東方鉄道録‐幻想の地に汽笛は鳴り響く‐   作:日本武尊

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第126駅 今後の計画

 

 

 

 夢見が幻想郷に来た後日。北斗達は忙しい日々を送ることになった。

 

 

 人造石油の生成からその設備の建設、更に人造石油から重油や軽油などの燃料の製油設備の建造などができるように、北斗達は下準備を行った。

 

 

 まず彼らは人造石油を作る上で最も必要不可欠な存在である霊烏路空の協力を得る為に、地底の地霊殿の主である古明地 さとりの元に向かい、交渉に入った。

 

 当初は荒唐無稽な話に首を傾げていたさとりだったが、彼女はこころを読む程度の能力で北斗の心を読み、俄かに信じがたかったけど事実であるのを確認し、話し合いの末、空に幻想機関区へ協力するのを約束した。もちろん、あくまでも彼の為であり、地上の者に対してではないが。

 そのついでに地底で採掘される石炭についても話し合い、人造石油の材料の他に、蒸気機関車で使用する分と分けて輸送する計画を立てることになった。

 

 

 次に人造石油の生成設備の建造や維持管理であるが、こちらは河童達に協力を依頼した。当然河童達は荒唐無稽な話に興味こそ惹かれたが、首を傾げて疑いを向けていた。

 しかし北斗達もただ話しただけじゃ信じてもらえないのは分かり切っていたので、夢見より借りた未来技術の一片を見せた。これにより、にとりを筆頭にした河童達は北斗の話を信じて、協力を承諾した。

 設備は電源確保の関係で、間欠泉センターに立てられる計画となった。これは石炭輸送の関係で、間欠泉センターが正にうってつけであった。

 

 まぁ河童の協力については妖怪の山の事情が関わってくるので、天狗側にも配慮しなければならず、交渉は難航すると予想される。とはいえど、河童に加え、守矢神社の二柱も天狗の説得に協力してくれることになり、現在天狗との交渉が続いている。

 

 

 幻想機関区の更なる発展は、現実味を帯びてきたのだ。

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 それから数日後……

 

 

 場所は幻想機関区。

 

 

 

 幻想機関区の構内では、検修を終えたE10 5号機の構内試運転が行われている。

 

 国内最大のD52形蒸気機関車のボイラー並みの直径を持つボイラーに、五軸の動輪を持つE10 5号機は、力強い走りを見せて構内を走る。

 

 試運転では前進や後進に加え、急発進や急停止などの動作を行い、試験走行後整備員の妖精達が足回りのチェックを行っている。

 

 その後E10 5号機は何度も試験を繰り返し、営業運転に入れるように調整を繰り返すのだった。

 

 

 

 

 そんな試験風景を北斗は窓からしばらく眺めると、身体の向きを執務机に変え、書類作業に入る。

 

(人造石油の製造と、製油設備の建造への下地は整いつつあるか……)

 

 北斗は今日まで行ってきた会談を思い出し、ようやく形になりつつある現状に安堵の息を吐く。

 

(これでC59 127号機の運用はもちろんのこと、12系客車と14系客車、50系客車の常用が可能になる)

 

 人造石油の製造に加え、製油技術も手に入るので、重油専焼機となったC59 127号機の燃料である重油に加え、12系客車、14系客車、50系客車の発電用ディーゼルエンジンを動かす軽油も手に入るようになる。そうなれば長らく悩まされていた問題が解決されるのだ。

 

(ホント、幻想郷では何が起こるか分からないな) 

 

 北斗は内心そう呟き、書類を手にする。

 

 

 コンコン……

 

 

 と、執務室の扉がノックされる

 

『区長。お客さんです!』

 

 扉の向こうから弥生(B20 15)の声がして、来客が伝えられる。

 

「分かった。通してくれ」

 

 北斗が入室を許可すると、扉が開いて弥生(B20 15)が入ってくると、その後に来客が入ってくる。

 

