東方鉄道録‐幻想の地に汽笛は鳴り響く‐   作:日本武尊

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更新が遅れて申し訳ございません。最近忙しく、その上体調面が良くなかったので、中々書けなかった日々がありました。
最近はコロナのせいで色々と大変ですが、体調面だけは本当に気を付けてください。


第73駅 博麗の巫女への協力要請

 

 

 

 所変わって博麗神社

 

 

 

「へぇ、その外来人があの鉄道っていうのを始めたのね」

 

「はい。そのお陰で神社に多くの参拝客が来てくれるようになりました」

 

 境内にある家の縁側に座る妖夢は る~こと より話を聞いていた。

 

 博麗神社行きの列車に乗った妖夢はしばらく初めての列車の旅を楽しみ、博麗神社に着く。

 

 帰りは直接白玉桜に帰るので、帰りの列車に乗らず神社にて霊夢と る~こと 、たまたま遊びに来ていた魔理沙と話をしていた。

 

「ねぇ、霊夢。その外来人……えぇと、名前は確か……」

 

「霧島北斗よ」

 

 妖夢が幻想鉄道を開業させた外来人こと北斗の事を思い出そうとしていると、霊夢が手にしている湯呑に入っている緑茶を一口飲んでから彼女に教える。

 

「その、霧島さんって、どんな人なの?」

 

「どんな人、ねぇ」

 

 霊夢はボソッと呟くと、首を傾げる。そもそも彼女は頻繁に北斗と会っているわけではないので、どう答えようか悩んでいた。そもそも霊夢の中での(北斗)のイメージと言うのが高額な賽銭をくれた人、というあんまりなものだったりするが。

 

「北斗はなぁ、結構変わったやつだぜ」

 

 と、霊夢の横に座っている魔理沙が彼女(霊夢)の代わりに答える。

 

「そうなの?」

 

「外来人である事以外は、別にそこまで変わった人じゃ無いわ」

 

「フランに懐かれて、アリスと割と仲が良いのが変わってないのか?」

 

「えっ? そうなの?」

 

 妖夢は驚いたように魔理沙に問い掛ける。

 

「フランってレミリアの妹なんでしょ? 何があったの?」

 

「それなんだが、よく分からないんだよな」

 

 魔理沙は困ったように頭の後ろを掻く。

 

「何だが、いつの間にかフランのやつが北斗に懐いていたんだ。レミリアやパチュリーも懐いていた理由はよく分かっていないらしい」

 

「そ、そうなの? でも、彼女は気が触れているって聞いた事があるんだけど」

 

「あぁそうだぜ。ちょっとした事で暴れるぐらいだったからな。最初会った時なんか大変だったぜ」

 

 魔理沙はフランと出会った当時の事(紅霧異変)を思い出して苦笑いを浮かべる。

 

「……それなのに、どうやったら彼女が霧島さんに懐くようになったの」

 

 妖夢は半ば呆れたような表情を浮かべる。

 

「それに、アリスと仲がいいって……」

 

「この間甘味処でアリスと北斗が一緒に団子食っていたからな」

 

「それだけで?」

 

「いやだって、あのアリスがだぜ? たまに人里に来るが、基本引き篭もりなあいつが何度も顔を合わせたことが無いやつと一緒に団子を食うか?」

 

「それは……」

 

 妖夢はこれまであった宴会の時のアリスの様子を思い出す。彼女(アリス)は基本的に一人で居る事が多い。

 

 

「……まぁ、何だかんだ言っても、あいつはいいやつだぜ」

 

 魔理沙は咳払いをして話題を変えようと、北斗をフォローする。

 

「でなきゃ、里の人間があいつの鉄道を毎回利用なんかしないしな」

 

「それは、まぁ確かに」

 

 妖夢は納得したように頷く。

 

「そういえば、北斗様は最近早苗様と一緒に居る事が多いですね」

 

 と、る~こと が思い出したように呟く。

 

「まぁ、同じ外の世界の出身だからじゃないか? それに好きな物が同じとあって意気投合しているとか」

 

「そういや、早苗のやつ蒸気機関車が好きだったわね」

 

 魔理沙がそう言うと、思い出したかのように霊夢が呟く。

 

「そういえば、新聞に守矢神社が鉄道開業に大きく関わっているって書かれていたわね。結構深く関わっているの?」

 

「そうね。ある意味守矢神社が彼らの後ろ盾になっているとも言えるわね」

 

