東方鉄道録‐幻想の地に汽笛は鳴り響く‐   作:日本武尊

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第79駅 地霊殿の主

 

 

 

 

 旧都の上空を通って、北斗達は目的地である地霊殿へと到着する。

 

 

「着いたよ、お兄さん」

 

 中庭に着地したこいしは空から解放された北斗を見ながら、館をバックに両腕を広げる。

 

「ここが地霊殿。私のお家だよ」

 

「これが……」

 

 空から解放された北斗は声を漏らし、館を見上げる。

 

 西洋風な外観に白を基調に黒いラインがいくつか入った外壁を持ち、その造形はとても洗練されている。真っ赤な紅魔館と比べると、とても落ち着いた見た目だ。

 

(なんだか、紅魔館よりセンスがあるよな)

 

 と、北斗は相変わらず失礼な感想を抱くのだった。

 

 

 

 

「へぶしっ!」

 

 バルコニーでティータイムを愉しんでいたレミリアは首を左に向けてくしゃみをする。

 

「あら、レミィ。風邪でも引いたのかしら?」

 

 レミリアの向かい側に座って本を読んでいるパチュリーが本から視線を外し、彼女に声を掛ける。

 

「吸血鬼が風邪を引くわけないでしょ!」

 

 咲夜より鼻をハンカチで拭かれながらキッとレミリアはパチュリーを睨む。

 

 まぁあの吸血鬼が風邪を引くような場面は想像し難いだろう。そもそも吸血鬼は体温的な意味で風邪を引くのだろうか。

 

「なら、誰かがあなたの噂でもしているのかしらね」

 

「……そう言われると、何だか失礼な事言われたような気がするわ」

 

 レミリアは苦虫を噛んだような表情を浮かべる。

 

 

 

 

 北斗達は中庭を歩いていき、屋敷の入り口前にやってくる。

 

「……」

 

 北斗は周囲を見渡し、戸惑いを見せている。

 

 なぜなら、地霊殿の中庭には多くの動物が居たからだ。

 

 犬猫はもちろん、狸や狐、狼に、鹿や熊など、様々な種類の動物が居て、さながら動物園のようである。中には見慣れない、見たことのない動物が混じっているが。

 

 中庭に下りた時、動物たちはこいし達に駆け寄って来て、熱烈に出迎えていた。

 

 動物達は一瞬北斗に警戒心を露にしていたけど、こいしの一言ですぐに警戒心を解いた。

 

「この子達はね、私達のペットなんだよ」

 

「ペット?」

 

「うん」

 

 北斗が周りを見ていると、こいしが彼が抱いているであろう疑問に答える。

 

(動物好きなんだな)

 

 これだけの動物に囲まれているとあって、北斗はこいしが動物が好きなんだと思い、微笑みを浮かべる。実際はただ単に動物達が自らここにやってきただけであるが。

 

「お空も私のペットなんだよ」

 

「……」

 

 しかしその一言で複雑な気持ちになり、思わず彼女を見る。

 

 当の本人は「うにゅ?」と声を漏らして首を傾げる。

 

(いや、確か地獄鴉だって言っていたから、元は鴉で人の姿なのも彼女が特別だから、多分)

 

 北斗は自分に言い聞かせるように内心呟く。変な想像を駆り立てないように。

 

 

 

こぉらぁっ!! お空!!

 

「うにゅ!?」

 

 と、地霊殿に怒声が響き、空は身体を震わせる。

 

 声がした方を見ると、一人の少女が明らかに怒っている様子で近付いている。

 

「お空! 一体何処に行っていたんだい! 灼熱地獄の管理をほったらかしてさ!」

 

「お、お燐。これには深いわけが……」

 

 少女は空に詰め寄り、彼女は謝りつつ少女を宥めようとする。

 

 深紅の髪を両サイドで三つ編みにし、根元と先を黒いリボンで結んでいる。頭には猫の耳が生えているが、人の耳も生えている。

 格好は黒で緑の模様が入ったゴスロリファッションのようなものを身に纏っており、首や手首左足にリボンが付いている。

 

 怒っているあまりか、北斗達に気付かず空に更に詰め寄る。

 

