桃井さつきinハイキュー!!   作:睡眠人間

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知らぬ間に

「最後のタイムアウトを取った時、全員がお前を警戒した。俺たちをあそこまで緻密に分析した奴だから、必ず何か仕掛けてくると。なのにお前は何も」

「あれはッ!」

 

 桃井が声を荒げる。コートではいつの間にか第二セットが開始されていて、そちらの方に逃げるように姿勢を戻す。強く握りしめた拳と震える唇が、彼女の決心を体現していた。

 

「言えません。……あの時のことは、言っても信じられないことでしょうから」

「そんなのは俺が決めることだ。自分のものさしで測るな」

「では言い方を変えます。言いたくないんです」

 

 しゃんと伸びた背筋に凛とした面持ち。コートを見下ろす桃井の意思は固かった。

 

 

 あの日。極度の集中状態となった桃井が予知したのは必敗する未来だ。

 どの方向で攻撃しようにも防がれることは明白で、桃井はその瞬間、自ら勝利を手放した。

 

 一度は岩泉のエースとしての輝きに、先輩たちの諦めない姿に、己を恥じた桃井は才能を覚醒させたのに。

 絶対に負けるものかと敵味方全てを見透かし、勝ち筋を手繰り寄せようとした結果に在った事実は。

 

 それは桃井の希望を打ち砕くには十分過ぎた。タイムアウトの時の先輩たちの期待が重くのしかかってきて、耐えられなかった彼女は奇跡に縋った。そして桃井はそのことを愚かだと吐き捨てる。

 

 奇跡。そんな曖昧模糊なモノに可能性を見出そうとした。

 

 信じたはずなのだ。

 先輩たちの力を。

 

 信じたはずなのだ。

 相手チームの力を。

 

 そして知ったはずだ。

 勝てる可能性なんてないことを。

 

 きっと自分は、先輩たちに相手を打ち破る力が秘められていることを期待した。でもそんなものはなかったのだ。

 

 ただ、それだけのことだ。

 勝敗が決する瞬間に必然的に顕れる事実にいつまでも拘泥してはならない。

 

「私にしかわからないことを、誰かに打ち明けるつもりはありません」

 

 桃井は正真正銘の天才だ。

 

 彼女にしか見えないものがたくさんある。彼女が口にしなければ誰も気づかないことがたくさんある。

 

 なら口を閉ざす。自分だけの重みを、背負わなくていい痛みを、他の誰かが背負う必要はないのだから。

 

 二度とあんな苦しい思いはしたくない。

 二度と奇跡なんかに縋らない。

 

 だから、もっと強くなりたかった。

 自分だけが強くなるんじゃなくて。チームの地力を底上げする為に、やるべきことを突き詰めて。

 

 準決勝のことはとても苦いけれど大切な経験になった。そこから学べるものは全て学んだ。

 だからいい加減前に進まなければ。

 

「一つ言えるのは、私の完敗だったということくらいです」

 

 完敗。つまり高度な能力と精神力を持ち合わせたコイツでも、敵わないと悟らざるを得ないほど俺たちは強かったのか。

 

 全貌はわからないままだが桃井の発言に気を良くする。自分にとって脅威と見做した相手に完全勝利を果たしたのだ。嬉しくないわけがない。

 

 フッとマスクの中で満足気に口の端を吊り上げた佐久早だったが、続く桃井の言葉に早くも機嫌は損なわれる。

 

「よかったですね、私のことをとぉっても意識してた甲斐がありましたねぇ」

 

 にこにこにこ。口角を綺麗に上げたその笑顔は端正な顔立ちも相まって人形めいていて、目を弓なり反らした笑い方は先程の宮侑と酷似していた。

 

 その微笑みを真っ向から向けられた佐久早は面倒そうにため息を吐く。

 

「してない」

「してましたって。もうわかっているので、意地張らなくてもいいんですよ?」

「根拠はなんだ根拠は。勘なんてあやふやなものだったら……」

「根拠はここに」

 

 ノートパソコンを指先でトントン叩くと、そのまま人差し指をふりふりして続ける。

 

