転生した先が死後の世界で矛盾している件   作:あさうち

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第五十五話

「……浦原喜助、井上織姫、茶渡泰虎」

 

 四番隊隊舎への道中、チャドに背負われ運ばれていた白哉が徐に口を開いた。

 

「済まぬ」

 

 彼の口から出たのは、謝罪の言葉だった。

 

「護廷十三隊隊長として、瀞霊廷を踏みにじる卑劣な輩を倒すこともできず、兄ら現世の人間に加え、破面の加勢までも必要とする事態を招いたことを心より恥じる。その兄らに頼みごとをする私のおぞましき無様を許してくれ。――頼む、私達と共に尸魂界を救ってくれ」

 

 白哉がその言葉を発した瞬間、場が凍りついた。驚いたのだ、自尊心が人一倍高い白哉が人に頼みごとをしたことに。

 

 ――未だにそんな頼み事が必要な存在だと思われていたことに。

 

「何言ってんだ?」

「「っ!?」」

 

 突如発せられた荒々しい口調に、またもや場が凍りついた。その声が発せられた方向に、皆一斉に顔を向ける。そこにいたのは、織姫だった。

 

「仲間のピンチに駆けつけるなんて、当たり前ぇのことだろ? って黒崎君なら言ってたかなーって。勿論、あたしも同じ気持ちです」

 

 慣れない口調で話したのが恥ずかしかったのか、頭を掻きながら織姫は言った。

 

「ふっ、そうだな。一護ならそう言う」

「水臭いっスよ白哉サン。それに現世にだって敵はやって来たんです。もうこれは尸魂界だけの問題じゃないんっスよ。さっ、早く四番隊隊舎に向かいましょう」

「済まぬ」

 

 先程と同じ謝罪の言葉、だがそこに込められた思いは、決して負い目から来るものではなかった。

 

 

***

 

 

「フハハハハ! どうした悪党よ!!」

 

 マスキュリンが吠える。彼が繰り出すラッシュを一護は躱していくが、反撃に移ることができず、中々リズムに乗り切れない戦いが続いていた。

 

「うっせ。なんでお前、素手で戦ってんだ! 滅却師は弓しか使わねぇんじゃなかったのかよ!」

 

 その理由はマスキュリンの戦闘スタイルにあった。彼の戦いは実にシンプル。偶に額からビームを放つこともあるが、基本は素手。弓は使わなかった。一護の滅却師に対する価値観は、彼の友人である石田雨竜から来るものなのだが、その価値観はマスキュリン相手には全く通用せず、それが攻勢に移れない要因となっていた。

 

「何を勘違いしているのか知らんが、ワガハイはスーパースター。スターなら道具に頼らず、真っ向勝負をするのが道理というもの!」

「……クッソ、あいつ帰ったら一発ぶん殴ってやる!」

 

 一護は帰還した時に、雨竜の顔面に一発入れることを決めた。とは言え、雨竜がこれまでに出会った滅却師は精々指で数えられる程度。彼にとっては、他に滅却師の生き残りが居たことなど知る由もなかったことなので、一護の発言は理不尽以外のなにものでもなかった。

 

「帰る? 何を言っているのだ? スターが悪党をみすみす逃がす訳なかろう! 貴様はワガハイに滅ぼされる運命なのだ!」

 

 攻撃を避けながらボソッと呟いた一護にマスキュリンは言葉を返す。

 それと共に、一護を斬魄刀越しに押し込むことで一度距離を取った。すると、マスキュリンはすぐさま助走をつけて一護に接近する。

 

「これで終わりだ悪党よ! 【スター・殺人フィニッシャー】!!」

 

 スター・殺人パンチとの違いは込める力がより大きくなっただけ。だが、それ故に強力な一撃が一護を襲った。一護は先程までと同じように天鎖斬月でガードするが、マスキュリンの攻撃力は先程よりも上昇している。故にこの攻撃は受けられまい。マスキュリンはそう思った。

 

「そっちこそ何言ってんだ?」

「何!?」

 

