まあ、いっか(ノ´∀`*)
私がFW達の訓練メニューを作成して、フェイトちゃんと共有しようと、管理局の廊下を歩いていた時だった。
「なのはさん‥ちょっとお時間良いですか?」
と、腕組して、壁に寄り掛かっていたヴァイス君に声を掛けられた。
「ああ。ヴァイス君。どうしたの?」
「実は―」
「そっか‥ティアナが‥」
どうやらティアナが訓練を終わった後にもろくに休まず、個人訓練をしているらしい。
私の教導‥結果が見えにくいからなあ‥。
ちゃんとティアナも成長してるんだけど‥
でも‥気持ちはわかってしまう‥。
結果が出ないと、苦しいよね‥
どうしよう‥?アルファードさんに相談してみようか‥いやいやいやいや!
何を考えてるんだ私は。今は私が教導官なんだから!何時までも、アルファードさんに頼ってたらだめだ。それに‥今回の件はダメなのだ。
もし、知られようものなら、きっと‥
「蛙の子は蛙だなあ‥」
なんてからかわれてしまう。
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また今回も、Sランクの試験に落ちてしまった。
私はいつものように訓練室で射撃魔法の精度訓練を行っていた。
そんなに難しい事じゃない。ランダムに射出される色分けしたターゲットに各々、対応した射撃魔法で地面や壁に当たらないように当て続け、相殺するだけだ。
ビジョントレーニングと、射撃コントロールの複合訓練。
余談で少し自慢になるが、これができるのは私だけだ。
ランダムに射出されるターゲットを把握しながら、20発の魔力弾をコントロールし続けるのはなかなか集中力と計算力が必要で、3000回を超えた辺りで、流石に疲れてきて。
Master!resting soon(そろそろ休憩してください)》
「うん。ごめんね?レイジングハート‥あと100回位で上がるから‥」
レイジングハートが心配して声を掛けてくれるけど‥私はやめなかった。
限界‥と思ってから更に100回上積みする。
これが私のトレーニング法だ。人というものは、なかなか自分を追い込みきれないものなのだ。
本人が感じる限界というものは実はだいぶまだ余裕がある状態なのだ。
これは昔何かの教本で読んだ事だ。
なるほど。と、思った。
実際に私は限界と思ってからも、100回くらいの、上積みはこなせているのだから。
勿論ヘトヘトになるけども。
◆◆◆
「あら‥?どうしたんですか?隊長?」
「ん?キューブか。何がだ?」
「何か‥凄い、怖い顔してましたよ?あら‥それ‥なのスケの訓練データですか?」
データベース室で、なのはの訓練データを見ていた俺にいつのまにか、キューブが近付いてきていた。
「ん?ああ‥」
「なのスケ‥また、Sランク落ちちゃったらしいですね‥」
と、心配そうに呟くキューブ。
こいつは部隊の中でも特になのはを可愛がっているからな。
「俺の力不足だよ‥」
「そんな事ないですよ!隊長の教導でダメならきっと誰がやってもダメですよ!」
俺の自嘲めいた言葉を遮るようにキューブが口を挟む。
尚も、言葉を続けそうな彼女を俺は制す。
「キューブ!」
「それ以上‥言うな」
「すみません‥失言でした‥」
「いや‥俺こそすまん‥」
「悪いがシャマル医務官をよんできてくれ」
「かしこまっ!」
と、元気良く部屋を飛び出していくキューブに俺は苦笑する。
‥ったく。俺も成長しねえな。
あんな才能の塊のヤツを合格させてやれないんじゃ、教導官失格である。
「‥焦ってるのは、俺の方か‥」
《Master‥大丈夫ですか?》
ああ‥ありがとよ、リア‥」
教える側が焦るのは禁物だ。
それはどうしたって教える相手に伝染してしまう。
しかし、なのはの訓練データ‥。子供がこんな無茶を繰り返していては、いつか事故る。
気持ちはわかるのだ。
俺は今アイツの基礎にしか手を付けていない。
あの位の歳なら、小手先の技術を鍛えるより、基礎を固めるべきだからだ。おかげでアイツには成果がいまいち見えていないのだろう。
まあ、その成果が見せられないのが、教導官が三流の証なんだよなあ‥。
アイツは気付いているのだろうか‥。
俺はなのはの訓練データを見ながら思う。
どんどん射撃精度と、身体の反射速度が落ちていることに‥。
原因は簡単。おそらく疲労だろう。
おそらく、知覚出来ない程度の疲労‥それが、少しずつ、少しずつ。アイツの動き、集中力を鈍らせている。
アイツの頑張りを否定するのは、心苦しいが。
‥しっかりしろ!アルファード!お前はまた同じ過ちを繰り返すつもりか!