「なるほど。その関係で早苗は霧島さんと一緒に居るの?」

 

「さぁな。さっきも言ったが、好きな物が同じで意気投合しているかもしれないしな」

 

 疑問を浮かべる妖夢に、魔理沙がそう答える。

 

(果たしてそれだけでしょうか)

 

 と、る~こと はこの前人里で北斗を尾行していた時に見かけた早苗の様子から、何か別の要素があると感じていた。

 

 しかしわざわざ口にしていう事ではないと判断して、る~こと は何も言わなかった。

 

 

 

「霊夢さーん!!!」

 

 すると、遠くから霊夢を呼ぶ声がすると、神社の境内に勢いよく早苗が着地する。

 

「噂をすれば何とやらだな」

 

「う、うん」

 

 魔理沙がそう言うと、妖夢は戸惑いながら肯定する。

 

「霊夢さん! 大変、大変なんです!!」

 

「そりゃお前の様子を観たら分かるがな」

 

 慌てた様子で霊夢に詰め寄る早苗に魔理沙がつっこむ。

 

「落ち着きなさい、早苗。何があったのよ」

 

 霊夢は冷静に早苗を落ち着かせる。

 

「……」

 

 早苗は深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

 

「実は―――」

 

 

 

 少女説明中……

 

 

 

「北斗がいなくなった!?」

 

 早苗から北斗が妖怪の山でいなくなった事を聞かされ、魔理沙が声を上げる。

 

「本当なのか、早苗?」

 

「はい。万が一に備えて一緒に居てくれたにとりさんが目を離した間に、いなくなってしまって……」

 

 魔理沙が問い掛けると、彼女(早苗)はしゅんとしながらも答える。

 

「どこかその辺りを歩いているんじゃないの?」

 

「そんなわけないですよ! 北斗さんは私達のように弾幕が出せないし、飛べないんですよ! それなのに妖怪の山を一人でうろつくなんてありえません!」

 

 素っ気無く霊夢がそう言うと、そんな彼女(霊夢)の態度が癪に障ったのか、早苗は感情的になって反論する。

 

「そもそも、機関区から迎えが来ると分かっていたんですから、あの場を離れる理由なんて無いんですよ!!」

 

「落ち着けって、早苗」

 

 感情的になる早苗を落ち着かせようと、魔理沙が声を掛ける。 

 

「それはそうと、早苗はなんでここに来たんだ?」

 

「っ!」

 

 と、魔理沙の言葉で早苗はハッとして、気持ちを落ち着かせる。

 

 

「……霊夢さん、魔理沙さん。お二人にお願いがあります」

 

 早苗は真剣な表情を浮かべて霊夢と魔理沙の二人を見る。

 

「北斗さんを探す為に、力を貸していただけないでしょうか」

 

「早苗……」

 

「……」

 

「今すぐにでも北斗さんを探しに行きたいのですが、私一人で北斗さんを見つけ出すのは困難です」

 

「……」

 

「……」

 

「こうしている間にも北斗さんは……。どうか、お願いします! 北斗さんを探すのに、力を貸してください!」

 

 早苗は頭を下げて、二人に協力を懇願する。

 

「……」

 

 霊夢は手にしている湯呑を傍に置き、早苗を見る。

 

 お互い同業者とあって、霊夢と早苗は譲れない部分はある。それ故争うことは多々あったので、簡単に頭を下げるなんて互いにすることはなかった。

 

 しかし、そんな早苗がライバルである霊夢に頭を下げている。

 

 それだけとても大切な事なのだから、彼女(早苗)は頭を下げるのだ。

 

「頭を上げなさい、早苗」

 

「……霊夢さん?」

 

 早苗は顔を上げて霊夢を見る。

 

「そこまでしなくたって、普通に頼めば協力するわよ」

 

「……」

 

「これが妖怪による人間の誘拐なら、博麗の巫女が動く案件になるわ」

 

「……」

 

「それに、北斗さんにはそれなりに助けられているし。ちゃんとお礼は返さないと、博麗の巫女としての名が廃れるわ」

 

「霊夢さん……」

 

 

「ご主人様はあぁ言っておられますが、北斗様には大いに感謝されています。この間も売り上げの一部を貰った時は喜んでいらっしゃいましたし」

 

「余計なこと言うんじゃないわよ、る~こと」

 

 る~こと がカミングアウトすると、霊夢はジトーと彼女(る~こと)を睨みつける。

 

「なんだ、霊夢。結構北斗のやつに感謝していたんだな」

 

