個人的には――――
令和の復活蒸気第一号。東武鉄道が復元しているC11 123号機の活躍……
令和の復活蒸気第二号になるか? それとも部品取りの機関車になってしまうか? 大鐡に譲渡されたC56 135号機……
運行終了が決定したSL銀河。その後はどうなる? C58 239号機……
今年こそは本格的な修繕の動きはあるか? C57 1号機……
牽引列車のリメイクが決定し、全検を受けたばかりなのに初っ端かからシリンダーの破損が相次ぐC11 171号機……
今年は大規模修繕に大きな動きはあるか? C10 8号機……
他に色々と気になりますが、今年はこれらのSLが気になりますね。
第140駅 宴会準備と大事な用事
すっかり温かくなって、多くの桜が花を開かせて咲き誇り、春告精が現れて春の訪れが来た幻想郷。
人里から離れた場所にある畑や田んぼでは、作物を育てる為に農家の方々が準備を行っている。
すると汽笛の音が遠くから響き、その傍らにある線路に、博麗神社行きの列車がやって来る。
C11 312号機が軽快なドラフト音と共に煙突から薄い煙を吐き出して、客車三輌を牽引して走っている。
客車は『スハ43』等の旧型客車ではなく、『スハフ12』『オハ12』『オハフ13』の計三輌の12系客車であり、整備を終えて発電用ディーゼルエンジンの燃料の供給が可能となったとあって、初の営業運転に投入された。
当然14系客車や50系客車も順次営業運転に投入される予定である。
列車に乗車している乗客は初めて乗った12系客車に、いつもと違った雰囲気の中楽し気に外の景色を眺めている。
しかしいつもより少し重い客車とあってか、C11 312号機はいつもより力強く走っている。その為、
C11 312号機は12系客車を牽いて線路を走り、手を振るう農家の人たちに向けて、
農家の人たちに見送られながら、C11 312号機は12系客車三輌を牽いて、博麗神社を目指す。
春が訪れた、幻想郷のとある日の一幕である。
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時系列は変わり、場所は博麗神社……
神社の境内にある桜の木はすっかり花を咲かせており、花びらを散らせている。
「そのゴザはそこの木の下に敷いてちょうだい」
「はいです!」
「提灯はその木と木の枝に紐で繋いで吊るして。間隔はちゃんと空けといてね」
「分かりました」
霊夢は
境内では今夜行われる宴会の為、その準備が行われている。その準備の為、幻想機関区から数人の蒸気機関車の神霊の少女たちが駆り出されている。
その為、
「っ! コラッ、萃香! 何サボってんのよ!」
「ゲッ、霊夢!」
と、木の上で半ば隠れるように休んでいた萃香に霊夢が一喝し、彼女はその声に驚いて「うわぁっ!」と木の上から落っこちる。
頭から落っこちたにもかかわらず、無傷で済んで「イテテ」と頭を擦っている辺り、鬼の頑丈さが見て取れる。
「あんたの仕事はまだ終わってないのよ!」
「だって、朝からずっと働きっぱなしなんだぞ! 少しぐらい良いじゃないか!」
萃香は立ち上がってうがー! というような雰囲気で霊夢に抗議する。実際彼女は朝から重い物を運んだり、買い出しに行ったりと色々と仕事をしている。
しかも昨日の夜には、無縁塚から放置されている海外の蒸気機関車を幻想機関区へ運び込んでいた。
「鬼なんだから、その程度で疲れるわけないでしょ。さっさと残りの宴会の準備を終わらせなさい。じゃないと酒抜きよ」
「うぅ! この鬼! 脇巫女!」
無慈悲な霊夢の言葉に、萃香は涙目になって叫ぶ。
しかし宴会に出す予定だった酒を飲んでしまった一件もあるので、萃香は霊夢に逆らいたくても逆らえないのである。
「別に良いじゃない。仕事が終われば、宴会で好きなだけ酒を飲んでも良いんだから。その為に北斗さん所の鉄道で酒樽を大量に運び込んだんだから」
「むぅ……分かったよ! やればいいんだろ!」