「それで、今までどこに行っていたんだい!」

 

「こ、こいし様に頼まれて、ちょっと地上に行っていただけだから」

 

「えっ? こいし様に?」

 

 空の口から意外な名前が出て少女は思わず首を傾げる。

 

「やっほー、お燐!」

 

 と、空の陰よりこいしが出てきてお燐と呼ばれる少女に声を掛ける。

 

「こ、こいし様!? お帰りになったんですか!」

 

 こいしの姿を見つけたお燐は驚きつつ、彼女が帰って来たことに喜ぶ。

 

「今までどこに行っていたんですか! さとり様散々心配なされていたんですよ!」

 

「えへへ。ゴメンゴメン」

 

 テヘペロ、と悪びれた様子もなく、こいしはお燐に謝る。

 

「ねぇ、お燐。お兄さんをお姉ちゃんに紹介したいから、お姉ちゃんを呼んで来てくれる?」

 

「えっ?」

 

 お燐は一瞬分からず首を傾げるも、顔を上げてようやく北斗達の存在に気付く。

 

「お客様、ですか?」

 

「うん。だからお兄さんをおもてなしてね」

 

「わ、分かりました!」

 

 お燐はすぐに屋敷の扉を開けてこいし達を中に入れる。

 

 

 

「おぉ」

 

 地霊殿の中に入った北斗はその内装に思わず声が漏れる。

 

 内装は外観と共に西洋風で、床は赤と黒の市松模様で、天井にはステンドグラスがあると、芸術的な内装である。

 

 そして屋敷の中にも動物達が居て、北斗達を見つめる。

 

「凄いでしょ、お兄さん?」

 

「そう、だね。こんなに綺麗な内装の屋敷は見た事が無いよ」

 

 天井のステンドグラスを見ながら北斗は答える。

 

「それに、何だか温かいね」

 

 と、北斗は外より温かい事に気づく。

 

 ふと彼は足元を見ると、床が眩しくないほどに光っている。

 

(床もステンドグラスだったのか)

 

 北斗は一瞬驚くも、それよりも輝くステンドグラスに見とれている。

 

「そりゃ、ここは灼熱地獄の跡地の上にあるからね。その光と熱が伝わっているの」

 

「そうなのかい?」

 

「うん。その灼熱地獄をお空が管理しているの。ねっ!」

 

「はい!」

 

 こいしに振られて空は自信満々に答える。

 

(ホント幻想郷は凄い所だな……)

 

 北斗は改めて幻想郷と、その住人達の凄さを改めて認識する。

 

「相変わらず動物が多いな」

 

 みとりは周りに居る動物達を見渡しながら呟く。

 

 外に居る動物もそうだが、中にも豊かな種類の動物が居る。

 

(こんなにいっぱい。どこから連れて来ているんだ?)

 

 色々と疑問が浮かぶも、北斗はその疑問を棚上げにする。一々気にしていたらキリがないからだ。 

 

「では、こいし様。今からさとり様を呼びに行きますので、待っていてください!」

 

 お燐はこいしにそう言ってから、こいしの姉を呼びに行こうと踵を返す。

 

(いよいよ、か)

 

 北斗は思わず息を呑む。

 

 いよいよこいしの姉と会う。この地霊殿の主であり、地底の管理者であるこいしのお姉さん。果たしてどんな人物なのか、北斗は緊張してきた。

 

 

 

「その必要は無いわ」

 

 と、この場に居ない者の声がして、全員声がした方を見る。

 

 そこには階段から下りて来る一人の少女の姿があった。

 

 やや癖のあるピンクのボブに深紅の瞳を持っており、フリルが多く付いたゆったりとした服装をしており、どことなく近寄り難い雰囲気を出している。

 しかし特徴なのはこいし同様左胸付近にある球体であり、こいしと違って目が開いており、北斗達を見ている。その球体ことサードアイからコードが伸びて頭に着けているヘアバンドや身体のあちこちと繋がっている。

 

 彼女こそがこの地霊殿の主であり、地底の管理者であり、こいしの姉である『古明地さとり』である。

 