「北斗さん」

 

 弥生(B20 15)の後に付いて来たのは、早苗であり、執務室に入るなり北斗に声を掛ける。

 

「早苗さん。わざわざ来ていただいてすみません」

 

「いいえ。構いません。私が好きでやっているんですから」

 

「早苗さん。あっ。弁当箱はそこに」

 

「分かりました」

 

 北斗は机の隅に置いている風呂敷に包まれた空の弁当箱を見ると、早苗は頷いて弁当箱を持つ。

 

「今日のおかずはいかがでしたか?」

 

「はい。とても美味しかったです。特に醤油で味付けした焼きネギやタマネギのマリネとかが一番でしたね」

 

「そ、そうですか。それは良かったです……」

 

 早苗は北斗の妙にネギに対する高評価に、苦笑いを浮かべる。

 

(北斗さん、ここまでネギが好きなんですね。希望のおかずに値の張る食材を使っていないのはこちらの懐事情に優しいんですが……)

 

 守矢神社は参拝客や信仰者が居るのでそれなりに懐事情は良い方だが、それでも贅沢が常に出来るような余裕は無い。しかしそれでも北斗の為に、美味しい料理を食べさせてあげたいと思い、彼の好きな料理の希望を聞いている。

 しかし彼の希望した料理……と言っていいのかどうかはともかく、ネギやタマネギを焼くか漬けるかの物でいいと言う、シンプルなものであった。これには早苗は唖然となったという。

 

 まぁ守矢神社的には懐が優しい上に北斗を喜ばせると、早苗にとっては都合の良い形になったようである。

 

 

「……」

 

 と、早苗は執務机に広がっている書類の数々を見る。

 

「北斗さん」

 

「何でしょうか?」

 

「よろしければ、お仕事の手伝いをしましょうか?」

 

「えっ? 良いんですか?」

 

 北斗は少し驚いた様子で早苗に聞く。

 

「はい。まだ時間はありますので、大丈夫です」

 

「でも、夕飯の準備とかがあるのでは?」

 

「昨日と早朝に仕込みは終わっていますので、大丈夫です。神奈子様と諏訪子様にもお伝えしていますので」

 

 笑顔を浮かべる早苗に、とても用意周到だな、と北斗は思う。

 

「そうですか。それでしたら、ぜひ手伝って欲しいです」

 

「はい!」

 

 早苗は嬉しそうに返事をして、一旦弁当箱をソファーの前にある机に置いて、書類整理を手伝う。

 

 

 

 

「北斗さん」

 

「はい?」

 

 書類の整理をしている中、早苗が北斗に問い掛ける。

 

「幻想機関区で行事を考えているんですか?」

 

 彼女が見ている書類には、幻想機関区で何かしらの行事を行おうという計画が書かれている。

 

「えぇ。人里の方々って、蒸気機関車は見ていますが、自分達の事を知っているわけじゃありませんからね」

 

「と、言いますと?」

 

「自分達の事をより理解してもらおうと、この機関区の一般公開を行おうと思っているんです」

 

「なるほど。そういえばこの機関区に来たことがあるのって……」

 

 早苗は書類を片手に、片手で数える。

 

「霊夢さんに魔理沙さんに私、鈴仙さん……あとは紫さん?」

 

「それと式神の藍さんとその式神の橙さん、それと菫子さんですね」

 

「……思ったより機関区に来た人って少ないんですね(というより、菫子さん来ていたんですか)」

 

 早苗は思ったよりも幻想機関区に訪れた部外者の少なさに意外さを感じつつ、いつの間にか菫子が来ていた事に驚く。

 

「えぇ。人里の方々に関しては、機関区の事を全く知らないと思うので」

 

「それは、そうですよね」 

 

「それに、蒸気機関車のことをまだ理解していない方々や、快く思っていない方も居るようですし」

 

「……」

 

 北斗の告げた事実に、早苗は納得せざるを得なかった。

 