「……」

 

 る~こと のカミングアウトを聞き、魔理沙はニヤニヤと笑みを浮かべ、霊夢は視線を逸らす。

 

「霊夢の言う通りだぜ、早苗。そこまでしなくたって、普通に頼めば私達は協力するぜ」

 

「魔理沙さん」

 

「ありがとうございます」と早苗は深々と頭を下げる。

 

「状況が状況だから、さっさと行くわよ。四人で行けば、まぁなんとかなるわ」

 

「あぁ。四人居れば大抵のやつらは何とかなるしな」

 

「はい!」

 

 

「あれ?」

 

 と、さっきまで黙って話を聞いていた妖夢が首をかしげて声を漏らす。

 

「ねぇ、霊夢」

 

「何よ?」

 

「聞き間違いかもしれないけど、今四人って……」

 

「えぇそうよ」

 

「……ちなみに聞くけど、四人目って誰なの?」

 

「あんた以外誰が居るっていうのよ」

 

「なんでぇっ!?」

 

 霊夢に質問した妖夢は思わず立ち上がって声を上げる。

 

「どうせ暇なんでしょ。だったら手伝いなさい」

 

「で、でも、どうみても時間が掛かるでしょ!?」

 

「そうね。場合によっては大分時間が掛かるかもしれないわね」

 

「そんなことになったら、幽々子様の夕飯の時間までに帰れないよ!」

 

「別にちょっとぐらいいいだろう?」

 

「良くないよ!! ちょっとでも夕飯の時間が遅れたら幽々子様凄く機嫌を悪くするのよ!?」

 

 余程機嫌を悪くした主が恐ろしいのか、妖夢は必死であった。

 

「どうせ夕飯のおかずの量と種類を増やせば、幽々子のやつ機嫌を直すだろ?」

 

「……」

 

(そこは否定しろよ)

 

(相変わらずなんですね)

 

 急に黙り込んで視線を逸らす妖夢に、魔理沙は内心つっこみ、早苗は内心呟きつつ苦笑いを浮かべる。

 

 意外と妖夢の主はチョロいようである。

 

「まぁ、それはともかくとして」

 

 霊夢は咳払いをして空気を変える。妖夢は「良くない」と言わんばかりに睨みつける。

 

「早苗。犯人の大体の見当は付いているの?」

 

「それは……」

 

 霊夢の質問に早苗は答えようとするが、北斗を誘拐した者の見当が全く無い為、答えれなかった。

 

「なぁ、早苗。本当に誰も見ていなかったのか?」

 

「はい。にとりさんが目を離した隙にでしたので、にとりさんはおろか誰も見ていません」

 

「うーん」

 

 魔理沙は腕を組み唸る。

 

「る~こと。お前の機能で北斗を探せないのか?」

 

「申し訳ありませんが、私はお手伝いのアンドロイドですので、必要最低限の機能しかありません」

 

「ぬぅ」

 

 きっぱりと言われて魔理沙は再度唸る。

 

「妖怪の山を探すとなると、その範囲以前に天狗が黙って見ているわけないよな」

 

「そうですね」

 

 魔理沙と早苗は捜索での最大の懸念を口にする。

 

 妖怪の山は実質天狗の領域と言える。その上かなり強い縄張り意識があるので、よそ者に対して排他的だ。そんな中で妖怪の山にある守矢神社や幻想鉄道の一部路線は天狗が折れての特例中の特例だ。

 

 そんな天狗が、自分達の縄張りに彼女達が入って来て北斗の捜索活動を認めないだろう。

 

「邪魔するなら叩きのめせば良いのよ」

 

「いや良くないだろ」

 

 さらりと物騒な事を言う霊夢に魔理沙が思わずつっこむ。しかし彼女(霊夢)にとって異変解決時は平常運転だったりする。

 

「……まさか天狗が霧島さんを誘拐した、なんてことは無いよね」

 

 ふと、妖夢が割と衝撃的な事を口にして、早苗達が一斉に見る。

 

 場所が場所であるので、可能性はゼロとは言えない。

 

 それに、一方的であるが、自分達の領域に勝手に線路を敷いたと見ているので、北斗に対して恨みを持っている天狗が居てもおかしくない。

 

「それは―――」

 

 

「そんな事すれば早苗さんや二柱の御二方の怒りを買うことになりますよ」

 

 と、早苗が言おうとしたら、この場に居ない声がして四人は周囲を見渡す。

 

 

 




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