「こいし。帰って来ていたのね」

 

「うん! ただいま、お姉ちゃん!」

 

 階段を降りて来たさとりはこいしに声を掛けると、彼女は笑みを浮かべる。

 

「おかえりなさい、こいし」

 

 さとりは微笑みを浮かべると、お燐を見る。

 

「お燐。お茶を用意してくれるかしら?」

 

「はい! ただいま!」

 

 お燐は元気よく返事をして、すぐにお茶の用意に向かう。

 

「それにしても……」

 

 と、さとりの視線はみとりに向けられる。

 

「あなたがここに来るなんて、意外だったわね」

 

「好きでここに来ると思うか?」

 

「そうでしょうね。その様子じゃこいしに連れて来られたみたいね」

 

「……そういうことだ」

 

 みとりはため息を付き、その様子からさとりも彼女の苦労を察する。

 

「……」

 

 そしてさとりの視線は北斗に向けられる。

 

「えぇと、初めまして。自分は―――」

 

 

「霧島北斗」

 

「っ!」

 

「それがあなたの名前でしょ?」

 

 と、さとりは北斗が自己紹介を終える前に、彼のフルネームを答える。

 

(ど、どうして俺の名前を……)

 

「どうして名前を知っているのか、ですか。私は覚妖怪。心を読むことが出来る妖怪ですから」

 

 さとりはそう言うと、自身のサードアイに触れる。

 

(あっ、そうか。こいしもこいしのお姉さんも、覚妖怪だったっけ)

 

 北斗も思い出し、覚妖怪の能力を実感する。

 

「そういう事よ」

 

 再び北斗の心を読んださとりは肯定し、こいしを見る。

 

「それで、こいし。どうして彼をここに?」

 

「うん。お兄さんの事をお姉ちゃんに紹介したかったから」

 

「紹介?」

 

 と、さとりの視線が再び北斗に向けられる。

 

「……」

 

 しばらくサードアイ共々北斗を見た後、険しい表情を浮かべてこいしを見る。

 

「あなた、彼を攫ってきたのね」

 

「そうだよ」

 

 あっけからんようにこいしが答えると、さとりはため息を付く。

 

「面倒な事になりそうね」

 

「かもしれないね。でも―――」

 

 と、こいしはさとりに近付くと、耳元で囁く。

 

 

 

誰にも私の邪魔はさせないから

 

 

 

「……」

 

 さとりは目を細めて、ため息を付く。

 

「北斗さん」

 

「は、はい」

 

「ここで立ち話は失礼ですので、どうぞ客間に来てください」

 

「? 分かりました」

 

 一瞬怪訝に思うも、北斗は頷く。

 

 さとりは踵を返して元来た道を歩いていき、北斗はその後に付いて行く。

 

「? こいし?」

 

 と、北斗は立ち止まり、その場から動かないこいしに声をかける。

 

「お兄さん。私ちょっと用事があるから、先にお姉ちゃんと話しててくれないかな?」

 

「そう、か? なら、先に行っているよ」

 

 北斗はこいしに違和感を覚えるも、さとりの後に付いて行く。

 

 

 

「……」

 

「最初から私を連れてきたのは、この為か」

 

 と、さとりと北斗の姿が見えなくなると、みとりがこいしに問い掛ける。

 

「うん。みとりには手伝って欲しいの」

 

「……」

 

「誰にも邪魔はさせないから」

 

 こいしは振り返り、みとりを見る。

 

 その目は据わっており、どことなく威圧感がある。

 

「……」

 

「こいし様……?」

 

「お空。お空なら手伝ってくれるよね?」

 

「も、もちろんですよ! こいし様の為でしたら、何だってやりますよ!」

 

 こいしの様子に空は戸惑うも、彼女からお願いをされて戸惑いながら了承する。

 

「……今回だけだぞ」

 

 みとりも面倒な事になりそうだと、今回ばかりは素直に了承する。

 

「ありがとう、二人共」

 

 こいしはニッコリと笑みを浮かべる。

 

 

 しかし端から見れば、その笑みは若干狂気染みているようにも見えた。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 所変わって旧都

 

 

 こちらではある意味騒ぎが起こっている。

 

 

 

(お、おい。あれ)

 

(あぁ間違いねぇ)

 

 旧都の住人達は隠れながらヒソヒソと話をしている。

 

 彼らの視線の先には、旧都を歩く霊夢達の姿があった。

 

(博麗の巫女にあの時の魔法使いが居るぞ)

 

(まさかあの覚妖怪の所、また何かやらかしたのか?)

