そろそろ忙しくなりそうなので、書けるウチに書いて完結させないとね。完結こそが作者の最低限の責任也。("`д´)ゞ
あ。感想、及び誤字報告いつもありがとうございますm(__)m
ある日の昼下がりの休憩タイム。
「ん~~!」
今日のお仕事も後少し。最後の休憩時間に私は大きく伸びをする。身体が解れる感覚が気持ち良い。
そんな最中の事。
視界の端には、アルファードさんも同じように伸びをしていて。
自然と目が合った私達は、お互い照れ臭い気持ちで、はにかみ合う。
そんな、少しくすぐったくて、どこか甘い、温かい時間。
私はそれが大好きだった。
そんな二人の空気を壊すように、いきなり、フェイトちゃんがカットインして、彼に倒れかかってきた。
両手を頭上に挙げて、私と同じように伸びをして、はにかんでいた彼は、当然のように反応出来ず。
そんな彼の首に腕を巻き付けて、抱き付くフェイトちゃん。
「ご、ごめんなさい‥つまづいちゃって‥」
フェイトちゃんは真赤な顔で謝罪するが、
その口元は幸せそうに綻んでいた。
違う。‥あれはわざとだ。私じゃなきゃ見逃しちゃうね。
「ん。気をつけろよ?」
等と、アルファードさんも優しく彼女を許す。
「すみません‥最近、足下が良く見えなくて‥」
‥なんて、フェイトちゃんは自分の胸を腕で挟むように持ち上げながら、そんな事を言い放つ。
つまり、あれか‥。
胸がでかくなって、足下が良く見えなくて、つまづいてしまったと‥!
それを受けてアルファードさんは‥
「お?おう?そういうものか‥じゃあ、仕方ないな‥」
なんて赤面しながら、そんな事を言い出して‥!
私は、ユラリと、立ちあがり、二人に背を向ける。
何がなんだか解らない。
自分の感情が解らない。
この感情は何?
怒り?悲しみ?嫉妬?悔しさ?
憎悪?
誰への?
どれも、ピンと来ず、その実、どれも当てはまるように思えた。
このままじゃいけない。
このままここにいたら、良くない事が起こる。‥気がした。
そして、私はいつの間にか走り出していた。
―無我夢中で走り続けていた。
すると、いきなり、腕を掴まれ、私は引き留められた。
みれば、私の腕を掴んでいたのは‥。
キューブ副隊長だった。
「なのスケ?どうした?」
いつもの優しい微笑みと、声音の問い掛けに私は隊長の姿を重ねてしまって。
声にならない叫びと共に、
その豊満な胸へと、顔を埋めた。
「――っ!―っ!?」
そして、後から後から沸いてくる涙を拭う事もせず、
思うがままに彼女の胸の中で叫んだ。
それは、言葉になっていたかもわからない。
文法とか、言葉の意味すら一切気にせず、
ただ、声をあげて泣いた。
まるで産まれたての赤ン坊の産声のように。
キューブさんはそんな私の頭をずっと優しく撫で続けてくれていた。
どれだけの時間泣いただろうか。涙は枯れていないが、咽は枯れてしまった私はキューブさんに肩を抱かれながら、食堂の椅子へと座らされていた。
「‥そっか‥なのスケも、もうお年頃だね」
「私‥自分の気持ちが、わからなくて‥どうしたら、良いのか‥」
絞り出した声はびっくりするほど、しゃがれていて、咽が痛かった。
キューブさんはそんな私に、ソッと紅茶を入れてくれて。
「飲みな‥ハチミツ入りだ‥」
「わあ‥」
鼻孔を擽る、ハチミツの甘い香りに少しささくれた心が柔らかくなるのを感じる。
「あちち‥ふー‥ふー‥」
私はコップを両手で持ちながら息を吹きかけ、冷ましていく。
「‥美味しい!」
だいぶ冷めたので、少しだけ、口に運び、啜る。
と、暖かく、ハチミツのトロリとした質感と甘い味と紅茶の香りが口内を潤し、食道から心迄温めてくれて、私の気持ちを落ち着かせてくれた。
「うん‥落ち着いたかい?」
「はい‥取り乱しちゃってすみませんでした‥」
私は一先ず、キューブ副隊長に謝罪する。
彼女の制服の胸の部分は、私の涙と鼻水でテカテカになっていた。‥申し訳ない。
「隊長の事かい?」
ドキリとした。
「どうして?」
解ったんですか?という続きは飲み込んだ。
「わかるさ。今やエースオブエースと呼び声高いなのスケがそんな風になることなんざ、隊長絡み以外じゃあり得ない。」
ぐうの音もでない指摘に私の顔は熱くなる。
私は羞恥で俯き、コップの水面に視線を落とす。
そこに映った自分の顔は、やはり暗く曇っていた。
「なのスケはどうしたいんだい?」
と、穏やかな声音で問い掛けるキューブ副隊長。
「解らないです‥自分の気持ちが、良く解らなくて‥」
「ふむ‥解らない?本当に?」
と、キューブ副隊長は訝しげに聞いてくる。
ドキリとした。
「いえ‥私は‥隊長が、好き‥です‥大好き‥!」
そう。私は隊長が好き。それは間違いない。
でも‥隊長は‥?