 鮮明に聞き取れたのは一護の声。しかし、その声は初撃の時よりもずっと近い。

 一護はマスキュリンの攻撃をしっかりと受け止めていた。しかもただ受け止めた訳ではない。一歩も動くことなく、受け止めていた。

 

「逃げるつもりなんて、さらさら無ぇ。俺はお前らを倒して、帰るっつったんだよ」

 

 この戦いの初撃、一護がマスキュリンの攻撃を受けて大きく後退したのは、決して一護がマスキュリンに力負けしたからではない。あれは一護がわざと後ろに跳んだのだ。勿論、それには歴とした理由があった。

 喜助は一護との連携を視野に入れて戦いを組み立てようとしていたが、一護はその逆。連携を取るつもりはなかった。否、できないと言うべきだろうか。一護と喜助の戦闘スタイルはまるで違う。一護は速さと力でごり押していくタイプなのに対し、喜助は搦め手で相手を詰ませに行くタイプだ。故に、これまでシンプルな戦いしかしてこなかった一護が喜助と連携を取ったところで、上手く動ける気がしなかったのである。それでも、喜助なら上手く戦いを組み立てるだろうと思った一護だったが、彼に頼りきりでお荷物になるのは気が引けた。それならば、最初から距離を離して戦った方がいいと考えたのだ。

 

 ついでに言えば、先程までの防戦一方の戦いも、確かにリズムに乗り切れなかったというのもあるが、一番の原因は様子見。見たこともない戦闘スタイルを有する滅却師がどのような戦い方をするのか、一護は攻撃を躱しながらそれを見極めていたのだ。

 そして、その彼が動き出したということは、それ即ち様子見は終えたということ。勝利までの道筋が整ったということだ。

 

「貴様ああああ! 悪党風情がヒーローの拳を受けとめていいと思っているのかああ……あ?」

「【月牙天衝】」

 

 横凪に一閃。自分の攻撃が受けられた事に対して怒りを募らせるマスキュリンの腹部に、赤黒い霊力の斬撃が襲い掛かる。至近距離だったこともあり、静血脈での防御しか間に合わなかったマスキュリンは衝撃を殺し切れずに大きく後ろに吹き飛ばされた。

 

「……急に本性表し過ぎだろ」

 

 先程から技名などに、ヒーローを名乗るには少々暴力的過ぎる言葉が含まれていたが、とうとう発言においてもボロが出たかと一護は呆れ返った。

 

「ぐぬぅ……」

 

 マスキュリンは立ち上がるが、その腹部からは決して無視できない量の血がポタポタと滴っていた。

 

「どうした? 三十カウントで倒すんじゃなかったのかよ?」

 

 戦いが始まってから、到に三十カウントは過ぎていた。一護はより確実にトドメを刺すべく、マスキュリンの頭に血を上らせようと試みる。

 

「悪党が……嘗め腐りよって……! ふんっ!」

「なっ!?」

 

 突然のマスキュリンの行動に一護は驚愕する。なんと、マスキュリンは腹筋に力を入れることで、無理やり出血を抑えたのだ。

 一護のその様子を見たマスキュリンは、してやったりと言わんばかりに口に弧を描く。

 

「死なーぬ。スターが悪党に、やられて死ぬ訳にはいかーぬぅ……! そう思わんか! ジェイムズ!!」

「はーい! ミスター!」

「っ!?」

 

 ――こいつ、何時の間に……!?

 

 マスキュリンの問いに答えたのは、小柄で小太りの眼鏡をかけた男だった。今まで気配すら感じなかった新たな敵の登場に一護は肝を冷やす。だが、感じられる霊圧は大したことがなかったので、再びマスキュリンの方に意識を集中させる。

 すると次の瞬間、奇妙なことが起きた。

 

「頑張れ頑張れスーパースター!!」

「ぬっ、ぬうおおおおお! エナジーイイイイ、漲るぅぅうう!!」

「なん……だと……!?」

 