 

(あれ天狗に河童じゃねぇか)

 

(なんであいつらがここに)

 

(というか、あの二人なんだ? 見ただけで肌がピリピリとするんだが)

 

 住人達はヒソヒソと話しをするだけで、堂々と歩く霊夢達に手出しはしなかった。

 

 

 

「意外と来ないんですね」

 

「そりゃ、前の異変の時の事が効いているんだろう」

 

 早苗は周囲を見ながら呟くと、魔理沙が答える。

 

 なるべく急ぎたい彼女からすれば一刻も早く地霊殿に向かいたかったが、魔理沙はあえて歩いた方が良いと提案した。

 

 なんでも空を飛んでいれば旧都の連中はちょっかいを掛けて来るから、かえって面倒になるらしい。それであえて地上を歩いていけば、霊夢達の顔もしっかりと見れるので、ちょっかいを掛けて来ないだろうとの魔理沙の考えだ。

 まぁ博麗の巫女の邪魔をすれば痛い目を見るのはこの前の異変の時に身を持って知っているので、住人からしてもちょっかいを掛ける気はなかった。

 

 尤もな事を言うと、幻月と夢月の存在が旧都の住人にちょっかいを掛けさせない要因になっている。

 

「……」

 

 早苗は御祓い幣を握り締め、前を見る。

 

 早く行けるのに、行く事が出来ないもどかしさが、彼女の気持ちを焦らせる。

 

 

「おや。珍しいやつが来たもんだ」

 

 と、店から誰かが出てきて、彼女達の前に出る。

 

「あんたは……」

 

 霊夢は面倒なのが来た、というような表情を浮かべ、後ろでは文達が顔を青ざめる。

 

「ゆ、勇儀さん」

 

 早苗はその人物こと星熊勇儀を見て、息を呑む。

 

「随分大人数で来たもんだな」

 

 と、霊夢達を見回し、後ろで勇儀の姿を見て挙動不審気味な文達に目が留まる。

 

「久しぶりに見たな、天狗と河童は」

 

「おお、お久しぶりでございます、星熊様」

 

 顔中冷や汗を掻く文は声を震わせながらも挨拶をする。はたてと椛、にとりも同様に震えながら挨拶をする。

 

 

 文達がなぜ地底に行きたがらなかったのは、地底には鬼が居る、その中でも鬼の四天王とされる星熊勇儀と、伊吹翠香が居るからである。

 

 そもそも鬼はかつて地上に居た時は妖怪の山を支配していた存在だ。今でこそ天狗が妖怪の山を支配しているが、鬼が居た頃は彼らは配下である。つまり天狗や河童からすれば鬼は元上司なのである。

 

 過去に文達は散々鬼に振り回されていたので、元上司に対して良い思い出がなかった。と言うか一種の恐怖対象として捉えている。無論そんな事を鬼に言えばロクな目に遭わないが。

 

 

「おっ、霊夢~。久しぶり~」

 

 と、勇儀の後にフラフラと千鳥足で萃香が店から出てくる。萃香の姿を見た瞬間文達はより一層顔を青くする。

 

 そりゃ鬼の四天王と呼ばれた鬼が二人も居れば気が滅入る。

 

「萃香。あんたしばらく見ないと思ったら、こんな所に居たのね」

 

 霊夢は呆れた様子で萃香を見る。と同時に相も変わらない姿に一種の安心感を覚える。

 

「なんだぁ、霊夢? 寂しくなって私に会いに来てくれたのか?」

 

「ところであんた達。ここで連れて行かれる人間を見なかった?」

 

 萃香の質問をガン無視しながら霊夢は二人に問い掛ける。彼女にガン無視されて萃香は思わず涙目になる。

 