 人里に住む人々の多くは鉄道の導入を受け入れており、実際遠くにあって、尚且つ道中が危険であるとあって中々行く事が出来なかった博麗神社や守矢神社への参拝が可能になり、森や石切り場で木材や石材の輸送、更に農業をしている方々も鉄道を利用している。

 こういった利用もあって、鉄道が人里での生活の一部になりつつあるのだ。

 

 だが、当然鉄道を受け入れている者も居れば、鉄道を受け入れず、快く思っていない者も人里には居るのだ。その割合としては元々人里に住む者や、外の世界から幻想郷へ移り住んだ外来人が含まれている。

 後者に関しては蒸気機関車が幻想郷の環境を破壊していると、表立って行動していないが、ひっそりと反対活動をしているとか。

 

「そこで、より鉄道を理解してもらおうと、お祭りのように機関区の一般開放を行うと考えているんです」

 

「なるほど。所謂SLフェスタってやつですね」

 

「そうです」

 

 早苗が北斗の意図を理解して、彼は頷く。

 

「それで、どんな出し物をしようと思っているんですか?」

 

「そうですね。短い距離を走るSL列車や、SLの展示走行、更にはSLの体験運転とかを考えています。他には機関庫や整備工場の見学ツアーとか、特別な企画とか、色々とありますね」

 

「機関区ならではの出し物ですね。短い距離を走るとなると、元ネタはあの鉄道博物館の?」

 

「そうですね。今のところ客車は旧型客車か車掌車を二輌繋げる予定ですが、開放的に機関区を見られるように貨車を改造した車輌もどうかと考えています」

 

「開放的にと考えるなら、手間が掛かっても貨車を改造した車輌の方が良さそうですね。何も一今回限りのイベントってわけじゃありませんし」

 

「……それもそうですね。とりあえず工場の妖精達と相談してみます」

 

 北斗はスケジュール表を取り出し、予定を書く。

 

「SLの展示走行はともかく、SLの体験運転とかは大丈夫なんですか? 蒸気機関車の運転は難しいのに」

 

 早苗はSLの体験運転に不安を覚える。

 

 蒸気機関車の運転は現代の電車と比べ物にならないぐらいに複雑で難しく、素人では満足に動かせない。もちろん動かすだけなら出来るだろうが、調整や感覚に関しては、経験が必要になってくる。そして何より機関助士との連携が必要不可欠になるので、尚更難しいのだ。

 

「もちろん考えうる安全対策はしますよ。体験運転時には蒸気機関車の神霊達が傍に着きますので、万が一は彼女達が対処します」

 

「あぁ。それならとても安全ですね」

 

 しかし北斗はその点を考慮して、安全対策を採りつつ、インストラクターに蒸気機関車の神霊の少女達に任せようと考えている。

 

「今のところこの三つを考えていますが、まだ出し物は増やしていくと思います」

 

「そうですか」

 

 早苗は頷きつつ、書類の整理作業を続ける。

 

 

 

 それからしばらくして書類の整理が終わった。

 

「ありがとうございます、早苗さん。おかげで予定より早く作業が終わりました」

 

「いいんですよ。北斗さんの為ならいくらでも手伝います」

 

 北斗は仕事を手伝ってくれたお礼を言うと、早苗は笑みを浮かべる。

 

「それでは、また明日です」

 

「えぇ」

 

 早苗は風呂敷に包まれた弁当箱を手にしてそう言うと、北斗が相槌を打つ。

 

 

「……?」

 

 ふと、北斗は窓の方を向き、早苗は首を傾げてから窓を見る。

 

 窓から外を見ると、さっきまで晴れていた空は雲で覆われており、その上雨が降っていた。

 

「雨が……さっきまで晴れていたのに」

 

 北斗は「うーん」と唸る。

 

「このくらいの雨でしたら飛んで帰れますね」

 