「佐久早さん。あなたは試合の調子が変わりやすい人ですね。いえ、変えやすいと言うべきでしょうか。身体面や心理面でも差があります。たとえば全中予選の第二回戦はかなり慎重に動いてました。不調かと思ったらそんなこともなく、怪我でもないただの気のせい。事実次の試合は万全でしたし。チームメイトの方によると前日の晩にうっかり賞味期限切れのものを食べたとか。あなたほどの人が食後にそのことに気づくなんて、よほど夢中になることがあったんですね。一体何があったんでしょうか? 特に体調は悪くならなかったんでしょう? 『気分が悪い』だなんて……いくらなんでも慎重過ぎでは?」

「おい。……おい、待て、お前、どこからそんな情報を集めた」

 

 一瞬チームメイトを疑ったが、まさかそんなとかぶりを振る。桃井のことを知ったのは準決勝戦が初めてだ。

 じゃあこの女は、どうして身内しか知らないことを知っている。

 

「また普段より攻撃的になる時があります。一番の理由は……相手チームに相当な手練れがいるから。牛島さんとか桐生さんとか。ジュニア時代から遡ってみたんですけど、そういう場合は明らかにスパイクの本数が増えてましたし、得点率も大きく違いました。昔から変わらないですね」

「なんでそこまで遡ってんだよ気持ち悪い」

「本題はここからですよ。あの試合での佐久早さんはまさにそのパターンに当てはまります。北川第一に強い人物がいたからでしょう。確かにウチのチームは強い。でもそれはチーム全体の話であり、あなたがあそこまで拘るような人は残念ながらいません。……選手の中には」

 

 桃井は井闥山に敗北してから徹底的に分析を重ねた。当時の自分が疲弊していた為に気づかなかったことも発見し、いかに疲労が情報の精度を落とすかを身にしみて感じたのは嬉しくもない誤算である。

 

 ですよね? と得意げに見つめる桃井はそのまま両手を太腿の上で組んで、何も言わない佐久早のほうに向き直り、ペコッと頭を下げた。

 

「ありがとうございました。あなたのおかげで、私はもっと強くなれます」

「…………」

 

 コイツが分析や情報収集のスペシャリストなのはよくわかった。ここまで調べ上げる根性も、桃井が真剣にバレーと向き合っているからだろう。

 

 準決勝戦の最後に何もしなかったのは……そんな奴でも太刀打ちできない状況に追い詰めることができたから。

 

 でも、コイツが次そういう状況に陥っても再び惨めったらしく諦めることはない。死に物狂いでコート上の全てを見透かそうとしてくるだろう。

 

「ああ、すっきりした。聞きたいことも解消できてよかったです」

 

 佐久早は桃井を強くした。

 牛島の目論み通りに強くしてしまった。

 

 コイツともしもう一度戦うことになったら……そんな想像をして武者震いする。二度と戦いたくないほど厄介なのだから。

 

 ……だったら。

 

「お前、高校どこ」

「は?」

 

 何言ってんのこの人……という失礼すぎる目をする桃井にイラッとした佐久早は苛立ちを滲ませて再び問う。中学一年生相手に聞くことじゃないのは彼が一番わかっていた。

 

「……進学先は。決めてんの?」

「…………。いえ。まだです。ありがたいことにお声をかけていただいている学校は何校かありますが、まだ調べ始めたばかりなので。実績、予算、年間スケジュール、練習試合の相手、コネクション、その他色々。私が高校生になるまでに急変する可能性もあるので、今の時点で断言することはできません」

 

 佐久早の言わんとすることを察した桃井は苦笑して、そっと囁く。

 

「強いチームメイトと、強い対戦相手と戦いたいんです。………もっと面白いバレーボールが見たいので」

 

 慈しみを溶かした優しい目つきでコートを見て、ちょうど尾白がスパイクを決めたところで、すごい! と歓声を上げた。試合の流れも最高潮で桃井のテンションは高かった。

 

「わ〜、尾白さん絶好調ですね! なかなかの威力でしたよ」

「井闥山に来い」

「は?」

「お前礼儀がなってないんじゃないか」

「牛島さんにタメ口のあなたに言われたくないです」

「若利君とは大会で何回も会ってるからな」

「それもそうでしたね。すみません」

 

 しゅんとなって反省する姿を見せる桃井だったが、やがて首を傾げた時にはそんな色は消える。

 

「ちょっと何言っているのかわからなくて」

「おちょくってんのか。それとも準決勝のことを根に持ってるのか」

「いいえ? そんなことは」

 

