって大学教授なんですよね? ロボットとかそういうのを簡単に作れるものなんですか?」
「ロボットを含む技術関連を学んでいたから、作れたのよ。まぁハイスクールじゃロボット工学がコース関係なくあるのよ」
「そうなんですか」
「未来は進んでいるんだな」と北斗は呟く。
「それで、今日は何の用で来たの、北斗さん」
と、黙っていた霊夢が口を開き、北斗にここに訪れた理由を聞く。
「はい。霊夢さんに頼みたい事があるんです」
「頼み?」
霊夢が首を傾げると、北斗は早苗にも説明した無縁塚での再調査の件を伝える。
「……」
説明を終えると、明らかに霊夢は不機嫌そうに目を細める。
「北斗さん。あなたって怖いもの知らずなのかしら。それともただ単に理解していないだけなのかしら」
「……」
「霊夢さん……」
「「……」」
不機嫌さを隠さない彼女の姿に北斗は息を呑み、早苗はただただ話に耳を傾ける。夢見とちゆりは完全に蚊帳の外である。
「出来るなら、自分もあそこにまた行きたいとは思いません。しかし無縁塚の調査はまだ終わっていません。何も分かっていないまま放置するわけにはいきません」
「それでまた同じ目に遭うかもしれないのに?」
「……」
「……」
威圧的な霊夢に北斗は息を呑むも、視線を外さなかった。
「……まぁ、北斗さんの言う事も一理あるわね。問題をいつまでも放って置くのは気分が悪いわ」
霊夢は呆れた様子でため息をつく。
「それで、以前と同じ徹を踏まないように策はあるのよね?」
「えぇ。早苗さんに霊夢さん、魔理沙さんはもちろんのこと、更に夢月さんと幻月さん、幽玄魔眼さんを含め、協力してくれる方に声を掛けて集めます。自分は出来る範囲で調査に加わりつつ、危険があればすぐに安全な場所に避難します」
「……まぁ、それだけ居れば以前のような事態にはならないわね」
北斗から策を聞き、霊夢は顔を引き攣らせながら答える。まぁ夢幻姉妹の実力は知っているし、幽玄魔眼の実力もこの前に見たので、戦力的に不安はない。
「まぁ良いわ。そこまで言うなら手伝うわ。博麗の巫女として、異変の調査に協力しないわけにはいかないしね」
「霊夢さん。ありがとうございます!」
北斗は頭を下げながらお礼を言う。
「あんたも苦労しているわね」
「あ、ははは……」
霊夢はどことなく同情めいた表情を浮かべ、早苗は苦笑いを浮かべる。
(彼は一体何をしたんだ?)
事情を知らない夢見は、そのやり取りに首を傾げる。
「ご主人様。北斗様に伝えなくて良いのですか?」
「あっ、そうだった。忘れるところだったわね」
「「……?」」
る~ことがそう言うと、霊夢は思い出したように手を叩き、北斗と早苗は首を傾げる。
「北斗さん。今度神社で宴会をする予定だけど、来るかしら?」
「宴会、ですか?」
「所謂年明けの宴会ですね。毎年博麗神社でやっているんですよ」
「本当なら年明け早々にする予定だってけど、色々とあったから遅れたわけ」
早苗と霊夢の説明を聞き、「なるほど」と北斗は頷く。
「それで、参加するかしら?」
「そうですね……」
「一応今回の宴会は北斗さんや幻想機関区のことをより知ってもらう目的もあるから、この際会った事の無い連中に挨拶だてら会ったら良いわ」
「……」
北斗は腕を組み、首を傾げる。
「宴会の参加ですが、全員は無理ですか?」
「無理ね。境内の広さもあるけど、北斗さんの所結構居るでしょ?」
「えぇ。居候もそうですが、今機関区に居るのは……」
北斗は機関区にどれだけ居るか思い出す。
「
そこに居候の五人を加えて計27人になる。
「せめて6人にしてもらえるかしら?」
「そうですね……とりあえず帰ったら話し合って決めます」
霊夢から人数を指定されて、北斗は了承する。
「それで、話は終わったかしら?」
黙って話を聞いていた夢見が霊夢に問い掛ける。
「えぇ。用件は伝えたから、あんたの用件を北斗さんに伝えたら?」
「もちろん! さっきからうずうずして待っていたんだからな!」
夢見はふんす! となぜか胸を張ると、北斗を見る。
「それで、えぇと確か」
「北斗です。霧島北斗と申します」
「分かった、北斗君。君に頼みたい事があるんだ」
「頼みたい事?」
「あぁ」
と、夢見は北斗の手を取る。
「君が住んでいる幻想機関区に案内してくれない?」
「あ、案内、ですか?」
目を輝かせている彼女に手を取られて驚いた北斗だったが、夢見の頼みに首を傾げる。
「靈夢から聞いたけど、君が乗ってきた蒸気機関車以外にも沢山あるそうじゃないか」
「は、はい。機関区には多くの蒸気機関車がありますが……」
「それらをぜひ見せて欲しいんだ! とても興味があるからね!」
「は、はぁ……」
グイグイと来る夢見に北斗は戸惑いを見せる。
