蒼い勇騎   作:風南 春樹

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魔王の気まぐれ

 我が名は『ゼルドモアリス』、魔王である。

 大勢の魔物を従え、このポートフォリアと呼ばれる世界を支配してやろうと企んでおる。…のだが。

 

「ハァ……退屈だ……。」

と思わず溜息が溢れてしまう。

 

 我がこの世界を支配しようと思い至った動機は、ただの気まぐれからだった。別に世界を征服して君臨し統べたいたいなどとはそんなに思わんし。人間どもを恐怖に陥れ慄かせたいなどとも特に思っておらん。そもそも、そんなことしたら罪悪感が凄そうだ。

 まぁぶっちゃけ簡潔に言ってしまえば、退屈だったからなのだ。

 我は幼少の頃から周囲の者達よりも魔力が強力で、大抵の相手を屈服し跪かせてしまえるほどに強力になってしまったので。臆病な人間どもから”いつかその魔力で世界を支配しようとする”などと。割りと勝手に決めつけられて、我の首を取ろうなどとしてきおるから。別にそんなつもりなどないので放っておいてほしくてな。仕方なくちょっと見栄など張って結構大きな城を建て。大げさな玉座など備え付け構えてみたら。

 

 いつしか魔王の城だとか広まってしまったのだ。

 

 そうするとまぁ”世界を救う”だなんだと因縁つけて。勇名を馳せた者が我が城へと乗り込んできおるではないか。だがまぁ、挑まれたからには戦わずして臆病だなどと揶揄されるのも癪であるし?何より恐れられておる城へと攻め込んでくる殊勝な者を無下にするなど。少し申し訳なく思えてくるではないか?

なので一応それらしく、気取って玉座に座って待っておるのに…。

 

……。

……一向にどの者も、我の元へと辿り着きもしないではないか!!

 

 おのれら勇名を馳せておるのではないのか!?

 我はまだ一度としておのれらの姿すら見ておらぬし!そりゃ我が配下の者共も、我が鍛え上げし精鋭達ではあるのだが。その者共ですらまともに戦えずやられてしまうのか…。我だって…我だって…。それらしい口上を述べてみたり、戦ってみたりしたいと思っておったのに!!魔王らしく威厳を魅せようとそれっぽい服装にしておるのに!!

 

 全て無駄になってしまうではないか!!

 

 せめて我と面を合わせて啖呵を切り。それらしく散っていくほどの気概くらいは持たぬか!この魔力だって、存分に披露してみたいと思っておるのに…。どの者も我と戦ってすらくれぬのか。

 

 そうなればもう、自分から攻めるしかないじゃないか。

 

 城で構えて待っておっては埒があかぬと思い至ったが故。そんじゃもう我から攻めて恐ろしくみせてやれば。もう少し躍起になって、我と対峙できるほどの者が現れればよいかと。そんなこんなで、いっちょ支配してやろうなどとしておる訳だ。

 

 

 あぁ、それと言い忘れておったが。

 我はか弱い乙女だ、『女魔王・ゼルドモアリス』である。

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