 なんと、ジェイムズの声に呼応するように、マスキュリンの身体の傷が再生したのだ。それだけではない、元々筋肉隆々だった彼の身体がさらに肥大化し、服がはち切れた。そこにあったのは、腰にベルトを巻き、星があしらわれたトランクス一丁の、まるで試合に勝利したプロレスラーのような出で立ちをしたマスキュリンの姿だった。

 そして、彼の身体の肥大化に比例するように霊圧も大きく上昇していた。

 

「スター・パワーアップ完了……。ファンの声援がワガハイを強くする。悪党である貴様には真似できまい。――行くぞ!!」

 

 攻撃することを宣言したマスキュリンは、身体を捻ることで最大限に力を溜める。

 

「【スター・ラリアット】!!」

「ぐっ!?」

 

 『星!!』という掛け声と共にマスキュリンが腕を振り抜くと、それに合わせるように放たれた衝撃波が再度一護を後方に飛ばした。

 

「フハハハハ! ただの衝撃波と侮るなよ! 真の力を手にしたワガハイの拳は一マイル離れた悪をも倒す!!」

 

 人呼んで“ワンマイルアーツ”。そのままのネーミングだが、その威力は先程完全にマスキュリンの攻撃を防いでいた一護が吹き飛ばされていることを見ると、推して測れるものがあるだろう。

 そして、今のマスキュリンの攻撃は多少敵と離れたぐらいでは終わらない。

 

「星星星星星星星星星星星星星星星星星☆!!」

 

 立ち止まった状態で何度も放たれた拳は、先程と同じように衝撃波を発し、一直線に一護に襲い掛かる。そのあまりにも速い連撃に、一護は顔を守るように掲げたガードを外すことができない。距離を置いても威力が減衰しないその拳は、破面の虚弾や卯月の波弾を彷彿とさせた。

 

「フハハハハ! スーパースターの力の前に、貴様は最早地に足を着くことすらまかりならん! 貴様は永久に空中を吹き飛びつづけ、そのまま息絶えるのだ!! ――とうっ!」

 

 そろそろ頃合いだと感じたのだろう。宙へと跳び、上空から一護を捉えたマスキュリンは、マスクの額部分にあしらわれた星の模様付近に手を当て、そこに霊力を集中させた。

 

「スターの威光に滅ぶがいい! ――【スター・メテオフラッシュ】!!」

 

 瞬間、眩い霊力の光が一護に向かって放たれた。先程の連撃によって発生したGに抗えずにいた一護は、避けることも叶わず直撃を喰らってしまう。

 

「どうだ悪党よ、思い知ったか! 貴様がワガハイに勝とうなど千年早いのだ!!」

「イエーイ、スーパースター! カッコいい!」

「フハハハハ! そうだろう! もっと褒めるがいい!!」

 

 勝ちを確信したマスキュリンは、相方であるジェイムズに歓声を受けながら高笑いを浮かべる。そのテンションの上がりようは天井知らずで、更なる言葉をジェイムズに求めた。

 だが、次の言葉をジェイムズが発することはなかった。

 

 突如、赤黒い斬撃がマスキュリンを襲ったのだ。不意の攻撃を目にしたジェイムズは固まってしまった。

 

「ふんっ!」

 

 しかし、マスキュリンはこれに反応して見せ、軽く腕を横に払っただけで、斬撃の軌道を逸らして見せた。

 

「流石は悪党、不意討ちとは卑怯な」

 

 マスキュリンの視線の先、そこにはまともに攻撃を喰らったはずの一護の姿があった。死覇装の損傷こそは目立つものの、その堂々とした立ち姿からは、消耗など微塵も感じられなかった。

 

「馬鹿野郎、あまりに隙だらけだったから教えてやったんだよ」

「成程、手加減をしていたということか。悪党のくせに生意気な。そしてその邪悪な霊圧にその仮面、どうやら本性を現したようだな」

 

 パワーアップしたマスキュリンの攻撃をもろに受けた一護が無事なのには当然訳がある。攻撃を喰らう瞬間、一護は虚化することで自身の霊圧を底上げし、ダメージを大幅に軽減していたのだ。