「でも、雨の中で飛んで行ったら危ないのでは? それに身体が冷えて風邪を引きますよ」

 

「ゆっくり飛べば大丈夫ですし、雨なら結界を張れば防げますよ」

 

「は、はぁ」

 

 その程度で結界を使って良いのか? と北斗は内心思いつつ声を漏らす。

 

 

 しかしその直後、雨の勢いがみるみる内に強くなり、あっという間に豪雨へと変わった。

 

『……』

 

 視界が遮られるぐらいの豪雨に、二人は言葉を失う。

 

「……こんな中でも、行きますか?」

 

「……電話を貸してください」

 

「もちろん」

 

 北斗が問い掛けると、早苗は気まずそうにそう言ってから、二人は執務室を出て食堂を目指す。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 宿舎一階にある食堂には、昔ながらの電話が設置されている。といってもこの電話機は現代のような電話機とは大きく異なる構造をしている。今なら市外局番と電話番号を入力して通話するものである。

 

 しかしこの電話機は、直接電話線を繋げる構造になっており、通話相手の電話機と繋がっているジャックにプラグを差し込み、手回し式の発電機のハンドルを回して電気を発生させ、相手と通話する。

 どちらかといえば昔の野戦電話に近い。

 

 これらの電話機は香霖堂にあった物を購入し、河童と作業員の妖精によって修理されて、線路に沿うように電話線を敷いている。そして保線作業の際に電話線の点検も行っている。

 

 

 早苗は守矢神社に繋がっている電話線のジャックに電話機より伸びているプラグを差し込み、手回し式発電機のハンドルを回して電気を発生させ、受話器を手にして耳に当てる。

 

「もしもし、早苗です。神奈子様」

 

 電話は無事守矢神社に繋がり、通話相手は神奈子のようである。

 

「はい。今幻想機関区から電話を掛けています……はい。この天気では帰れそうに無いので、相談をしようと」

「列車で帰れないかって? 北斗さんに相談しましたが、さすがにこれだけ降っている中では視界不良で走るのは危険だそうです。はい」

「どうしたらいいでしょうか、神奈子様……」

 

 

「……」

 

 北斗は静かに少し離れたところで早苗の様子を伺う。

 

「どうしたの?」

 

 と、少し濡れている夢月が北斗に問い掛ける。どうやら外に居る時にこの豪雨に遭ってしまった様である。

 

「早苗さんがこの雨で帰れなくなったので、神奈子さんに相談しています」

 

「ふーん」

 

 夢月は小さく声を漏らし、目を細めて早苗を見る。

 

「それより、早く着替えた方が良いですよ。風邪を引きますから」

 

「気遣い感謝するけど、悪魔はこの程度で体調は崩さないわ」

 

「だとしても、万が一ってことがありますから。それに夢月さんも濡れたままでは気持ち悪いのでは?」

 

「……」

 

 夢月はだいぶ濡れてしまってのっぺり気味な髪に服装を自覚して、口をへの字に曲げる。言われてみれば、と不快に感じてきた。

 

「……まぁ、そこまで言うなら」

 

 彼女はそう言うと、踵を返して借りている自分の部屋へと向かう。

 

 振り返った際、彼女の頬が少し赤く染まっていた様にも見えたものも、北斗からは見えていない。

 

「……」

 

 北斗は夢月を見送った後、再度早苗を見る。

 

 

「……えっ? 良いんですか?」

 

 と、早苗は驚いた様子で声を上げる。

 

「でも、それでは神奈子様と諏訪子様は不便では? それは、そうですが……えっ? 諏訪子様も良いと?……そ、そうですか」

 

 戸惑った様子で問い掛けるも、返ってきた言葉で彼女は首を傾げる。

 

「……それでは、今晩はこちらで過ごします。朝はできるだけ早くにはそちらに戻れるようにします。では、後ほど」

 

 通話を終えてか、早苗は受話器を本体に置き、北斗を見る。

 