 口元に手をやってくすくす密やかな笑い声を漏らすと、愉しげに揺れる瞳が仏頂面の佐久早を映し出す。

 

 ちなみに桃井の中では井闥山、特に佐久早は来年絶対に折れるまで叩き潰したい(意気込み的に)相手になっていて、先輩たちの仇であり因縁の相手だという認識があったので、佐久早の確信した疑問は正解だった。桃井は結構根に持っている。

 

「井闥山学院高校……東京の強豪校ですね。たしか今年のインターハイの成績は全国二位。加えてあなたの進学先でもある。……というか、佐久早さんはスカウトする立場の人じゃないと思いますよ?」

「うるさい。お前が味方か敵か考えて、メリットの大きい方を選んだまでだ。試合運びが効率的になるのは間違いないし、敵として戦うのは嫌なんだよ。お前にとっても悪い話じゃないだろ」

 

 横目でチラリと伺うと、桃井は口元をひくつかせた。

 

「そりゃあ、とっても魅力的ではありますけど。……そんなに私が嫌いですか?」

「ああ。嫌いだ」

「佐久早さんは言葉をオブラートに包むことを! 覚えてください!」

 

 もう!! ぷりぷり怒る桃井。しかし質問からしてYESかNOしか用意されていないのに、何がオブラートかと佐久早は思い、当然だと腕を組んだ。

 

「自分の過去の試合洗いざらい全部見て分析してる奴は好きになれない」

「た、たしかに」

「それに面倒くせぇ性格しやがって。お前と話すのは疲れる」

 

 確かにそれは嫌われても仕方がない。何も言えなくなってしまった桃井はツンと唇を尖らせて、むぅと膨れっ面を見せる。

 

 その姿は年下の生意気で強気なただの女の子にしか見えず、そっちの方が似合ってるんじゃないかという感想を木っ端微塵に砕いて、佐久早は冷笑を浮かべた。完膚なきまでに勝った……という笑みに、疲れてないじゃんと桃井は思った。

 

「まあ、若利君がわざわざ出向いて言う価値はあった。正直、事前情報がなかったらこっちの対応も遅れただろうな。それでも勝つことに変わりはないけど」

 

 なんて付け加えると桃井の顔にふと影が落ちる。

 

「………やっぱり牛島さんが。全くあの人は……本当に……やってくれる……」

「……お前から若利君に売り込んだんじゃないの?」

「違います、あの人が勝手に……! 木兎さんとか他にもきっと吹き込まれてる人はいるんじゃ……ああもう、ほんっと困る!」

 

 なんでそんな意味不明なことをするんですかね!! 

 

 不満げに言う桃井だが、佐久早は理由も結果もわかっているし、まんまと牛島の掌で踊らされたわけで(牛島にそんな気はさらさらないのがもっとムカツク)、わざわざ言う必要もないかと思ったので知らぬ存ぜぬを貫くことにした。

 

「自分で訊け」

「………。はぁい」

「随分不服そうな返事だな」

「本当は知ってるんじゃないですか? 言わないだけで」

「お互い様だろ」

「……それもそうですね」

 

 そこで一区切りついた。佐久早はフンと鼻を鳴らし、桃井は不貞腐れた表情を変えて微笑を湛える。

 

 自分でも思った以上に会話を重ねられて満足した桃井は中断していた分析作業を再開しようとして、観客の動きに変化が現れたことに気付いた。どうやら宮城代表はストレート勝ちして決勝戦まで進んだらしい。

 

 素直に嬉しい気持ちで満たされていったが、先輩の、特にヘラヘラ笑う方の顔を思い出して、重いため息を吐きそうになる。

 

 夏が終わり、冬がやって来て。その間桃井は一度たりとも昼休みに図書室を訪れていない。「三年の及川さんはいつも図書室の奥にいる」なんて噂が立とうが、絶対に近づくことはなかった。

 

 単純に忙しかったから。そんなのが言い訳に過ぎないことはよくわかっている。

 

 もし予想する展開になったら……そんなことになったら、自分は及川を傷つけるだけだとわかっていたからだった。だから部活以外では会わないようにして、部活でもきちんとした後輩の立場で接していた。

 

 自意識過剰だと笑ってやりたいのに、及川の隠し切れてない熱い視線に嫌でも悟る。多分部活内でも気づいてないのは色恋沙汰に疎い影山と金田一くらいだろう。おかげで二人と話すときは心から解放されて楽しい。

