先ほどと同じく【飛翔】の魔法により、大急ぎで街へと向かった。
ジユウキやチダイが街に攻め入るとしても。
地を歩し大軍を率いて進撃するのであれば到着に時間が掛かるはず。
なんとか間に合ってくれればよいが…。
そうして周囲を見回しつつ飛翔を続けている内に。
「……む?…うおぉぉ…」
一部の地を覆うほどの軍勢が見えてきていた。
ざっと見たところでも、その数はおよそ一万余りといったところか。
ジユウキどもめ…攻め入るにしても、これはさすがに引き連れ過ぎではないのか!?
ちょっとした言い間違いが、まさかこのような数を招いてしまうとは…。
…だが、ジユウキ達がこれだけ本気で仇を討ちたいと昂っているというのは。
それだけ我に…私に対しての忠誠が本物だということなのか。
以前迫害されていたあの者達を救った折、忠誠を誓うと申し出てくれたあの時から…。
「あやつら……」
そう考えると、何か妙に嬉しいようなこそばゆいような気持になった。
…ハッ!い、いかん!
この大軍が、街に到達するまで間もない距離にまで来ている。
感慨に耽っておる場合ではない!
ガノス達になんとか気づかれぬよう迂回しながら。
先に街へと近づき、なるべく遠くから様子を伺ってみた。
……。
…………。
まだ表立って、混乱が起きている様子はない。
だが中には少し魔力を感じられる者達もいるらしく、何人か慌てふためいている様子だ。
いや…ここに至っては魔力を感じられない者達でも。
これだけの大軍ならば、搖動が感じられていても不思議ではないだろう。
……ん?魔力を感じられる者…。
…そうだ!先ほどに私を衝き動かしたあの者は。
最小限度に抑えた魔法の発動すら感じられたほどの貴奴ならば…。
この魔力を感じ取ってしまっているはずではないか!?
目を凝らして、街の中を探るように見回した。
あの者は、先ほどに我らが街へと攻め入っていた時には。
その魔力には気付かず、あの丘にて責めを受けていた様子だった。
我々の存在や魔力に対して、そこまで敏感に感じ取っている訳ではなかったはずだ。
だが何故だろう…何故だかは判らないのだが。
あの者…キアには、この魔力の動向を感じとってしまいそうな…そんな確信めいた予感がする。
「……クッ!」
大軍は、もう街の者達ですら視認できる距離まで迫ってきている。
そもそもキアがこの街の何処に住んでいるのかも知らぬのに。
こうして探すことなど、困難であると判っているのに。
どうすればよい…どうすればよいのだ!?