「神奈子様から許可が下りましたので……その、今晩はここで過ごすことになります」

 

 早苗はホッと安堵しつつ、少し頬を赤く染めてここで泊まることになったのを北斗に伝える。

 

「そうですか。許可が下りて良かったです」

 

「はい。ご迷惑をお掛けすると思いますが、よろしくお願いします」

 

「迷惑だなんて。むしろ俺が早苗さんに迷惑をかけてばかりなのに」

 

「私は気にしていませんよ」

 

 北斗はどことなく罪悪感を感じるも、早苗は気にしていない様子であった。 

 

 

 ――――ッ!!

 

 

『……?』

 

 すると電話機のベルが鳴り出し、二人はとっさに電話機の方を見ると、傍に居た早苗がすぐに受話器を取る。

 

「はい。こちら幻想機関区です。……諏訪子様ですか?」

 

 どうやら電話の相手は諏訪子のようであり、早苗は話を聞いている。

 

「はい。そちらに帰れなくなったので、今晩こちらで過ごすことになりました。神奈子様もそう仰った筈ですが……」

 

 なぜ諏訪子が電話を掛けて来たのか分からず、早苗は首を傾げる。

 

 

「……え、えぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

 するとなぜか早苗は大きな声を上げて驚くと共に、頬が赤く染まる。

 

「なななな、何を言っているんですか、諏訪子様!?」

 

 慌てた様子で彼女は諏訪子に問い掛ける。

 

「あっ、いえ、そ、その、別に北斗さんとは、そういう感じというか、まだそんな時じゃないというか。い、嫌とか、そんなことは……無いですけ……」

 

 するとさっきまでの慌てっぷりから一変し、頬を赤く染め、しおらしくなる。

 

「いいい、いやだから何でそうなるんですか!?」

 

 と思えば、次の瞬間にはまた慌て始める。

 

「すすす、諏訪子様ぁっ!?」

 

 すると早苗の顔がトマトのように真っ赤に染まる。一体諏訪子に何を言われたのやら……

 

「ムードとかそう言う問題じゃ……って、えぇっ!? あの秘術ってそんな効果だったんですか!? 何で何も言ってくれなかったんですか!? えっ? 言ったら教わる気を起こさないだろうって? だからってそんな大切なことを黙っておくなんて酷いですよ!! って、なんてものを教えたんですか!?」

 

 顔を真っ赤にした早苗は驚愕し、電話越しに諏訪子に大きな声を上げる。

 

(諏訪子さん一体何を早苗さんに話しているんだろう……)

 

 北斗は首を傾げるも、彼女の様子から良からぬ事を話しているのだろうと予想する。

 

「~っ!! 諏訪子様の馬鹿ぁっ!! もう知らないっ!!!」

 

 と、顔を真っ赤にした早苗は受話器を勢いよく本体に叩きつけるように戻す。

 

(あんまり乱暴に戻さないで欲しいけどなぁ……)

 

 その様子に北斗は場違いな心配をする。まぁ幻想郷に流れ着くような古い代物だ。貴重な物に変わりはないので、替えが効かない可能性が高い。乱暴に扱って欲しくない気持ちは分からないでもない。

 

 しかし北斗も早苗がどんな状態かは、さすがに彼女の様子を見れば分かるが、だからといって問い掛ける気は無い。余計な詮索をしないのが彼の性分だ。

 余計な詮索をして痛い目を見るのは、中学時代の同級生でいっぱい見てきたからだ。

 

「っ!」

 

 と、まだ顔が赤い早苗はキッと北斗を見ると、ズカズカと歩み寄る。

 

「北斗さん!!」

 

「は、はい」

 

「今から夕食の準備をしますから! 待っていてくださいね!!」

 

「アッハイ」

 

 妙に迫真ある姿に北斗は戸惑いつつも、早苗が食堂の厨房に向かうのを見送るのだった。

 

 

 

 




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