「人間かい? それならこいし達と一緒に地霊殿に行ったぞ。空に抱えられていたな」

 

「本当ですか!」

 

 勇儀より有力な情報が聞き出せて早苗は声を上げる。

 

「なら、早速地霊殿に―――」

 

「まぁ待ちなよ」

 

 と、先を急ごうとする早苗を勇儀が止める。

 

「今急いでいるんです! 悪いんですが今構っている暇は!」

 

「そうつれない事言うなよ。今とても気分が良いんだ。一勝負しないか?」

 

「な、なんでそうなるんですか!?」

 

(だから鬼は面倒なのよね)

 

 勇儀の発言に早苗は驚き、霊夢は内心面倒くさそうに呟く。

 

「大丈夫だ。別にこいしはあの人間に危害を加えるつもりじゃないだろうし、心配ないだろ」

 

「そういう問題じゃないんです!」

 

 早苗は必死に勇儀を説得するも、鬼は余程の事がない限り、一度決めた事は曲げない性格だ。その上気分が乗っている今では、尚更決めたことを曲げる気はないだろう。

 

 早苗としても一刻も早く地霊殿に向かいたいのに、こんな所で足止めをくらうわけにはいかない。でも勇儀も勇儀で自分の意見を曲げようとしない。

 

 霊夢も埒が明かないと考えて、弾幕ごっこでこの場を切り抜けようと考えた時だった。

 

 

「ならその勝負、私達が受けてやるわ」

 

 と、その一声がして誰もがその声がした方を見ると、夢幻姉妹が居た。

 

「幻月さん、夢月さん」

 

「このまま話し合ったって、平行線のままよ」

 

「……」

 

「ここは相手の要望に応えてあげるのが、手っ取り早いのよ」

 

「あんた……」

 

 

「ほぅ。結構大胆な事言うんだな」

 

 と、勇儀はニヤリと口角を上げる。

 

「お前達は初めて見る顔だな。何者だ?」

 

「あんたが見た人間に、借りがある者よ」

 

 幻月と夢月は早苗達の前に出る。

 

「ここは任せて、さっさと行きなさい」

 

「……夢月さん」

 

 

「さっさと行くわよ、早苗」

 

 霊夢は早苗に声を掛けると、彼女は二人に頭を下げて飛び出す。

 

「……悪ぃな」と一言言ってから魔理沙は箒に跨って飛び、妖夢も二人に頭を下げて続く。

 

「あんた達。分かっていると思うけど」

 

「分かっているわよ。あんたが出張るような事はしないわ」

 

「ここの決まりに従って、勝負するつもりよ」

 

「でも、相手が決まりを破ったのなら、相応の対応をするわよ」

 

 霊夢は二人に忠告を入れると、彼女達は了承しつつ、自分流の解決法を告げる。

 

 彼女はため息を付き、早苗達の後を追おうとする。

 

「あぁ、そうね」

 

 と、言い忘れた事があってか、飛ぶ前に霊夢は振り返る。

 

「そこの天狗と河童は自由に使って良いわよ」

 

「えぇっ!?」

 

 霊夢の衝撃発言に文が驚きの声を上げ、はたてと椛、にとりも驚愕の表情を浮かべる。

 

「ちょ、それは酷くないですか、霊夢さん!?」

 

「私達の手助けに来たのでしょ? なら今がその時よ」

 

「いやだからって!」

 

「それにいいじゃない。折角だから昔話をしながら語り合いなさい」

 

 霊夢は気遣っている、かどうかはさて置き、その言葉は文達からすればある意味死刑宣告に等しい。

 

「うわーん!! この鬼! 悪魔!! 脇巫女!」

 

「鬼と悪魔なら目の前に居るじゃない。そして後で覚えていなさい」

 

 不機嫌そうに霊夢がそう言うと、早苗達を追い掛ける。

 

 そして感情に任せて思わず失言をしてしまった文は「アワワワ……」と顔を真っ青にして震える。

 

『……』

 

 そして勇儀と、ショックから立ち直った萃香、幻月と夢月の両者が向き合い、火花を散らせる。

 




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