「……」
(なぜかしら。急に空気が重くなった気がするわ)
と、霊夢は急にこの場の空気が重くなったような気がして、首を傾げる。
霊夢からは夢見が遮って見えず、夢見も北斗が居て気づかないが、その後ろでは無表情でハイライトが消えた目で北斗を見る早苗の姿があった。
そんな早苗の姿を見た る~こと は、アンドロイドでありながら恐怖を覚えたそうな。
―――――――――――――――――――――――――――――
その後北斗と早苗は霊夢と る~こと と別れて、夢見とちゆりを連れて幻想機関区へ戻った。
「おぉぉぉぉぉ!!」
目を輝かせて夢見は鼻息を荒くして興奮していた。
彼女の視線の先には、扇形機関庫に納められている蒸気機関車たちの姿である。
一部の機関車には、整備員の妖精と蒸気機関車の神霊の少女と共に整備点検を行っている。
「凄い、凄いわ!! こんなに
「え、えぇ。そうですね」
夢見の迫力にちゆりは若干牽いているも、自身も沢山の蒸気機関車がある光景に驚きを隠せなかった。
「凄い食いつき……」
夢見の様子を後ろから見ていた北斗は、戸惑いつつもどこか嬉しそうだった。
まぁ蒸気機関車が好きな者として、蒸気機関車を好きになってくれるのは心地良いことだ。
(でも、何だろう? この違和感……)
しかしだからこそ、北斗は夢見の反応に違和感を覚える。
まるで蒸気機関車を
未来の人間なら蒸気機関車を知っていて当然なはず。なのになぜ夢見やちゆりの反応は初めて見た様な反応なのか……
「……」
そんな違和感を覚えつつ、首を傾げる。
「早苗さんはどう思いますか?」
「……」
「早苗さん?」
「何ですか?」
北斗が早苗に声を掛けるも、彼女は間を置いてどことなく機嫌が悪い様子で返事をする。
「いえ、その、早苗さんはどう思いますか? 夢見さんの反応を……」
「……」
早苗は北斗を一瞥して、夢見を見る。
「……何だか、初めて見たって感じですね」
「早苗さんもそう思いますか」
彼女の感想を聞き、北斗は蒸気機関車を一輌一輌を前から見ている夢見を見る。
「夢見さん。今まで蒸気機関車を見たことが無いんでしょうか」
「さぁ? でも知ってはいるようでしたし、未来の人ならばSLを見たことが無いはずは無いと思いますけど……」
「うーん」
二人して首を傾げる。
「北斗君!!」
と、夢見が勢いよく北斗の前にやって来て、声を掛ける、その勢いに北斗と早苗は思わず後ずさる。
「凄いなここは! こんなに蒸気機関車を見たのは初めてだ! しかもその全てが動くのなら尚更だ!」
「は、はぁ……」
目を輝かせて興奮している夢見に北斗は戸惑う。
「それで、蒸気機関車はこれで全てなのかい!?」
「あっ、いえ。別の機関庫に四輌と、あそこにある整備工場で二輌を全般検査を行っています」
「まだあるのか!? 自然豊かなだけじゃなく、蒸気機関車が沢山あるとは。やっぱり幻想郷は最高だな!」
北斗は扇形機関庫以外の別の機関庫に格納されているマレー式タンク型蒸気機関車こと4500形や比羅夫号こと7100形、河童製造のC11 382号機 C12 294号機や、整備工場にて全般検査を受けているC50 58号機とC54 17号機のことを伝えると、夢見は更に目を輝かせる。
(やっぱり、夢見さんの反応は……)
北斗は彼女の反応の仕方に更に疑問を抱き、思い切って問い掛ける。
「夢見さん」
「何だ?」
「先ほどから夢見さんの蒸気機関車に対しての反応ですが、何やらやけに初めて見たという感じがするのですが」
「……」
すると夢見は先ほどの興奮した様子が収まり、真顔になる。
「……別に、蒸気機関車自体を見た事が無いわけじゃないんだ。ただ……」
「ただ?」
「……
「それって―――」
「区長!!」
と、
「
「ちょっと来て欲しいのよ。区長に会いたいって人が来ているから」
「俺に?」
北斗は首を傾げる。
「でも、今日は来客が来る予定は聞いて無いんだけどな」
「
「行き倒れ……」
「穏やかではありませんね」
「行き倒れの人は
「分かった」
「……北斗君。その少女は?」
と、
まぁ事情を知らなければ彼女が蒸気機関車の神霊だなんて分からないだろう。
「彼女は蒸気機関車の神霊で、あそこにあるC58 1号機の付喪神です」
「付喪神! なるほど、所謂擬人化……いや違うな。魂の具現化か。幻想郷らしい現象だな!」
「夢見さん。先ほどの通り、一旦自分は少し離れます。この後は工場の見学を
「私のことは気にしなくても構わないよ」
「すみません」
北斗は頭を下げて、彼女の元を離れていき、早苗がその後に付いて行く。
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