 ワンマイルアーツのGに逆らえなかった一護だったが、ガードの為に腕を上げていた以上、顔に触れて虚の仮面を装着する程度の動作なら、造作もなかった。

 

 そして虚化した以上、一護から感じられる霊圧は死神と虚のものが混じったものとなる。きっとマスキュリンの中では、悪に手を染めた敵を討つヒーローという構図が描かれているに違いない。見る人が見れば、どちらが悪役か判らないのではなかろうか。

 

「行くぜ」

「ぬっ!?」

 

 刹那、一護がマスキュリンに急接近する。その速力は虚化前を軽く凌駕しており、マスキュリンはワンテンポ反応に遅れた。そして、そのワンテンポが戦いの世界では致命的なものになる。余裕のないマスキュリンは行動の選択肢が狭められ、最終的に静血装で防御を固めることしかできなくなる。

 だが、まだ焦る時ではない。ジェイムズの声援によって肉体的にも霊圧的にも強くなったマスキュリンなら、虚化した一護の攻撃であったとしても、十分に防ぐことが可能だろう。故に勝負はこの攻撃を防いだ後。そうマスキュリンは思っていたのだが――いつまで経っても、一護が攻撃を当てて来ることはなかった。

 

「すみません……ミス、ター……」

 

 聞き覚えのある声にマスキュリンは後ろを向く。

 

「ジェイムズっ……!?」

 

 すると、そこには気を失い倒れるジェイムズと、その彼の近くで斬魄刀を握りしめる一護の姿が。誰がやったかは明白だった。

 

「貴様!! よくもジェイムズを!!」

「安心しろ、殺しちゃいねぇよ。こいつが居ねぇと、お前はもうパワーアップできねぇんだろ? だから先に倒させてもらったぜ」

 

 マスキュリンの能力の源はジェイムズの声援。となれば、マスキュリン攻略の為には先に原動力であるジェイムズを始末することが第一となってくる。

 ここまで来ても手心を加えて峰打ちに抑えるのは一護らしいが、ジェイムズが碌に戦えない以上、及第点の答えと言えるのではないだろうか。

 

「問答無用! 戦えぬものをいたぶるその卑劣な行為、万死に値する!! ヒーローの名のもとに粛清してやろう!! ――【スター・ロケット・ヘッドバット】!」

 

 怒りを募らせたマスキュリンは頭から一護に突進する。パンチにラリアットにヘッドバット。先程からのマスキュリンの技は、攻撃方法がそのまま技名になっているものが殆どだが、それは全ての攻撃が技と呼べるまでに昇華されているということ。決して油断ならなかった。

 それに対し一護は天鎖斬月に赤黒い霊力を纏わせる。月牙天衝の構えだ。

 

 ――これで決める!!

 

 黒腔内にて、一護は喜助から今回新たに発覚した滅却師の性質について教わっていた。それには当然、血装のことも含まれており、そこから一護は自分なりに攻略方法を見出していた。

 

 それは、相手の攻撃にカウンターで攻撃を入れることだ。血装は攻撃用の動血装と防御用の静血装があるが、その両方を同時に発動することは不可能だ。そして、それは術者が能動的に発動できるので、よほどのことがない限り、攻撃中には動血装を発動しているだろう。

 だからと言って、悠長に攻撃モーションを見せてしまえば、敵はそれを見て血装を静血装に切り替えてしまう。ならば一番のチャンスは敵の攻撃中に、血装の切り替えが効かない速度で仕留めることだ。敵の霊力の操作の速度を超えて、攻撃を当てるのはそう簡単なことではない。加えて、マスキュリンはワンマイルアーツによって遠距離からの攻撃も可能なので、実現することは至難の業だろう。だが、虚化によって手にした身体能力と月牙の射程、この二つがあれば十分に可能だと一護は踏んでいた。勝負は一度切り、単純な攻略法であるが故に二回も通じるものではない。

 

 そして、勝負の時は一瞬で訪れる。

 

「【スター・ロケット・パンチ】!!」

 