ベシイっ!と、強く頭に張り手をし、気合いをいれる。
と、そこでキューブがシャマル医務官を連れて戻ってきた。
のだが‥何か俺を見て固まっている。
‥なんだ?
えーっと‥」
「シャマル先生‥わざわざ御足労すみません」
と、シャマル先生に声を掛けるがシャマル先生はじっと、俺の頭を見て、
「えっと‥打撲で良いのかしら?」
「‥はっ?」
「ブフゥッ!」
と、キューブがこらえきれないというように吹き出した。
‥なんやねん‥。
「隊長‥これ‥」
と、キューブが差し出してきた鏡を受取り、それを覗けば、そこには頭に大きな紅い紅葉を付けた、ハゲが一人‥てか俺だった‥。
俺は羞恥で顔が熱くなりながら‥
「違います(キリッ)」
「プフッ‥格好良い顔で言わないでください‥プフッ」
突っ込まれてしまった‥。おまけに笑われてしまった‥。
シャマルさんは案外愉快な人のようだ。
「見て欲しいのはこっちです‥」
と、俺はなのはの訓練データを渡す。
特筆すべき箇所には既にマーカーをつけている。
シャマルさんはそれを受け取ると、直ぐに真面目な顔になり、
「なのはちゃんはどこ?」
俺がキューブに目をやると、
ただならない雰囲気を感じとったのか、直ぐに走り出した。
ホントに頼れる副隊長である。
取り残された室内で何となく気不味い思いで、俺は口を開く。
「すみません‥俺の監督賞不行き届きで‥」
「何言ってるの‥貴方は気づいたじゃない」
返ってきた答えは存外優しい響きを含んでいて。
「いや、でも‥こうなる前にもっと早く気付いてやれたんじゃないかと‥」
「バカね‥手遅れにならなかった‥それで良いじゃない‥しかし、良く気づいたわね‥私だって、貴方に見るべきポイントを指摘された上で、見ていなかったら、見落としていたかもしれないわよ?」
「昔‥似たような失敗してるもんで‥」
「そう‥それは貴方が教導隊を辞した事と関係しているのかしら?」
「‥まあ‥そんなとこです‥」
と、ペシペシ頭を叩きながら、俺は答える。
「答え難いことを聞いたわ‥ごめんなさい‥」
と、シャマル先生は目で侘びを伝えてくる。
「いえいえ‥気にせんでください‥」
「クスッ‥聞いていた通り、優しい方ですね‥」
と、シャマルさんは涼しげに微笑む。
「ともあれ‥今回の件医務官として御礼を言います‥」
「いや、そんな‥」
「なのはちゃんは幸せ者ね‥」
そうして、シャマル先生は幾つかウィンドウを開いて、何か呟きだす。
「療養‥温泉‥ウフッ楽しみだわ‥何処に行こうかしら‥」
すると、シャマル先生はキリッと顔を、切り替えると、
「アルファード隊長‥?私は医務官として‥なのはちゃんに温泉地での療養を推奨します!」
「は、はあ‥」
先の呟きで全部台無しである。
読んでいただきありがとうございますm(__)m
次は日曜にはなんとか‥m(__)m