最終的に自棄になってか、萃香は残りの仕事をすべく、大股で歩いて行った。
「全く」と霊夢はその様子を腕を組んで声を漏らす。
「……」
ふと、彼女は周囲を見渡して、目を細める。
「ねぇ、良いかしら?」
「はい。何でしょうか?」
霊夢は近くを通りかかった
「今日の手伝い北斗さんも来るはずじゃなかったっけ?」
霊夢は北斗の姿が無いのに疑問を抱いていて、彼がいない理由を聞いていた。彼女は北斗も今日の宴会の準備の手伝いに来ると聞いていた。
「区長ですか? 区長はどうしても外せない用事が出来たそうで、今日来れなくなったんです」
「用事?」
「えぇ。だから予定より手伝いを三人増やしたんですよ」
「そうなの……」
霊夢は北斗の姿が無い理由を聞いて、頷く。
「でも、今夜の宴会には参加しますよ」
「そう。ならいいけど……」
彼女がそう言うと、
「大事な用事、ねぇ」
霊夢はどこか残念そうにため息をつく。
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所変わり、無縁塚
半ば投棄されていたような状態で発見された多くの海外の蒸気機関車は、夜な夜な萃香によって運び出されて幻想機関区へ運ばれている。その為、今となってはすっきりとしている。
そんな無縁塚に、北斗は飛鳥と共に、無縁塚の墓がある場所へとやって来ていた。線路にはスハ43三輌を前側に連結した状態で、C56 44号機がコンプレッサーを稼働させて、煙突後ろにある排気管から一定の間隔で蒸気を噴射して待機している。
その傍に二人の護衛として幻月と夢月、幽玄魔眼の三人が立っている。この三人の気配によってか、無縁塚に住み着いている妖怪たちはどこかに姿を消している。
「……」
「……」
北斗と飛鳥の二人は、木材を組み合わせて十字架にした墓標の前に立っている。その墓標には、錆び付いた懐中時計が掛けられている。
以前飛鳥が言っていた、輝月が眠っている墓である。
「久しぶりだな、輝月」
飛鳥は声を掛けながらしゃがみ込み、手にしている花束を墓標の前に置く。
「大分遅れてしまったが、北斗に真実を伝えることが出来たよ」
彼女は静かに、墓標に語り掛ける。
「とても素直で優しい子に育っているよ。所々、お前によく似ている」
「……」
「直接、お前に見せてあげたかったな……」
飛鳥は懐から折り畳んだ写真を取り出し、写真に写る輝月を見ながら墓標に話しかけて黙祷をする。
「……」
飛鳥は黙祷を終えると、北斗を見る。
北斗は頷き、飛鳥と入れ替わる形で墓標の前に立つ。
「初めまして、になるのかな……父さん」
彼はしゃがみ込み、少し戸惑った様子で、墓標に話しかける。
「こんな形での出会いになって、本当に残念です……」
「……」
「母さんから、色々と聞きました。父さんとの出会いや、俺が生まれるまでの事……そして、あなたが亡くなった原因を」
北斗は墓標に飛鳥より聞かされた話を語る。
「出来れば……一目でも父さんと会って、話がしたかったです」
彼は俯き、手を握り締める。その後ろ姿を、飛鳥は静かに見つめる。
「……」
やがて北斗は顔を上げ、両手を合わせる。
「父さん。これから何が起こるか分からないけど……俺と母さんのことを……見守っていてください」
彼はそう言うと黙祷をして、黙祷を終えて立ち上がる。
「輝月。また近い内に来るからな」
彼女は墓標に語り掛けて、踵を返して列車の元へと向かう。
北斗も墓標に一礼してから、飛鳥の後に付いて行く。
すると墓標の傍に、薄っすらと人影が浮かび上がる。
その人影は、北斗と飛鳥の後ろ姿を見つめて優しげな微笑みを浮かべ、やがてその姿を消す。
そして二人が客車に乗り込んだのを確認し、C56 44号機は汽笛を長く鳴らし、バック運転で客車を牽いて幻想機関区を目指し、出発する。
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