 突進する勢いのまま、マスキュリンは拳を突き出した。この状況でもワンマイルアーツは健在で、マスキュリンが放った拳の射線上に衝撃波が伸びてくる。そして、一護は衝撃波を屈んで躱し、その動作のまま地面を蹴った。

 

 これで第一関門突破。避ければ終わりという訳ではない。ここから一護はマスキュリンが血装を切り替えるまでに攻撃を届かせなければならないのだ。故に、余計な動きは一切なしだ。直線移動で真っ向勝負、この一撃で一護が決めるにはそれしか残されていなかった。

 一護は強く握りしめた天鎖斬月に出来る限りの霊圧を注ぎ込む。

 

「【月牙天衝】!!」

 

 ロケット・ヘッドバットの勢いのままに宙を跳ぶマスキュリンの下を抜けるように、一護は刀を振り下ろす。月牙と拳は交錯し、月牙はそのままマスキュリンの身体を肩から捉え、拳は――一護の頭を掠めた。

 

「終わりだ、スーパースター」

 

 刀を振り終えた一護の背後で血しぶきが舞う。攻撃を当てることも、防御に移ることも叶わなかったマスキュリンは勢いのままに地面に突っ込んだ。

 

「フハハ……まさかヒーローであるワガハイが悪党に敗北するとはな……。だが、忘れるでないぞ。スーパースターは永久に不滅……だ」

 

 マスキュリンの最期の言葉を聞いた一護は踵を返す。これだけの戦いをしても敵幹部の一人を片付けただけ。まだ倒すべき敵は数多く居る。碌な怪我もしていないのに、休んでいる暇などなかった。

 

「――阿呆」

「っ!?」

 

 すると、そんな一護に声がかかった。そちらの方向を見てみると、何やら刃物が一護の隣を通り過ぎ、変幻自在な動きでその長さを伸ばしていく。最終的に刃は気を失っているジェイムズへと突き刺さった。

 

「何驚いてんだ? こいつの声でそこの筋肉ダルマは復活すんだろ? なら、こいつを生かしとく意味なんざねぇよ」

「……恋次」

 

 ジェイムズに突き刺さったその刃、それを辿った先に居たのは、織姫の術によって回復した阿散井恋次だった。

 

「傷はもういいのか?」

「ああ、お陰様でな。それより相変わらずお前は甘ぇな一護。下手すりゃ、死ぬぞ」

「ああ、悪ぃ」

 

 一護の心配をよそに、恋次は説教を始めた。ただ、彼の言う事は尤もだ。マスキュリンはジェイムズの声を原動力として戦う。その効果で適応される範囲が分からない以上、マスキュリンが死んだ今でもジェイムズを生かすことはリスクが伴う行為だった。

 今回は恋次が居たからよかったが、これから先の戦いで必ずしも一護の近くに彼を支えてくれる仲間が居るとは限らない。戦いの度にこのようなボロを出しているようでは先が思いやられるだろう。

 

 気持ちを切り替えた一護が前を向くと、そこには恋次の斬魄刀がスッと差し出されていた。

 

「さて、反省はここまでだ。行くぞ、一護」

「……なんでてめぇが指図してんだよ」

 

 口ではそう言ったものの、一護は自分の斬魄刀を恋次の斬魄刀に合わせた。

 

「……あんがとよ、助かった」

「あ、何か言ったか?」

「なんでもねぇからさっさと来い!」

 

 移動を始める直前、加勢に来てくれた一護に礼を言おうとした恋次だったが、寸のところで恥ずかしくなったのか、一護に聞こえていないと分かるや否や誤魔化した。

 

「なんだあいつ……?」

 

 突然声を荒げ先に進んだ恋次に、一護は訝しげな視線を送りつつ、後を追っていくのだった。

 

 




 この作品が始まってかれこれ一年以上経過してますが、今回の話が一番難産でした。
 なにが難しいって一護の戦闘描写が難しいです。今まで彼の戦闘描写を描くときは仲間との共闘の時しか描いて来なかったので気づかなかったんですが、彼みたいな戦闘スタイルのキャラクターは戦法にバリエーションがつけづらいですね。

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