 

 

 もし、この居心地の悪い関係がこの先続くのなら。いつまでもあの人に期待させてしまうのなら。

 

 いっそ終わりにしてしまいたい。

 それは自分のためでしかないけれど。

 

「………………」

 

 夏の日の、あの言葉を思い返す。

 

 そして決意する。

 

 ちゃんとあの人のバレーを見届けよう。

 見届けて、彼がその先を望むのなら、私は終わりにする。

 

 全部自分のため。

 周りの気持ちなんか全く考えてもいない。

 

 本当はバレーでも結局は自分しか信じていないのかもしれない。

 口では先輩たちを信じてるなんて言って、そのくせ真実は違うから、準決勝でもああやって奇跡に縋り………

 

 

 ───ああ、だめだ。

 

 暗い考えを追い出すように頭を振ると、目蓋を閉じ、深呼吸をして思考回路を切り替える。

 

 今やるべきことはそれじゃない。

 目の前の情報を頭に取り込むことだ。

 

 すぅ、と息を吸って、視線をコートに向ける。

 パソコンのキーボードに指を乗せたときには、先程の思考はかけらも無く消え失せていた。

 

 

 

 これは少し前のこと。

 

「さ、佐久早が仲良さげに女子と喋ってる……」

「え? 何々!? ……あっホントだーー!! ……よし!」

「って何話しかけに行こうとしてんだよ! 木兎動くな! ステイ!!」

「んだよやっくん! 面白そうじゃん!」

 

 宮城代表の試合がストレートで終了した為、まだ試合をしている兵庫代表の方を見に来た木兎と夜久。そこで二人が目にしたのは、あの佐久早が女子と会話をする光景だった。

 

「面白そうなのは認める。けど待て。俺、あの子見たことある気がすんだよな……どこだっけ……」

「ピンク色の髪した? ん? 俺もどっかで……」

 

 あんな目立つ髪色してるんだから、見たことがあるなら気のせいではないだろう。うーんうーんと首を捻る二人だったが、思い出した夜久がポンと手を打つ。

 

「わかった。アレ桃井だ! 月バリで見たわ。実物めっっっちゃカワイイな」

 

 部員たちが雑誌を片手にワイワイ騒いでいると思ったら、そこには今年の全中で鮮烈なデビューを果たした桃井の姿があった。『天才美少女マネージャー、現る!!』などという見出しに、溌剌とした笑顔で選手に指示を出す様子の写真付きで。

 

 彼女を紹介する内容も衝撃的だったが、それよりも男子中学生たちの目を引いたのは華のある美貌だ。愛らしい整った顔立ちにショートカットの艶やかな髪。

 芸能人ですと紹介されても納得のいく容姿に彼らの心は射抜かれた。そしてそんな彼女に支えられている北川第一の連中を少しばかり羨ましく思ったりもした。

 

「なんでここにいるんだろ。あの子たしか北川第一だろ? 宮城の」

「さー。あ、ハジメとかトールとか出場してるから、もしかして応援に来たんじゃね!? かーっ、羨ましい!!!」

「ハジメ? トール? 誰だよ」

「北川第一のやつ! 俺全中んときに戦って負けてさー! あーあ、アイツらとバレーすんのすげー楽しみにしてたのになー! ウシワカともやりたかったなー!」

 

 なんて言う木兎だが、その木兎の調子の急変に振り回された身としては「お前が言うな」という感想を持ってしまうのは仕方のないことだろう。

 

「あれ? 俺ウシワカに何か言われた気がする……なんだっけ……」

 

 とまたもや唸る木兎をよそに、夜久は疑問を感じた。桃井がここにいるのは本当に応援目的だろうか。応援というよりも……

 

「まるで偵察だな。ビデオカメラに……あれはパソコン? スゲェスピードで打ち始めたんだけど。何やって………ってまさか、分析ってやつか?」

 

 夜久は月バリの文章を脳裏から引っ張り出して唇に乗せる。どこの学校でも対戦相手をスカウティングするのは当たり前だし、女子マネージャーだけど他よりそういうのが得意な子なのかな、と勝手に思っていた。

 

 しかしあの鬼気迫る様子に、得意なんてレベルじゃないことを悟る。先程の微笑みから一転、口を真一文字に結んだ彼女から放たれるのは試合中のようにヒリヒリした気配だ。

 