「‥隊長の気持ちが解らない?」
ドキリとした。
私が何故?と、視線で問い掛けると、
「‥うーん。まあいいか‥。」
と、キューブ副隊長は照れ臭そうに話し始めた。
「私も隊長が好き‥だから気持ちは私にもわかるよ。あのハゲ‥自分の気持ちを全く見せないからね‥」
‥だと、思った。キューブ副隊長の独白は私の心にストンと落ちた。
そうか。私は自分の気持ちというより、隊長の気持ちが見えなくて、不安だったんだ。
そして、キューブ副隊長も隊長を好きという新たな事実。
隊長の隣に立つキューブ副隊長はピタリとハマる。
悔しいけどお似合いの二人だと思う。
「でも‥私はこの気持ちを伝えるつもりは無い」
と、キューブ副隊長は苦々しく宣言した。
「え?」
何で?私から見ても、キューブ副隊長と隊長は強い信頼で結ばれているお似合いの二人なのに‥。
「まあ‥私もね、隊長とはつき合い長いからさ‥今迄、色々なアプローチをしてきたのよ‥何度かそういう雰囲気になった事もある‥でもね‥そういうとき、あいつは必ずはぐらかしてきた‥。
それで‥何となく、解ったんだ‥。
彼は‥そういうのを、求めてないんじゃないかって‥。
「そういうの?」
「信頼はしてもらってる。現在管理局内で彼と1番強い信頼で結ばれているのは私。という自負もある‥でも‥それだけなんだよ‥多分、彼にはその先が見えてない」
「その先?」
「まあ、なのスケは未だ若いからさ、解らないと思うけどさ、私達位の歳になると、恋愛ひとつでも‥結婚迄意識するのよ‥重いかもって、自分でも思う。でも、恋愛ひとつ身軽に出来なくなるくらい、自分が歳を取ったのも、事実。」
「だから多分、アイツも必要以上にチキッてる‥」
「まあ‥慎重になってるのは本当だけど、なのスケの場合は少し違うかもね?」
「え?」
「だって、なのスケは可愛いもの‥」
「???」
「だからね?成人したばかりの可愛い可愛い女のコと、アラフィフのハゲオヤジじゃ釣り合わないとでも思ってるんじゃない?あのハゲ、自己評価低いし」
キューブさんのきつめな言い種に私は小さく吹き出してしまう。
「‥だからなのスケ。あの、厄介なハゲに想いを伝えるんなら生半可な覚悟じゃだめだよ?全力全開でやんな‥」
「大得意なの!」
「うん。良いドヤ顔だ‥いつもの可愛い私のなのスケに戻ったね‥私は‥伝えない事を選んだけど‥。なのスケならもしかしたら‥」
そう話すキューブ副隊長は私を勇気づけるような、優しい笑顔と、その中に一匙の後悔を落としたような、複雑な表情をしていた。
「‥でも良いの‥?キューブ副隊長?」
「ん?」
「その‥私が、隊長とくっついても‥」
私が言いにくそうに呟くと。
「フッ‥生意気‥」
と、私の頬を指でつついてくる。
その顔はいつもの勝ち気な副隊長で。
「良いよ‥なのスケなら‥それより早く隊長とくっついて、私の恋を終らせて欲しい‥そうすれば、私も踏ん切りが着く‥自慢じゃないけど‥これでもおねえさんはモテるんだからね?‥このまま何時までも、隊長にしがみついてたら、売れ残っちゃう‥かと言って、諦めないままで、別の恋に行くなんて器用な事も出来ないしね‥」
なんて、おどけたように言ってくる。
―こうして、私の心は決まった。あとは、全力全開。
ある昼下がり。
1日の最後の休憩に私は背伸びをして身体を、解す。
と、視界の端でアルファードさんと視線が絡み合った。
私はパチリと、ウィンクひとつ。
すると、彼は一瞬驚き、ぎこちなく、ウィンクをひとつ返してくれた。
二人だけの秘密の些細なやり取り。
こんな他愛もない事が堪らなく嬉しくて、ドキドキして、愛おしい。
こんなくすぐったさに綻ぶ口許が弛むのは仕方ないのだ。
お互いに薄く頬を染めてはにかんで。
私はあれから、タイミングを窺う日々。
何のタイミングかって?
それは勿論、攻めるタイミングだ。
無闇矢鱈に攻めても、隊長には届かない。
なんせ、私が思う理想の女性のキューブ副隊長を振るような人なのだ。
ヘタしたら、本当にロリなのかもしれない。
ホモ‥ではないと、信じたい。
覚悟してね‥隊長。
隙を見せたら、一撃必殺。全力全開なんだから。
今回も読んで頂きありがとうございます。
これで、クライマックスへの、導入は完了。
というわけで、次回最終回です。
今回の目標は1クール(12話)で纏め切る事だったので。一話が必要以上に長くなっても分割せずにやってきました(´д`|||)お陰で読みにくい想いをされた方もいらっしゃるかもしれません。
そこは申し訳ない。
最終回はもう書き上がってるので、これから校正して、次のお休み‥23日には出せると思います。
お楽しみにしていただければm(__)m