「………!」

 

 普通のマネージャーからかけ離れた姿に、夜久は息を呑み、木兎は獰猛な瞳を煌めかせる。

 二人は何も言わずに顔を見合わせ、頷くとそっと近寄っていく。

 

 そして試合終了とともに元気よく声をかけたのだった。

 

「ね!!! モモイちゃん!!」

「わっ」

 

 突然の木兎の大声にビクッと肩を震わせた桃井は振り返り、あどけない表情で目をパチクリさせる。そうだ、一度対戦したらしい木兎はともかく、知らない上級生を見たら不審がるだけだろ、と夜久は気づき、自己紹介しようと口を開きかけ。

 

「木兎光太郎さんに、夜久衛輔さんですね」

「えっ。俺のこと、知ってんの?」

 

 かわいい好みの子に微笑み混じりに名前を当てられて嬉しい夜久だったが、返事は現実的だった。

 

「はい。パンフに載ってますから」

「あ、そう……」

「そちらは何故私の名を知っているんですか?」

「月バリに載ってたことあっただろ? 俺はそれ読んだ」

「あ、あー……月バリで……」

 

 桃井は微妙な顔になる。取材を受け、出来上がったものを読んでみれば過大評価されていたのだから当然だ。何が天才だ。何が美少女だ。試合じゃ手も足も出なかったのに。あんな風に自分のことを書かれるくらいなら選手の方に文字数を増やして欲しかった。都合よく使われた気がしてならない。

 

 あと影山に真顔で「桃井さつき。中学一年生。天才美少女マネージャー、……? ……る」と読まれたのが死ぬほどめちゃくちゃ恥ずかしかったのである。その後赤面してキレながら「あらわるって読むの!!」と教えたのが懐かしい。

 

 その時のことを思い出してしまい、じんわり熱を帯びる頰を誤魔化すように笑顔を浮かべた。次の機会があればちゃんとした記事を書いてもらおうと決める。

 

「それで、何かご用ですか?」

「用ってわけでもねーけど、見かけたから何してんのかなーって。あとどうして大阪にいるのかなーって」

「ああ、それは……」

「ゥ思い出したァーーーー!!!!」

 

 またもや木兎の大声に遮られ、夜久がいい加減声小さくしろ!!と叫ぶより早く、木兎は桃井を勢いよく指差した。

 

「ウシワカに気をつけろって言われたわ!! モモイサツキってお前のことか!!!」

 

 隣の隣で絡まれないうちに逃げようとしていた佐久早が中途半端に立ち上がった状態で固まり、夜久も思わず閉口する。桃井の顔から一瞬で表情が抜け落ちたからだ。軽くホラーだった。笑顔からすとんと無表情になった桃井は静かに言う。

 

「木兎さん」

「ハ、ハイ……」

「その話、詳しく教えてもらえますか?」

 

 そして木兎はしょぼくれモードでもないのに、元気のいい髪の毛をしょぼくれさせ、桃井に尋ねられるがまま口を割った。




お久しぶりです。すみません、忙しくてなかなか描けませんでした。加えて公式からとんでもない爆弾をくらって筆が遅くなりました。



突然なのですが、桃井と影山の過去がざっくり変わります。
桃井も影山も小学生の頃にジュニアチームに所属し、大会出場経験があります。影山は中学でも男子バレー部でバレーを続けますが、桃井は小学校を卒業してからはやめて男子バレー部の女子マネージャーになりました。その過程で女子バレー部に勧誘されたりもしますが辞退。現在に至ります。

そんなわけで身長体重もだいぶ成長します。多分現時点で160cm近くあります。高校生で170cm超えてじんわり止まるイメージ。周りの奴らがデカすぎるので彼女もモデル体型になってもらいます。

この変更に伴い桃井の小学生時代もざっくり変わります。ちょっぴりハードになったよ!

そして本編の小学生時代の話を削除し、中学の入学式が第一話になります。あと影山の台詞とかに違和感があるので、その辺りも修正します。いつか。


2022/12/01追記
上記の設定をやめにしました。あっちこっちいって申し訳ないです。
ハイキュー!!が完結した現在、原作に、特に影山の過去に合わせた話にしたいので構想を練っています。
いつか投稿できたらいいなと思っております。

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